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真央ちゃんの偉業
バンクーバー・オリンピックの女子フィギュアの競技を、ハラハラ・ドキドキしながら観戦した。
今シーズンの真央ちゃんのジャンプが気になってならなかったからである。
ジャンプ時の踏み込みで、目線が左直下に流れて頭位がやや前屈状態になっていたり、逆に意識して目線を上げるのか後屈位だったりで、頭の軸が体軸との一直線上での回転になっていなかった。
これでは回転にロスができるだろうなぁ~、と思いながら気が気ではなかった。
成績も本来のものではなかった。

一流のアスリートは、どのようにしてこのコンデションを立て直すのだろう? そんな関心もあって、動画やニュースに流れる練習などにも注目していた。
そんな心配をよそに、ライバルのキム・ヨナ選手は絶好調と聞こえてくる。

そんなわけで、真央ちゃんがバンクバー入りし練習のニュースが流れると食い入るように見ていた。
さすがにしっかり修正されていて、一流のアスリートの調整ぶりに感激させられた。
関係者の説明によると、ジャンプの踏み込み時に身体を左回転させながら跳んでいたのを修正した、と話していた。
なるほど、と頷ける。それで目線が定まらず頭位が安定しなかったのだ。

ともあれ、本番ではSPでもフリーでも「トリプル・アクセル」を見事に跳んだ。
フリーで氷に足を取られバランスを崩すアクシデントがあってミスはあったものの、立派な演技だった。
それでも、本人は納得の演技をしたかったのだろう。悔し涙にくれていたが、銀メダルという立派な成績だった。
女子フィギュアでは、五輪史上初のショートとフリーで2回の「トリプル・アクセル」の成功だった。公式大会のひと試合で、合計3回のアクセルの成功はオリンピック史上に足跡を残すものである。

トリプル・アクセルの先駆者は、やはり日本の伊藤みどりである。
彼女は、1992年のアルベールビル・オリンピックでトリプ・アクセルに挑戦したものの、SPで失敗し、フリーでは最初のジャンプに失敗し、体力的には無理とされた後半での挑戦で初めて成功させて銀メダルに輝いた。
それを思うと、真央ちゃんの3回の成功はまさに偉業である。堂々と先輩の偉業を継承し、発展させて見せた。

以前、女子フィギュアで2大会連続の金メダルを獲得したカタリナ・ヴィットは、注目されるジャンプについて、「観客はゴム鞠が跳ねるのを見に来ているわけではない」と牽制したことがあった。

このことから「フィギュアスケートは、芸術かスポーツか」という論争が生まれるようになり、オリンピックでの採点基準も、ジャンプの採点をめぐって評価は一様ではない。

バンクバー大会でも男子フィギュアのプルシェンコが、4回転ジャンプを成功させながら銀メダルに終わった。
彼は、「もし五輪の王者が4回転の跳び方を知らないなら、もはやフィギュアではなくただのダンスだ」、「それは進歩ではなく後退だ」と参加選手を刺激していた。

ともかく真央ちゃんの懸命な挑戦にも、見事な演技にも感動した。
トリプル・アクセルを回避する選択も、曲目の「鐘」も、衣装のカラーも、オリンピックの採点基準や空気を考慮して変えようという話が出たらしい。
が、真央ちゃんはそれらの意見をすべて退けて、アスリートとして、またアーテストとして、自らの信念と誇りをかけて挑んだ演技だったと聞く。本当に感動的だった。

悔し涙から一夜明けて、真央ちゃんは「銀メダルは、次へのステップ」と、また前を向いた。
真央ちゃん、あなたはとても素晴らしい。
あなたの銀メダルは、金色の輝きです。
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by m_chiro | 2010-02-28 01:08 | 雑記 | Trackback | Comments(0)
「何もわからないことは、すばらしい出発点だ。願わくば、到達点でもあってほしい」
田舎町の書店は、漫画本、雑誌、文庫本が広いスペースをほとんど占拠している。
仕方なくアマゾンで注文するハメになるのだが、届いた本が予想したクオリティと違っていてガッカリすることもある。

先日、久しぶりに町の書店で本を買った。
シャノン・モフェットの「脳科学者たちが読み解く脳のしくみ」である。
著者は救急医療の女性レジデント(研修医)であるが、本の執筆当時はスタンフォード大学医学部の学生だった。

医学部の学生が、いわゆる素人目線で脳の専門医や科学者に取材した内容をまとめた処女作で、脳の誕生から死に至るまでを追っている。
各章ごとに、胎芽期、胎児期、幼少期、思春期、成人期、幼年期、死とサブタイトルが付いている。
脳にかかわる著名な医師や科学者に体当たり的インタビューをまとめているのだが、単なる脳の解説書的なスタンスでないところがいい。著名な科学者の人となりとその研究領域に食い込んでいる。

著者のそんな素人目線の感性に興味が湧いたのである。
何よりも引き付けられたのは、第1章の扉に書かれた次の言葉だった。

何もわからないことは、すばらしい出発点だ。
      願わくば、到達点でもあってほしい。
                 ノーマン・フィッシャー


ノーマン・フィッシャーという人物は、サンフランシスコ禅センターの住職である。
この本の最終章では、このノーマン・フィッシャーに「こころと身体」というテーマでインタビューしている。
脳の一生について医学生らしい興味でひっぱりながら、最後に心と体について座禅体験をしながら取材している。
脳を通して人間をみようとしている著者の「眼」を感じた本だった。

