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「🅼の臨床推理日記」 ❺両肩が痛くて挙げられない

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1.問い合わせの電話


偏頭痛で来院するクライアントのご婦人から。突然の電話が入った。

うちのお爺さんが、10日も前から「肩が痛い!」、「手に力が入らない!」、「痛くて夜も眠れない!」、「首や背中の方まで痛み出した!」と言ってるんだけど.....、どうしたらいいかと思って、という相談だった。
「思い当たるきっかけもない!」らしい。

「病院に連れて行ってくれ!」というので、一週間前にA病院の整形外科に受診したという。
X-Ray、MRIでは肩関節や頸部には問題ないが、腰部に3か所の「脊柱管狭窄症」がある、とのことだった。
リリカ、モーラステープを処方されたが変化がないので再受診した。

担当の医師は「まだ、投薬して一週間しか経ってないないんだよ。もう少し続けて様子をみて!」....と。
でも、老人には一週間も痛みを我慢するのは耐えがたかったのだろう。
それで更に痛み止めが追加された。セレコキシブ・ケミファ100㎎である。
やはり痛みは引かない。
お爺さんの苦痛の声を聞くにつけ、嫁の立場として困り果ててしまっている、と言うのである。

どうしたらいいかと言われても....。担当の医師が、この処方薬で様子を見ろと言うのであれば、そうするしかないのでは....。
ところが、「今日連れて行くから、時間外でもいいから診てもらえないだろうか?」ということになった。

二人の付き添いを従えてDさん来院


老人Dさんは、お嫁さんと孫娘の二人に付き添われてお昼過ぎにやってきた。
あらためて聴き取りを行った。
「脊柱管狭窄症」は数年前から指摘されていたようである。
両下肢のシビレもある。
肩周囲の痛みは左側からはじまって、次第に右肩周辺も痛み出したたのだという。

更に、「狭心症」の既往があり、循環器科で治療中のようだ。
平成12年には、ステントが入れられている(以後、継続している治療薬も随分多い)。

もしかして、心臓からの関連痛では...。
心臓からの発作的な痛みは、横隔膜を刺激する。この心膜からの痛み信号は、更にC3~5頸椎神経根に伝達される。
この神経根支配は、頸部、胸壁、上腕部への関連痛を作りだすのだ。
ここにもファシアの介在が想定されるのだが、心臓の苦しさや痛みはないようだ。投薬で安定しているのだろう。

画像


深部腱反射をみた。
上肢の腱反射(±)
膝蓋腱反射が両側で亢進(++)
左母趾の筋力低下
上肢筋力に病的な低下はない。
筋の触診では、緊張度に左右差が顕著である。
左三角筋、烏口腕筋、肩甲挙筋、前鋸筋、小胸筋、棘上筋に抑制反応がみられる。

下肢の筋力テストの代わりに「踵歩行」と「つま先歩行」をみる。
左の踵歩行が不全である。

左肩関節可動域;外転30度、屈曲40度
右肩関節可動域;外転80度、屈曲90度(介添えで140度±)
就寝時自発痛あり。


2.誘発因子は?


🅼 「右肩周辺の筋肉が過緊張しているから、左肩の痛みをかばって使って来たんじゃないの?」
Dさん 「そう、ベッドから起き上がるにも左手に力が入らないので、右手ばかり使ってきた!」
🅼 「左肩が痛み出した頃に、どんなことをしていたかよく思い出してみて...」
Dさん 「う~ん....。一昨年に専従だった農業をやめたんだ。それから特に無理なことはしてないんだ...」
🅼 「何もしていない、なんてことはないだろう。その頃の生活を思い出してみて....」
Dさん 「え~...、農業をやめたと言っても自家菜園をしてて、収穫の終わった枝豆を畑から引き抜いて片付けたりしていたんだ。そういえば、その頃から肩が痛いようなことがあったなぁ~.....」
🅼 「ほら、きっかけがないわけじゃないんだ」

左脚には前脛骨筋の筋力低下がある。うまく爪先を上げれないようだけど。
膝蓋腱反射が亢進しているので、おそらくL2腰髄あたりが一番狭窄しているのかもしれない...。
前脛骨筋の筋低下は脊柱管狭窄症によるものだろうか、あるいは末梢性の神経根障害かもしれない。


3.ヒットした因子


それはともかく、主訴である肩の痛みの原因と思われるファシアの傾聴(❹で解説)を行った。
胃と左肺にテンションがある。
経の筋相関;外側広筋、肩甲挙筋
経の筋相関;前鋸筋、烏口腕筋、小胸筋

胃と肺のファシアリリースを行い、迷走神経系の緊張をリリースしていると、
Dさん 「なんか気持ちが良くて、眠くなって来た.....」
🅼 「いくら眠っててもいいよ...、永眠されたら困るけど...」(付き添いさんたち、大爆笑)

更に、左三角筋前部と棘上筋、肩甲挙筋にアプローチして、肩を動かしてもらう。
Dさん 「あっ!あげれる!!」(付添いさんたちも「上がるじゃない!よかったね..」と拍手!!)

まだ、右肩に比べて、僅かに左肩の上りが弱い。
左屈曲150度、右屈曲160度
随分改善した。


4.推理推論


随分と胃に緊張があった。ファシア繋がりで肺経の筋相関を疑う。
ファシアがリリースされると、左の関連筋の抑制反応も消えた。

🅼 「胃の膜系が緊張しているようだけど、夏の暑さで冷たい飲み物を摂り過ぎたかな?」
お嫁さん 「お爺ちゃんは、缶コーヒーそれもうんと冷たいのを毎日欠かさず何本も飲むんですよ!」
🅼 「それは良くないなぁ~! 今日から冷たい飲み物禁止!! 白湯にしなさい。そんなに胃に緊張を作ると肩に影響するから...」
Dさん 「はい、わかった....。後はどうしたらいいだろう?」
🅼 「今は肩を動かせるようになってるから、両肩を、このようにして均等にぶんまわし運動をしなさい。それで様子を見て、動かせるようになったらそれでいいし、また動かせなくなったら電話して...」

https://note.com/mco_210110_tom/n/n0274c8a27fcd)



by m_chiro | 2022-10-13 15:24 | 守屋カイロ・オフィス
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