ワンダイエル扁桃リンパ輪と「細胞内感染」
ワンダイエル扁桃リンパ輪

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哺乳類の咽喉部にはワンダイエル扁桃リンパ輪と呼ばれる白血球造血巣があって、鼻や口から入ってくる病原菌を識別し、これを消化する白血球(マクロファージやインムノグロブリンA)が活性化する免疫機構がつくられています。
(西原克成著「赤ちゃんの生命の決まり」199頁)


我々の口や鼻は外界からの侵入ゲートになっています。
ヒト以外の哺乳類は、鼻で呼吸運動を、食物は口から取り込んでいます。
ところがヒトは(正確には一歳以後のヒト)、鼻呼吸も口呼吸もできる特異性を持っている、と西原先生は書いています。
つまり、他の哺乳動物は鼻でしか呼吸が出来ず、口でしか食べられない、という役割分担がキチンとできているのだそうです。

口で呼吸をし、口で食物を摂るということは、空気中の黴菌や花粉なども、また食物中の黴菌もフリーパスで肺に侵入することにななります。

でも、口からの侵入孔には口蓋扁桃と舌扁桃がバリアを作っているはずなのです。
ところが、口での呼吸が通常的に行われると、これらの扁桃は乾燥して活動を停止せざるを得ない状態に陥ってしまうのです。したがって、バリアであるはずの領域は、感染の発生源に様変わりしてしまいす。

それでも、鼻の咽頭や小咽頭、耳管扁桃などの扁桃域がある、と安心は出来ません。鼻呼吸は使われていないために「用不用の法則」に従って、その活動は著しく低下するか、活動停止状態になる、と西原先生は述べています。また耳管扁桃で感染を起こすと、耳鳴り、めまい、難聴の原因になると警告しています。

こうした感染経路で、常在菌やバクテリア類に感染するのが「細胞内感染」で、西原学説の眼目となる考え方でしょう。

「細胞内感染」なんて初めて聞きましたが、細胞のエネルギー産出システムから考えると面白い仮説です。3000倍位の顕微鏡で血液を観察すると、その状態を見ることができるそうです。

神経は脳と筋肉をリンクするシステムです。筋肉がなければ、神経なんてそんな大した意味を持ちません。そう考えると、筋肉のエネルギー・システムは押さえどころでしょうね。
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# by m_chiro | 2007-12-15 00:18 | Trackback | Comments(2)
筋肉のエネルギー危機?
ヒトのエネルギー問題は「呼吸」を抜きには語れない。
呼吸には「外呼吸」と「内呼吸」がある。
ヒトは、酸素を吸って炭酸ガスを排泄する。これが肺で行う「外呼吸」だ。このとき取り込まれた「酸素」は、細胞内の小器官である「ミトコンドリア」がエネルギー代謝に使っている。すなわち「内呼吸」である。

ヒトは約60兆個の細胞で成り立っていると言われているから、ミトコンドリアの数はそれどころではない。ミトコンドリアは約18億年も前に大型の真核生物に寄生した、好気性の原核生物・バクテリアである。つまり「細胞内生命体」だ。
この「細胞内生命体」が、ヒトのエネルギー問題の鍵を握っている。

さて、その「内呼吸」は、3つの回路で成り立っている。
一つは「解糖系;嫌気的解糖系;エムデン・マイヤーホフ経路」である。
酸素を使わずにグリコーゲンを乳酸に変え、乳酸は再び肝臓でグリコーゲンになる。
これはほとんど全ての生物が行う原始的な代謝系で、糖を分解してピルビン酸とグルコースに異化する。

解糖系で分解されたピルビン酸を、完全に水と二酸化炭素に分解するサイクル(TCA回路;クエンサン回路;クレブス回路とも呼ぶ)が、2つめの回路である。このTCAサイクルが回ることで、高エネルギー物質ATP(アデノシン三リン酸)が作られる。ATPは、体温エネルギーを生み、筋肉運動エネルギーを供給し、エネルギー伝達の媒介をしたりして働く。エネルギーの通貨である。これが「電子伝達系」という3つめの回路である。

過剰な運動などによって、TCA回路で処理しきれないピルビン酸が生成されると、乳酸に変換されるため、結果的に血中乳酸濃度が上昇する。こうした筋繊維への乳酸の蓄積が運動後の筋肉痛の原因である、と長い間信じられてきた。
だが、近年になって筋繊維への微細な損傷が筋肉痛の主な原因である、という考え方が主流となってきた。
痛みは、筋線維の微細な損傷にあるらしい。
乳酸説はあえなく敗退してしまった。

