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「おねえちゃん、ありがとう」 by 空(くう)
c0113928_18155433.jpg空はねぇ~。

もう8年も前のことになるんやけど、千葉県のあるところを友だちと2匹で遊んでたんよ。

そこはセブイレブンのお店のところだったと思う。
おいしそうな匂いがしてたもの。

そしたら、誰か知らない人たちに捕まってしまって...。
連れて行かれたのが「ちばわん」という捨て犬の愛護センターだったんよ。

そこは空たちのように捨てられた犬や猫を引き取って、里親さんを探してくれるんよ。

空たちは、捕獲場所に因んでセブン1号、セブン2号と名付けられたんよ。
空は「セブン2号」。ちょっとかっこいい名前だった。

そこで「ちばわん」のボランテイア・スタッフのmikiお姉ちゃんが、空をお家に引き取って一時預りでお世話しながら、空の里親さんを探してくれたんよ。

その時の写真などが、おねえちゃんのブログ「うちの子日記」にまとめて載せてくれて、とっても懐かしかった。

今思うと、結構、迷惑をかけてたんだね。

ブログの写真や記事を見ながら、子供時代の頃だったけど楽しかったことを思い出したんよ。

今、空は酒田の家に来て元気してるよ!
幸せしてるよ!
楽しく暮らしてるよ!

「おねえちゃん、ありがとうね」
                      by 空
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by m_chiro | 2011-07-28 18:22 | わん・にゃん物語 | Trackback | Comments(2)
継続が生む学問的発展を思う
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「人体解剖学」という本は、解剖学を学ぶ医学生のために書かれた本である。
著者の藤田恒太郎(1903~1964)は、新潟大学医学部教授・藤田恒夫先生のご尊父である。
「人体解剖学」第42版の序文に、そうした経緯が書かれている。
藤田恒夫先生は、父親と同じ解剖学者の道を歩まれたことになる。

「人体解剖学」の初版が出たのが1947年であるから、それから版を重ねて42版になったわけで、その間60年以上の歳月が流れた。
著者の藤田恒太郎先生は、1964年に第12版を改訂する仕事をした後に、間もなくしてお亡くなりになったのであろう。

以後は、御子息の恒夫先生が学術の進歩に併せて改訂を続けてこられたわけであるが、著者は父親である「藤田恒太郎」のままにしてある。
こうした学問的継続は素晴らしいことで、読者としても感激である。
そんなわけで、この解剖学書には特別な思いを持った。

恒太郎先生が、「人体解剖学」を書いた解剖教師としての信念を「序」に次のように述べていた。
「解剖学とて暗記する学問ではなく、理解する学問である」。
そのために「細部の学名などは思いきって省いて」、「もろもろの器官の形や組立とその機能とを一体として理解してもらう」。
それが著者の願いでもあり、強い信念であったようだ。
初版本は戦後間もない頃の制作であるから、「紙も印刷も じつに みすぼらしい」本だったらしい。当然だろう。

それが1993年の改訂第40版の頃には、記述も大幅に改められた。
CTやMRIの画像、カラーの図もだいぶ増やしたようである。
古典的な「形態学」も書き改められた。

かわりに、安保徹新潟大学教授からの「免疫学」や、橋本一成・阪大名誉教授の「脳脊髄液循環」、重井達朗先生の「自律神経の系統発生学的理解と血管の関係」など、新しい学説を取り入れたようである。

こうして初学の学生が学ぶ新しく、魅力的な解剖学書が世に出されたわけである。
こうした学問的継続はホントに素晴らしいなぁ~!と、つくづく思う。
そう思いながら、ページを捲っている。

項目ごとに簡潔にまとめられていて、とても読みやすく理解しやすい本である。
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by m_chiro | 2011-07-26 14:07 | Books | Trackback | Comments(0)
再び、第3の循環系「脳脊髄液」について①
① 誤れる脳脊髄液の循環経路

