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ヒトの病気と匂い(他人の体調は匂いで分かる?)
酒田から車で一時間ちょっと走ると金山町がある。
そこでは日本で先駆けてはじめた「癌探知犬」を導入して、がん検診を行っている。
試験管に入れた献体となる尿の匂いを、癌探知犬が嗅いで癌を判定する。
探知犬に“Yes”と判定された尿は、冷凍されて日本医科大千葉北総病院で分析され癌の有無が判定される。
ほぼ100%、正確に匂いを嗅ぎ分けるそうだ。
癌の絞り込みに簡便な判断が可能になる。
この検査であれば、からだへの負担もなく初期検査が可能になる。
金山町は全国でも胃がんの死亡率が高い地域で、行政は町民の自己負担もなしに癌の早期発見への対応を実施したのである。

生きものの本能的に忌避する能力を利用したものだろう。
特に犬には格段に優れた臭覚能力がある。
犬と同等というわけには行かないが、匂いに対する本能的な能力があるはずだ。
そんな研究文献を紹介しておこう。

Behavioral and neural correlates to multisensory detection of sick humans.
「行動や神経は、病気のヒトの多感覚検出と相関する」

他人の体調は匂いで分かるということか。

人間が匂いと見た目から他人の病気を感知し、避けようとする能力は、これまで考えられていた以上に優れていることが新たな研究で示唆された。
この研究ではボランティア22人を対象として、害のない細菌の毒素を注射し、倦怠感や痛み、発熱などの症状を誘発した。
それぞれの被験者について、毒素の注射により症状のあるとき(病気群)と生理食塩水のみを注射したとき(健康群)の写真を撮影し、体臭を採取した。

別の30人に病気群または健康群の写真を見せ、体臭を嗅がせながら、脳の働きを調べるfMRI検査を実施した。
さらに、これらの2群のうちどちらが体調が悪そうにみえるか、魅力的だと感じるか、交流したいかについて回答してもらった。

その結果、免疫システムを人工的に活性化させた体調の悪い人よりも、健康な人の方が、魅力的で交流したいと回答される可能性が有意に高いことが分かった。
さらに、人間の脳は複数の感覚器から健康状態に関する微弱なシグナルを獲得し、統合する能力に長けていたという。

研究を実施したカロリンスカ研究所(スウェーデン)のMats Olsson氏らは、「常識的に考えると、このように免疫システムを助ける行動パターンは存在するはずだと思うだろう。
ただし、親しい人が病気になった場合は、必ずしも回避行動が適用されるとは限らない」と指摘している。
「例えば、鼻水が出ている相手にキスできるという人はほとんど存在しないだろうが、それが自分の子どもとなれば話は別だ。
つまり、親しい相手の場合、病気のシグナルはむしろ思いやり行動を強化すると考えられる。
今回の研究で、われわれは脳が予想以上にこのようなシグナルに敏感であることを明らかにした」と、同氏は結論づけている。

この研究は「Proceedings of the National Academy of Sciences」オンライン版に5月22日に掲載された。

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by m_chiro | 2017-06-12 09:36 | 「神経学」覚書 | Trackback | Comments(0)
椎間板ヘルニアや坐骨神経痛で、炎症介在物質が作用しているわけではない
「椎間板ヘルニアと坐骨神経痛には炎症反応を引き起こすホスホリパーゼA2(PLA2)が関与していると考えられていたが、椎間板ヘルニアもしくは椎間板変性と正常な椎間板との間にPLA2値の差は認められなかった」

坐骨神経痛、椎間板ヘルニアなどと診断されて、痛みに苦しめられている患者さん。
きっと、炎症反応が引き起こされて痛むのだろう、と思われがちである。
ところが研究では、椎間板ヘルニアにも、椎間板の変性にも炎症反応を引き起こすホスホリパーゼA2(PLA2)の値に、正常な椎間板との差が認められなかった。そんな研究である。

生体細胞膜のリン脂質が損壊すると、ホスホリパーゼA2という酵素によってアラキドン酸という炎症を仲介する物質に変わる。
そこにシクロオキシゲナーゼ(COX)と作用してプロスタグランジン(PG)という炎症物質が産生されることで、炎症性の痛みが発症するのだ。

痛みを発症させないためには、アラキドン酸という仲介者を叩かなければならない。
起始段階で抑えるにはステロイドなどの最強の鎮痛薬になるが、リスクも高い。
もうすこし下流で抑えようとするならば、アラキドン酸から炎症物質であるプロスタグランジンを産生させないことになる。
そこでCOXを叩くCOX阻害薬が用いられる。
これは通常の消炎鎮痛薬であるアスピリンやインドメタシンなどの、非ステロイド性鎮痛薬(NSAID’s)である。
COXは胃や腎臓などの保護作用を持つとされる。
それを叩くことになるので、リスクは胃にダメージを与える。
だから胃薬も処方されることになる。
c0113928_18221714.gif


図を見るとよくわかるようにプロスタグランジンとブラジキニンはダッグを形成していて、相互に作用増強と生成促進で連携しているから厄介である。

ところで、この研究ではホスホリパーゼA2値に正常な椎間板との差がなかったというのである。
ということは、椎間板ヘルニアや坐骨神経痛は基本的に炎症性疾患ではないということになる。
では、なぜそんな痛みが起こるのか?
やはり、筋・筋膜由来の機械的刺激が興奮性に働くとみる方がスジが通るのである。
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by m_chiro | 2017-06-06 18:25 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)



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