<   2016年 06月 ( 6 )   > この月の画像一覧
心身問題を強化するのは「信念」か!?
1か月ほど前に治療にみえた40代女性。
頸背部痛を訴えている。
明日は、幼稚園のバス旅行で子供と一緒に動物園に行くらしい。
体調を整えて行きたいのだろう、と思った。

タッチ&トークでメリディアンのクロスラインの問題が指摘された。
左下肢第2趾と右上肢第1指のクロスラインに停滞がある。
関連筋を評価すると、外側広筋と肩甲挙筋、前鋸筋、小胸筋、烏口腕筋に刺激による抑制反応がある。左下肢第2趾からの停滞するエンド・ポイントが左下腹部にある。
右上肢第1指の停滞するポイントは烏口突起部にある。
この2つのポイントをバイパスするようにツーポイントで通した。
再評価で、それぞれの筋の刺激に対する抑制反応が消失する。
首も動きやすくなったが、情動面の問題で反応した。
キーワードは「不安」である。

「何か心配事でもあるの?」
「私バス酔いがするんです。だから子供のバス旅行は主人に行ってもらっていたんですが、都合がつかなくて、結局、私が行かなければならなくなって….」
せめて体調管理をしておこう、と思ったらしい。

車酔いの薬は使っても効かない。それほど酷いのだという。
具体的にはどんな症状なのだろう。
突然、気分が悪くなって嘔吐、そして下痢が起こるらしい。
「トイレがあるところならいいけど、バスの中などで始まったらみんなに迷惑がかかるし、行きたくないのだけど….」

その時の状況をリアルにイメージさせてみた。
直後の筋抑制反応が顕著になる。
右辺縁系、左扁桃体、海馬など、タッチ&トークによる反応に従って、感覚入力をする。
この条件付けによる筋抑制反応で評価しながら、反応が消失するまで反復する。
3日目で、しっかりと筋力が安定した。

おそらく何らかの身体的不調でバス酔いを経験したのだろう。
あまりにも強力なバス酔いは情動的不安を増幅させて記憶され、バスに乗ると具合が悪くなる、というエピソードが記憶されたのではないだろうか。
1カ月も過ぎた頃に、彼女がまた治療にみえた。
この間のバス旅行は何ともなくて、とても楽しい一日を子供たちと過ごすことができた、と喜んでいた。
時々、体の調整をしようかと思って、また治療にみえたのだと言う。
「バス-車酔い-嘔吐-下痢」のエピソード記憶が信念になって、固定されていたのかもしれない。
そう感じた症例だった。
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by m_chiro | 2016-06-30 09:43 | 症例 | Trackback | Comments(0)
空(くう)のお昼寝
捨て犬だった空(くう)を、一時預かりで里親探しをしてくれたお姉さんがいる。
そのお姉さんのお母さんは、このブログに空の写真が掲載されることを、
何よりの楽しみにしてくれているらしい。

そう言えば最近、空たちの写真も撮っていない。
空も、もう老年である。桐子は肢が大分弱ってきた。

やんちゃでお転婆娘だった空が、今では寝てばかりいる。
だから、なかなか写真を撮る機会もない。

ほら、こんな具合に......


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春先のまだ肌寒い日が続いていた頃は、段ボール箱ベッドにチビもくっついて寝ていた。
くっついてれば、暖かいのだろうなぁ~。


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このとおり、お転婆娘も今じゃ「眠り姫」と言ったところですよ。
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by m_chiro | 2016-06-28 23:34 | わん・にゃん物語 | Trackback | Comments(0)
野球肘
中学三年の男子が、親の付き添いで来院した。
学校からの案内で、側弯症の検査を家庭で行うようにということらしい。
「肩甲骨の高さを比べて」異常があったら、専門医の受診をするようにとのことのようだ。
それで親が観察をした。極端に左肩が下がっている。
野球部に所属していて、右肘も痛めている。
それで私の治療室にやってきた。

側弯症の見方を親御さんに教えながら、前屈位ポジションをとらせても全く問題はない。
直立位になると、確かに左肩が下がっている。
部活のバッグを左肩からクロスで下げて通学しているのだろう。
確認すると、そうだと言う。なぜ左肩が下がるのか説明しながら、対策をアドバイスした。

