お婆さんのように曲がって伸びなくなった腰痛
31歳の事務職の女性が、腰を40度ほど折り曲げて来院した。
10日ほど前から、わけもなく朝起きると腰が重く感じられ、徐々に痛みがひどくなった。 整形外科に受診し、X-rayでの問題はなく「筋肉のトラブルだろう」と診断され、湿布薬と鎮痛剤を処方された。 仕事を一週間ほど休み、安静にしていたら痛みもやわらいできたので、職場に復帰した。 仕事中に前屈したとき、腰に激痛が走り、再び整形外科に行き同じ処方をされる。 また仕事を休んで安静にしていたが、3日経っても快方に向かうどころか、今度は腰を全く伸ばせなくなった。 確かに腰を伸ばすことができない。 40度ほどの屈曲位にロックされた状態である。 ヒトの基本形である屈曲/伸展の障害である。 顔の歪みも気になる。頭位に圧変動が起こり、身体の伸展位も保てないのだろう。 片頭痛持ちだとも言う。生理痛、残尿感の愁訴もある。 運動分析でも、屈曲だけが可能である。 仰臥位は「脚を伸ばせないので出来ない」と言う。 膝窩にダッチマンロールを入れて下肢を屈曲位に保ち、上体を軽く起こして、とにかく仰臥位にして治療した。 頭蓋をみると、右の側頭骨、頭頂骨、泉門のリズムが失われている。 頭蓋のリズムを回復させ、併せて肋骨・横隔膜をリリースする。 更に、腸腰筋群における筋運動の立ち上がりをリリースして圧変動をみると、既にそれだけでスムーズに流れている。 起きてみるように言うと、すんなり起きることができた。 背部を診るために腹臥位を指示すると、「あっ、出来そう」と言って、うつ伏せ姿勢もすんなりクリア。 仙腸関節と腰仙関節、仙結節靭帯を調整しながら、最も反応の強い同側肺径の2ポイントと同調させた。 立ち上がらせると、腰もスッキリと伸ばせる。 頭蓋からの圧変動が、体幹の屈曲/伸展の基本運動が阻害されたケースだろう。 労働環境や日常的な習慣を聞き取り調査して、頭蓋の圧変動を起こすと思われる体癖傾向の修正を指導した。これで復帰できるでしょう。
by m_chiro
| 2008-05-15 07:36
| 症例
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