<   2015年 10月 ( 5 )   > この月の画像一覧
腰が痛くて動けない…!、実は感染症だった
50代の主婦が、御主人の肩にもたれて、やっとのことで来院した。
2週間以上も前から腰に違和感を感じていたが、5日ほど前から悪化していった。
私のところに予約の電話を入れたが、学会に出席していて臨時休診だった。
我慢できずに整体治療院でみてもらったそうだ。
ところが状態は悪化するばかりで、ついには朝起きあがるのに20分もかかる羽目になった。
起きあがると、身体が歪んで真っ直ぐに立てない、歩けない。
寝てるほかないが、それでも痛い、つらい。
そんな状態で、休日開けに治療にみえたのだった。

とりあえず治療ベッドに寝てもらって、聞き取りを行った。
腰痛で思い当たる原因らしきものもない、と言う。
身体をみたが、どう観ても腰に問題があるようには思えない
一番気になったのは胸廓が捻れて固着していることぐらいだった。
相対的に腹腔と腰部のトーンが低下している。

風邪でもひいた?
「風邪はずっと治りきっていない感じで、治りかけると、また孫からうつされる。だから、ずっと風邪気味状態」なのだそうだ。
咳も熱もなく、鼻かぜのような状態だという。

熱は何度くらい?
「37度切れるくらいだと思う」
風邪が長引いて、身体全体が弱っているんじゃないの。
腰痛は、きっとそんな体の表現なのだろう。腰に問題があるとは思えない...。
「でも腰が痛くて動けないのに……」、と不満そうだ。

Dr.Langの自己免疫疾患療法(L.A.S.T.)で用いる検査用液の寄生ウイルス類に、筋のトーンが抑制的に反応する[混合パラサイツ(+)、7ウイルス(+)、エプスタインバール(+)、ヘルペスⅡ(+)]
その過敏性を解消して、胸郭をリリースし腹腔部との緊張度のバランスを調整した。
加えて、前後/水平/回旋軸における軸停滞を下腿からリリースした。
これで様子を見ることに…。

翌々日に、朝一番でみえた。
今度は、一人で歩けるが、杖をついて治療室に入ってきた。
どうしたの?
「腰は楽になってきたけど、今度は機能の夜に下腹部が痛んで、朝には左の膝が腫れて歩けなくなった。杖をつかないと歩けない。何をしたわけではないのに…」
確かに膝が腫れている。

あなたの平熱はどれくらいあるの?
「35度5分前後かな…」
それじゃ37度以下でも、あなたにとっては熱があるってことじゃないの!

迂闊なことに、患者さんの申告をそのまま受け入れてしまった。
ここではじめて体温を計った。37度3分ある。感染症だろう。
このまま病院での検査をリクエストした。

翌々日、検査結果表を持参して、また治療にみえた。
白血球↑、赤血球↓、CRP↑、尿検査でも細菌混濁がある。
抗生剤を処方されて、「随分と楽になった」ようだ。
膝の腫れはまだあるが、ひとりで歩けるようになっている。

「あの腰の痛みは何だったんだろうと思うほどに、腰の痛みはなくなった。これからは風邪を侮らないようにします。あまり辛くて、このまま死ぬんじゃないかと思いました」。

「かぜ症候群」は「鼻かぜ」に重点が置かれているとされているようだが、今回の患者さんもいわゆる風邪症状は潜伏的に推移した。
ところが身体内部では細菌が繁殖していき、ついには筋や関節もターゲットにしたのだろう。
もっと早い機会に治療にみえていたら、早くに身体を立て直すことができただろうに、と思う。
重篤な疾患ではなくて、先ずはホッとした症例だった。
[PR]
by m_chiro | 2015-10-26 10:31 | 症例 | Trackback | Comments(0)
徒手医学会2015に学ぶ 「脳振盪の怖さを知っておこう」
2015年・日本カイロプラクティック徒手医学会(10.11~12:第17回学術大会)が東京で開催された。
私は最後のプログラムである「基調講演」の座長を仰せつかったので、その学びから得たことをまとめておこうと思う。
基調講演は、東京医科歯科大学・脳神経外科・准教授の成相直先生である。
テーマは「脳振盪の正しい理解とマネージメントのために」