さて、問題の右肘の痛みは、屈曲と外反時に肘頭部に内側・外側部の痛みがある。
腫脹は微小で、熱感もない。屈曲制限と痛みがある。外反ストレステスト(+)

2年生まで外野と1塁手を務めてきたが、3年からキャッチャーになった。
投球フォームの違いや投球動作の頻度が多くなり、肘への負荷が過剰になったのだろう。
4月頃から痛み出し、それでも練習や試合に出ていたところ、最近では痛みで投げられなくなったようだ。

タッチ&トークで必要な施療部位を求めると、メリディアン(経絡経線meridian)・クロスラインの調整と、右肘関節問題の優先に反応した。
メディリアンは左第3趾と右5指のクロスラインに停滞がある。
関連する筋力テスト(抑制評価)で後斜角筋、大腰筋、腸腰筋、梨状筋、大腿直筋、上部腹直筋が擦過刺激に対する抑制応答で低下している。
その停滞ポイントが腹部の左中部に認められる。
そのポイントにスピン・タッチを行う。
フロー状態になったところで、筋の抑制反応を再評価すると、すべてしっかりとした筋力が出るようになった。
この状態では、バッティングも期待できそうにないない。
聞くと、「全然打てない」と言う。

右前腕の円回内筋、橈側手根屈筋、長掌筋,尺側手根屈筋、浅指屈筋など、野球肘の基本筋が過緊張している。
圧痛点を探りながらリリースし、肘関節リアライメントを行う。
これで最大屈曲が可能になったが、最大屈曲での外反テストで肘頭内側部に多少の痛が残る。
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剪断ストレスに反応するようだ。

治療後に可動域も改善されてはいるが、外反テスト、と剪断ストレスに反応するので注意事項とアドバイスをしておいた。

少年の野球肘は、無理をすると再発を繰り返し、ついには屈曲不全になることがある。
専門医の診察も受けていないので、軟骨部の傷害も含めて画像確認をすることが望ましいだろう。
1カ月ほどは投球を止めること。
在宅エクササイズとして二軸関節のストレッチを指導した。
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by m_chiro | 2016-06-24 17:38 | 症例 | Trackback | Comments(0)
タッチ&トーク
中学生の水泳部選手が地区大会を控えて、コンデショニングにみえた。
両膝と腰に鈍痛あると言う。

治療に当たって重視していることのひとつに「傾聴」がある。
このブログの中でも再三紹介したことがあるJ.P.バラルD.O.の最初の訳本が刊行されたのは1990年のことだった。「内臓マニピュレーション」という本である。
この本を読んで、「傾聴」という概念に、とても関心を持った。
手を添えて体の状態を聴くというもので、ロリン・ベッカー「Listening(傾聴)」と呼んだ方法のようである。

触診すべき部位に手を置くと、受動的に置かれた手が内臓の形にピタリと合致し、内臓の活動に導かれるように評価できると解説されている。先入観を持たずに内臓の自動力に耳を傾ける評価法なのだろう。
徒手治療家は、何らかの手法で「傾聴」を使っている。
体の声を聴く、とでも言おうか。
鍼灸師の脈診なども「傾聴」と呼ぶべきものなのだろう。
その「傾聴」の在り様を追究しているうちに、体と対話する手法が身についてきた。

私自身は、それを体と会話するという意味で「ボディ・トーク」と呼んでいた。
ところが、最近ネット検索をしたら「ボディ・トーク」を商標とした協会があることを知った。1996年に創始されたInternational BodyTalk Association(IBA)という世界的な組織である。
創始者のDr. ジョン・ヴェルトハイムはカイロプラクターであり、鍼灸師でもある。
ホロニックな体が持つ「天生の知恵(インネイト-ウィズダム)」に、コミュニケーションの損なわれている箇所を尋ねる」方法で体を診ることに主眼を置いているようだ。
体のどこに尋ねるのか、と言うと「インネイト-ウィズダム:天生の知恵」らしい。その名称が、いかにもカイロプラクターらしい。
この方法もカイロプラクティックの亜流なのだろう。
そんなわけで、私が「傾聴」からヒントを得て使っている方法を「ボディ・トーク」と呼ぶのは止めることにした。
何しろ、IBAという組織も知らなかったし、そのような名称の手法が存在していたことも知らなかったわけだ。
これからは、仮に「タッチ&トーク」とでもしておこう。

