脳脊髄液減少症
低髄液圧症候群

「低髄液圧症候群」と診断され、首から髄液が漏れていると言われた方でも改善がみられる事もあるという事をどうかご記憶下さい。

「低髄液圧症候群」と「脳脊髄液減少症」は、同一の疾患を指しているようですが、発症にかかわるのは髄液圧の低下ではなく、髄液量の減少にあるようです。「脳脊髄液減少症」の提唱者である篠永正道先生の講演を、ある学会で聞いたことがあります。話しを結んで次のように言っておりました。

脳脊髄液減少症の初期の段階では自然に治っていく例も多い。脳脊髄液減少症の可能性のある患者さんが来られたら、この病気では安静にすること、水分を多めに取ることが大切であることを説明してほしい。

痛み、筋緊張亢進の改善、自律神経症状の改善、脳脊髄液循環の改善などで、何かできることがあるのではないかと期待している。


脳脊髄液の循環については、頭蓋療法(クレニオパシー)の狙いとする方法ですし、痛みや筋緊張、自律神経の調整など、徒手療法が貢献できる部分がかなりあるのではないかと感じました。脳脊髄液症候群なるものの病態は良く分かりませんが、安易に診断されると、痛みをヘルニアや変形と結びつけるような誤解が生じかねないように思います。あくまでも仮説で、まだまだ調査・研究の余地が残されているのでしょう。

また、整体治療で発症する例や悪化する例も少数ながら存在するので、マニピュレーションを行うには細心の注意が必要だ、と注意もしておりました。

診断のポイントとして7項目をあげておりました。

1. 症状:頭痛、頚部痛、脳神経症状、倦怠、高次脳機能障害などの組みあわせ
2. 起立時に悪化、横になると改善傾向
3. 臥床安静、十分な水分補給で症状改善
4. 低気圧が近づくと悪化、脱水時に悪化する傾向
5. 軽微な外傷の既往がある
6. 造影MRIで髄液腔拡大(偽脳萎縮)、静脈拡張、小脳扁桃下垂、硬膜肥厚などの所見がある
7. RI シンチグラフィーで早期膀胱内RI集積、髄液漏出像がみられる


脳脊髄液量の低下が起こると、髄液中の神経伝達物質量が低下し、脳・脊髄機能を変化させるのではないかという仮設でもあります。分かりやすく言えば、自動車のエンジンオイルが減少した状態でしょう。車は動くが、エンストしやすく馬力がでない。このような状態に脳が陥っていると考えているのでしょうが、いまひとつ釈然としないものも残ります。
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# by m_chiro | 2007-11-16 16:10 | 症例 | Trackback | Comments(2)
三叉神経痛・血管圧迫説
横浜市立脳血管医療センター長を務める植村研一先生の講演を聞く機会があった。
講演の中で、神経痛に話がおよび、「三叉神経痛は簡単な手術ですぐ治る」と言っていました。

植村先生は「頭痛・めまい・しびれの臨床ー病態生理学的アプローチー」(医学書院)という著書もある。その本の中でも三叉神経痛について、症例を引用して書かれている。この症例は講演で引用した三叉神経痛の患者のものと同じですが、「三叉神経圧迫説」です。何が三叉神経を圧迫しているかというと、近くの血管による圧迫だそうです。

本当に、血管のような弾性の組織が神経を圧迫して三叉神経痛が起こるのでしょうか?
とても疑問です。やはり「軸索反射説」の方が納得ですね。

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写真左が血管により三叉神経が圧迫されて白くなっているのを、右の写真では圧迫を取り除いた、と解説されていました。

加茂先生は、以前のブログで次のように述べていました。

神経性炎症
三叉神経痛の手術は血管によって圧迫されているのを除圧するのではなくて、隔壁をつくることによって血管が神経ペプチドの影響を受けないようにしているのだろうと思います。

納得ですね。
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# by m_chiro | 2007-11-16 01:00 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
ヒトの警告系の起源は?
身体の内部環境やその外部環境は、時々刻々変化している。
生き物は内外の環境の異常や変化に遭遇すると、それに反応し行動を起こす。これは自らの生命を守るために必要不可欠の生存システムである。

炎症や免疫反応による液性の調節系も、生きるという根幹にかかわる重要な警告反応系である。

当然、痛みなどの侵害刺激に対しても、身体を守るための反応系として「痛みが」現れる。そして痛みという感覚には、「不快感」という情動が裏打ちされている。

こうした変化に対する情報に反応する系として、神経系ができあがっている。その最も原始的な警告系の起源は「うずまき反射;Coling reflex」だと、愛知医科大学・医学部の熊澤孝朗教授は述べている。1)

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当然、ヒトにもうずまき反射は残っているに違いない。
学兄・中原敏憲先生は臨床の現場で、左に顔を向けた時に行動の抑制が起こることに気がついた。

行動するときに主導する筋肉は腸腰筋群である。その筋群が顔を左に向けた状態にあると抑制が起こるのである。私はこの現象とリセットする手法に対しBASEと命名した。2)