「のうしんとう」という言葉には、「脳震盪」と「脳振盪」の2つの違った漢字が使われている。
「震」は「ゆれる」の意味があり、「振」には「ふるう」の意味がある。
「のうしんとう」には「振」の漢字を使うようにしている、という前振りで成相先生の講演がはじまった。

要するに、他動的に脳が振るわされることで起こる障害のことをさしている。
次の項目で1つないし2つ該当する項目があれば、脳振盪を疑うべきだとラグビーの「International Board」は注意している。

• 放心状態、ぼんやりする、または表情がうつろ
• 地面に横たわって動かない(起き上がるのに時間がかかる)
• 足元がふらつく(バランス障害または転倒、協調運動障害および失調)
• 意識消失、または、無反応
• 混乱、プレーや起きたことを認識していない
• 頭を「かかえる」又は「つかむ」
• 発作(痙攣)
• より感情的になる(ふだんよりイライラしている)
• 頭痛、めまい
• 意識混濁、混乱、または動きが鈍くなったような感じがする
• 視覚障害 • 吐き気、または嘔吐感 • 疲労
• 眠気 、霧の中にいる感じ、集中できない
• 頭が圧迫される感覚
• 光や音に過敏



脳への外傷を防ぐためだったらヘルメットを着用すれば解決すると思われがちだが、脳振盪は基本的に頭部へのコンタクトによって脳が振るわされることで起こる障害である。
もちろんヘルメットの着用は怠れないが、完全な防御にはならない。

それに意識障害がなければ安全だとは言えない。
軽傷であれ外傷性脳損傷である。
意識消失を伴う必要はないのだが、もし意識消失があったら特に慎重を期す必要がある。
こうしたことはコンタクト・スポーツに限らない。転倒して頭を打っても同様のことが起こり得る。

脳が振るわされると何が起こるのだろう。
最初に、振られることで軸索がストレッチされ、神経伝達物質が過剰に放出される。
するとイオンの流動が起こる。
Na、Kポンプが活性されて、血流が変化しなくてもグルコース消費が増えることになる。
代謝性の危機状態となるわけだ。


代謝危機の回復に要する時間は、1カ月から1か月半とみられている

脳振盪に遭遇したら、現場では「バランス・テスト」を行うべきである。

バランス・テスト:①利き足でないほうの足を後ろにする。②そのつま先に反対側の足の踵をつけて一直線に立つ。③両足に体重を均等にかける。④手を腰にあてる。⑤目を閉じて20秒間じっと立つ。
これでバランスを崩したら、眼を開けて元の姿勢に戻す。そして①~⑤を再び行う」



今年に入って、二人の日本人スポーツ選手の脳振盪でニュースになった。
一人はメジャーリーグで活躍している青木選手。
もう一人はラグビーの日本代表・山田選手。
山田選手はタンカーで試合場から病院に直行したが、翌日には元気な姿をTVが報じていた。
でも、「6段階復帰プログラム」に従って、復帰の準備をしていると本人が元気に話していた。
「6段階復帰プログラム」とは、もうプロのスポーツ競技では規則づけられているのだろうか。
もしかしたら、基本的にコンタクト・スポーツに限られているのかもしれない。
ラグビー協会では、脳振盪後3週間は試合出場停止のルールがあるようだ。

c0113928_14582812.jpg


このプログラム中に脳震盪関連症状が発症したら、またステージ1からのやり直しになる。
山田選手は、この復帰プログラムにしたがって順調に回復している、ということだった。

ところが青木選手は、復帰後の試合でめまい症状が起こり故障者リストにはいった。
一回目の脳振盪は、8月9日のカブス戦である。
149kmの速球を頭部にデッドボールを受けたのだ。
翌日の脳震盪テストではパスしたらしいが、12日にめまいの症状を訴え故障者リスト入りをした。
そして9月13日の復帰戦は、デッドボールによる脳震盪からから1カ月を過ぎている。
それでも再び故障者リスト入りをしたわけであるが、青木選手がどのような復帰プログラムを経て復帰したのかはよくわからない。
症状が慢性化すると今後の選手生命にもかかわる。
頭に二度目のインパクトを受けると、致死率50%といわれるほど2度目の脳震盪はこわい。

周辺からは「青木選手のめまい症状は頸椎障害ではないのか」、と憶測が飛び交っている。
そうかもしれないが、復帰プログラムで医師のOKがでなければ復帰すべきではない。
2度目のコンタクトは、選手生命どころか命取りにもなりかねないのだ。