さて、この「タッチ&トーク」を使って、この患者さんを傾聴すると、問題が3つ指摘された。
1つは筋・筋膜問題、2つめは神経系、3つめは内分泌系である。
更に焦点を絞っていくと、筋・筋膜問題はメディリアン(身体の経線系)とベクトルの問題を優先するようにと応答がある。
メリディアン(経絡経線meridian)は経絡にも似ている経路かもしれないが、アナトミー・トレインなどの概念である。
メディリアン問題の結論は、左下肢の優先で第5趾(経絡では膀胱系)で、それは肩甲下筋との相関に反応していた。
筋力テストで評価すると、長腓骨筋、前脛骨筋、外側腓骨筋、肩甲下筋への刺激で抑制される。
治療点を左第5趾からフロー状態の停滞部位に求めた。
そのポイントから、肩甲下筋へのフロー状態が導かれるようにスピン・タッチでリリースした。
その間、30秒ほどだったろうか。
筋力を再評価すると、しっかりとリリースされている。
刺激運動を行わせても、それらの筋力が抑制的に作用することはなくなっていた。

ベクトルについての詳細は、また別の機会に書くことにするが、肩甲下筋に絡んで上腕と下腿が連動した問題だから肘関節を安定させるようにという指摘だと受け取った。
この中学生は、自由形と平泳ぎの二種目の選手である。
きっと上肢の力に依存して、膝を使った下腿の連動とのバランスが悪かったのかもしれない。練習での注意点として、そんなアドバイスをしておいた。
膝への直接的な治療はしていない。
それでも、動きによる重苦しい症状が出なくなった。

神経系では、髄液の循環と髄膜、硬膜のテンションのリリースを行ったが、それも応答指示で行った。
左S3-C2-C6の硬膜付着テンションをリリース、内分泌系では視床下部を調整し、評価と再評価を確認して治療を終えた。

きっと、県大会への道を拓いてくれることだろう。
ひそかに応援することにしよう。
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by m_chiro | 2016-06-18 12:54 | 症例 | Trackback | Comments(0)
「見る」と「観察」すること
88歳のお婆さん素人カメラマンの写真が、世界中で話題になっている、というニュースをTVで見た。
カメラ好きだったご主人を亡くして、形見のカメラで写真を撮り始めたのがきっかけだったそうだ。
その時すでに71歳だった。

それからカメラに嵌り込んで自宅にスタジオをつくり、照明などいろいろ工夫を凝らして、自分をモデルにした合成写真なども撮っている。
カメラマンと言うよりは、農家の背中が丸くなって腰が折れたお婆さんという感じだ。
そんな我が身をモデルにした面白い写真がいくつも紹介されていた。
ネットを通じて写真がシェアされ、世界中から評判らしい。
お婆さんカメラマンは「興味を持ったら好奇心がトコトン旺盛になるのだ」、と語っていた。

我が身に置き換えて考えてみると、日々が当たり前のように流れて、好奇心など年々薄れていくことばかりだ、と気がついた。

若い頃、シャーロック・ホームズをよく読んだ。
思えば、これが臨床推論に大いに役立った。
例えば、「見る」と「観察する」こと。

難事件を解決してきた名探偵ホームズに、いつも付き添っているのがワトソンである。
ところがワトソンは、どうしてもホームズの推理眼について行くことさえできない。
「なぜだろう?」と思っているワトソンに、ホームズは「見る」ことと「観察する」ことの違いを教えるくだりが随所にある。

