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六然社・直伝講習(9.19)「復習Guide ③」
参加者のために「復習のためのガイド」を記しておきます。

③ 小脳による誤差修正作用による適応系

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上の図(伊藤正男先生の著作より転載した)を見ると、眼前に一本の指がある。
この指を左右に振ると、それを見ている眼からの情報は「ブレている指」の映像となる。
逆に、眼前の指を動かさずに頭を左右に振ってみよう。
すると、指は静止したままの状態として映しだされる。

これは網膜からの像に対して、頭位の動きに応じて眼球が頭位と逆方向に動くことで像がブレないように調整されるからである。
この調整は、前庭器官と頭位の動きと網膜からの情報を、小脳の誤差修正機能を介して行っていることになる。

もう少し具体的に辿ると次のようになる。
前庭器官は頭と首の動きを受容する。すると前庭核にその情報を送って、映像がブレないように眼球を逆方向に動かすようにする。

ところがこの回路網には、眼球から前庭器官のフィードバックあるいはフィードフォワード経路は存在しない。要するに自分で誤作動を修正する能力は装備してないわけだ。

そこで、この前庭動眼反射の経路に小脳片葉(系統発生的に古い小脳)に前庭系神経核群の延長部分が挿入されている。反射の正確性を補完するためなのだろう。
こうして前庭系の反射は正確性を高めて、姿勢制御や抗重力筋の制御を行っている。

図からも分かるように、前庭からの信号は苔状線維から小脳の平行線維に入り、プルキンエ細胞に入力される。

プルキンエ細胞からの出力信号は前庭系核に入り、動眼神経(Ⅲ)を興奮させ、逆側の滑車神経を(Ⅳ)抑制して眼球を頭位と反対方向に動かすのである。

このことで外界からの映像はブレることなく認識される。頭の動きに応じて、適当なだけ逆方向に眼を動かすのである。動き過ぎても足りなくても用をなさない。

しかし、ここで網膜からの誤差が生じると、一個のプルキンエ細胞に登上線維(たった1本だけ存在する入力線維)から「誤差修正せよ」の信号が入る。実は、おもしろいことに、プルキンエ細胞という出力系の細胞には、入力線維の入り口が2つあることになる。

するとプルキンエ細胞は、もう一つの入力線維である平行線維(1個のプルキンエ細胞に約8万のシナプスが入る)からの関連情報を長期的に抑制する。この抑制に働くのがグルタミン酸である。

このことでプルキンエ細胞は登上線維からの情報を優先して前庭核に信号を送り、誤差の修正が行われるのである。

姿勢制御や運動系に関する小脳の役割には注目である。
こうした誤差修正を行って適応させている小脳の働きを、治療で利用することは運動認知に欠かせないアプローチでもあるだろう。
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by m_chiro | 2012-09-30 10:17 | カイロプラクティック | Trackback | Comments(2)
蜉蝣(かげろう)という虫
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庭に出していた鉢物の葉裏にとまっていた見慣れぬ虫をみかけた。
よく見ると、「蜉蝣(かげろう)」のようだ。
蜉蝣という虫には、実に儚く短い一生を生きるというイメージを持っている。
それも蜉蝣は蜉蝣なりの生きざまなのである。
酒田出身の詩人・吉野弘さんの詩に「I was born」という詩がある。
この詩に、蜉蝣の逸話が登場する。
生命の誕生や生きるということに想いを巡らせる詩である。
蜉蝣を葉裏に見つけて、吉野弘さんの詩「I was born」を思った。


I was born
          吉野 弘

確か 英語を習い始めて間もない頃だ。

或る夏の宵。父と一緒に寺の境内を歩いてゆくと 青い夕靄の奥から浮き出るように 白い女がこちらへやってくる。物憂げに ゆっくりと。

女は身重らしかった。父に気兼ねをしながらも僕は女の腹から眼を離さなかった。頭を下にした胎児の 柔軟なうごめきを 腹のあたりに連想し それがやがて 世に生まれ出ることの不思議に打たれていた。