先日の記事『「解剖学の抜け穴」を読む』に、sansetu先生が髄液循環の意義について推論を述べておられた。「揺らし」という技法からの感想である。
私は「揺らし」という技法についてよく知るところではないが、「振動伝播」という考えからみれば納得させられるご意見であった。
髄液循環と揺らしメモ
血液、リンパ系に加え、髄液系をも含めた循環系を提唱しています。もっともだと思います。揺らしではいくつかの場所と方法に分かれますが、特に体幹では作動部の一つである腰椎間の押し引きにより髄液にも振動を与えていることが考えられます※。
それに加えて立位で圧縮され縮んだスポンジのようになっていた軟部組織(たとえば椎間板)に体液を供給する効果もありそうなことがバドマン博士(飲水療法)の仮説からうかがえます。
なぜ揺らしは交感神経緊張の緩和に絶大なる直接的とも思われる直後効果を発現するのか。
理由は分かりませんが、髄液との関係も絡んでいそうです。
※腰椎にはL1から下部には脊髄はありませんが、椎骨に対して「伸ばす圧する」を繰り返す物理刺激は髄液圧にも影響が及ぶと考えます。

ところで、この脳脊髄液の循環について、解剖学の成書では先ずお目にかかれない。
お目にかかれないから、その循環経路については知らない。
知らないということは、存在しないに等しい。
だから、頭蓋療法(クレニオパシー)を行う治療家も曖昧な物言いになる。

さて、上述の「解剖学の抜け穴」では、「この経路を示した教科書は世界中に(一つの例外を除いて)一冊もありません。唯一の例外が、藤田恒夫氏の教科書の最新版です」とある。

早速、その世界で唯一の教科書を探してみたところ、藤田恒夫著ではなく藤田恒太郎著の「人体解剖学・改訂第42版」にたどり着いた。

届いた著書をみると、確かに440~441頁見開きで「脳脊髄液」という小見出しで2頁にわたり解説されている。
そこには橋本一成先生の下図が掲載されていて、その循環経路が表にしてある。
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脳脊髄液(髄液)は4つの脳室の脈絡叢でつくられる。
脈絡叢は、脳室にある腸の絨毛に似た構造(上皮性脈絡板)で、ここから髄液が分泌される。

一日に生産される髄液は400~500mlで、全量は平均130~150ml、これを一日に3回以上入れ換えている。

4つの脳室を満たした後に、第4脳室の天井部にある3つの孔(正中のマジャンディ孔と左右外側のルシュカ孔)からクモ膜下腔に出る。
また、脊髄を下降した髄液は脊髄末端の終糸にある第4の孔(中山の孔)からクモ膜下腔に出て上行する。

そして脊髄のクモ膜下腔まで戻り、脈絡叢とそれに付着した脳室周囲器官にある「静脈性毛細血管」から「静脈」へ吸収される、と解説している。

中山の孔」は、中山雄三先生が1972年にその存在を小動物で発見し、それを追試する形で橋本一成先生らが1993年に霊長類(8例の遺体と2例のニホンザル)に初めて認めた流出口である。

私たちが習ったのは、脳天にある「クモ膜下粒から上矢状静脈洞に流入する」という経路である。
下の図(ネッター解剖図譜・神経Ⅰ)は、クモ膜顆粒と上矢状静脈洞が詳しく出ている。
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さもありなんと思わせる図だが、これは1914年にアメリカのウイードが説いた仮説なのだそうだ。
百年ほど前の仮説が改められることなく流通しているということになる。

クモ膜顆粒は乳幼児や胎児にはない。
ということは、この説はやはり怪しい。クモ膜顆粒が髄液の流出口であれば、「すべての新生児は水頭症になるでしょう」と橋本先生は書いている。

実験小動物も、脈絡叢や髄液はあってもクモ膜顆粒は生涯にわたってないそうだから、ますますもって怪しい説である。

橋本先生は、この液循環系を「第3の循環系」であると主張している。
そして、この循環経路は末梢神経の神経周膜に連続して全身の神経にそって分散している、とされている。
が、「神経周膜下のスペースを髄液がどのように移動しているかは、これは未だ不明」だ、と「人体解剖学」書では「脳脊髄液」の項を結んでいる。

さて、この末梢神経の周膜を脳脊髄液がどのようにして移動するのか。

椎間板への血流経路は成人になると絶たれ、それに代わってリンパ液が椎間板を養うのであるが、これは振動伝播であれ、運動であれ、外部からの入力が大きな割合を占めるのだろう。
では末梢神経の髄液動力は?、となると想像ですらその機序が浮かんでこない。

