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部分と全体(幸田セミナーに学ぶ)
九州カイロプラクティック同友会の夏期合宿(7.25~26)に参加するために、会場となった大宰府に出かけた。折しも台風が接近中で、心配しながらの出発だった。

テーマは、「顎口腔系とその繋がり:Cranio-Mandibler Biodynamics:Part4」である。
歯科医師・幸田秀樹先生のセミナーで、今回は4回シリーズの最終回。
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セミナーは総集編ともいえる内容で進み、顎口腔系に対するテクニカルな内容がたくさん盛り込まれていた。
幸田秀樹先生は歯科医師であるが、徒手療法にも精通していて、その技量にも圧倒されるものがある。
的確で巧みな手技療法を織り交ぜてのセミナーとなった。

幸田先生が追及されていることは、部分と全体の繋がりにあるようだ。
身体の部分としての顎口腔系が、全身的な機能とどのように関連しているのかということである。
それを見事に披瀝したのが、昨年のカイロプラクティック徒手医学会(金沢大会)だった。
幸田先生はワークショップを担当されて、多くの参加者に感銘を与えてのである。

姿勢の変化、顔の変化、不定愁訴の変化など、さまざまな全身的な変化を写真で紹介されたのだったが、これにはカイロプラクターもあらためて驚かされたに違いない。

顎機能の器質的な問題に対しては歯科医師として手法対応をされ、機能的な問題には徒手療法でも対応するという。歯科医師としては稀有な存在だろう。

顎口腔系は、食を摂り、それを咀嚼し飲み込むだけの作用にとどまらない。
呼吸や発語など多岐にわたる機能を受け持っている。
そのことを解剖学的、発生学的、神経学的に読み解いて、その障害が全身の筋膜や筋、関節などにも波及して姿勢運動制御系に影響することを、様々な角度から検証を試みられたのである。
例えば、アキレス腱の緊張や橈尺関節の不安定性を、顎機能を調節することで変えてみせたりした。
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お互いに練習を繰り返し、顎口腔系という部分が全身的に繋がる影響を確認しながら、とても有意義なセミナーであった。

それでも、手技として我々が貢献できる範囲は、機能的要因による障害に限られてくる。
どうしても咬合などの器質的要因は、全身的な繋がりを知る歯科医師や口腔外科医の技量が必要になる。
幸田先生のような歯科医師と身近に接し、先生の歯科領域の考え方を拝聴できたことも有難い時間であった。

(続いて、私がモデルになって経験した奇妙な感覚を紹介しよう.....。)
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by m_chiro | 2015-07-31 00:09 | 守屋カイロ・オフィス | Trackback | Comments(0)
トリガーポイントなどの鎮痛に介入する現象って何だろう?
[ある症例から]
右臀部から足首までの下肢痛を訴えて、中年の婦人が治療にみえた。
睡眠中も度々痛んで目覚め、下肢を伸ばしていても痛みが起こる。
3日前から急に痛み出した。思い当たることもない。

どこか悪い病気だろうか、と不安げに聞いてくる。
患部を上にして側臥位にさせ、その痛みがどんな動きで起こるのか、脚の運動をさせてみた。
伸展と外転の動きで特に顕著である。
中・小殿筋からTPを探って、押圧するとジャンプ兆候の関連痛が起こる。
中殿筋と小殿筋にそれぞれ一か所ずつトリガーポイントがあった。

それぞれのポイントの深さに到達するまで感覚を差し込み(押力で入り込むのではなく)、その硬い部位に手の感覚が届くと、そこから動きがリリースされる方向に感覚を向けて待つ。
すると組織の同調作用が起こる。あるいは拍動が起こって、その後にフニャッと動き出す。
グリグリと揉むわけではない。
停滞した深部の組織が動き出す方向に感覚意識を向けているだけである。
これでもう一度、脚を動かしてもらう。
「アレッ、痛くない!」。

これは悪い病気ではなく、「筋・筋膜性疼痛症候群:MPS」という病態であること。
筋線維がダマのようになって、そこがトリガーポイントとなった下肢の方まで痛みが飛んで行く関連痛が起こること。
そんな説明をしていると、「トリガーポイントって、この間テレビでやっていました。このことなんですか。テレビでは鍼をしていたけど、触っても治るんですか?」
私はただ触っているわけではなく組織の干渉を引き出しているのであるが、揉んでも、押しても、鍼でも、トリガーポイント注射でも、いろんな方法が使われている。

でも即興的に痛みが消えたからといって、この病態は侮れない。
筋・筋膜の問題は動きによる負荷でまた痛みやすくなるからだ。
問題が発生するような反復する動作や、身体機能のアンバランスに注目して、在宅でできるストレッチやマッサージを指導することも回復に役立つだろう。

「SPINE」に、こんな報告がある。
“A Prospective, Randomized, Double-Blind Evaluation of Trigger-Point Injection Therapy for Low-Back Pain.”
「腰痛へのトリガーポイント注射療法の前向き無作為化、二重盲検評価」(ジョージ·ワシントン大学医療センター)

