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保健所から、治療施設の衛生検査を実施する、という案内が届いた。
ついては健康診断記録も準備するように、と書かれていた。 数年間隔で実施される調査であるが、施設の衛生環境や感染症の患者が治療従事者でないか確認するのだろう。 感染症の眼目の一つは結核(TB)かな? 先日、結核菌を抑制するビタミンDの研究を目にした。 「HealthDay News 世界の健康最前線」 “Science Translational Medicine”のオンライン版に掲載された研究である。 「(10/25)ビタミンD、免疫に重要な役割」 免疫におけるビタミンDの役割を明らかにしている。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)での研究で、ヒト型結核菌の死滅あるいは増殖を防ぐことにどんな要因が関与するのかを研究調査したものである。 今回、初めてインターフェロンγ(ガンマ)の有効な免疫反応についてビタミンD濃度との関係を明らかにしたのだそうだ。 基本的に身体には、感染と戦う能力が生得的に備わっている。 その重要な役割を演じるのが白血球・T細胞の免疫細胞である。 この能力を十分に機能させるには、ビタミンDという天然ホルモン濃度が環境条件として不可欠だと言うのである。 それは生得的な自然免疫系だけでなく、獲得された後天性免疫系でも同じらしい。 研究では、ビタミンD欠乏がなければTB菌が85%減少した、と報告している。 T細胞はインターフェロンを放出し、それが感染した細胞(マクロファージ)を活性化させTBを死滅させるカテリシジンcathelicidinなどの蛋白を産生し、この蛋白が確実に細胞内の細菌が生息する部位に直接的に送られるように作用することが判明した。 別の専門家の意見として、「皮膚色素のメラニンが、ビタミンD産生を減少させることが一因だ」だとして、「肌の色が濃い人のほうがTB菌に罹患しやすい」としていた。 化学工場としての身体では、いろんな内部環境の条件が影響するんだね。 ▲
by m_chiro
| 2011-10-31 16:18
| 雑記
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by m_chiro
| 2011-10-31 11:47
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食品安全情報blog「懐疑主義の遺産」
2011年5月30日の「Nature news」に掲載されたエルンスト教授へのインタビュー記事の内容の一部が紹介されている。 ”A legacy of skepticism”(懐疑主義の遺産)という記事内容である 世界で最初に代替医療の教授になったエルンスト(Edzard Ernst)博士が辞任することになった。 そのエルンスト教授に、Daniel Cressey記者がインタビューした内容である。 エルンスト教授はホメオパシー、鍼灸、ハーブ、マニピュレーションの代替医療を専門としてきた。ホメオパシーについては博士号を持つ。 そのエルンスト教授がインタビューで、「ホメオパシーはとても意味がないことがわかった」と語っていた。 そんなエルンスト教授の姿勢が、ホメオパシーを信頼し支援している英国王室の意にそぐわなかったのだろう。エルンスト教授の辞任をめぐっては、チャールズ皇太子から大学側への圧力があったという風聞すらあるようだ。 もしも、そのことで大学側が皇太子の意向を反映させたのだとしたら医学教育の危機でもあろう。 インタビューの中で、次のように語っている。 「科学者は批判的で懐疑的であるべきだと私は信じているので、科学を使う場合にはあなたが望んだことが正しいことを証明するためにではなく、それが正しいかどうかを調べるために使うべきだと考える」 徒手療法の現場では、摩訶不思議な身体現象によく遭遇する。 エルンスト教授の教訓を我が身に当てはめると、 「摩訶不思議な現象を証明するために科学を使うのではない。それが正しいかどうかを調べるために科学の知見を使うのだ」ということになろうか。 どっちも同じようなことではないかと思うだろうが、この紙一重の差が代替医療の世界では重要なのだ、とエルンスト教授は語っている。 菅内閣時代に「バカ+バカ=バカ」と言っていた政治家がいた。 あまりにも愚劣な考えを持つ政治家をいくら集めても、愚劣は愚劣だ、という意味だろう。 徒手療法での不思議現象を似非科学で証明しようとしても、「不思議現象+不思議科学=摩訶不思議」である。 それ以上にはならない。 「科学する者は批判的で懐疑的であれ」 この言葉も重い。 ▲