これが明らかになると、徒手療法が果たす効果の背景が見えてきそうな気もするのだが。。。。
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by m_chiro | 2011-07-22 22:35 | 膜の話 | Trackback | Comments(0)
動画「筋収縮のメカニズム」に関連して
前回の記事筋肉はどのようにして縮むのか①~④について、いつも貴重な情報を寄せてくれるタクさんから、又また動画を見つけてコメントに紹介してくださいました。

タクさんは、ご自身の慢性痛を理解しようと猛勉強されている様子が浮かんできます。
それくらい、痛みについてよく知っています。少なくとも痛みの治療に携わる者が、不勉強というわけにはいきません。タクさんに叱咤激励されているように思います。

今回の動画も、筋収縮のステージごとに分けて探してくれました。折角ですから、ここでも紹介しておきます。外国語での解説はわからなくても、筋収縮の基本的な機序を押さえておけば、動画を見るだけでもイメージができます。

先ずは、「まとめ」に最初に紹介されている総論的な動画のひとつをご覧ください。
各ステージについては、紹介いただいたアドレスをコピペしてご覧ください。


まずは、筋肉から筋線維へ。
http://www.youtube.com/watch?v=KG1JHW_q2VA&feature=related&hd=1

遠心性の神経末端でのインパルスが筋接合部でAChを放出。
http://www.youtube.com/watch?gl=JP&hl=ja&v=2xKaRmFR3Qw
http://www.youtube.com/watch?v=QO7WCNBaWuA&feature=related&hd=1

顕微鏡でみた筋とモデル化したもの。(う~ん、何語だろう?)
http://www.youtube.com/watch?gl=JP&feature=related&hl=ja&v=Klq_6JaTBBs

Na+が筋小胞体のチャンネルを開きます。
http://www.youtube.com/watch?v=udO6IMlrCl4&feature=related&hd=1

T菅からCa++が流れ込みます。
http://www.youtube.com/watch?v=dLncDw36KEk&feature=related&hd=1

Ca++とATPの放出。
http://www.youtube.com/watch?gl=JP&feature=related&hl=ja&v=Vlchs4omFDM

エネルギーであるATPがミオシンヘッドを動かす。
http://www.youtube.com/watch?v=WRxsOMenNQM&feature=related&hd=1

まとめ。
http://www.youtube.com/watch?v=XoP1diaXVCI&feature=grec_index&fmt=34&hd=1

http://www.youtube.com/watch?v=gHjrpaRUtJU&feature=related&hd=1
http://www.youtube.com/watch?v=lbUHlEPSoXs&feature=relmfu&hd=1

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by m_chiro | 2011-07-18 09:22 | 痛み考 | Trackback | Comments(8)
「痛み学」NOTE46. 筋肉はどのようにして縮むのか④
「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです。

46. 筋肉はどのようにして縮むのか
  ④ 筋収縮の終了(最終ステップ)


筋収縮は筋節の区切りであるZ線が相互に近づくことである。
それはアクチンFがM線に到達することで成し遂げられるわけであるが、必ずしもM線で終わるわけではない。
そのラインを超えて収縮することもあるが、それは過剰な収縮である。

いずれにしても、筋収縮の終息は、「収縮せよ」のメッセージ信号が送られなくなることにある。
これは、アセチルコリンが運動点の間隙シナプスに放出されないことだ。

シナプスに残されたアセチルコリンは壊されて、運動ニューロンに再吸収される。
だから活動電位も発生しない。
当然、Caイオンは筋小胞体に放出されなくなる。
筋形質に残されたCaイオンは、ATPのエネルギー消費によって筋小胞体に再吸収される。

筋形質にCaイオンがなくなれば、アクチンFとミオシン双頭の連結が行われなくなり、筋収縮は終わる。使用済みの分子は再利用されるという無駄のなさである。

ところで、アクチンFとの連結橋が壊されなければ、筋線維は収縮状態が維持されることになり、筋は弛緩されなくなる。
これが困った状態をつくる。
要するに、トリガーポイントの発生仮説である「エネルギー危機説」の病態が作られるのである。

