「世界一辛いトウガラシで激しい頭痛、脳動脈に異常も」
「思い当たることもないのに...」と言いながら痛みを訴える患者さんには、前夜にの食事の内容を聴きとると思わぬ関連に突き当たることがある。
例えば、食べすぎなどで内臓膜に緊張をもたらすと、膜系の連鎖から関連痛の誘因になることも臨床ではよく経験するところだ。
あるいは「そう言えば、前の晩に韓国鍋の激辛料理を食べた...」とか、激辛食を食べ過ぎても痛みの誘因となる。
下記の記事はBMJ症例報告からの内容である。
世界一辛いトウガラシ「キャロライナ・リーバー」を食べて可逆性の脳血管攣縮症候群による雷鳴頭痛を警告したものである。
世界一辛くなくてもカプサイシンが誘因となる関連痛にも気をつけたいものである。

「世界一辛いトウガラシ(キャロライナ・リーバー)で激しい頭痛、脳動脈に異常も」An unusul cause of thunderclap headache after eating the hottest pepper in the world-"The Carolina Reaper"


トウガラシを食べると救急科を受診しなければならないレベルの激しい頭痛が起こる可能性があることを、覚えておいた方が良いかもしれない

トウガラシを食べるコンテストに参加した男性が、世界で最も辛いとされている種類のトウガラシを食べた後に「雷鳴頭痛」と呼ばれる激しい頭痛に苦しんだとする報告書が「BMJ Case Reports49日オンライン版に掲載された。


CT検査では脳動脈の一部の攣縮が認められ、男性は可逆性脳血管攣縮症候群(RCSVと診断されたという。

報告書を執筆した米バセット・メディカルセンターのEdward Bischof氏らによると、この男性は34歳。

ニューヨーク州で開かれたトウガラシを食べるコンテストで、世界で最も辛いトウガラシとされる「キャロライナ・リーパー」という種類のトウガラシを食べたという。

その直後に男性は吐き気を催し、さらに数日間にわたって激しい首の痛みと頭痛が数秒間持続する症状が繰り返しみられた。


男性は救急科を受診し、さまざまな神経症状の検査を受けたが、異常はなかった。

しかし、CT検査で脳動脈の一部の攣縮が認められ、RCVSによる雷鳴頭痛と診断された。

その後、この男性の症状は自然消失し、5週間後のCT検査では脳動脈が正常に戻っていたという。


RCVSには必ずしも明確な原因があるわけではないが、特定の処方薬や違法ドラッグに反応して発症する場合がある。

Bischof氏らによれば、トウガラシの摂取によるRCVS発症例の報告はこれまでなかったが、以前からカイエンペッパーの摂取が冠動脈の攣縮や急性心筋梗塞と関連していることが報告されている。


今回の症例報告について、米ノースウェル・ヘルス頭痛センター所長のNoah Rosen氏は「可逆的だが危険な脳動脈の攣縮に抗うつ薬や精神刺激薬、マリファナが関連することは分かっていたが、今回の報告からカプサイシンも関連する可能性が示された」と説明。

その上で「治療は対症療法しかないため、問題を起こしうるこれらの物質の摂取を避けるしかない。したがって、世界一辛いトウガラシを食べようとしているなら、それは考え直した方が良い」と話している。



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# by m_chiro | 2018-04-26 22:43 | 学術記事 | Trackback | Comments(2)
朝型の人と夜型の人、どちらが長生きする?

朝型の人と夜型の人、どちらが長生きする?
英43万人超を6.5年追跡調査の結果

Associations between chronotype, morbidity and mortality in the UK Biobank cohort


早寝早起きが苦にならない朝型の人と比べ、宵っ張りで朝寝坊の夜型の人は短命に終わる可能性が高いことを示唆する研究結果が「Chronobiology International」4月11日オンライン版に発表された。

日中の活動や睡眠のリズムの傾向が夜型の人では、朝型の人と比べて早期死亡リスクが10%高いことが分かったという。この研究は、米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部神経学准教授のKristin Knutson氏らが実施したもの。
英国の大規模なコホート研究であるUK Biobankに参加した38~73歳の男女43万3,268人を対象に平均6.5年追跡し、夜型タイプの人と全死亡リスクとの関連について検討した。
日中の活動や睡眠リズムについて、質問票を用いた調査データに基づき
①「完全な朝型」(対象者に占める割合27%)
②「どちらかといえば朝型」(同35%)

③「どちらかといえば夜型」(同28%)

