<   2013年 09月 ( 7 )   > この月の画像一覧
もしかして、あの腰痛は関連痛だったのだろうか!?…
2年ほど前から腰痛に悩まされるようになった女性。
重い物を持ったり、階段の昇り降りなど、よく動いた後に増悪する痛みである。
朝起きるときも、しばらく辛い。
整形外科では骨粗鬆症と診断され治療中でもある。

腰部の可動動態は骨盤の左側方移動がスムーズで、その他の全方向における可動動態で腰痛があり、体幹伸展と骨盤右側方移動の動きに可動制限がある。
姿勢制御系を調整して、右鎖骨胸骨端の固着をリリースした。

数回の治療で動きも改善し、腰痛も解消した。
ところが腰痛が消えたと思ったら、今度は心窩部の周辺が重苦しくなってきたと言って、また治療にみえた。

胆嚢周辺膜のトーンが高くなっていて、逆に心窩部のトーンは下がっている。
内圧を追うと心窩部に停滞を感じる。心窩部を触察すると不快感がある。
緩解因子はない。
彼女はストレスも抱えていたので、もしかしたら胃炎でもあるのでは?….。
そんな状況で、内科での受診を勧めた。

胃カメラでは、病理的所見が見つからなかった。
ところが超音波造影では、胃の後方に影があるとされた。
それでMRIの予定が組まれた。その結果は「リンパ腫」だった。

1週間の入院検査が行われたが、結局は大学病院に転医してPETによる検査が行われた。
そこで「腹部の悪性リンパ腫」と確定診断が出された。

もしかして、あの腰痛はリンパ腫からの関連痛だったのだろうか…。
思わぬ隠れた病態があるものだ。
疑わしい症状や病的徴候に出会ったら、医療との連携を視野に入れておくことは欠かせないのである。
[PR]
by m_chiro | 2013-09-30 18:24 | 症例 | Trackback | Comments(0)
虫垂炎、触診手技
昨日の記事「ベッドサイドの話題から、虫垂炎の典型例を学んだ」に、sansetu先生がコメントでERのドクターのブログ記事を紹介してくれました。

とても分かりやすく、勉強になります。

以下のタイトルにクリックしてみてください。

「救急医の挑戦 in 宮崎」より
「虫垂炎~盲腸の診断は奥が深い~」の記事。

この記事の中に、下のブログ記事で虫垂炎の触診手技が書かれていました。
参考までに。腹部の触診や圧痛検査にも応用できそうです。
target="_blank">"H Panji Irawan:Pemeriksaan Appendicitis"より

The Posas Sign:右大腿の受動的伸展(患者は左側臥位)
c0113928_142238.jpg

検者が患者の右腰部にカウンターの抵抗をかけてるときに、患者は右大腿を進展させる。
その時に大腰筋が伸張されて虫垂部が刺激される。

c0113928_14224210.jpg


The obturator sign大腿屈曲位からの受動的内線による痛み(患者仰臥位)
股関節屈曲、大腿内旋位で、検者は大腿骨が内旋するのを膝外側の黒い点で抑え、その間に患者は下腿を速報に動かすときに傷みが出る。
c0113928_14231125.jpg

炎症を起こしている虫垂は、検査による動態で内閉鎖筋のストレッチによって接触刺激で痛みが起こる。
c0113928_14241031.jpg


反跳痛を引き出す触診手技

c0113928_14263054.png


腹部の触診法
c0113928_14255529.jpg

[PR]
by m_chiro | 2013-09-26 17:11 | 症例 | Trackback | Comments(0)
ベッドサイドの話題から、虫垂炎の典型例を学んだ
患者さんに聞いた話。ご自分の20代の息子さんのことでした。

その息子さんが強烈な腹痛と吐き気に襲われ、救急診療科へ。
担当の医師は消化器科のドクターだった。そして、このドクターは「食中毒」と診断した。抗生物質等を処方し、「これでよくなるだろうから、明日は会社に出でても大丈夫!」と断じた。

「食中毒」と言われても、家族と同じものを食べたのに「なぜ自分だけが….?」

腹痛や吐き気は治まるどころか一層悪化。
あげく、墨汁のような便が出だした。
翌日の早朝に、前医の病院に電話で状況を説明したところ、「すぐに来るように」指示される。それでも診察が始まるまで、待合室で辛い時間を待たされる有様だった。

診察したドクターは前医とは別の消化器科の先生で、カルテを見て「食中毒か…」。
墨汁のような便は「悪いものが出るのだから大丈夫、白血球数も下がってきている」と言って問題視されなかった。

帰宅してもドンドン具合が悪くなっていき、その息子さんは「ぼくは死ぬんじゃないか!」と言い出す始末。お腹は膨満してきて、夜になって堪らずに再び救急診療科へ。

その夜の担当医は外科医だった。
診察するなり「これは大変だ!」、盲腸が化膿して破裂し、腹腔中に膿が….。
すぐに手術しなければならないが、病院に今、麻酔医がいないので、近くの手術可能な病院に搬送するからと、急遽その外科医も同乗して手術することになった。
幸い、快方に向かっているとは言え、命に係わる大失態だった。