by m_chiro
| 2011-10-30 23:56
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「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです。
49. トリガーポイントはどのようにして作られるのか③ ③ TrPの電気活動と責任TrPができる仕組み 筋収縮のプロセスの中で、エネルギー危機に関わるのは前述した第1~3のステップにおいてである。 Travellは、ATPが不足(エネルギー危機)によって、過剰な筋収縮活動が持続すると考えた。 その基盤となる作用に関わるのがCaイオンとATPである。筋の外傷、微損傷、オーバーユースでも、筋小胞体からCaイオンは過剰に放出される。 筋の外傷が起こると周辺に痛覚物質が放出されるのだが、ここで問題とするのはCaイオンが過剰に放出されることによって起こる「拘縮:constracure」という現象である。拘縮では、活動電位なしで生じる持続性、非伝播性の可逆的収縮が起こる。 要するに、「拘縮」は「筋収縮」と違って、中枢神経系の介入による制御を受けない現象だということだろう。 ATPがなくなると、アクチンとミオシンは硬く結合した状態になり、引っ張っても伸びない状態が作られるのである。またATP不足は、アクチン周辺に放出されたCaイオンが筋小胞体へ取り込まれるのを阻む。だから収縮が続く。拘縮ができる。 この拘縮によって、血流が悪くなる(虚血)。痛みが出る。更にエネルギー危機が増大する。血流の障害はATP産生が減少するため永続化する。痛みの悪循環のはじまりである。 この「筋拘縮」の発展的病理こそが「索状硬結」のこととされてきたようだ。 確かに、トリガーポイントの特徴を単直に言えば「硬結」のことだろう。「索状」でもある。 しかも、電気生理学的に電気活動が計測されないのだそうで、電気的興奮による筋収縮とは違うことになる。だから「筋拘縮」と「索状硬結」は同類の表現である。 トリガーポイント仮説には、こうした曖昧な要素が随所にある。 だからメディカルの領域でも定着されにくいのだろう。臨床的所見が注目されているが、組織学的・生理学的研究はこれからなのだろうと思う。 ところ近年、トリガーポイントから電気活動を記録した研究が出てきた。日本では、川喜田健司先生らの率いる明治鍼灸大学・生理学教室における研究はその筆頭である。その電気活動の波形が、運動点(運動終板)で計測される波形に類似しているのだそうだ。 だからと言って、TrPが運動点だけに出来るわけではない。ここも曖昧である。 そもそも「運動終板説」が出たのは1993年で、D. R. HubbardとG. M. Berkoffの仮説とされる。筋紡錘に分布する交感神経の刺激で活動電位が発生し、反射性にシナプス内にアセチルコリンが過剰に放出される。すると筋の持続収縮が起こるのだとする仮説であるが、では圧痛のある硬結はどう説明するのだろう。 硬結部位からの電気活動は計測されても、周辺の筋組織からは計測されていない。 したがって筋紡錘での活動電位と考えたわけだが、「エネルギー危機説」と「運動終板説」の両者の欠点を補う形で、「統合仮説」が流通しているようだ。 「統合仮説」はTravellの共同研究者であるSimonsらの主張である。 実験的研究による根拠は、①トリガーポイントから計測される電気活動が終板電位に似ていること、②アセチルコリンを過剰分泌状態にすると索状硬結ができること、③運動終板では痛覚閾値が低い、ということのようだ。 ![]() 上の図は「筋骨格系の触診マニュアル」のものである。 この筋線維の拘縮は硬結のある索状になる。 これがセントラルTrPで、その部位のサルコメアは短縮している。 つまり中心に引っ張られている。 するとその前後のサルコメアは中心への引力を拡散できずに伸張される。伸張性の収縮が起こる。 この索状硬結によって、筋原線維の起始と停止にまで伸張する力が及ぶ。 この牽引力によって腱組織が障害され「付属TrP」が形成される。 また同じ筋内や他の筋肉にサテライトTrPも形成される。 これらの付属TrPは、セントラルTrPから随伴したものである。 だから、鍵を握る「責任TrP」とされるのだろう。 ▲