腸腰筋群は行動の主動筋である。その筋群が初動の動きで抑制される。これは脊椎動物における最も原始的なうずまき反射の名残りに違いないと思う。

この警告信号が発信されたままでいることは、身体の警告系信号が解除されていないことを意味しているのだろう。そう考えると、圧痛点を持ちながら痛み自覚を持たない人がいることもうなづけてくる。私の治療は、このBASEの信号をリセットすることから始まる。

今後は時々に、このブログを通してBASE論の仮説について紹介したり、考えていることを述べる機会を持ちたいと思う。

1)「痛みのケア ー慢性痛、がん性疼痛へのアプローチー」2006、照林社刊、9頁
2)「Brain Alarm System Entrainment:脳内警告系信号路」
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# by m_chiro | 2007-11-13 22:51 | BASE論考 | Trackback | Comments(0)
歩行中、たびたび足裏に突然の激痛が!
今日の患者さんのSさん(54歳男性)は、歩行中に小石を踏んだりした時や体重のかけ方で、右足底の4趾周辺に突然の激痛が起こるという。いつも小趾側周辺にしびれ感があるそうだ。

整形外科でのレントゲン写真では異常がなく、腰部のMRIを撮った。
MRIの結果「脊髄が曲がって、脊髄後方の空間が無くなっているからだろう」と診断された。
???何のこと?
血流を改善する薬を処方され、様子をみているが、しびれ感は少し軽くなったかな、という程度で、「たいした変化はない」、と言う。

足関節の最大屈曲/伸展でも趾の最大屈曲/伸展でも痛みは起こらない。歩行すると少し苦しくなり小趾側を浮かしぎみて歩く。でも、歩けない痛さではない。それが突然激痛が起こるのだと言う。

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圧痛点を探していたら、2-3趾間の横を走る母趾内転筋を圧したときに、「イタッ! それ、それ、その痛みが起こるんだ!」と叫んだ。
母趾を横に開いてストレッチしながらTrPをリリースすると、痛みがおさまった。
歩行しても普通に歩けるようになり、何かを踏みつけても大丈夫になった。

「以前、くじいたとか、何か怪我をしたことがなかったの?」

「思い当たらないなぁ~。...そう言えば、前に家に中でピンを踏みつけたことがあったが、この辺だなぁ」

多分それでしょう。ストレッチとマッサージの方法を教えて様子をみることにする。
それにしても、誰の眼にも明らかな侵害刺激で発症してるのに、何で腰部のMRIになるのだろう。
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# by m_chiro | 2007-11-12 13:58 | 症例 | Trackback | Comments(0)
ケラチノサイト細胞
第三の脳――皮膚から考える命、こころ、世界
傳田光洋 / / 朝日出版社
ISBN : 4255004013
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皮膚は考える (岩波科学ライブラリー 112)
傳田 光洋 / / 岩波書店
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「手当て」は昔から癒しの技法だった。皮膚上に接触して治癒に導く徒手療法の技法はたくさんある。ドロレス・クリーガーの「セラピューティック・タッチ」や「頭蓋療法;クレニオパシー」も皮膚上での軽い接触によるものだ。そこにどんな機序が働いてよくなるのだろう。

「痛いの痛いの飛んでけぇ~」は子供に良く効く。お医者さんが注射するときも刺す場所をしばらく圧迫してから刺すようだ。これは一時的に皮膚感覚を鈍くして、痛みを抑えるのだろう。一体、皮膚にはどんなからくりがあるというのだ。

 そんな秘かな疑問に答えを示してくれた気鋭の研究者が現れた。傳田光洋氏で、最近「皮膚は考える」と「第三の脳」の2冊を刊行している。著者が注目しているのは、皮膚の中でも表皮の中にある「ケラチノサイト細胞」である。ケラチノサイトこそ、実に多用なセンサーとして働いていると言う。

ポリモーダル受容器の受容分子は、異なる複数の刺激で作動し電気信号を発生させるが、そういった外部からの刺激は最初にケラチノサイトが認識し、それをC線維伝達していると述べている。確かに、C線維は表皮の裏までしか届いていない。

皮膚は脳と同じ外胚葉由来であり、著者が皮膚を「第三の脳」と呼ぶ根拠が示されている。例えば、表皮の最上層の角層が破壊されるとNGF(神経成長因子)が放出されて末梢神経が表皮内へ伸張すること。これは痛覚を考える上でも興味深い。

また、ケラチノサイトはL-ドーパミン、ドーパミン、ノルエピネフリン、エピネフリンの合成・分解機能を持つていること。ACTHやサブスタンスP、βエンドルフィンを合成していること。各種刺激の受容体であるTRPV1~4を持っていること。記憶と学習の装置であるNMDA受容体があること、などなど。へぇ~と思うようなことが、たくさん出てきて皮膚の再認識でした。

 それでも痛みに関して言えば、皮膚は痛点に過ぎないのではないか。日常生活で問題になる痛みは、内胚葉由来の組織、筋・筋膜や靭帯、血管などであろう。確かにポリモーダル受容器は、皮膚からの痛み信号を受け取るのだろう。だが、その刺激を痛みの電気信号に変えるか否かの「比較」を受容器は行っているのではないか、と思わずにいられない
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# by m_chiro | 2007-11-10 22:14 | Books | Trackback | Comments(3)



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