信じがたい話だが...
定年になって家庭菜園をはじめたオジサンが、ジャガイモ堀をした後で右のふくらはぎに激痛が起こった。
整形外科でのX-rayに問題が見られず、坐薬を処方されたが10日も経ってもなかなか改善しない。 良くなっているという実感もない。 歩行痛があり、足底の先端部に痺れ感もある。夜間も苦しくて目覚める。 「あまり良くならない」と訴えると、整形外科医はMRI検査をすると言って予約を入れられた。 「予約はまだ2週間も先のことなので」と治療にみえた。 右腓腹筋の内側頭にはジャンプ兆候と関連痛を誘発するTPがある。外側頭にも強い圧痛があり、やはりジャンプ兆候を伴っている。明らかなMPSである。 腓腹筋のトリガーポイントは、立ったままでの前屈姿勢動作を一定時間続けると発生しやすいとされている。ジャガイモ堀という明らかなきっかけがあるのだから、MRI検査の前に筋・筋膜問題を疑うべきだろう。 触診すれば筋性の問題と気づくはずなのに、その医師の診断基準はどこに向いていたのだろう。もっとも、筋・筋膜に意識が向かない限り、MRI志向の検査も無駄な治療も後を絶たない。必要とは思われない検査が、安易に勧められてはいないか。 腓腹筋のTPをリリースすると、歩行痛が消えた。 2回の治療で痛みが消え、足の1~2指の付け根に少し痺れ感を残している。日常生活にも、睡眠時にも支障はなくなった。 それでも、予約されていたMRI検査を受けた。結果は「脊柱管狭窄症」である。 手術を勧められたが、今は痛くないからと断った。 それでも、「今に大変なことになるから手術をした方がいい」とまた勧められた。 再度、断ると「では、応急処置だが、ブロック注射をしておこうか」と言われたらしい。 結局、すべて断って帰ってきたが、「もう、痛みもなくなった、と言っているのに訳が分からない」とぼやいていた。 一体、何をどう理解して診断しているのやら...。 俄かには信じがたい話だが、現実のようだ。 痛みの治療は、痛みを知ることから始まる。大事な理念である。
by m_chiro
| 2010-09-15 16:21
| 症例
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