by m_chiro
| 2011-10-22 00:38
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「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです
48. トリガーポイントはどのようにして作られるのか② ② 古典的仮説「エネルギー危機説」 筋腹にできるトリガーポイントが、キーとなる責任トリガーポイントだとされている。 その根拠はなんだろう。 それには、提唱者であるTravell医師のトリガーポイント仮説に遡らなければならない。 Travell & Simonsによる「エネルギー危機説」とされる初期の仮説である。 図はTravellが「トリガーポイント・マニュアル」第2版に掲載されたものであるが、日本語に翻訳されてトリガーポイントに関する論文や著作によく引用されている。 ![]() 筋の収縮運動は、フィラメントの首振り滑り運動によって実現される。 この滑り運動のエネルギー源として働くのがATPであるが、ATPの不足はエネルギー危機説の重要な素因となっている。 筋肉の収縮は、運動点(神経終盤)におけるアセチルコリン(Ach)が分泌されて脱分極することにはじまる(第1ステップ)。 活動電位が横行小菅(T菅)に伝わると、T菅の両側には筋小胞体の一部が2つ接している。 その狭間に足タンパク質と呼ばれるCaチャンネルがあり、筋小胞体からCaイオンが放出される時の通り道となる。 こうしてCaイオンが放出され、筋線維が持続的に収縮することになる(第2ステップ)。 具体的には、筋節(サルコメア)を構成する太いミオシンFの双頭の分子が、細いアクチンFに放出されたCaイオンに引き寄せあられて接触し、連結橋が作られる。 この連結橋におけるミオシン双頭の首振り運動によって、アクシンFは筋節中央まで引き込まれ、収縮が維持される。 更に収縮するためには連結橋をATPが一旦壊して(第3ステップ)、再収縮させなければならない。その再収縮ために、再びCaイオンが必要となる。ATPが連結を破壊する。 この時点で、Caイオンは筋小胞体に吸収されていなければならない。この一連の反復で筋収縮が行われる。 トリガーポイントは、この3つのステップのプロセスにおける不具合で生じるということだろう。 ▲
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| 2011-10-21 08:33
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大阪大学の河田聡教授が「第8回・江崎玲於奈賞」を受賞した。
河田教授は、1992年に波長より小さい光の粒を使って極小の物を見る顕微鏡を世界で初めて開発した。この「ナノフォトニクス」という研究領域での功績が認められたものである。 大阪大学の研究紹介のHPに「エレクトロニクスからフォトニクスへ」と題して、河田教授の研究の狙いが語られている。 「研究最前線:光をナノの世界で利用する」の記事も面白い。 2004年のギネスにも載った「ミクロの牛」にも驚きである。 ひとつのピリオドの上に、ナノテクで描いた牛が30頭も横並びで乗るという。 アナログ世界の頭には、想像を絶する話である。 こうした新しい技術が開発されると、今まで分からなかったミクロの世界が覗かれる。 そして新たな科学的知見が拓かれるのだろう。 河田教授の言葉が印象的だった。 「めざすのは教授の椅子じゃない。教科書を書き換える発見をしてこそ科学者だから」 大学で助手のまま40年を過ごしたという、真の研究者の言葉である。 そう言えば、筋肉の収縮メカニズムが解明されたのも電子顕微鏡による技術が貢献している。 それまで筋肉はバネ仕掛けのように縮むというのが定説だった。 それを覆す学説が1954年の「Nature」に発表された。 「滑り説」である。それもハクスリーという同性の2人の研究者による同様の2題の論文を共同研究として発表したのだった。 この二人のハクスリーはH.ハクスリー(英)とA.F.ハクスリー(英)で、同性ではあるが縁も由もない。 A.F.ハクスレーは科学者の名門ハクスリー家(英)の後継である。数々の研究でホームランを打っているような著名な研究者で、既に1963年にノーベル生理医学賞も受賞している。 面白いことに、このA.F.ハクスレーは博士号を取得していないのだそうだ。名門ハクスリー家の人であるということが、博士号よりもステータスがあるのだろう。 