④「完全な夜型」(同9%)
以上の4つのタイプに分類した。年齢や性別、民族、喫煙の有無、体格指数(BMI)、睡眠時間、社会経済的状況、併存疾患で調整して解析した結果、完全な朝型と比べて完全な夜型では全死亡リスクが10%高いことが分かった。
また、完全な夜型では健康上の問題を抱えるリスクも高く、
完全な朝型と比べて精神障害リスクは1.94倍、糖尿病リスクは1.30倍、神経障害リスクは1.25倍、胃腸/腹部疾患リスクは1.23倍、呼吸器疾患リスクは1.22倍であることも明らかになった。今回の研究は関連が認められたに過ぎず、朝型の人に比べて夜型の人の健康状態が悪い理由も明らかにされていない。

Knutson氏は「夜遅くまで起きていると、飲酒や喫煙、間食、ドラッグの使用といった不健康な行動に及ぶ機会が多くなる可能性が考えられる」と指摘。
また、「夜型の人は体内時計が朝型の社会生活に適合しないため、長期的にさまざまな問題につながってしまうのかもしれない」との見方を示している。なお、米マウントサイナイ・ヘルスシステムのAndrew Varga氏は「体内時計と社会生活を送るための行動とのずれによって健康が悪化するという考え方は、日中に睡眠を取り、夜間に働くことが多いシフト勤務者で死亡リスクや心血管疾患リスクなどのさまざまな健康リスクが高いことを示したこれまでの研究でも支持されるものだ」と指摘。

「食事や睡眠のタイミングはインスリンの分泌量に影響し、糖尿病リスクを高めることが報告されているなど、生体リズムはさまざまな機序で健康状態を左右する」と説明している。では、夜型の人はどのような対策を取ればよいのだろうか。
Knutson氏は、徐々に就床時間を早め、朝型の生活リズムに合わせるようにすることを勧めている。
この際、毎晩少しずつ早めることが重要で、「いきなり通常よりも2~3時間早く寝ようとしても成功しない」としている。
また、シフト勤務などで夜型の生活を送らざるを得ない場合には、健康的な食事や運動、十分な睡眠時間の確保などを心掛けることで、健康上の問題をある程度は回避できる可能性があると助言している。

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# by m_chiro | 2018-04-25 22:17 | 雑記 | Trackback | Comments(4)
寒空に桜咲く!
今年の冬は長く寒い日が続いて、春がとても待ち遠しかった。
それでも桜は寒空の中、けなげに芽吹いて花をつけた。
寒くて花見どころではないなぁ~、と思っていたら急に夏日の模様。
気温が一気に10度以上あがって、桜も一気に開花した。
かと思ったら、もう散り始めた。
鳥海山麓八幡方面は見ごろらしい、というので出向く。
今年もどうにか桜見物ができて、やっと私の心にも春が....。
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# by m_chiro | 2018-04-24 10:52 | 庄内の記 | Trackback | Comments(4)
「痛み学」NOTE80. 長引く痛みの連想ゲーム(プライミング効果)
「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです。
「痛み学」NOTE80.
長引く痛みの連想ゲーム(プライミング効果)


「痛みは死よりも恐ろしい」とは、シュバイツァー博士が遺した言葉である。
それほど恐ろしい「痛み」も、永いあいだ医療の治療対象とされてはいなかった。
痛みは「疾患」ではなく「症状」だというわけだろう。痛みの治療は疾患に付随するものだというわけだ。
確かに痛みで死んだという話は聞かない。

それでも、長引く痛みは精神心理・情動面にも多大な悪影響をおよぼすことがある。
それだけではない。運動器の慢性痛は身体機能的にも悪影響をもたらす。
そのために社会生活にも支障がおこる。だから職を失うことにもなりかねない。
学生だったら休学せざるを得ない状況に追い込まれ、中には退学という事態になるかもしれない。
それは精神心理的にも相当な苦痛であろうことは想像に難くないだろう。
近年では、「痛み」そのものが治療の対象にされるようになっている。
なぜ状況が変わったのかといえば、痛みや脳の研究が発展して、「痛みは脳に記憶される」ということがわかってきたからである。
研究に拍車をかけたのは、運動器慢性痛患者の多さに注目が集まったことも社会的背景としてあるだろう。

痛みの評価法にNRSスコア、VASスコアがある。
痛みを1~10まで数値で自己申告する方法である。
最悪の痛みを「10」とすれば、現在の痛みはどれくらいか、という自己評価でもある。
しかしながら、疼痛スコアをたびたび患者さんに問うことは逆効果にもなりかねない。
それも記憶と密接な関係があるからだ。
それを「プライミング効果」と呼ぶらしい。

