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B.フラーとT.ヤンセンに膜系連鎖を学ぶ
08.1.22の記事「歪みのニューモデル」で、身体のテンセギリティー構造について触れた。 テンセグリティとは、張力(tension)と統合(integrate)を組み合わせた造語で、リチャード・バックミンスター・フラー(Richard Buckminster Fuller, 1895年7月12日 - 1983年7月1日)がその概念を広めたものである。 フラーは、アメリカのマサチューセッツ州出身の思想家、デザイナー、構造家、建築家、発明家、詩人として多才で天才的な能力を発揮した人である。 さて、このテンセグリティーとは圧縮力と張力という相反する力でバランスさせる、構造的安定の自己調節系とでも言えるだろうか。 今では身体治療には欠かせない概念でもあるだろう。 この概念から身体構造をみると、どうしても支持構造を(実はそれさえも張力としての作用もあるのだが)結ぶ筋膜系に思いが行き着いてしまう。 ハーバード大学医学部のイングバー博士(Donald.E.Ingber)は、生物の構造を生み出す基本原理こそが「テンセグリティー」だ、と主張している。 博士の論文である「生物のかたちを決める力」の一節が、そのことを納得させる。 人体の要素は、分子から骨、筋肉、健にいたるまで、まるで自然が選んだとしか思えないほど基礎構造にテンセグリティーを利用している。たとえば、私たちが腕を動かすとき、必ず皮膚が伸び、細胞外基質が伸張し、細胞が捻れて、細胞内骨格を形成する連続した分子が張力を感じとるわけだが、細胞や組織がちぎれたり、連係が途絶えたりすることなくこれらの現象が起こる仕組みは、テンセグリティーでしか説明できないのである。 テンセグリティーという概念から身体をみると、どうしても筋・筋膜系の連鎖という仕組みに注目せざるを得なくなる。 さて、冒頭で紹介した動画は風を動力にしたロボットである。 その製作者であるヤンセンの個展が、アジアでは初めての開催となった。 「テオ・ヤンセン展」。 このヤンセンのロボットの動力は風である。だからエンジンも電脳もない。 だけど、その動きは実に繊細である。 一般に見られる関節構造だけのロボットのようなギクシャクした動きではない。 ヤンセンのロボットはテンセグリテイーの応用なのだろう。 身体の巧妙な動きを演出しているのは、やはり膜系の連鎖にこそあるように思える。
by m_chiro
| 2009-01-21 19:57
| 膜系連鎖
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