では、思い当たることもないのに、例えば線維筋痛症のように広範囲に痛むのはなぜ? 
身体中のあちこちで筋線維の微細な損傷が頻発する、と言うのだろうか?
仮に、百歩譲って微細損傷だとしても、なぜそんなに頻発するのだろう?
これは身体における最大の臓器である「筋肉」が、エネルギー危機の状態にあるのではないか? そして、このエネルギー危機の鍵を握るのは、ミトコンドリアにあるのではないのだろうか。そんなことを思う。

数年前のことになる。業界の教養講座を企画担当した私は、当時、手にした西原克成先生の著「重力が進化させた」に興味を持った。その頃から愛読していた三木成夫先生の解剖学的知見が随所に引用されていたからである。どうも西原先生は東大での三木先生の同門らしい。読み進めていくうちに、その大胆な仮説に引き付けられた。進化論の仮説や難病・免疫病の仮説には強引な印象が残ったが、それを差し引いても面白い。そんなわけで西原先生をお招きし、講義を受けた。
以来、西原学説は学びの対象でもある。「免疫・生命の渦」や「赤ちゃんの生命のきまり」などもお勧めである。
今後は、その西原学説も取り上げながら、痛みや免疫病のことを考えていきたい。
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# by m_chiro | 2007-12-14 00:07 | Trackback | Comments(1)
目から鱗の「ニ軸動作」
京都大学の小田伸午教授のレクチャーを受けた。
テーマは、「常歩(なみあし)式・身体動作上達法」で、身体動作の基本となる「二軸動作」を学んだ。例えば、歩行での中心軸による「一直線歩行」と、二軸による「二直線歩行」が基本形となる。散歩が日課の私には、目から鱗の身体動作法だった。

常歩による二軸の走歩行とは、どんな動作か。端的にいえば、一直線走歩行でのロスを取り除いた走歩行ということだろう。
二軸理論による走歩行は、二直線走歩行が基本である。
一直線走歩行は、骨盤と肩を左右交互にねじりながら足をクロスに動かす。ところが、二直線走歩行は、骨盤の幅を保持したままそれぞれの足を直線的に運ぶ方法と言える。
 
基本的には、それぞれの足が二直線上を進むことによって、体幹が捻られず足がターンオーバーする。しかし、二直線上を進むだけでは合理的な走歩行にはらない。

重要なのは骨盤の動きで、一直線走歩行での脚と骨盤の動く方向を思い出してほしい。脚と同側の骨盤はほぼ同方向に動く。右足が前方に振り出され、左足が着地している間は骨盤の左側(左腰)が後方に動く。

ところが、二軸理論での走歩行では骨盤の動きが違ってくる。例えば、左足が着地し右足が振り出されるときには骨盤(左腰)も後方に動くが、接地期の途中から骨盤(左腰)が前方へ動く。着地足側の骨盤(腰)が途中から前方へ動く(あるいは前方へ動く力が加わる)。この骨盤の動きによって、着地した足が地面を離れた後のターンオーバーが可能になる。

それでも、この骨盤の動きも意識してできるものではない。骨盤の動きを気にしていたら歩くことはできない。
ということで、泥棒の抜き足差し足の歩きを真似ていると上手く行きそう。

歩き始めの頃は、この基本形である「二軸歩行」がみられる。

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「スポーツ選手なら知っておきたいからだのこと」(大修館書店)より

いつから、中心軸による捻じれの歩行がはじまったのだろう。
おそらく、小学校へ入学後、行進の練習が行われるようになると、この一軸歩行が強制されて出来上がったのかもしれない。

ある週刊誌に見開きの広告を見つけた。広告主は、偽装で話題になった「赤福」である。話題に上る前の広告だった。その広告の写真は、小学校の運動会での走行の様子が大きく掲載されていて、私の目を引いた。典型的な一軸走行と二軸走行が、まるで対照見本のように映し出されていた。


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こんなに典型的に違った身体動作が行われているんことを再認識。合理的な身体動作を身につけたいものです。

詳しくは、小田伸午先生のHP、「常足秘宝館」へ。
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# by m_chiro | 2007-12-11 00:50 | 雑記 | Trackback | Comments(9)
痛み学NOTE⑥ TMSも痛風も「侵害受容性疼痛」である
「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです。

⑥ TMSも痛風も「侵害受容性疼痛」である

実際のところ、痛みを生理学の視点から捉えることに意識が向くようになったきっかけは、J.E.Sarno,M.D.の「TMS理論:Tension Myosits Syndrome(緊張性筋炎症候群)」である。それも10年来続いた私の腰痛が極限に至り、ほぼ1ヶ月も寝込んだことが痛みを考え直す契機となった。

Sarnoは、「Mind Over Back Pain:背腰痛を支配する心」というTMSに関する著書を1984年に発表し、1991年には「Healing Back Pain:The Mind-Body Connection」を発刊してベストセラーになった。それだけでなく、アメリカでは30万人以上の腰痛患者が、指一本触れることなくTMS理論を受け入れることで治った、と話題にもなった。私もTMS理論をカイロ業界などの雑誌に書き、講演等で紹介したこともある。

