「私の身体は、いったいどうなってしまったのでしょう?」
20代後半になって、身体が右側に傾きはじめた女性。
次第に歩行もままならなくなって、整形外科に受診する。
診断は「脊椎側湾症」だった。
腰痛や肩甲骨間部痛、偏頭痛、後頭部痛も顕著になって行った。
痛みは「側弯症」と無関係とされ、鎮痛剤と筋緩和剤が処方されたが、一向に改善する兆しがみえてこなかった。
神経内科でも異常なし、とされている。
不安が募り、あちこちの医療機関を回っているうちに、精神的にも不安定になり、不眠症にもなった。
やがて神経科、心療内科も受診することになったのだった。

診察すると、身体的な歪みはあっても構造的な側弯の徴候はみられない。
徒手検査チェックから、以下の問題に対応することにした。
1)脳神経4;滑車神経
2)星状神経節;T2
3)上腸間膜神経節;T11
4)下腸間膜神経節;T12、L2
5)翼口蓋神経節
6)顎下神経節
7)迷走神経
8)硬膜管リージョン;S4、尾骨-C7、L3
9)蝶形-後頭骨-上顎骨連鎖

遠方からの来院なので月に1~2回の治療期間になったが、2回目に来院したときには「歩きやすくなった」と述べている。
2回目の治療でも、翼口蓋神経節、顎下神経節、滑車神経節(左上斜筋+)のチェックで引っかかった。
いつもマスクを着用しているので顎の変位を見落とした。
歯の問題を聞いてみたところ、数年前から歯に隙間できて噛み合わせがおかしい、と告白したので顎関節チェックを行う。
TMJ問題
1)オープンマウス(+)
2)下顎の左側方移動(+)

症状は医療のたびに安定していったが、まだ長時間の歩行で歪みが起こる。
さらに歯科医師での治療を併用するように勧める(治療終了まで3カ月を要した)。

今年の2月にみえたときには、歯の治療が終了していた。
顎機能が安定したら、また状態がよくなっていた。
これまで、のべ10回の治療を継続したことになる。
10回目の治療後に、いろいろ訪ね歩いた治療が功を奏しなかったこと。
原因不明とされ、先天的なものとまで言われて長い間かけていた不安だったことなど。
諸々話しながら、その不安な気持ちを抱えて遠方の私のところまで治療にきたわけである。
それでも治療するたびによくなっていったので、本当に良かったと言っていただいたことが大きな励みになった。

姿勢制御系に顎機能の問題は重要である。解決しない問題には、何かきっかけが必要である。
それが顎機能問題だったりすることもあるわけで、それを実感させられた症例だった。

徒手医学会でお世話になっている歯科医師・幸田秀樹先生は、顎機能と姿勢制御の問題に真っ向から取り組んでおられる。
たびたび学会でもご高説を拝聴したし、セミナーでも貴重な学びをいただいた。
参考文献も紹介いただいてきたことが、この症例にも活かされた。
幸田先生にお目にかかった折に、ご報告しておきたい。

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by m_chiro | 2018-02-19 16:43 | 症例 | Trackback | Comments(0)
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