4週間の保存療法の後に、残存した63人の腰痛患者を対象にしたトリガーポイント注射治療の有効性を無作為化、二重盲検によって評価した論文である。
4つの異なるタイプの手法で評価している。
①はリドカイン注射、②はリドカイン&ステロイド、③は鍼治療、④冷却スプレーと経絡圧、である。結果、4つのいずれもが同程度の有効性を示した
要するに、トリガーポイントに直接機械的刺激を行っても同等の症状の緩和をみたわけで、注入薬物が重要な要因ではない、という結論である。

もう一つ「ランセット」からの報告。
“A control, double-blind comparison of mepivacaine injection versus saline injection for myofascial pain.”「筋・筋膜痛のための生理食塩水注射とメピバカイン注射によるコントロールの二重盲検による比較」

急性の局所的筋痛のある28人に0.5%メピバカイン局所注射を行ったグループ。
同タイプの症状を持つ別のグループ25人に対しては、同量の生理食塩水注射を行った。
その二重盲検比較によると、生理食塩水注射を行ったグループでは最初の注射の後の緩和がより多く見られた。
しかしながら、両群に有意な差はなく同様の緩和がみられている。
痛みが緩和する可能性を考えると、単に局所麻酔薬とは考えられない。
もしかしたら、注射針を刺入することで、痛みの緩和が起こるのかもしれない。

薬物の副作用の可能性を考慮すれば、生理食塩水は局所麻酔薬より適した流体と考えられる。
そう結論付けている。

さて、いったいトリガーポイントや筋・筋膜の障害による鎮痛・緩和にどんな作用が介在するのだろう。
機械的刺激も刺激の強度に関係なく、皮膚接触から強刺激まで様々な手法があり、それぞれが効果を上げているという。鍼では深部の組織に直接的に介入する方法もあるようだ。
注射も局麻剤でなくても、生理食塩水でもいいらしい。
要するに何でもありの様相である。

そこには何か共通する条件があるに違いない。
それを探りながら、私は今、細胞の流動性(フロー現象)に関心を持っている。
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by m_chiro | 2015-07-23 15:58 | 膜系連鎖 | Trackback | Comments(8)
身体バランスと競技パフォーマンスの向上
中学2年生の水泳選手、地区大会を目前にして左膝が痛みだした。
無理に練習しているうちに少し腫れぎみになる。

大腿四頭筋のMMT低下、左膝鵞足部に痛みを訴えている。
左足関節の底屈運動でも同様に痛む。
膝窩筋部にジャンプ兆候の圧痛もある。
両膝とも反張膝傾向になっているが、水泳選手に特有のものだろう。

距腿関節のアライメントを調整する。
膝窩筋のTPにカウンター・ストレイン、そして膝蓋靭帯の横軸の緊張差を修正する。
鵞足部の筋膜をリリース。

再現性を確認するために運動されると、左膝の運動痛は気にならなくなっている。

更に姿勢運動制御系を診ると、前後軸(Roll)における左傾斜がある。
膝痛が原因になって起こったのか、それとも前後軸偏移が起こって膝痛を引き起こしたのか、よく分からないがL5-LS(L4-5間の筋の過緊張)をターゲットに調整した。
その調整は、L4-5間の筋線維に低振幅牽引アジャストを用いた(Aα神経線維に興奮性の入力)。
これで代償されていた頭位左傾斜もリリースされた。
MMTで筋バランスもよくなっている。

大会が終わって、結果の報告をいただいた。
初めての「優勝」だった。
学生が競技で良いパフォーマンをやってくれると、治療者としても嬉しい限りである。
励みにもなる。
また、更に上を目指して頑張ってほしい。
私もよりよい治療を目指したい!
そう思う。
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by m_chiro | 2015-07-14 17:10 | 症例 | Trackback | Comments(0)
奇妙な体験:身体枠は伝搬する!?
○○先生のセミナー(7.5~6)で、奇妙な体験をした。
「身体枠を創る」のワークで、○○先生がデモをして見せてくれた。
私の練習相手になっていたT先生がモデルになる。
立位のT先生を前後左右から押すと、彼の身体がぐらつく。
○○先生が、その身体に身体枠を創るワークを行った。

すると、彼の身体をグラつかせるように押しても頑強になっていてブレない。
ボディにパンチを入れても、蹴りを入れてもブレない。

そんな身体枠が創られたT先生と私は、お互いに身体をぶっつけ合った。
体当たりをするようにぶっつけた。
上腕部から横にパンチを入れるように叩いてみた。
お互い、そんなことをしながら身体のブレ方を観てみたのである。