TMS理論とは「心の緊張が痛みをつくる」ことを生理学的に仮説したものである。では、TMSは一体「痛みのカテゴリー」のどこに分類されるべきものなのだろうか。よもや、「心因性疼痛」とは考えてほしくない。TMSはまぎれもなく「侵害受容性疼痛」なのである。

私たちはどのようにして痛みを感じるのだろう。簡単に言えば、身体に無数に存在する痛覚受容器が、機械的刺激あるいは熱、あるいは化学的刺激によって侵害されることで興奮し、その信号が脳に送られて「痛み」として認知されるということになる。これが「侵害受容性疼痛」である。

TMSの場合は、交感神経系の緊張によって細動脈が収縮し、酸欠状態となって痛み物質を誘発する。それが受容器を侵害し圧痛点をつくる。したがってTMSは侵害受容性疼痛であり、徒手療法にもよく反応するのである。そんなわけで、痛みには心理・社会的側面からのフォローが不可欠とされている。

「心身症」とされる疾患にも、痛み症状を持つ疾患名が見受けられる。日本心身医学会の定義によれば、心身症とは、その発症や経過に心理・社会的要因が密接に関係するもので、器質的あるいは機能的障害が認められる病態である。

例えば、「痛風」も強い痛みを訴える整形外科領域の心身症とされている。痛風は身体の中に尿酸がたまる病気で、尿酸値の基準が最も有力な診断の手がかりであるが、尿酸は単なる暴飲暴食が誘因とは限らない。腎臓障害とそれに関連する循環器の疾患も内包していたりする。また、尿酸の排泄を抑制する作用を持つ投薬が行われていても発症する。それでも痛風が心身症とされるのは、身体的・精神的ストレスによっても尿酸が誘発されるからである。その痛みも、痛みの分類にしたがえば、尿酸による「侵害受容性疼痛」に他ならない。
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# by m_chiro | 2007-12-08 22:41 | 痛み学NOTE | Trackback | Comments(2)
患者の「自助努力」を処方する治療家でありたい
構造的異常を痛みの原因にしない②
日常生活の癖が原因でいつのまにかヘルニアが生じる
ヘルニアがあっても痛くない人は筋痛(スパズム)が起きていないのです。ヘルニアのサイドと痛みのサイドが有意に一致する率が高いのであれば、体の歪みの癖(筋肉の短縮、痛みを避ける体位)と関係している可能性があります。
このあたりは研究してみるべきです。手技療法家のご意見は?


体癖傾向や習慣性姿位は、手技療法家にとってとても重要な研究課題だと思います。

こうした体癖傾向は筋肉を短縮させる、あるいは逆に筋肉の正常な収縮度を失わせることにつながりやすく、それが代償性の運動連鎖や機能連鎖を引き起こすことになると考えます。

そこに何かが引き金になって、スパズムが起こると「痛み」となる。

おそらく、痛みは最終警告なのでしょう。事前の警告が発信されているはずなのに、皮質有意の人間の脳は自分の都合で対応してしまいます。本能的な警告系の受信を無視しているか、気づかないのかもしれません。

ペットの猫や犬の生き様を観察していると、動物は自らさまざまな身体の変化に対応して自助努力をしていることに気づかされます。調子が悪いと、食事をもとらずにじっとうずくまったまま動こうともしません。回復が訪れるのを待っているかのようです。我が家のペットには、庭の土に穴を掘って、その中に身体を入れて休めていた猫もいました。回復するまで3~4日も、そんな暮らしをしていたのです。

ところが、人間は予定や仕事を優先させて、ついつい無理を重ねてしまいます。警告の受信は退化して役に立っていないか、無視されるのでしょう。

子供を叱るときでも、最初はやさしく言って注意します。それでも聞かないと、大きな声で注意します。次には、怒鳴ります。最後は「ゴツン!」です。最終警告です。
同様に、痛みには事前の警告があるものと思うのです。最終警告の「痛み」が発信される前に、その事前にも対応したいものです。

体癖傾向や習慣性姿位に注意してあげることは、患者の自助努力を促す一つの有り方でもあるでしょう。最も、それ以前になぜそのような体癖や習慣が起こるのかが問題とされなければなりませんが...。

ともかく、患者の自助努力を促すために、体癖傾向や習慣的姿位を指摘することは大切なことと考えます。身体の運動学や動態学的分析を行い、筋のトーンをみると推理できます。その推測に基づいて、必要な在宅のストレッチやエクササイズ等などを指導する。

医師が薬を処方するように、「自助努力」を処方する治療家でありたい、と思います。
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# by m_chiro | 2007-12-07 11:05 | 雑記 | Trackback | Comments(5)



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