腹部の触診もなかったそうだから、もしもそれが事実なら食中毒と予断して診察のプロトコルを省いた大失態である。それでも触診すれば虫垂炎が確実に確定できるわけでもないだろうが、特に外科医は際どいところでの診断が求められている。

虫垂炎の判断は、マックバーネー点の身体反応から推定するという古典的な手法がある。
しかし、症候は必ずしも典型的にパターン化されて現れるとは限らない。

基本的には右下腹部の「圧痛」と「反跳痛」を確認するようであるが、他の疾患が否定されていれば先ずは「虫垂炎」とみなすのが原則のようである。

もしも画像で確認できなくても、開腹して目視することで初めて「虫垂炎」と確定されることもあるらしい。
そうなれば、疑わしきは開腹してからの確定となるのだろう。

「診断は正確に!」と言っても容易な話ではないということだが、今回のケースで「食中毒」の確定は、いったい何を根拠にしたのだろう。
腹痛、嘔吐の訴えに、どう対応したのだろう。
虫垂炎は頻度のとても高い腹痛にはじまる。触診もしなかったなんて想像できない。

もしも、我々がそうした患者さんに遭遇したら、どう対応すべきなのだろう。

典型的なパターンは、食欲低下にはじまり、心窩部の痛みや臍周囲が間欠的に痛むようになり、悪心や嘔吐が起こる。
嘔吐が腹痛に先行することはまずないとされ、痛みが右下腹部に移動してくるようになると微熱がでるようになる。
もしも穿孔があったりすると高熱を伴ったりする。


これが虫垂炎の典型的な徴候とされているようだが、必ずしもパターン通りではなく、腸炎との鑑別診断に悩まされるのだそうだ。
それだけ誤診も多いのだろうが、典型的パターンであれば誤診はまずないとされている。
今回の話題の症例は、典型例を触診もせずに誤診したのだろう。悲惨なことだった。

だから、①典型例か否か、②右下腹部の圧痛と反跳痛の身体所見があるか、典型パターンでは、これが決め手となるのだろう。

仮に心窩部の痛みや臍周囲の訴えであっても、右下腹部の圧痛を確認したら躊躇うなかれだ。
病的サインを確認したら、医療機関との連携を視野に入れておかなければならない。

幸いにも、私の虫垂は、いまだ健在である。
[PR]
by m_chiro | 2013-09-25 17:17 | 症例 | Trackback | Comments(4)
アトピー性皮膚炎:副作用のない新治療薬の開発なるか!
皮膚を保護するタンパク質(フィラグリン)。
その働きを強める化合物が見つかった。
この化合物はフィラグリン蛋白を強化してアトピー性皮膚炎の症状を改善させる働きあるという。

発見したのは京都大学の椛島健治 医学研究科准教授、大塚篤司 チューリッヒ大学病院皮膚科研究員(当時、京都大学次世代免疫制御を目指す創薬医学融合拠点研究員)である(9月18日、米国科学誌「The Journal of Allergy and Clinical Immunology」誌に掲載)。

c0113928_10335047.jpg

皮膚のバリア機構を担うフィラグリンは、ほぼすべてのアトピー患者で低下がみられるようだ。
フィラグリンには皮膚の保湿効果があり、このフィラグリン蛋白を増やす化合物の発見は世界の研究者間での競争でもあった、という。
c0113928_10354228.jpg

その1か月ほど前には、兵庫医科大学と三重大学のチームが、皮膚などにあるタンパク質「インターロイキン33」(IL33)が過剰に生み出されるとアトピー性皮膚炎の発症につながることを、マウスの実験で明らかにした(8月5日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表)。

その前の7月31日には、大阪大大学院 医学系研究科の室田浩之講師(皮膚科)らのチームが、かゆみなどの症状を引き起こす化学物質ヒスタミンが、発汗を抑えて皮膚を乾燥させるなどし、病状を悪化させることを突き止めている。

アトピー患者は発汗量も通常の半分くらいしかないのだそうだ。
アレルギー疾患や発汗異常の診療に役立つと期待されている。

アトピー性皮膚炎に関わる研究が続けてヒットし、患者さんには一日も早い副作用のない新薬の開発が待たれるところである。
10年後をめどに実用化を目指すとしている。
[PR]
by m_chiro | 2013-09-22 10:36 | 雑記 | Trackback | Comments(0)
「背中に右手を回せない」
ダンスをしている女性。
右手を背中の方に回せない。
下着のホックを止め外しするときに、右の三角筋中前部が痛む。