やはりメジャー・リーグのスーパースターであったゲーリック選手は、筋委縮性脊索硬化症(ALS)と診断された。
ALSは、ゲ―リック病と言われるほどに有名になったが、今ではゲ―リックのALSは実は脳振盪後遺症による慢性外傷性脳症(CTE)ではないかといわれる。
歴史的に、ALSの発症に脳や脊髄の外傷が関与するとされるからだ。
ゲーリックは学生時代にフットボールの選手だったようだ。脳震盪の経験もあったのだろう。

CTEの発症には、「タウ蛋白」と「TDP-43蛋白」も関与することが分かっている。
もしも「TDP-43蛋白」が関与する病変が脊髄に起こると、臨床的には区別できない疑似ALSの病態が起こるのだそうだ。
そんなことから、ゲ―リック病は疑似ALSではなかったのか、といわれるようになった。
ムハメッド・アリはパーキンソン病になった。

とにかく、たびたび脳振盪を繰り返すことは、将来的にCTEの発症につながりかねない。
そしてCTEは、認知機能、情動・精神障害、運動神経障害(パーキンソン、疑似ALS)など広範におよぶ恐ろしい病となる。

青少年のスポーツの現場では、脳振盪の正しい理解が徹底していないために、深刻な病態を招きやすい。
注意が必要であると同時に、脳振盪に関する理解と対応をスポーツ関係者は学んでおく必要がある。
[PR]
by m_chiro | 2015-10-20 14:52 | Trackback | Comments(0)
花粉症にも喜ぶべき利点がありそうだ
東京大学の小西祥子氏が、「Clinical & Experimental Allergy誌」(オンライン版2015年9月14日掲載)した報告によると、花粉症患者にも喜ぶべきことがありそうだ。

「アレルギー持ちのミドル~シニア層はがん・全死因死亡が低い?」

花粉症などのアレルギー疾患の患者さんは、免疫機能に影響を及ぼして、死亡に関する特定の原因に対して保護的に作用しているらしい。

特に中・高齢の年齢層でのアレルギー持ちは、全死因死亡例の中で癌による死因死亡の割合が低いという。

この研究は、「こもいせコホート疫学研究」データを使用して行われている。
群馬県の2エリアに住む40~69歳の住民が、1993年から登録されて、2000年のフォローアップ研究から得られた花粉症の情報を基に、2008年12月までの死亡・転居情報を通して花粉症と死亡率の関係を調べている。

結果は、調査対象の12%(8,796例中1,088例)に花粉症の症状がみられた。
フォローアップ期間中の全死因で748人が死亡、そのうち外因性が37人、心血管性208人、呼吸器疾患で74人、悪性腫瘍329人の割合であった。

その中でも、花粉症患者では有意に全死因死亡の割合が低かった。

潜在的な交絡因子を調節した後、花粉症を有する患者では有意に全死因死亡の割合が低かった(ハザード比:0.57、95%CI:0.38~0.87)。
また、悪性腫瘍による死亡も同様の結果であった(ハザード比:0.48、95%CI:0.26~0.92)。

私も花粉症に悩まされるが、ちょっと苦しんだ分、喜んでもいい研究情報かな?
アレルギー持ちの人も、たまには喜んでもいいのかも...。
[PR]
by m_chiro | 2015-10-07 09:38 | 雑記 | Trackback | Comments(0)
発症要因は多様である
右肩が痛い、と言ってみえた婦人。
夜間に痛みで目覚める、のだそうだ。
もう一カ月近くになる。

でも日中は気にならないから、そのうち治ると思っていた。
確かに可動域も正常で、痛みもない。
左右の肩周辺の筋を触診すると、痛み右肩周辺の筋のトーンが相対的に緩い。

仰臥位になってもらったが、すぐに痛みが起こるわけではなさそうである。

右肩から身体フローが停滞しているところを感じて、その部位にタッチさせて検査をする。
鎖骨や小胸筋、胆嚢周辺….、どこにタッチさせても右肩周辺の筋のトーンに変化はない。

あれ??…と思って右肩から頭部へとフロー感覚を移動させて観ると、右のTMJでヒットした。
右の顎関節だ!
下顎を右から左へ側方偏移させることで、肩周辺の筋のトーンが抑制されているのだ。

