巨刺法の応用形❹ 右上肢上腕部のの外旋・内旋時痛
2年ほど前から右上肢・上腕部の痛みが続いている。

10年ほど前に乳がんの摘出手術を行った40代女性。
手術での右肩甲骨と鎖骨周辺の痛みと肩関節の可動制限が回復して、やっと運動機能的に良好な状態になっていたが、2年ほど前から右上肢の内旋外旋の動作で痛みと制限が起る。
就寝時は右上肢の置き場がないような感じで痛むことがあり、
肩関節の可動域に問題はないが、特定の角度で痛む。
時に整形外科でのリハビリと物療を受けているが改善しない。

*動態診
痛みの出る部位と運動時の変化をみると、すべて肺経のライン上にある。
内旋外旋位で顕著(大胸筋の停止部位と関連か?)

*タッチトーク
①対症優先、巨刺法の適応、肺経・胃経交叉優先
②巨刺取穴のチャートから胃経「豊隆」で反応する

*治療
❶患部対側の胃経を第2趾から辿って停滞する部位(「豊隆」と思われるポイント)を探る。
 探ったポイントに一転圧刺激を行い、右上肢の運動を指示する。
 「アレッ! 痛くない! 動かせる! なんで?…」
❷左前脛骨筋のフロー状態にない線維群を探ってリリースする

再び右上肢の運動を行わせるが、問題なし。
運動に対して固定された経絡ラインの痛みには、巨刺法の刺激応答がとても効率よい成果が期待できる。
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# by m_chiro | 2017-07-27 12:33 | 症例 | Trackback | Comments(0)
解剖学者・三木茂夫の世界、2冊を読む
大阪セミナーの帰路、羽田空港での乗り継ぎ時間があったので本屋さんに立ち寄った。
そこで見かけた2冊の本。いずれも解剖学者・三木茂夫についての本である。
一冊は「人体 5億年の記憶 ―解剖学者・三木武夫の世界―」である。

c0113928_1221555.jpg著者は解剖学者の布施英利、三木先生の教え子である。
著者が東京芸大・美術学部の学生の時に「保健体育」科目の授業を受けたという。
1980年のことだそうだ。

保健体育の授業らしからぬ、三木ワールドが次々と展開されて、その奇妙な体験が今日の著者の立ち位置を決定づけたのかもしれない。
私も三木茂夫の著書には多くの学びを得た。
「胎児の世界」にはじまり、一連の「生命の形態学」の著作、「ヒトのからだ」「内臓とこころ」などなど。
読みはじめると引き込まれるような三木茂夫の世界が展開されるのである。

そんな三木先生の説が、著者によってダイジェストに語られている。
三木茂夫によるヒトの深い洞察を知る良書である。

c0113928_1232840.jpgもう一冊は、同じく三木茂夫の教えを受けた西原克成著「生命記憶を探る旅―三木茂夫を読み解く―」である。

この著作は、三木理論から独自の「重力進化学」を導いた解釈について触れている。
西原理論は、すでに多くの自著に語られるところであり、新たな見解が示されているわけではない。

それでも、三木学説の解釈から生まれた西原学説「重力進化論」への道すじを解説していて興味深いものがある。
そこから著者の健康観・疾病感が展開していくのであるが、少なからず強引な筋立てのように思えなくもない。

それでも、三木茂夫という天才的な才能が生み出した解釈が、次々と新たな解釈や共感を生むところに感動させられた二冊の本であった。
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# by m_chiro | 2017-07-20 12:04 | Books | Trackback | Comments(0)
JSC西日本支部セミナー(7.8~9)
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JSC西日本支部セミナー(7.8~9)
熱心な受講を頂き、感謝のほかありません。


「JSC西日本支部&九州カイロ同友会ジョイント・セミナー」
JSC西日本支部と九州カイロ同友会からの依頼で、8日~9日の二日間にわたりセミナーをさせていただきました。

カイロ手技の守備範囲が広くなり、神経や内臓・内分泌など皮膚にブラインドされて組織の奥深くにある器官をターゲットに治療が行われることも多くなりました。
それらの器官をピンポイントで絞り込むことは容易ではありません。
それでもなおかつ効果があがるとしたら、刺激が生体にどのように作用するのかを考える必要があるのでしょう。

カイロの基本的なコンセプトから情報交換という視点で、ブラインドされた器官や組織への対応を試みました。
臨床応用として硬膜管マイナーソフト構造と、経絡系運動ベクトルの指標から調節する方法を主に紹介しました。

運営を担当いただいた田中勝士先生、ジョイントでご協力いただいたJSC&同友会会長・荒木寛志先生のご厚意にお礼を申しあげます。

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# by m_chiro | 2017-07-12 17:08 | カイロプラクティック | Trackback | Comments(3)
ヒトの病気と匂い(他人の体調は匂いで分かる?)
酒田から車で一時間ちょっと走ると金山町がある。
そこでは日本で先駆けてはじめた「癌探知犬」を導入して、がん検診を行っている。
試験管に入れた献体となる尿の匂いを、癌探知犬が嗅いで癌を判定する。
探知犬に“Yes”と判定された尿は、冷凍されて日本医科大千葉北総病院で分析され癌の有無が判定される。
ほぼ100%、正確に匂いを嗅ぎ分けるそうだ。
癌の絞り込みに簡便な判断が可能になる。
この検査であれば、からだへの負担もなく初期検査が可能になる。
金山町は全国でも胃がんの死亡率が高い地域で、行政は町民の自己負担もなしに癌の早期発見への対応を実施したのである。

