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「失われゆく我々の内なる細菌」
慶応大学先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)福田真嗣特任准教授が、文部科学省科学技術・学術政策研究所(東京)の「科学技術への顕著な貢献2015(ナイスステップな研究者)」を受賞した。

細菌が腸内で生み出す代謝物質が、人体にどんな影響を及ぼすかを解析している功績が認められたのである。
福田特任准教授は「人それぞれ違う腸内細菌のバランスをみることで、食習慣の改善につなげる適切なアドバイスができる。
病気のリスクを下げることになる」と研究成果を社会に還元したいと話していた。

ちょうど「失われゆく細菌 我々の内なる細菌」(マーティン・ブレイザー著)を読みかけていたのでタイムリーな話題だった。
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この本は、以前記事にした「ピロリ菌のメッセージを聴け!」で紹介した翻訳書である。

ピロリ菌の発見からその共生菌としての役割、ピロリ菌を駆除することで被るリスクを摘発した本かと思って読みはじめたのだが、なんと壮大なスケールの100兆個にも及ぶヒト常在菌の生態系に迫る力作である。
この分野のことを「マイクロバイオーム」というらしい。
著者はその研究の第一人者である。

常在菌は胎児の時は皆無なのに、出産過程とその直後に何兆個もの細菌に占拠されるようになるらしい。
そんな短い時間内に、ゼロから兆単位の細菌の世界が拡散するのだ。
産道を通らずに帝王切開で誕生する赤子は、この細菌叢の洗礼を受けないで世に出る。
これも大きなリスクのひとつだと知った。

19世紀の細菌学は、微生物を天敵のように駆除することに務めてきた。
抗生物質の発見は、大切な命を沢山救ってきたのだが、近年ではその弊害も強調されている。
ヒトの誕生から3年以内に形成される常在菌の世界は、身体の部位によって異なる細菌の棲み処として発展するという。

例えば、肘の湾曲部とつま先、口腔や大腸、もちろん皮膚にも異なる種類の常在菌がそれぞれに叢をなしているわけだ。
こうしたヒトの常在菌の生態系が、今、まるで崩れゆく地球環境の生態系に呼応するかのように課題を突き付けている。

驚いたことに、ヒトの70~90%はヒトに由来しない細胞なのだそうだ。
それは地球上の微生物の無作為集合体なのだという。
ヒトと共に進化してきた集合体として存在し、「第三の免疫」として機能していることも知った。

この長い歴史を共に生きてきた常在菌の生態系が崩れると、昨今話題の食物アレルギー、潰瘍性大腸炎、自閉症、肥満、喘息など疾患や健康問題と無縁ではいられないようだ。

福田准教授も、こうした研究の一端を担っているのだろう。
身近な研究施設から発信している研究報告だけに更に興味深く、この本から常在菌の働きを学んでいる。
是非、読んでおきたい本である。
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by m_chiro | 2015-12-22 23:07 | Books | Trackback | Comments(0)
情報過多時代には、価値ある情報を見極める眼力と能力が必要なようだ!
光ファイバーが流通するようになって、情報面でも社会は多様化してきた。
あふれるほどの情報を入手するのは容易であるが、それについていくのは尚のこと大変である。
その人にとっての価値観が問われ、その得た情報を評価する能力が不可欠の時代になったのだろう。
評価できたら、ふるい分けて不必要な情報は捨てる踏ん切りをつけないと、余計に混乱するだけだ。
健康情報も同じだなぁ~!


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by m_chiro | 2015-12-11 09:06 | 雑記 | Trackback | Comments(0)



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