「滑り説」もノーベル賞級の発見であるが、生理医学賞は同一人が複数回受賞できない規定のために受賞の対象にはならなかった。そのため共同研究者のH.ハクスリーも受賞できなかった。 H.ハクスリーの共同研究者でもあったジーン・ハンソン(英)という女性の生物学者が、電子顕微鏡で筋肉を調べるためにアメリカに渡ったのが1952年である。 この電子顕微鏡による観察が画期的な「滑り説」を生んだのだ。 この発表から30年ほど経ってから、「滑り説」が実証されたのである。 極近年の話ということになる。 筋肉には謎が多い。それも近年の研究に委ねられた新参の学問だからだろう。 「ナノフォトニクス」の出現が、こうした組織の微細な活動に光を与えてくれることを期待したものだ。 ▲
by m_chiro
| 2011-10-14 15:18
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BMJ誌に掲載された論文”Effect of caudal epidural steroid or saline injection in chronic lumbar radiculopathy: multicentre, blinded, randomised controlled trial”は、北ノルウェー大学病院のTrond Iversenらの報告である。
医学ジャーナリストの大西淳子氏が、日経メディカルに「腰部神経根障害への硬膜外ステロイド注射に利益なし-ノルウェーの多施設試験でシャム注射などと比較-」として紹介している。 この記事をbancyou先生がブログで紹介されていた。 とても興味深い内容である。 「ノルウェーの5カ所の病院の腰痛外来を05年10月から09年2月に受診した患者の中から、片側性の腰部神経根障害が12週を超えて継続している20~60歳の患者をスクリーニングし、133人を組み入れた。馬尾症候群、重症の不全麻痺、重症疼痛、脊髄注射歴または脊髄手術歴あり、NSAIDs使用中、ワルファリン使用中、BMIが30超などの患者は除外した。」と調査の対象群について述べられている。 この割り付け前に、17名は症状が改善している。したがって対象群の133名から除外されている。実質116名が対象とされた。 が、割付から1回目の治療介入までの間に症状が改善した対象が5名おり、これらはそのまま調査分析の対象に入った。 調査は3群に分けられた。 ①シャム群(Sham)、②硬膜外生食群(Epidural saline)、③硬膜外ステロイド群の3群である。 著者らは、慢性の腰部神経根障害に対して、ステロイドまたは生理食塩水を仙骨硬膜外注射する治療を行い2週間隔で2回実施している。それを、6週後、12週後、52週後の影響を調べた。 そもそも慢性の腰部神経根障害とはどのような疾患を指しているのだろう。 論文では次のように規定している。 「神経根の支配領域における感覚障害や反射障害、運動障害などを伴う腰下肢痛が12週以上持続する状態をいう」 それを一回目から6週後、12週後、52週後で更に介入した結果を報告しているのだが、原論文に掲載されている結果を、それぞれのグラフで見ると一目瞭然である。 緑色点線はSham群で、赤色点線は硬膜外生食群、青色実践は硬膜外ステロイド群のスコアを表している。 Fig 2 Mean Oswestry disability index score at follow-up ![]() このグラフは、Oswestry障害指標スコア(0~100の範囲で、0は障害なし)の結果で、100点尺度のスコアが低いほど症状の重症度も低くなる。これによると、硬膜外ステロイド(緑色の点線)の成績がやや悪いものの有意な差はない。 以下の3つのグラフは、EQLS(ヨーロピアン・クオリティライフ調査)に基づいて、QOL、100mmVASスケールのスコアを腰痛と下肢痛に設定している。 Fig 3 Mean visual analogue scale score for leg pain at follow-up ![]() Fig 4 Mean visual analogue scale score for back pain at follow-up ![]() この腰痛の結果も有意な差はない。 Fig 5 measurement of mean score for European quality of life measure ![]() この最後のグラフはヨーロピアン・クオリティライフの測定を何ども反復測定した結果である。 