女はゆき過ぎた。

少年の思いは飛躍しやすい。 その時 僕は<生まれる>ということが まさしく<受身>である訳を ふと諒解した。僕は興奮して父に話しかけた。

----やっぱり I was born なんだね----
父は怪訝そうに僕の顔をのぞきこんだ。僕は繰り返した。
---- I was born さ。受身形だよ。正しく言うと人間は生まれさせられるんだ。自分の意志ではないんだね----
その時 どんな驚きで 父は息子の言葉を聞いたか。
僕の表情が単に無邪気として父の顔にうつり得たか。それを察するには 僕はまだ余りに幼なかった。僕にとってこの事は文法上の単純な発見に過ぎなかったのだから。

父は無言で暫く歩いた後 思いがけない話をした。

----蜉蝣という虫はね。生まれてから二、三日で死ぬんだそうだが それなら一体 何の為に世の中へ出てくるのかと そんな事がひどく気になった頃があってね----
僕は父を見た。父は続けた。

----友人にその話をしたら 或日 これが蜉蝣の雌だといって拡大鏡で見せてくれた。
説明によると 口は全く退化して食物を摂るに適しない。胃の腑を開いても 入っているのは空気ばかり。見ると その通りなんだ。ところが 卵だけは腹の中にぎっしり充満していて ほっそりした胸の方にまで及んでいる。

それはまるで 目まぐるしく繰り返される生き死にの悲しみが 咽喉もとまで こみあげているように見えるのだ。淋しい 光りの粒々だったね。私が友人の方を振り向いて<卵>というと 彼も肯いて答えた。<せつなげだね>。そんなことがあってから間もなくのことだったんだよ。お母さんがお前を生み落としてすぐに死なれたのは----。


父の話のそれからあとは もう覚えていない。ただひとつ痛みのように切なく 僕の脳裡に灼きついたものがあった。
----ほっそりした母の 胸の方まで 息苦しくふさいでいた白い僕の肉体----

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by m_chiro | 2012-09-28 08:33 | 守屋カイロ・オフィス | Trackback | Comments(0)
六然社・直伝講習(9.19)「復習Guide②」
参加者のために「復習のためのガイド」を記しておきます。

② すべては小脳にリレーされ、
   身体の動きに適応される


姿勢制御系にかかわる運動系の基礎となっているのが反射系である。
身体には多くの反射系がプログラムされている。
外部環境の変化あるいは身体内部の刺激が受容器に感知されると、それは脊髄から中脳の反射中枢に伝えられる。

その信号は情報処理されて出力される。運動系では筋肉の効果器へ、自律系では腺などへ出力して身体に表現されることになる。
これらの反射系は、無意識の自動調節システムで調整されているのである。
これは比較的単純なものであるが、更に複雑な仕組みが複合運動である。
この他にも、情動によって駆動する生得的行動のプログラムも存在する。

これらの基本的な機能系は、どちらかというとメカニックに行われる。
そのため種の保存という戦略を実現するためには、上位からの調節系によってメカニックな機能を補完する必要があるのだ。
脳研究の世界的な権威である伊藤正男先生は、上位調節系として4つの機能を想定している。
以下に、その要点を紹介しておくことにする。

ひとつには、大脳基底核によって多くの動きが整理されることで安定性がもたらされる。
舞踏病やパーキンソン病などは、大脳基底核による運動整理機能が壊れた病気ということになる。

2つめは大脳辺縁系による目的性である。
これは運動に目的が備わることで、帯状回は動機づけの中枢でもある。
3つめは、脳幹が行う睡眠と覚醒のプログラムで、4つめは小脳である。

小脳適応性に働く。
環境状況に合わせて刺激に対する反応系を修正する役目である
したがって、すべては小脳にリレーされて誤差が修正され、あらゆる条件に適応するために働いているのである。

治療家にとっても、小脳の果たす役割を十分に意識して治療に取り組むことが重要であると思う。
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by m_chiro | 2012-09-27 07:10 | Trackback | Comments(2)
公的研究機関との共同研究の道筋がみえてきた印象深い学会
「第14回・日本カイロプラクティック徒手医学会」盛会裏に終わる!

