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膜系治療の手控録❶
膜系治療概観

膜系に対する治療が徒手療法に関わる人たちの意識にあがってきたのは、80年代後半の頃からではないかと思える。
最初は筋筋膜への関心から拡がったのではないだろうか。
それはJ.トラベルMDがトリガーポイントの概念を刊行(1983)した書籍「筋筋膜痛と機能障害-トリガーポイントマニュアル」が火をつけたのだろう。

もちろん、それより大分前から(1952)、トラベルMDはトリガーポイントの概念を発表していたわけであるが、同じ時期にカイロプラクターのニモDCも同様の考え(NGP;侵害生成点)で活動していた。

トリガーポイントの概念は、膜系治療を大きく発展させた引き金でもあったのだと思える。
カイロプラクティックやオステオパシーには「コアリンク」という概念もあり、それは硬膜管という脊柱の裏張りとなる組織への対応でもあった。

臨床に関わる人たちは脊柱の関節機能にばかり関心が向き、脊柱の動きを裏側からコントロールしている硬膜管とその関連靭帯が長年無視されてきている、と嘆く解剖学者もいる。

さらにそこから硬膜管の延長としての頭蓋膜系、あるいは硬膜管の両端に当たる仙骨-後頭骨への対応として「SOT(仙骨-後頭骨療法」という手法が生まれた。
また蝶形骨-後頭骨-上顎骨-ヒールテンションという膜系の連鎖への手法も生み出された。
それらの多くは身体のコアな縦軸に相当する硬膜系への対応である。

身体の横軸に対する見解は小脳テント、胸郭膜、横隔膜、骨盤隔膜の組織であり、硬膜管を側面から安定させている膜系組織にも注意が向くようになった。

やがて内臓マニピュレーションという手法が汎用されるようになるが、この手法にも大きく分けて2つの方法論があるようだ。

モビリゼーションを多用する手法と、腹腔をひとつの風船と捉えて腹腔表面の膜系のテンションを変化させながら内部の力学的変化を促す、といった手法である。

内臓マニピュレーションは、どちらかというと他動的に個々の内臓への動的なモビリゼーションである。
それでも、目的は内臓膜・腸間膜の緊張を調整し、循環を促すことにあり、内臓そのものというよりは内臓膜のテンションを調整することにあるのだろう。
だから、内臓マニピュレーションの技法も膜系治療に入れていいのだろうと思う。

もちろん最初に触れた筋筋膜への手法も膜系治療に入る。

そして最後に、「中心腱」という概念をあげておきたい。
これは身体表面にある浅筋膜層と深筋膜層に位置する筋膜の紐とされているようだ。
私はベクトルという視点で捉えているので、中心腱の概念については、また別の機会に触れることにしたい。
by m_chiro | 2017-11-30 16:53 | 膜系連鎖
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