ともかく、こうした筋収縮の正常なメカニズムを押さえておけば、トリガーポイントの形成について理解しやすくなる。
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by m_chiro | 2011-07-13 23:21 | 痛み学NOTE | Trackback | Comments(3)
「痛み学」NOTE45. 筋肉はどのようにして縮むのか③
「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです。

45. ③ 筋収縮の第2ステップ:緩まなければ始まらない(主役はATP)

筋収縮の「滑り説」は、1954年にイギリスのA・F・ハクスリーとH・ハクスリーという同名であるが赤の他人の2人の科学者が別々に提唱した、とされている。
それまでの筋収縮説は、フィラメントがバネのように縮むとみなされていたのである。
それでも「滑り説」では、主に収縮の構造的な仕組みが解明されただけであった。
実際に関与する収縮の作用機序は今ひとつよく分かっていなかったのである。

筋収縮にCaイオンが関与することを最初に論文にしたのは1940年で、日本人のようである。東大理学部動物生理学・鎌田武雄助教授であるが、この論文発表の数年後に45歳で亡くなられている。

それから20年ほど経って、同じ東大の別棟である医学部薬理研究室から輝かしい業績を残した研究者が誕生した。江橋節郎教授である。江橋節朗教授は、カルシウムイオンが筋肉の収縮、弛緩をコントロールしていることを解明したのである。
この収縮と弛緩に関わるATPの役割も明らかにした。
また、「トロポニン」を発見したのも江橋教授だった。その江橋教授も2006年に83歳で逝去されているが、筋の生理学については日本の研究者が大きな貢献をしているのである。

さて、アクチンFの構造をみると、3つの分子から出来ていることが分かる。
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まるで数珠を直線上に繋いだような、しかも2重の螺旋構造である。
この2重螺旋の溝に沿ってトロポミオシンという分子が紐のように走り、そのラインの一定部位に珠上のトロポニンが付いている。江橋教授が発見したのが、このトロポニンである。

トロポニンは、Caイオンの受容体でもある。
このアクチンFにCaイオンが結合したことで、ミオシンFの頭部(双頭になっている)が連結橋となり、アクチンFを筋節中央に引き込むように動かすのが第一ステップだった。

更にアクチンFをM線に近づけるためにはミオシン頭部が作った連結橋を一旦壊さなければならない。縮んだ筋は、一旦、緩まなければ何も始まらないのである。
要するに、連結を壊して再架橋することが繰り返されて、筋肉は収縮するのである。

子供の頃に、「猫じゃらし」と呼んでいた雑草で遊んだ記憶がある。
穂の部分を摘んで、軽く握ったり緩めたりを反復させると、握りこぶしから穂の部分が動いて上がってくる。穂先がミオシン双頭だとしたら、手掌の皮膚の部分はアクシンFで、CaとATPは握った手掌内の圧力変化である。そんなイメージだろうか。

「滑り説」はミオシン双頭の首振り運動によるものであるが、首振りを行うためにはアクシンFへの連結橋の破壊と再構築が繰り返される必要がある。
その架橋を壊す工程、つまり一旦は弛緩するのをATP(アデノシン三リン酸)が担っている。
そして再架橋は、Caイオンが担う。
ATPがこのステージでの主役だとしたら、Caイオンは重要な脇役として働いていることになる。
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by m_chiro | 2011-07-12 00:02 | 痛み学NOTE | Trackback | Comments(0)
「痛み学」NOTE44. 筋肉はどのようにして縮むのか②
「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです。

44. 筋肉はどのようにして縮むのか
  ② 筋収縮の第一ステップでは「Caイオン」が活躍する


さて筋肉が収縮するためには、脳から「収縮せよ」という指令が出される。
このメッセージは活動電位としての信号である。
活動電位は末梢の運動ニューロンの末端に届く。
この運動ニューロン末端と筋線維との接触ポイントが運動点である。

運動点でシナプスされる運動神経の末端は神経終盤と呼ばれ、一本の軸策が筋肉内で100~150本に分枝し、骨格筋に入るとされている。
神経終盤にはミトコンドリアとシナプス小胞が存在する。
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上の図(医学図譜集(ネッター)の「筋骨格篇Ⅰ.第3章生理学」)は、ひとつの神経終盤が筋細胞膜にシナプスしている部分である。
運動点のシナプスには間隙があり、終盤のシナプス小胞からはアセチルコリンなどの神経伝達物質が間隙に分泌する。