9月22日(土)~23日[日]の二日間にわたり、仙台市の情報・産業プラザ・多目的ホールで開催された「第14回・日本カイロプラクティック徒手医医学会」が盛会裏に終了しました。大会長を務められた小倉毅(DC、PhD)先生の奮闘に負うところが大きかった学会だったと思います。
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若い学生さんが多く、いつもと違った雰囲気と活気のある学会でした。特に印象深かったのは、基調講演や一般講演に東北大学サイクトロン・ラジオアイソトープセンターとの共同研究を進められてきた小倉先生との協力関係で実現できた演題があったことです。小倉先生のご尽力に感謝です。

東北大学サイクロトロン核医学研究部からの報告は、私にはとても興味深いものでした。講演された田代学教授は基調講演「代替医療の臨床研究で用いられる画像診断技術」についての中で、カイロプラクティックによる刺激がPET画像上に現れる関連性を解析された例を紹介していました。その中に、とても強く印象づけられた報告がありました。

それは免疫細胞であるNK細胞が、健常者ではどの部位に活性が見られるかというもので、
田代教授の報告によると「右の運動野と視覚野」だというのです。これはとても興味深い報告でした。視覚系における眼球支点の片寄が問題になるのでしょう。

右の視覚野ですから左眼球からの情報と運動からの情報に問題がありそうに思いました。そこからの情報系に不均衡が生じることは、身体機能の面でも問題が発生しやすくなるのではないだろうか、と推測したわけです。

臨床の現場で、患者さんの眼球運動と頭位・頸部の回旋による代償性をみていると、多くの人が右水平方向に片寄りがあり、それを代償するために頭位を左に回旋させて使っている人が多くみられます。こうした患者さんは左眼球の頚眼反射に弱点があり、それを代償せざるを得ない頭位と眼位、頸部の回旋位を保つようになるのではないかと推測しました。
この報告は、今学会での私の一番の収穫でした。

一般講演でも「サイクロトロン核医学研究部」からの「頸部痛に対するカイロプラクテッィック施術後の骨格筋糖代謝変化 [18F]FDG PET研究」の報告がありました。こうした公的な研究機関との共同研究の流れが、とても印象に残った学会でした。

東北大学の大学院医学系研究科の教授である、あの大隅典子先生の特別講演までが公開講座として用意されていました。「いくつになっても脳細胞は作られる!」がテーマでした。現代社会でクロージアップされている「心の病」が、脳の可塑性の問題から、記憶や学習による神経再生、そして神経機能に与える影響について、画像による解析と分析を通して心的エネルギーとの関わりが述べられていました。

Dr.ジェンシーが生前に強くアドバイスしていたことがありました。それは「公的研究機関と共同研究をすること」でした。

その流れが小倉先生のご尽力で道筋が作られていることを感じながら、心地よい疲労感を感じて終えた学会でした。
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by m_chiro | 2012-09-25 12:48 | カイロプラクティック | Trackback | Comments(0)
六然社・直伝講習(9.19)「復習Guide ①」
参加された方々のために「復習のためのガイド」を記しておきます

①ヒトの空間認知能力

人間の能力で何が凄いかと言ったら、おそらく誰もが「もちろん高次能力」と答えるだろう。現代の高度の文明や文化を築いたのも、この高次の能力に負うところである。だから異論はない。
でも、この能力って脳の進化に伴って増築されてできた脳の領域が担っているのである。だからと言って、その能力の凄さが下がると言うものではないが、それでもよく考えてみよう。
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ヒトの進化のプロセスの中で、二足歩行を成し遂げた生物学的な特性の中での凄さは、何と言っても環境空間における立ち位置を認識する能力にあるだろう。