上腕の伸展・回内運動による筋・筋膜の動作痛である。

痛みの出る動作肢位から身体内部の停滞軸のベクトルを追うとT6方向にある。

今度はT6から解除ベクトルを追うと、上前(AS)方向でリリースされる。
そのT6上前方向に刺激を入れて内圧停滞軸をリリースする。

再度、動作痛を確認させると動かせる、痛くない。
筋・筋膜痛の解除キーは、必ずしも痛む筋に取らなくても解消できる。
身体内部の圧力勾配を探りながら、そのベクトルを追う観方も、思わぬ関連痛の出所を読み取れることがある。

だから、時に関連痛はおもしろい。
[PR]
by m_chiro | 2013-09-12 18:21 | MPS | Trackback | Comments(0)
間柄を意識するということ
carenetからの記事から。
「人は他人の痛みがわかる」
c0113928_8465977.jpg


親しい人は、自分の一部になる。
だから痛みも共有できる。

脳の研究からの知見である。
米バージニア大学心理学教授のJames Coan氏らの研究で、その論文が「Social Cognitive and Affective Neuroscience」8月号に掲載された。

他人の痛みを共有することはできない。
それでも、信頼できる親しい人や、愛する人の痛みを共感することはできる、ということのようだ。

それは「自分」という個から、「自分たち」という感覚的一体感を感じている時間を生きているときに生まれるのだろう。

真の「絆」には、信頼と親近感が欠かせない。
それがまた人間の「生き延びる能力」を強めるのだという。

「人」は個という単数形でもあるが、「人間」といえば「間」という言葉が入る。
「間」とは、「間柄を意識する」ということではないだろか。

だから、人間は「間柄」を意識して生きていく。
そんな生きものでもある、ということだろう。
[PR]
by m_chiro | 2013-09-11 08:39 | 雑記 | Trackback | Comments(0)
「解体新書」再び
私が「解体新書」の初版本らしきものを初めて見たのは、秋田県角館の武家屋敷の桜並木を見に行った2010年5月のことだった。

c0113928_1504518.jpg

c0113928_1592240.jpg


そのときのことをブログの記事にした(「桜を求めて角館へ」 ③角館・青柳家と「解体新書」

あれから3年が過ぎて、先日みえた患者さんが新聞の切り抜き記事を持ってきてくれた。
その患者さんは秋田県からみえた方で、記事は読売新聞の秋田版9月5日のものである。

c0113928_1523682.jpg


日本で最初の西洋医学の翻訳書である杉田玄白の「解体新書」、その挿絵を担当した小田野直武の話だった。
「解体新書」は「ターヘルアナトミア」の翻訳本とされているが、10冊ほどの西洋の解剖書が参考にされて完成した日本では最初の解剖書だとされている。

私がブログで書いた記事のことを覚えていて、有難いことに気に留めてくれていたのだろう。

小野田直武(1749~1780)という人は秋田藩・佐竹北家角館の武士である。
平賀源内に師事した画家でもある。
その源内の紹介で「解体新書」の図版の原画を描くことになった。

小野田直武は「解体新書」の開版(1774)まで半年という短期間に、挿絵を描きあげたのである。
藩命を受けて、それが江戸での最初の仕事だった。日本学術史上に残る仕事だ。

養老猛司先生は、「解体新書」の出版を日本の解剖学の近代化と位置づけている。
そして直武の挿絵も、翻訳作業のひとつとして評価していた。

この「解体新書」の初版本は、角館・武家屋敷「石黒家」12代当主の所蔵だという。
とすれば、ブログ記事で紹介した青柳家の庭園内にある「ハイカラ館」で展示されていた「解体新書」は、はたして初版本だったのだろうか。

小野田直武にはミステリアスな逸話が多くある。
最大のミステリーは直武の死をめぐる経緯だ。
直武は「解体新書」の挿絵で大出世するのだが、その4年後に佐竹藩は直武に無期限の自宅謹慎処分を言い渡す。

一方、直武を画家として紹介した平賀源内が獄死し、直武も謹慎処分の身で謎の死を遂げる。
34歳だった。
あまりにも若い死であったが、その死を巡っては他殺説など、さまざまに憶測されている。
記録も少ない。
功労者が、なぜ謹慎処分にされたのか、その短い生涯が一層ミステリアスにしているのかもしれない。
[PR]
by m_chiro | 2013-09-09 15:08 | 雑記 | Trackback | Comments(0)



守屋カイロプラクティック・オフィスのブログです
外部リンク
カテゴリ
以前の記事
お気に入りブログ
最新のコメント
最新のトラックバック
ほとんどがMPSなんだけ..
from 心療整形外科
月経が再開した
from 心療整形外科
TPは痛みの現場ですらな..
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
脊椎麻酔後頭痛について
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
起立性頭痛
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
「5%の中に本当の椎間板..
from 心療整形外科
髄液循環系と揺らしメモ
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
医師はユニコーン(架空の..
from 心療整形外科
末梢神経の周膜と上膜にも..
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
また勉強になりました。
from 漢のブログ
ライフログ
検索