「歯を治した?」

「2か月くらい前に、被せていた冠が取れたので新しく付け直した。でも、歯の具合は悪くないけど….。顎の異常で肩が痛くなるの?」

「右肩は寝ているときだけなんでしょう? 動かしても痛まないし、関節も正常に動いているよ」

「えっ..、なんで? でも、そう言われれば、そうだね」

「姿勢など筋のバランスを調整しているところは、体のあちこちにあるんだよ。顎関節もその重要な役割をしているから、顎の異常で問題が発生することはあり得るんだよ。歯を治してから、噛むことにも不都合なことは全然なかったの?」

「…..あ~、そう言えば、ジュースを飲んだとき、入っていた氷の塊を噛み砕いて、すごく痛い思いをしたことがあった。そういえば、その後から肩が寝ているときに痛み出したんだ…」

それで顎関節の治療を行う。
咬筋と下顎頭の位置を調整して、下顎が右側方偏移で正常に動く軌道を修正した。
右肩周辺の筋のトーンが、いい感じに戻ってきた。

街で患者さんのご主人に偶然会った。
家内がよくなった、今度は私もみてもらうよ!

身体の変調には何かわけがある。
それも実に多様である。だから身体機能の相関をみることは面白い。
いつも上手くヒットしてくれるといいのだが、人をみることは難しい。
その謎に向かって探求を続けたい。
うまく原因にヒットすると、治療家にとっても快感である。
[PR]
by m_chiro | 2015-10-05 09:17 | 症例 | Trackback | Comments(0)
2015「日本カイロプラクティック徒手医学会」(10月11~12日)
今年の「日本カイロプラクティック徒手医学会」は、10月11日(日)~12日(月)の2日間にわたって開催されます。

c0113928_1213337.jpg

今年も大変興味深いテーマが盛りだくさんです。

私は、東京医科歯科大学・准教授・成相直先生の基調講演で座長を務めることになりました。

大役ですが、頑張ります。


成相先生の講題は「脳挫傷の正しい理解とマネージメントのために」

脳機能神経外科領域の重要な最新の課題に関する内容になると思います。

「脳震盪」。

この聞き慣れた病名も、その実態や機序、その後の身体的あるいは脳への影響となると、ほとんど知られていません。

記憶に新しいところでは、羽生選手が試合前の練習で衝突し、脳震盪を起こしました。
でも、羽生選手はその後の試合に出場しました。
その対応をめぐって、医学的見解と選手の希望、連盟サイドやコーチとの間で、出場の是非の論争になりました。

また、大リーグで活躍している青木選手が頭部のデッドボールを受け、脳震盪の後遺障害で故障者リストに入りました。

頭への打撲は微少出血を起こすことがあり、それはMRIでもPETでも鑑別できないことがあるようです。
脳機能のイメージスキャンが使われるようになり、新しい知見がではじめました。
きっと「脳震盪」などによる脳機能のダメージが与える障害についての話が聞けるだろうと、
今から楽しみにしております。

ダニエル・アーメン博士のTED講演は、脳機能のダメージがコンタクト・スポーツだけでなく、トラウマや心の病からからも生じると説いていています。
日本語に起こした次の記事もとても興味深い内容です。


「精神病を”会話”で診断するなんてもう古い!」 83,000個の脳をスキャンしてわかった、精神病の正体

「2ヶ月で脳は生まれ変わる!」 専門家が語る、健康な脳をつくるために今すぐやるべき“5つの習慣”とは?


「瞑想するとリラックスする」はウソ! 6万人以上の脳をスキャンしてわかった、脳に効く生活習慣
[PR]
by m_chiro | 2015-10-01 12:06 | Trackback | Comments(0)



守屋カイロプラクティック・オフィスのブログです
外部リンク
カテゴリ
以前の記事
お気に入りブログ
最新のコメント
最新のトラックバック
ほとんどがMPSなんだけ..
from 心療整形外科
月経が再開した
from 心療整形外科
TPは痛みの現場ですらな..
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
脊椎麻酔後頭痛について
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
起立性頭痛
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
「5%の中に本当の椎間板..
from 心療整形外科
髄液循環系と揺らしメモ
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
医師はユニコーン(架空の..
from 心療整形外科
末梢神経の周膜と上膜にも..
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
また勉強になりました。
from 漢のブログ
ライフログ
検索