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「神経学」覚書1.神経系のネットワークには眼が眩みそうだ
1. 神経系のネットワークには眼が眩みそうだ

神経系は大きく2つに分けられている。
それは「中枢神経系」と「末梢神経系」と呼ばれていて、末梢神経系は身体の組織に存在する受容器(感覚器)と効果器(筋肉や腺)に接続されている。

そして、これらは中枢神経系を介して相互に情報交換し、そのことによって身体の変化や環境の変化に対応する「叡智」を産み出しているのだ。
カイロプラクティックでは、この叡智のことを「イネイト・インテリジェンス」と表現していて、この偉大な働きを見据えて理論構築がされている。
一般的には「自然治癒力」と表現されるかもしれないが、「イネイト・インテリジェンス」には情や意といった哲学的な意味合いも包括的に織り込まれているように思える。

その働きを全うする手段は、神経細胞が行う「興奮」と「抑制」という電気信号を使った伝達方法に依存している。
カイロプラクティック的に言えば、神経の「トーン」、つまりその過不足ということになる。
これも身体への物理的刺激に留まらない。
言語も含めてヒトの神経活動を捉え直すべきなのだろう。

単純な神経系では、この「受容器」と「効果器」の間に一つの神経細胞が介在する。
ところが、おもしろいことに介在する神経細胞の数が増えてくると、神経細胞は集積して一塊になる傾向があり、それが中枢神経系として発達したとされる。

その中枢神経系である脳は、単なる興奮性の伝達経路として存在しているわけではない。
受容器から送られてきた情報を記憶したり、書き換えたり、整理したり、それらの情報を照合することで情報に応答する新たな興奮を作り出している。

例えば、痛みは侵害刺激を感受した受容器が、それを電気信号に変えて大脳皮質の感覚野に投射されて、どこの部位が痛みを感じているかを知る。
ところが、末梢の受容器から脳の感覚野における対応部位に、単純に情報が伝達されているわけではない。
痛みに関連する脳領域の広範囲に情報が伝えられているのだ。
それはまるで我々が日常的に使うE-mailで、同時に数カ所にC.C.-mailが送られるようなシステムになっている。

視覚系などは、もっと複雑である。
見ることはカメラで写真を撮るように単純なものと思いがちだが、そうは問屋が卸さない。
「神経学」覚書1.神経系のネットワークには眼が眩みそうだ_c0113928_973166.gif
このダイアグラムDavid Van Essen教授(ワシントン大学、解剖学・神経生物学・学部長)が猿の視覚経路を表現したものであるが、眼が眩みそうな経路である。
しかも平面ではなく階層的なネットワークで構成されている。
ヒトでは更に複雑だろう。

人間の脳は、約1,000億個の神経細胞からなっていて、その一つ一つのニューロンが更に千個から一万個のシナプスを持って情報交換し、あるいは情報を共有していることになる。
何と厖大なシステムなんだろう。

しかも、この神経のネットワークは、特定の目的に応じて作られているのだが、その仕組みを知ることは難儀である。
だいたいが未だよく分からない。
ブラックボックスが随所にあるようなものだ。
ここまでくると神経系を単一の神経系とみなして、局在論的に神経解剖学や神経生理学、心理学などと領域を分けて研究しても埒が明かないのだろう。
by m_chiro | 2013-08-21 09:09 | 「神経学」覚書
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