その空間認知は、どのようにしておこなわれているのか。それを理解することが、すなわちヒトの姿勢制御系を知ることでもある。

こうした空間における自己認知のシステムは、情報処理系としてプログラムされている。

このプログラムは、脳に対する入力刺激を神経学的に統合するかたちで機能しているのである。それは反射的な運動制御として、筋肉に出力されるプログラムとなっている。

このプログラムは強いものではあるのだが、実は危うい。だから神経学的に代償されることで統合しようとする。その結果が、姿勢の歪みであったり、機能的な不均衡として出力されるのである。

治療家は、ともすると表現された身体的に代償された結果にアプローチするわけだが、ここは視点を変えて神経の入力情報から姿勢制御系を捉えてみようとするのが、今回の直伝講習の主旨である。

その主な入力情報とは何か。
①視覚系の情報、②聴覚系の情報、③頭位、④頸部の回転、⑤迷路刺激、⑥固有受容器である。


これらの入力情報が統合されて、ヒトは空間における自己を認知していることになる。要するに、これらの全てのシステムが統合されて脳が機能しているのだということを知る。そんな機会になることを、この講習では意識して臨んだ。

特に、今回は網膜からの視線運動反射(視動反射)、眼球運動、頚眼反射の反射バランスの不均衡による神経学的代償作用が身体にどのように影響するかを診た。
そして視覚神経系へのアプローチが、どのようにその制御系に変化をもたらすか、その治療の一例を紹介してみたわけである。

(22~23日は、日本カイロプラクティック徒手医学会に出席します。
続編は、その後に書くことにします。)

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by m_chiro | 2012-09-21 19:12 | カイロプラクティック | Trackback | Comments(2)
9.16.は、出会い記念日
9.16.2012は「出会い記念日」

私は、どちらかと言うと人付き合いが決して得手ではない。
そんな私が、あるブログに出会ったのは数年前のことでした。それは「鍼灸武芸帳」というタイトルで綴られていた鍼灸師のブログでした。ブログは人ではないので、私は気楽に積極的な読者になったのです。鍼灸という領域の違う分野ということもあり、コメントを出すことも憚られていましたので、単なる一方的な読者に過ぎない存在でした。

ブログの記事には共感するところが多くありました。
その文脈の背景には、著者の人柄を彷彿とさせる文章を読み取ることが出来て、そこがとても魅力的なブログでもありました。

ある日のことです。
記事中で、著者は「ブログを終える」と突然宣言されたのです。なぜ?、と驚きながらも、私はこのブログのフアンであったことを告白して、読者としてのお礼を初めてコメントしたのですが、あの時の残念に思う気持ちは今でも新鮮です。ここから私と萩原先生との交流がはじまったのです。

嬉しいことに、それから萩原先生のブログはタイトルを「反証的、鍼灸・手技・心理臨床」と変えて再開されました。
それから私も自分のブログを綴るようになったのですが、それも萩原先生のブログの影響が少なからずあったように思います。

以来、時にコメントを交わしたり、お互いの記事をトラックバックしたり、メールでの意見交換など、記事に学びながらインターネット時代の交流が続きました。そんなわけで萩原先生の記事から学んだことは大きな財産にもなりました。ですから私にとって萩原先生はとても身近な心の師でした。

その萩原先生から声をかけていただきました。「六然社」という出版社主宰・寄金丈嗣先生が主催する講習会での講師を打診されたのです。鍼灸関連の企画にカイロプラクターが出向くことには一抹の不安もありましたが、ここは「ご縁」と感じるままに萩原先生のプロデユースに乗っかってみることにしたのです。