生きものの本能的に忌避する能力を利用したものだろう。
特に犬には格段に優れた臭覚能力がある。
犬と同等というわけには行かないが、匂いに対する本能的な能力があるはずだ。
そんな研究文献を紹介しておこう。

Behavioral and neural correlates to multisensory detection of sick humans.
「行動や神経は、病気のヒトの多感覚検出と相関する」

他人の体調は匂いで分かるということか。

人間が匂いと見た目から他人の病気を感知し、避けようとする能力は、これまで考えられていた以上に優れていることが新たな研究で示唆された。
この研究ではボランティア22人を対象として、害のない細菌の毒素を注射し、倦怠感や痛み、発熱などの症状を誘発した。
それぞれの被験者について、毒素の注射により症状のあるとき(病気群)と生理食塩水のみを注射したとき(健康群)の写真を撮影し、体臭を採取した。

別の30人に病気群または健康群の写真を見せ、体臭を嗅がせながら、脳の働きを調べるfMRI検査を実施した。
さらに、これらの2群のうちどちらが体調が悪そうにみえるか、魅力的だと感じるか、交流したいかについて回答してもらった。

その結果、免疫システムを人工的に活性化させた体調の悪い人よりも、健康な人の方が、魅力的で交流したいと回答される可能性が有意に高いことが分かった。
さらに、人間の脳は複数の感覚器から健康状態に関する微弱なシグナルを獲得し、統合する能力に長けていたという。

研究を実施したカロリンスカ研究所(スウェーデン)のMats Olsson氏らは、「常識的に考えると、このように免疫システムを助ける行動パターンは存在するはずだと思うだろう。
ただし、親しい人が病気になった場合は、必ずしも回避行動が適用されるとは限らない」と指摘している。
「例えば、鼻水が出ている相手にキスできるという人はほとんど存在しないだろうが、それが自分の子どもとなれば話は別だ。
つまり、親しい相手の場合、病気のシグナルはむしろ思いやり行動を強化すると考えられる。
今回の研究で、われわれは脳が予想以上にこのようなシグナルに敏感であることを明らかにした」と、同氏は結論づけている。

この研究は「Proceedings of the National Academy of Sciences」オンライン版に5月22日に掲載された。

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# by m_chiro | 2017-06-12 09:36 | 「神経学」覚書 | Trackback | Comments(0)
椎間板ヘルニアや坐骨神経痛で、炎症介在物質が作用しているわけではない
「椎間板ヘルニアと坐骨神経痛には炎症反応を引き起こすホスホリパーゼA2(PLA2)が関与していると考えられていたが、椎間板ヘルニアもしくは椎間板変性と正常な椎間板との間にPLA2値の差は認められなかった」

坐骨神経痛、椎間板ヘルニアなどと診断されて、痛みに苦しめられている患者さん。
きっと、炎症反応が引き起こされて痛むのだろう、と思われがちである。
ところが研究では、椎間板ヘルニアにも、椎間板の変性にも炎症反応を引き起こすホスホリパーゼA2(PLA2)の値に、正常な椎間板との差が認められなかった。そんな研究である。

生体細胞膜のリン脂質が損壊すると、ホスホリパーゼA2という酵素によってアラキドン酸という炎症を仲介する物質に変わる。
そこにシクロオキシゲナーゼ(COX)と作用してプロスタグランジン(PG)という炎症物質が産生されることで、炎症性の痛みが発症するのだ。

痛みを発症させないためには、アラキドン酸という仲介者を叩かなければならない。
起始段階で抑えるにはステロイドなどの最強の鎮痛薬になるが、リスクも高い。
もうすこし下流で抑えようとするならば、アラキドン酸から炎症物質であるプロスタグランジンを産生させないことになる。
そこでCOXを叩くCOX阻害薬が用いられる。
これは通常の消炎鎮痛薬であるアスピリンやインドメタシンなどの、非ステロイド性鎮痛薬(NSAID’s)である。
COXは胃や腎臓などの保護作用を持つとされる。
それを叩くことになるので、リスクは胃にダメージを与える。
だから胃薬も処方されることになる。
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図を見るとよくわかるようにプロスタグランジンとブラジキニンはダッグを形成していて、相互に作用増強と生成促進で連携しているから厄介である。

ところで、この研究ではホスホリパーゼA2値に正常な椎間板との差がなかったというのである。
ということは、椎間板ヘルニアや坐骨神経痛は基本的に炎症性疾患ではないということになる。
では、なぜそんな痛みが起こるのか?
やはり、筋・筋膜由来の機械的刺激が興奮性に働くとみる方がスジが通るのである。
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# by m_chiro | 2017-06-06 18:25 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)



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