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根性痛の根拠とする実験の信頼度は?②
先日の記事「根性痛の根拠とする実験の信頼度は?①」では、生体外(in vitoro)の実験を紹介した。どう考えても、この実験でのサンプルは病態モデルであり、異所性発火が起こることは自明のことであろう。

まさかヒトの生体内でこうした実験を行うわけにはいかないのだろうが、椎間板ヘルニアの摘出手術では興味深い現象を窺うことができる。

椎間板の突出部を摘出するということには、必然的に髄核の炎症起因物質が漏出するわけで、そのことは即ち神経根部や後根神経節に炎症を起こす状況が作られることになるはずである。もちろん周辺の組織にも損傷が伴い炎症物質が滲出することになる。
言わば、これは生体内の実験に等しい。

ところが、椎間板ヘルニア部の摘出手術によって、その炎症起因物質による根性痛が出現することについては指摘されることはない。

炎症起因物質が自然吸収されるまでには3週間ほどかかるとされている。
「神経根に髄核を接触させると、電気生理学的な神経根障害と神経根の血流障害が発生します。その障害は3週間で回復します(菊地臣一著「続・腰痛をめぐる常識のウソ」P5)」
と言うのであるから、術後は少なくとも3週間は炎症による根性痛が発症しても不思議な話ではないはずである。

なぜだろう?
根性痛の原因とする椎間板の突出部を切り取って、更に炎症物質を拡散させることで根性痛が悪化したのでは笑い話であるが、そうしたことは臨床の現場では起きないのだろう。
と言うことは、順当に解釈すれば、正常な神経では炎症起因物質による根性痛などは起こさないのだ、となる。

ところが、炎症による異所性発火の痛みに有効な薬物があるとされている。
(まだ続く)
by m_chiro | 2010-08-19 18:57 | 痛み考
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