そして、この9月16日(日)に「直伝講習会第13回 孤独な角を持て!」(六然社の小窓))が実現しました。
「六然社主催の講習会(9.16)に、飛び入りワークショップ」

萩原先生と初めて対面することになった日(9.16)です。でも初対面という重たい緊張感などありませんでした。ごく自然に、まるで旧知の友にでも逢ったような感覚でした。また萩原先生の人柄が想像していたように温かくて、インターネットでもこんな付き合いの広がり方があることに驚かされもしました。

講習会が終わってから、「アフター懇親会」がありました。多くの参加者が出席されました。そして、入れ代わり立ち代わり質問攻めにあいましたが、話が弾むうちに奇妙な一体感が私の中で実感されるようになったのです。今初めて話をした関係性ではない不思議な感覚でした。

その夜ホテルに入っても頭が冴えて睡魔が訪れることもなく、気が付いた時には夜が明けようとしていました。
萩原先生、寄金先生、長谷川先生はじめ多くの参加者の皆さんは、すべてが9月16日の今あった方々です。それは初めてというより、旧知のできあがった関係性が「最初からあった」という感覚に近いものでした。こんな経験こそが初めてでした。

そんなわけで、私はこの9月16日を「出会い記念日」としました。

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by m_chiro | 2012-09-19 23:24 | 雑記 | Trackback | Comments(2)
「雷鳥や 下界は 人の住む処」 十雨
家内の祖父は「五風庵十雨」と号し、俳諧宗匠として伝系では芭蕉の9代目を継いだ人のようだ。愛媛県松山市の子規堂にその資料も保存されている。
その祖父が1942年に四国88カ所巡拝に出た。66番札所・雲返寺にて作句をした。

雲辺寺は霊場中で最も高地(927m)にあり、当時は難所中の難所だったに違いない。鎌倉時代には関所の役割も兼ねていたそうだ。

1956年に、その祖父が暮らしていた自宅前の五色浜公園に句碑を建てた。
家内は、その時の祖父の面映ゆそうな、それでいてとても嬉しそうな表情を今でも憶えているらしい。

それから55年の歳月が流れた。

昨年のある日のことである。
娘から電話があった。あるお寺の娘さんと友達になった、という話になった。
よくよく聞いていると、どうも祖父の菩提寺のようだ。
その菩提寺の当時の住職と祖父は、お互いに敬意を持った付き合いをしていた、と家内は聞いていたらしい。
偶然とはいえ妙な巡りあわせだと思いつつ、家内は娘に曽祖父の残した句碑のことなど、諸々話して聞かせていた。

しばらく経って、また娘から電話があった。
曽祖父の句碑を尋ねて、句碑の建つ五色浜に来ていると言う。
が、「句碑は見当たらないヨ!」。

家内が、電話で現地とのやり取りをしながら、記憶をたどりながら句碑の建つ方へ誘った。
すると、長い歳月が過ぎて風化し、土台の石組が崩れて倒れてしまっていたのだった。
公園の管理をしている市の方では遺族を探している最中だったようで、市からは大変喜ばれるという顛末になったのである。
なんでも、遺族が分からなければ市役所で再建しなければならない、と見積りをお願いしたところだったらしい。

そう考えると、娘と菩提寺の娘さんとの出会いは偶然ではなく、娘とそのお友達にとっては、お互いの曽祖父同士の引き寄せだと腑に落ちさせるしかなかった。

結局、家内と兄が遺族として句碑の再建をすることになった。
土台の石は取り替え、また半世紀以上は持ちこたえるようにと頑丈に立て直した。

家内はこの夏に帰省し、修復後の句碑と対面してきたのである。
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「雷鳥や 下界は 人の住む処」 十雨


