タグ:慢性痛 ( 2 ) タグの人気記事
慢性痛(症)(偏桃体・側坐核の仕組み)
NHK「試してガッテン」(5月9日放送)の「慢性痛を”脳”で克服! ”慢性痛”治療革命」の要点を以下にまとめてみた。

●痛みは本来「警告信号系」であるが、損傷や障害が取り除かれたにもかかわらず、3カ月以上も続く痛みは「慢性痛」とされている。
 いわゆる原因が特定できない痛みである。有効な治療法も確立されないままにある。

●慢性痛の患者さんは、推計2,300万人いるとされている。それは医学医療上の問題にとどまらず、社会・経済的損失となっている。

●慢性痛の研究が進み、今では最も注目されている治療として「認知行動療法」に関心が高まっている。

●「認知行動療法」は、痛みに集中しないで他のことに意識を持っていくための行動が効果的とされる。

●PETによる脳画像でも、慢性痛の患者像と改善像では全く異なっている。
 慢性痛患者のPET画像では「側坐核」の血流の低下が顕著である。
 さらに、「偏桃体」の過活動がみられる。「偏桃体」は不安や恐怖、悲しみといった情動系の役割にかかわる。

「側坐核」が慢性痛改善のキーポイントである。
 「側坐核」が元気になると、PET画像での血流の改善(赤く表示される)が顕著になる。
c0113928_17470508.jpg
●「側坐核」を元気にする有効な方法が「認知行動療法」である。
 要するに、「側坐核」喜ばせなさいということ。「側坐核」が元気になると、下降性に痛みを抑える仕組みが働きだす。

●逆に「偏桃体」の過剰な活動は、「側坐核」の元気をなくしてしまうので痛みを抑える仕組みが働きにくくなる。

●そこで、慢性痛には「側坐核」に喜び(報酬)を与えて元気にしよう、というわけだ。

報酬は「達成感」によって代替される。好きなこと、趣味などを楽しむことで「達成感」を実感することは重要な要因である。
 喜び(達成感)は「側坐核」を活性させる。

●そのためには「小さな目標」から「大きな目標」を設定し、達成感を実感できる行動・運動を取り入れることである。

●同じ痛み刺激を与えて痛みの自己評価をする実験が紹介された。
 刺激をちょっと少なく体感できるだけでも報酬系が作動する。これが重要なのだろう。


[PR]
by m_chiro | 2018-05-14 17:48 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
「痛み学」NOTE80. 長引く痛みの連想ゲーム(プライミング効果)
「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです。
「痛み学」NOTE80.
長引く痛みの連想ゲーム(プライミング効果)


「痛みは死よりも恐ろしい」とは、シュバイツァー博士が遺した言葉である。
それほど恐ろしい「痛み」も、永いあいだ医療の治療対象とされてはいなかった。
痛みは「疾患」ではなく「症状」だというわけだろう。痛みの治療は疾患に付随するものだというわけだ。
確かに痛みで死んだという話は聞かない。

それでも、長引く痛みは精神心理・情動面にも多大な悪影響をおよぼすことがある。
それだけではない。運動器の慢性痛は身体機能的にも悪影響をもたらす。
そのために社会生活にも支障がおこる。だから職を失うことにもなりかねない。
学生だったら休学せざるを得ない状況に追い込まれ、中には退学という事態になるかもしれない。
それは精神心理的にも相当な苦痛であろうことは想像に難くないだろう。
近年では、「痛み」そのものが治療の対象にされるようになっている。
なぜ状況が変わったのかといえば、痛みや脳の研究が発展して、「痛みは脳に記憶される」ということがわかってきたからである。
研究に拍車をかけたのは、運動器慢性痛患者の多さに注目が集まったことも社会的背景としてあるだろう。

痛みの評価法にNRSスコア、VASスコアがある。
痛みを1~10まで数値で自己申告する方法である。
最悪の痛みを「10」とすれば、現在の痛みはどれくらいか、という自己評価でもある。
しかしながら、疼痛スコアをたびたび患者さんに問うことは逆効果にもなりかねない。
それも記憶と密接な関係があるからだ。
それを「プライミング効果」と呼ぶらしい。

プライミング効果とは、例えば「A」という事象があったとする。
個人にとって最も重要・重大な関心事に関わる事象である。
この場合は、痛みやそれに関わるさまざまな事象や刺激のことである。
すると、ターゲットである「脳」に記憶が固定される。連想ゲームのようなものだろう。
プライムな事象は、その人の脳に痛みを連想させてしまい、逆に痛みを増強し、痛みを引き出しやすくするというわけである。
こうした記憶の仕組みは学習能力としてよく使われることではあるが、
痛みも同様の仕組みで慢性化されるとしたら恐ろしい話である。

そのことを研究した報告がある。
「痛みを伴うレーザー熱刺激に対する事象関連電位に及ぼす意味のあるプライミングの影響;The influence of semantic priming on event-related potentials to painful laser-heat stimuli in humans.」
「痛みに関連した意味のある事象や刺激は、痛みの記憶と処理を支えるニュウーラルネットワークを前もって活性化するかもしれないと示唆している。痛みに関連した意味のある事象の処理は、後続の痛みを伴うレーザー刺激の処理に関与する皮質細胞集合体を前もって活性化するように思われる」

だからこそ痛み症状に注意を集中するのは、いいことではない。
というより悪影響を及ぼしやすい。
そして多くの場合、その効果は無意識的である。
さらには長時間、長い年月にわたり影響が持続するという。
記憶に障害を受けた者にも、無意識的なプライミングによる影響は続くのである。
「プライミング効果」とは、おもしろい反面、恐い現象でもある。
だからこそ痛みは「脳に記憶される前に早急に取り除かなければならない」ということになる。

そして長引く痛みを抱える患者さんは、痛み症状に注意を集中しないようにしなければならない。
長引く痛みの罠に嵌るからである。

[PR]
by m_chiro | 2018-04-12 10:39 | 痛み学NOTE | Trackback | Comments(0)



守屋カイロプラクティック・オフィスのブログです
外部リンク
カテゴリ
以前の記事
お気に入りブログ
最新のコメント
最新のトラックバック
ほとんどがMPSなんだけ..
from 心療整形外科
月経が再開した
from 心療整形外科
TPは痛みの現場ですらな..
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
脊椎麻酔後頭痛について
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
起立性頭痛
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
「5%の中に本当の椎間板..
from 心療整形外科
髄液循環系と揺らしメモ
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
医師はユニコーン(架空の..
from 心療整形外科
末梢神経の周膜と上膜にも..
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
また勉強になりました。
from 漢のブログ
ライフログ
検索
タグ