例えば「ボヘミア国王の醜聞」では、ホームズ探偵事務所に入るまでの階段を引き合いに出して、ホームズとワトソンの会話が続く。
ホームズの推理を聞くとあきれるほど簡単なことなので、ワトソン自身にも出来そうな気がするのだが、ホームズの引き出す結論の説明を受けるまで分からないのだ。
ワトソンには、それが情けないのである。
「僕の目だって、君と同じくらい、いいはずなんだがね」とワトソンは言う。

するとホームズは、「君の場合は見るだけで、観察しないんだ。見るのと観察するのとでは、まるっきり違う」と応える。
たとえば、玄関からこの部屋にあがる階段を君は何百回となく見ているだろう。
が、「何段ある?」と問いかける。
ワトソンは「階段の数は知らないなぁ~」と応える。
「ほら、君は見ていることは見ているんだが、観察していないんだ」。

そんな話などから、臨床でも「観察する」ことを心がけようと思ったものだった。
と言っても、鍵は「注意力」と「意識力」なんだろう。

我々は日々、さまざまな情報にさらされている。
日々、素通りするだけの情報が、どれほど多いことか。
それは「見る」という感覚情報だけに限らない。
そうなると多くの入力情報の中から、どれだけ注意して意識するかなのだろう。
ただ、日常的にそうしていないだけである。
きっと好奇心すらないのかもしれない。
観察には、1に好奇心、2に注意力、3に意識力、が必要なのだ。

「老いる」ということは、好奇心も奪いかねない。
老いの身にも「好奇心」。
観察する心を養わねば……。
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by m_chiro | 2016-06-14 16:07 | 雑記 | Trackback | Comments(0)
Pain Management Network(日本語版)
5月は原稿を2本依頼されて、原稿書きに追われてしまった。
やっと締め切りに間に合わせたと思っていたら、もう6月半ば。
残された雑務を片付けなければならなくなった。
思えば、ブログともご無沙汰である。また、ボツボツと書きはじめなきゃ!

オーストラリアのニュー サウスウェールズ州保健省が制作している”Pain Management Network”というサイトがあり、それを「日本語版」で読める。
特に「みんなのために」というページから、慢性痛を抱える患者さんへのアドバイスが書かれている。

原文を、そのまま日本語に翻訳したものだから、日本人には馴染めないことや習慣の違いなどを割り引いて読んでも参考になるだろう。
慢性痛患者の体験的なエピソードが、1~7まで紹介されている。
そのテーマは、次の内容である。

エピソード1「痛みの紹介」
エピソード2「医療チームの援助を得る」
エピソード3「痛みと身体活動」
エピソード4「痛み:ライフスタイルと食事」
エピソード5「痛みと薬の役割」
エピソード6「痛みと思考」
エピソード7「痛みと睡眠」

例えば、エピソード7の「痛みと睡眠」は、眠れない人、寝付けない人へのアドバイスが書かれている。痛みを抱える人には、睡眠障害を併せて抱えている人が少なくない。

寝不足は痛みを悪化させるし、逆に痛みは眠りの質も悪くするという悪循環に陥りやすいものだ。
かといって、睡眠薬の服用は、必ずしも問題の解決にはなりえない。
不眠症はうつ病や気鬱症状とも関わっている。
布団に入ってから、「今夜は眠れるだろうか、やっぱり眠れないだろうか」と考えるのも「眠りとの闘い」モードに入ってしまい、神経系は更に興奮状態になる。
お酒に逃げるのも考えものだし、コーヒーなど刺激作用のある飲食も就寝前には控えるべきだろう。
日中に定期的な運動などでエネルギーを消耗しておくのは、良い手かもしれない。

「夜によく眠れるようにするために、できることは何でもするべきです」と語る。
疲れを取ってエネルギーを補充し、翌日に備えるのは睡眠なのだから。

最近の研究で分かったこと、それは脳内のリンパ系が睡眠中に脳から老廃物を排出する働きをしてるというものだ。この作用は「グリンパティック系」と呼ばれている。

「脳は睡眠中に「ゴミ捨て」をしている…米グループが実証

脳のリンパ系である「グリンパティック系」は、睡眠中に活性化するのだ。
この記事も、参考になる。
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by m_chiro | 2016-06-13 18:45 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)



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