家内の脳裏には、何かにつけ頭をよぎる句だったようである。
新たになった句碑を前にして、祖父のおっとりした口調が聞こえてきたように感じたらしい。

「人間の世界なんて、小さい、小さい、俯瞰せよ!」


門前の小僧らしく、家内も句や歌を詠んできたようだ。

半世紀 暦廻りきたる碑に けふふたたびの 命吹きたり
風雪に 耐えし碑 朽ち果てん 縁者の吾ら 護り継ぐなり
天高し 十雨の墨跡 甦る 
                                 郁子
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by m_chiro | 2012-09-13 17:11 | Trackback | Comments(3)
六然社主催の講習会(9.16)に飛び入りでワークショップ
六然社主催の講習会(9.16)に、飛び入りワークショップ

佐渡の萩原先生とはブログを通して交流を深めてまいりました。
(「反証的、鍼灸・手技・心理臨床」http://sansetu.exblog.jp/)
かれこれもう5~6年になるでしょうか。

いまだお眼にかかったことはありませんが、多くの学びを頂いて尊敬する先生でもあります。
鍼灸師とカイロプラクターという領域の違う分野でありながら、妙に共感する意見が多くありとても身近に感じる存在でもあります。

その萩原先生から声をかけていただいて、鍼灸関連の出版である「六然社」が主宰する勉強会に飛び入りで出させていただくことになりました。
「直伝講習会第13回 孤独な角を持て!」(六然社の小窓)http://yuishouron.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/13-a2d9.html)

六然社・主宰の寄金丈嗣先生は、「ツボに訊け!―鍼灸の底力」(ちくま新書)の著者でもあり、ジャーナリストでもあります。鍼灸関係者を問わず、治療家には是非読んでほしい優れた本です。治療家としての精神も鍛えられます。

その9月16日(日)が、いよいよ近づいています。

この話を頂いた時に、鍼灸関連の勉強会にカイロプラクターが出て行ったら顰蹙をかうのでは、と不安でもありました。が、参加者はみなさん手技に関心を持っている先生方のようです。でも、何よりも萩原先生にお目にかかれることを楽しみに、出向きたいと思います。

さて、私への依頼はカイロプラクティックの考え方を、自分自身の守破離を通して話してほしい、とのこと。前段は「カイロプラクティック・コンセプト」というテーマで話します。たいした「守破離」ではありませんし、私は自称カイロプラクター、生涯一学徒に過ぎませんので、コンセンサスに基づいた話ではありませんが、自分の経験や学びから得た本音の「カイロプラクティック・コンセプト」を語ろうかと思います。脱線しなければいいのですが.....。

後段は、何か少し練習すれば応用できそうなテクニックの紹介をして欲しいとのことです。
徒手療法であれ、鍼灸であれ、共通のテーマに「からだの姿勢制御系」があります。
その神経学的代償作用をテーマに、視線運動反射、眼球運動反射による体幹の代償作用との関係を見る検査と治療法を紹介しようかと考えています。
この方法はマニピュレーションの心得がなくても、触診と感覚の技量さえあれば簡単に応用でき、臨床的にも大きな効果が期待できます。
前回の記事「むち打ち症患者、なんでこうなるの!?」でも少し触れました。

時間があれば、もう一つマニピュレーションに関するものを紹介しよかと思いますが、それを「リコイルの三次元操法」とでも呼んでおきましょう。
でも、時間があるかな?

鍼灸関連の勉強会に出向くのは初めての経験なので不安もありますが、セミナー後の懇親会共々楽しみたいと思います。
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by m_chiro | 2012-09-07 08:23 | カイロプラクティック | Trackback | Comments(0)
むち打ち症患者、何でこうなるの!?
-視覚系-小脳系のシステムから姿勢制御の代償作用へアプローチ-

8月に入ってからみえた「むち打ち症」の患者さん。中年を過ぎた女性である。
今年の冬に追突事故で負傷した。事故直後から首が痛み、外科医院で診察を受けたがX-ray(-)で、湿布と投薬の治療を開始した。