プライミング効果とは、例えば「A」という事象があったとする。
個人にとって最も重要・重大な関心事に関わる事象である。
この場合は、痛みやそれに関わるさまざまな事象や刺激のことである。
すると、ターゲットである「脳」に記憶が固定される。連想ゲームのようなものだろう。
プライムな事象は、その人の脳に痛みを連想させてしまい、逆に痛みを増強し、痛みを引き出しやすくするというわけである。
こうした記憶の仕組みは学習能力としてよく使われることではあるが、
痛みも同様の仕組みで慢性化されるとしたら恐ろしい話である。

そのことを研究した報告がある。
「痛みを伴うレーザー熱刺激に対する事象関連電位に及ぼす意味のあるプライミングの影響;The influence of semantic priming on event-related potentials to painful laser-heat stimuli in humans.」
「痛みに関連した意味のある事象や刺激は、痛みの記憶と処理を支えるニュウーラルネットワークを前もって活性化するかもしれないと示唆している。痛みに関連した意味のある事象の処理は、後続の痛みを伴うレーザー刺激の処理に関与する皮質細胞集合体を前もって活性化するように思われる」

だからこそ痛み症状に注意を集中するのは、いいことではない。
というより悪影響を及ぼしやすい。
そして多くの場合、その効果は無意識的である。
さらには長時間、長い年月にわたり影響が持続するという。
記憶に障害を受けた者にも、無意識的なプライミングによる影響は続くのである。
「プライミング効果」とは、おもしろい反面、恐い現象でもある。
だからこそ痛みは「脳に記憶される前に早急に取り除かなければならない」ということになる。

そして長引く痛みを抱える患者さんは、痛み症状に注意を集中しないようにしなければならない。
長引く痛みの罠に嵌るからである。

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# by m_chiro | 2018-04-12 10:39 | 痛み学NOTE | Trackback | Comments(0)
「坐骨神経痛、詐病サギ師の筋」と言うけれど...

2か月前に右腰臀部から痺れを伴った下肢痛になった男性。
ペインクリニックを受診する。
「坐骨神経痛です」と言われて、硬膜外ブロック注射を受ける。
2時間が経過してやっと立つことができたが、症状は変わらない。
1週間後に再び硬膜外ブロック注射を受ける。
それでも症状に変化はない。
さらに1週間後に、今度は「神経根ブロック」注射を受ける。
今度は、立っているのも辛くなった。悪化する一方だった。

仕事も休まざるを得なくなって、それで今度は当院にみえた。

右の中小殿筋、梨状筋にトリガーポイントがある。ジャンプ兆候である。
仰臥位でも腰下肢痛が出て、仰臥位ができない、という。
それで小殿筋ストレッチをかけて軽度の牽引を行った。
仰臥位で両下肢を左側屈にして足首を把持し、右下肢を外旋位で内転牽引を行った。
「あ~、気持ちいい! 痛くない! なんで?..」
おそらく「小殿筋」のトリガーポイントからの関連痛であろう。
でも、小殿筋単体ではなさそうである。「あぐら姿勢」を取らせると再現されるところをみると、中殿筋、梨状筋もからんでいそうだ。
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中小殿筋は「坐骨神経痛」の「詐病・サギ師の筋」と言われている。

いわゆゆる「嘘つき」の筋肉ということだ。

類似の症状を出して、その病態に成りすます、あたかも「サギ師」の筋だというわけである。

こうした「嘘つき」の筋は、徒手療法の臨床現場でもよくみられる「筋筋膜性疼痛症候群(MPS)」の関連痛である。

痛み症状の部位が必ずしも原発部位ではなく、、傷害部位から離れて発症する。

発症部位イコール原発部位ではないのである。

痛みは嘘をつくことがあるから厄介なことになる。

とは言っても、筋自体はその機能生理にしたがって関連痛を引き出しているわけで、「嘘つき」呼ばわりは臨床家の勝手な言い分に過ぎないのだろう。

だかこそ、病態の見極めが肝要になる。


帰りには、痛まずに歩けるようになったが、小殿筋が収縮する動作で再現される。

痛みが起こった時の対処法を教えて、中小殿筋と梨状筋のストレッチを在宅で行うように指導した。


それから4回の治療を行った。今では仕事に復帰している。

今度は長時間歩行ができるように、取り組んでいる。



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# by m_chiro | 2018-04-06 18:39 | 症例 | Trackback | Comments(0)



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