アセチルコリンが筋細胞膜下にあるアセチルコリン受容体に達すると、イオンチャンネルが開口してナトリウムイオンを流入させて筋細胞膜を興奮さることになる。
この活動電位は細胞膜の外周に沿って移動し、筋線維束を横行する小さな管(T管:横行小管)から筋線維の内部に侵入する。T菅は、下図の筋線維を横断する赤い管である。
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このT菅は筋細胞膜に無数にある。細胞膜には小さな穴が無数にあって、細胞膜が細い管となって細胞内に入り込み、筋小胞体と接する(「足」と呼ばれる電圧受容体で信号を交換する)構造である。
すると、筋線維の長軸方向に走る筋小胞体に貯蔵されているCaイオンが、筋線維の細胞質に放出されることになる。

この筋小胞体はT小菅の両側を併走する終末槽の管に連絡されている。
放出されたCaイオンがアクチンFに結合すると、ミオシンFの頭部がアクチンFにくっついて連結橋が形成される。

ミオシンFの頭部は、次の下図で分かるように、頭が2つある双頭の分子構造である。この双頭の首の部分が曲がって、アクチンFを筋節の中央(H帯のM線のところ)まで引き込んで筋の収縮が維持されることになる。
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この筋収縮にカルシュームが関与していることを発見したのが、世界に誇れる研究者の一人である江橋節郎博士である。前回の記事に、タクさんがコメントとして江橋博士を紹介してくれている。
江橋博士の筋収縮に関わる有名な発見については、次の記事で紹介したい。
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by m_chiro | 2011-07-07 23:05 | 痛み学NOTE | Trackback | Comments(4)
「痛み学」NOTE43. 筋肉はどのようにして縮むのか①
「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです。

43.筋肉はどのようにして縮むのか
  ① 最初の主役はフィラメント


トリガーポイントは、どのようにして発生するのだろう。
それには、筋肉がどのようにして縮むのかを知っておく必要がありそうだ。
医学図譜集(ネッター)の「筋骨格篇Ⅰ.第3章生理学」には多くの図譜を引用して、筋肉の構造から筋収縮と弛緩について詳細に述べられている。
一読して了解できるほど易しく記述されているわけではないので、要点を簡略にまとめて理解の一助にしておきたい。

筋肉の運動には等尺性と伸長性の収縮運動があるが、ここでは筋節が収縮して求心性に短縮するメカニズムについて概略まとめておこう。
要するに、「フィラメント」というタンパク質の滑り運動のメカニズム仮説についてである。

フィラメントには細いフィラメント(アクチンF)と太いフィラメント(ミオシンF)がある。これらが筋収縮の第一の主役である。
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上の図は、「ハックスレーの骨格筋の構造(1958)」に掲載されているものである。
単体の筋肉をミクロにズームインしていて分かりやすい。
一番下には、フィラメント構造が簡略化して書かれている。
ミオシンFの中央にはM線があり、このM線に向かってフラメントの滑り運動が行われることで、筋の収縮が起こる仕組みになっている。

その絵の上には、「サルコメア」の組織図がある。
サルコメアとは、Z線で区切られた筋原線維の収縮単位(筋節)のことである。
それは、明るい帯(I帯)暗い帯(A帯)に別れている。
A帯はアクチンFとミオシンFの両方のフィラメントを含み、I帯はアクチンのみで、中央部のH帯(やや暗い帯)はミオシンFのみで構成されている。
筋の組織図に見られる明暗の帯びは、このミオシンFとアクチンFの配置によって作られているのである。

筋収縮メカニズムの「滑り説」は、1954年に「ネイチャー」誌に発表された2題の論文が最初だった。そして、この仮説が実証されるのは、1983年になって細胞生物学者が行なった実験であった。
ということは、筋の収縮メカニズムの解明は極めて近年の研究だったわけで、「筋学」は新参の学問領域でもあるのだろう。
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by m_chiro | 2011-07-06 21:43 | 痛み学NOTE | Trackback | Comments(2)
「解剖学の抜け穴」を読む
c0113928_0535944.jpg学兄・馬場信年先生に薦められて「解剖学の抜け穴」を読んだ。