それから間もなくして、また追突された。今度は、友人に勧められて接骨院で治療を受けることになった。同じように首の痛みだけだった。ドロップするカイロベッドで施術されたようだ。治療中から頭痛がおこったが、「あなたは大分薬を飲んでいるから反応が出るんだ」と言われたとか。

それでも治療の度に頭痛、腰痛と痛む場所が広がっていくので、MRIを撮ってもらうことにした。結果は異状なしだった。接骨院での治療を中止し、最初事故で受診した外科医院に転医した。
電気治療と投薬の処方を受けて7か月が経過した、という患者さんである。

経過は良くなっているのか、悪くなったのか分からないと言う。
痛みは軽減してきたが、食欲はなく味もあまり感じない。下肢の冷えが起こり、眼もはっきりしないし、熟睡もできていない。とにかく体が疲れるようになり、脚に力がはいらないと訴える。
この猛暑に、タイツを履いて長ズボンに長袖を着用し、タオルケットを手放さないでいる。
当初の頸部痛が、自律神経症状に変化したような印象である。
筋力評価は、左下肢筋(腸腰筋、ハムストリング、殿筋など「3」である。数回反復させると、評価「2」としてもいいような状態である。右下肢では「4」。左右差が顕著である。筋のトーンも相対的に弱い。

このむち打ち症患者は、当初はおそらくケベック分類の「グレーⅠ」であったろうと思う。ケベック・タスクフォースの「むち打ち疾患(WAD)」の定義では、「加速-減速の機序による頸部へのエネルギー転移」とされている。
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この枠組みに入る症状には、「動きを促進するモビリゼーション、マニピュレーション、運動のような介入を鎮痛剤や非ステロイド系抗炎症剤と組み合わせて短期的に使う」ことを勧めている。
だからと言って、強い刺激による介入は、時に侵害刺激になって痛み症状をつくりかねない。
侵害刺激は、痛み症状よりも自律神経症状をもたらすこともあるのだ。
侵害刺激の応答は一様ではない、ということだろう。

このように刺激に敏感な患者さんには、マニピュレーションの治療計画はとらない方が賢明だろう。この患者さんのように、身体に傾斜や捻じれがあり左右差が顕著なケースでは、それが神経系の統合不全によって表現されたものと考えてみる。

まずは、神経学的代償作用を利用して姿勢制御系に働きかけてみたい。視線運動反射をチェックすると、ほとんど全方向で興奮/抑制バランスが起こる。視線運動性反射の遅延である。頭位と頸部の動きを組み合わせると、更に問題となる姿勢制御系の代償作用が明らかになる。

そもそも、重力場というヒトに共通する環境刺激の場で、関節や筋・腱、四肢の動きは求心性刺激として小脳を興奮させる。それから中脳、大脳・前頭葉へ送られ、最終的に小脳で誤差修正されて出力する。

中脳では線条体、淡蒼球の経路で興奮と抑制が行われ、感覚運動系を興奮させる。
視線運動反射に遅延があるということは、網膜での画像ブレの調整反射の遅れている証拠でもある。小脳系をはじめ感覚運動系の経路に出力バランスの不均衡が起こっているのであろう。

ここは視覚神経系と小脳の誤差修正機能を回復させることを狙いとする治療に専念することにした。視覚神経経路を想定して、そのルートに内圧変動による停滞を感じ取り、そのリリースを行った。

それだけで体幹や四肢の出力系が安定する。この方法で5回目の治療の段階で、食欲が出て下肢筋の左右差も評価「4」になった。味覚障害は残っているが、よく眠れているようだ。

末梢からの刺激に過敏に反応する患者さんには、ダイレクトに脳内の停滞した変動をリリーするだけで身体の姿勢制御系の不均衡も是正できる。
こうした方法を用いると、身体は、脳を介在した受容器と効果器の応答による仕組みであることが実感できる。
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by m_chiro | 2012-09-03 08:53 | 症例 | Trackback | Comments(0)



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