いずれもQOLが高まっているが、これも3群での有意な差はない。 要するに、時間的には12週以上経過した慢性腰部神経根症に対して硬膜外ステロイドは無意味だという結論である。 sham群や硬膜外生食群と比較しても有意な差がないだけでなく、むしろ悪いスコアである。 たとえ炎症が疑われても、12週以上も経過したのであれば炎症に関わる物質は代謝されている、と見るべきなのかもしれない。 この分析調査からも明らかである。 硬膜外ステロイドなどによる治療介入は愚かしい処方だ、という結論になる。 何しろShamのスコアと変わりないのだから...。 逆に言えば、プラシーボも侮れないということでしょう。 いずれにしても、慢性の腰部神経根症は発症因子を他に求めるべきである。 このことだけは間違いないようだ。 ▲
by m_chiro
| 2011-10-13 12:00
| 痛み考
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by m_chiro
| 2011-10-04 14:08
| 守屋カイロ・オフィス
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「筋骨格系の痛みのメカニズム」
加茂先生の記事の中で「Phases of Nociceptive Pain」というタイトルの動画を紹介されていた。 とても分かりやすい動画だったので、ここでも紹介しておきたい。 説明は分からなくても動画だけで十分に痛みのメカニズムがイメージできる。 この動画では、侵害刺激による痛みが5つの段階によって作動する感覚であることが解説されている。 以下に、その5段階のそれぞれの役割をまとめてみた。 1.変換(Transduction) 機械的刺激や化学物質などで生体が侵害されると、その侵害刺激を侵害受容器(nociceptor)がキャッチする。キャッチされた刺激は侵害受容器でエネルギー変換される。つまり電気信号に変わる。これが第1段階である。 2.伝導(Conduction) エネルギー変換された電気信号は、どのようにして神経細胞を伝わるのか。それは神経細胞の膜の透過性の変化に依存しているのである。膜の透過性が変化すると電位の逆転現象が起こる。このことで電気信号に変換した侵害刺激は1次ニューロンを伝わって脊髄神経節に届く。電気信号なので痛み物質は移動しない。 野球場などで、観客が立ったり座ったりの動作を繰り返していくことでウエブが起こることをイメージすると分かりやすい。 3.伝達(Transmission) 1次ニューロンは脊髄に入り、そこで2次ニューロンとシナプスする。2次ニューロンは視床より上部で高次の3次ニューロンとシナプスする。これらのシナプス間隙では伝達物質が放出される。伝達物質が放出されて、痛覚信号は更に上行伝導する。 痛み刺激が痛み感覚として認知される経路は、直行で脳に届くわけではない。シナプスによって乗り継ぎが起こなわれる。実は、この1次ニューロンと2次ニューロンにおけるシナプスの存在がとても重要で、それは5番目の段階である修飾作用(modulation)に関わってくる。これもホメオスタシスの一環なのだろう。 4.認知(Perception) 大脳皮質に伝えられた痛み信号は第Ⅰ・第Ⅱ感覚野に届き、ここで痛み感覚として認知され、我々は痛みとして感じることになる。 5.修飾(modulation) 痛み系は鎮痛系と車の両輪のように機能するシステムなのだろう。 脊髄後角で放出される伝達物質はグルタミン酸とサブスタンスPである。特に、グルタミン酸は痛みの促進や可塑性に関わってくる。 痛みを警告信号より更に強固にして心身にダメージを与えることは、ホメオスタシスにとって避けるべき戦略なのだろう。 中脳灰白質からγアミノ酸(GABA)を、延髄大逢線核からセロトニンを、青班核からノルアドレナリンを放出して脊髄後角で痛み信号を抑制するように作用する。 この下行性疼痛抑制系がうまく機能しないと、痛みは促進される。この調整システムによって痛みの信号は修飾されているのである。 もしも神経が損傷される病態がおこると、抑制物質のGABAは興奮性に働くことになる。 こうして痛み信号は修飾作用によってコントロールされながら感覚野に届けられている。 ▲
by m_chiro
| 2011-10-01 10:04
| 痛み考
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