著者は橋本一成・大阪大学名誉教授である。
副題に「解剖教室の講義余録から」とあるので、解剖学の表舞台にはあまり登場しないテーマが語られているのだろう。
「お薦めのことば」として、新潟大学名誉教授の藤田恒夫先生が一文を寄せていた。
藤田先生の「解剖実習の手引き」は、10年間続けた解剖実習のよき教科書だったし、その著「腸は考える」(岩波新書)も印象に残る一冊だったので、とても身近に敬意を感じていた先生である。
その藤田先生と著者がお仲間だったそうで、今に至るまでその著者にたどり着けなかったことを悔みながら一気に読み終えた。

解剖学を学んでいる学生にでも語りかけるように平易に書かれた小冊子であるが、小冊子といえども侮れない。あまり見向きもされないようなものでも、実は深く興味い内容である。

特に、頭蓋療法を行うセラピストには必読である。著者は日本における「脳脊髄液」研究の第一人者で、脳脊髄液について刮目すべき内容が書かれているからである。

私も頭蓋療法という技法を治療に用いる。この治療はオステオパシーの領域から起こった概念と方法であるが、今では多くのセラピストが使うようになった。

でも、この頭蓋治療の機序とその効果を説明しろ、と言われると言葉に窮す。言葉に窮すというのは、説明できないからというわけではない。その領域の共通の言語や感覚で語られるために、理解が及び難いという側面があるからである。

例えば、脳脊髄液である。ヒトの体液循環系の一つは血液循環系で、もう一つはリンパ循環系である。この2大循環系の存在は定説でもある。したがって、教科書や参考書に登場する「脳脊髄液」は、循環系という認識すらない。「中枢神経」の項目に、保護剤としての役割が添え物的に書かれているだけである。先ずは、ここで頭蓋療法なるものが胡散臭くなる。

ところが著者の橋本教授は3大循環系を主張しており、その3つめの循環系こそ「脳脊髄液循環系」だとする。そして、これを「第3の体液循環系」として実証している。
その循環経路も詳細である。中枢神経と末梢神経内部の組織培養液として、ヒトの大切な体液循環システムを担っている、と説いている。
末梢神経では、神経周膜管の中に流入し神経系の組織液として全身に満ちている、というのである。

豆腐の譬えが分かりやすかった。
豆腐は水の容器に入れられて売られている。豆腐を脳や神経に例えると、あの水は保護剤の役割だけではなく組織培養液として機能している。

その証拠に、豆腐を薄くスライスして乾燥させると高野豆腐になる。一旦、高野豆腐になると、再び水に入れても二度と元の「豆腐」には戻れない。

なるほど、脳脊髄液は第3の体液循環系なのである。確かに、この循環系の滞りは、神経の大きなダメージに繋がる。頭蓋治療で説明の出来ない不思議な現象に出会うことが多々あるが、これも神経系の組織液という体液循環系の視点から捉え直すと、うなずけることが見えてきそうである。

鍼灸の経絡・経穴についても多少の私見が述べられてもいた。その他、教科書からは到底学べない「解剖学の抜け穴」を覗いたような知的興奮を味わった。また、東洋医学や代替療法が西洋医学との共同研究が進まない現状を憂いてもいた。それは、大部分の医者が鍼灸などを胡散臭く思い、鍼灸師の側は西洋医者にコンプレックスを抱いたままであるからだろう、として次の言葉が寄せられていた。

これは私に言わせれば、四分・六分で西洋医学の方に非があります。なぜなら、ルネッサンス以降のサイエンスの精神が、医学の分野ではなお完全に開花していないからです。医学は人に関わる学問です。精神医学、社会医学もちろん、すべてにおいて、病を診るのではなく人を診る心を片時も忘れてはなりません。人を人として診るのではなく、生物学的な人を、他人の思いで歪めて見ているがゆえに、サイエンスから逸脱するのです。


深い含蓄のある言葉である。
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by m_chiro | 2011-07-04 01:25 | Books | Trackback(1) | Comments(0)



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