T先生の身体は頑強にブレない。
そんなことを確認し合っているうちに、私の身体もブレなくなった。

終わってお昼の休憩になり、2人でお弁当を買いに近くのスーパーまで歩いて出かけたのである。
歩いているうちに、二人で「アレッ…」と思った。
歩行がシンクロしている。
並んでも、前後になっても、同じリズムの歩行になる。
テンポをずらしても、また同調する。
まるで軍隊の行進のように見事にシンクロする。
二人で顔を見合わせて、おもわず笑ってしまった。

身体枠は伝搬するのだろうか。
なんとも奇妙な体験だった。

治療でも、無駄な所作や刺激がとても少なくなってきて簡略になっていくのを感じている。
これも、治療者と患者さんのシンクロナイズの顕現化なのだろうか…..。

よくわからないが、とても奇妙と言うか、面白いと言うべきか、不思議な体験だった。
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by m_chiro | 2015-07-11 14:05 | 守屋カイロ・オフィス | Trackback | Comments(0)
「結果オーライ」か、合目的な所作によるものか
7月5~6日は京都に出向き、○○先生のセミナーに学んだ。
今回は基本的なことを含めて、盛り沢山の気づきを得たように思う。
こうした基本的な所作を教わることは、練習でも大事なプロセスである。
が、「結果オーライ」で良し、としているだけでは成長できないのだろう。
そんな思いを強くした。

例えば、教わった方法を練習するにしても、どうしても初めは所作の形にばかりに意識が向いてしまう。
それでも、厄介なことに変化を感じる。
こうした変化や結果は、必ずしも合目的性に合ったものとは限らない。
プラセボも含めて他から影響が介在することがあり得るからである。

私も練習中に○○先生のご指導を受けた。
私が行った練習での身体反応と、○○先生が行ったそれとは全く別物なのだと気づいた。
いろいろ教えられたことを総括すると、行った所作が目的に添っているかどうか、そこに練習での大事なポイントがあるように思えた。

生命も弁証法的に進化する。
合目的性があるかどうかは一つのカギなのだろう。
生体への刺激を行う治療も、合目的性への意識が欠けていたら「結果オーライ」で終えてしまう。
練習とは、その気づきが基本的に大切なのだと、あらためて思い知らされたのである。

在宅での鍛錬として行っていた「身体枠を創る」ことも、「如意棒」(勝手に私が名付けているのだが…)トレも、ただ漫然と行っていただけだったのかもしれない。
「身体の保ち方」、「意識の在り様」、「所作の合目的性」、これを三位一体として鍛錬を積み直したいと思う。
それがないと、階段を昇るように成長できないのだと覚悟した。

治療家人生も終わりが近づいてきて、これまでとは全く違った学びがはじまった。
この先どこまで身につくのか分からないが、私の先の猶予もたかが知れている。
理論的な根拠は自分なりに整合させてみたし、後はただ学びを得たことに感謝しながら、感覚の鍛錬を積んでいきたいと思う。

セミナーから帰って、とても心身の動揺がない静寂な自分に気がついた。
頭の中の質感もない(もともと中身は稀薄ではあるのだが….)。
緊張状態を感じていないのだろう。
これまで五感をめぐらして、知識や経験と照合しながら分析的に治療にあたってきたが、やたらに心身は緊張状態の中にあったのだろう。
そこへ、もうひとつ「直観」を意識するようになったら、そうした緊張状態も薄れていったのかもしれない。
なぜかは分からない。
分からないことがあると、それを追及しないでおれなくなるのだが、でも、わからないことがあっても当たり前なのだ。
だから.....、のんびり行こう…..。
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by m_chiro | 2015-07-10 14:06 | 守屋カイロ・オフィス | Trackback | Comments(0)
浄瑠璃寺(7.5、京都にて)
セミナーで(7.5~6)京都へ。

セミナー開始までに時間があったので浄瑠璃寺を訪ねました。
浄瑠璃寺の命名は、創建時の本尊が薬師仏であったことに由来してつけられたそうです。
薬師仏の浄土は「浄瑠璃世界」で、東方浄土を救う教主とされています。
三重塔に祭られているのだそうですが、拝観はできませんでした。
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その三重塔の前に池がありました。
池の向こう岸(彼岸)である西方には「九体阿弥陀仏堂」があり、その九体の阿弥陀仏が楽土(西方未来の理想郷)へ迎えてくれる来迎仏として控えている、という配置になっています。
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薬師仏に促されて現世に出る。
釈迦の教えに従って煩悩の河を渡り、彼岸の未来を目指す。
すると阿弥陀仏に迎えられて西方の楽土に至る、というわけですね。
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阿弥陀堂の鬼瓦

煩悩世界の池には、鯉や亀などが棲息していました。
池の縁に立つと、鯉や亀が集まってきて大きな口を開けて餌の催促です。
雨上がりの樹では、カタツムリが這い上がっていきました。
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薬師仏の苦悩の救済のご利益を得て、セミナーでよき学びが得られますように.....。
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by m_chiro | 2015-07-07 17:46 | 雑記 | Trackback | Comments(0)



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