われわれは真実を知ろうと探求する。あるいは真実を生きようと思う。
だが、求めるものが得られたと思ってみても、結局、何が分かったのだろう? 
そんなジレンマを経験することがある。
ノーマン・フィッシャーの言葉を冒頭に掲げたそんな著者のスタンスに共感した。
真実を求めようとするプロセス、真実を生きようとする努力にこそ意味があるのだろう。
白か、黒か、と一元論的結論を急く必要はない。そんな思いがした。
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by m_chiro | 2010-02-22 22:49 | Books | Trackback | Comments(0)
「痛み学」NOTE32. 「訳あり筋」が痛むわけ③
「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです。

「訳あり筋」が痛むわけ③
 酸欠で痛むわけ


ATP産出の経路には、酸素を利用する系(好気性解糖)と利用しない系(嫌気性解糖)とがある。

自動車で譬えると、最初のエンジンの駆動に使われるエネルギーは、筋肉中に僅かに存在するATPで、約1秒程度の瞬発力に使われる量である。
この筋肉中のATPが消費されると、次にはやはり筋肉中にあるクレアチンリン酸(CP)からATPを産生することになる。
このときの瞬発力は10秒前後のフルパワーとなるが、これらは酸素を必要としないエネルギー産出系である。
クレアチンリン酸(CP)は筋肉中にATPの5倍の量が有るとされている。つまりATPの貯蔵物質がクレアチンリン酸である。
例えば、瞬発力を使った競技には100m走ダッシュ、相撲、野球のピッチングやバッテング、テニス、ジャンプなどなどがある。いずれも数秒の短い時間の間に消費される。こうした運動のエネルギー系は酸素を利用しない解糖系で賄うことができる。筋肉の収縮力・瞬発力は強いが持続性はない。つまりは、限界のあるATP産出系に依存しているのだ。
筋肉内に貯蓄されたクレアチンリン酸(CP)が使い尽くされてしまうと、今度はグリコーゲン(糖質)を分解してATPを合成するのだが、この経路でも酸素を使わない。
こうした素早い解糖系では酸素を使わないでATPを産出する。

グリコーゲンが乳酸に分解される過程で3分子のATPが作られる。かつて、この乳酸が筋肉を収縮するとする「乳酸学説」が主流だった。この学説は1919年にノーベル生理医学賞を受賞した。ところが、後に乳酸は筋肉の収縮に直接関与しないことが判明した。「乳酸学説」が破綻したのである。
その後に、筋肉を収縮させる直接の物質はATPだということになった。
実際には、筋肉の収縮や弛緩に関与するのはATP濃度によるとされている。
ATP濃度が増加すると収縮した筋肉が弛緩するからで、そこに働くのが「エネルギーリン酸結合」を触媒する「クレアチンキナーゼ」や「アデニル酸キナーゼ」ということになる。

解糖過程でピルビン酸を経て乳酸が蓄積されると、その乳酸から解離した水素イオンがタンパク質と結合する。それまでくっついていた陰イオンは、タンパク質から離れて細胞膜を通過して細胞外に流れ出す。カリウム・イオンも流出して細胞外液の濃度が上がる。
通常は、ナトリウム/カリウム・ポンプによってナトリウムを排出しカリウム・イオンを取り込む。この細胞内外のバランスを保つためにATPのエネルギーが使われる。

ここからミトコンドリアに入って、酸素を利用したクエン酸回路(TCA回路)から電子伝達系で多くのATPを合成するようになるのだが、筋肉に酸素の欠乏が起こると、この経路の活動に支障が起こる。ATPの産生が減少する。

さて、酸欠によるATP産生不足が起こるとカリウム・イオンを取り込めない。
ますます細胞外液のカリウム・イオン濃度が上昇する。
この細胞外のカリウム・イオンは神経線維を興奮させることになる。

また、局所の酸素欠乏はアシドーシスを招く。すると血漿プレカリクレインが活性され、ブラジキニンがつくられる。ブラジキニンを分解するキニナーゼⅠが阻害されると、ブラジキニンは蓄積する一方になる。
これが筋肉の痛覚線維を刺激する。
こうして虚血による訳あり筋は、痛みを発症することになる。
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by m_chiro | 2010-02-19 22:45 | 痛み学NOTE | Trackback | Comments(2)
桐子のリボン
患者さんに、バレンタイン・チョコを頂いた。

そのチョコの包装に、きれいなリボンが付いていた。

このリボン、光りを受けてキラキラと輝くのだ。

捨てるには惜しく、桐子にリボンを着けてあげた。

リボンひとつで、随分と女の子らしくなるものだ。
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空にも着けてみたが、身体が白毛なのでリボンが目立たない。
やはり桐子に似合っている。
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天使の小さな羽根のようでもある。
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ほら! 随分とおしとやかな女の子のようになっている。
う~ん、なんと控えめな!!
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by m_chiro | 2010-02-16 19:24 | わん・にゃん物語 | Trackback | Comments(2)
「痛み学」NOTE31. 「訳あり筋」が痛むわけ②
「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです。

31. 「訳あり筋」が痛むわけ②
   血流が不足するとなぜ痛むのか?


筋活動のエネルギーはATP(アデノシン三リン酸)である。
よく自動車のエネルギーであるガソリンに譬えられる。
ヒトでは、このガソリンに相当するエネルギーがATPということになる。

ところで、このATPの基質はなにかというとグルコース(ブドウ糖)や脂質であるが、骨格筋のエネルギーの貯蔵原資としてはクレアチンリン酸(CP)である。
ここからATPを産出することになる。

しかしながら、閉塞性動脈硬化症やバージャー病のように血流の絶対量が不足すると、筋エネルギーの原資であるクレアチンリン酸(CP)が枯渇する。
更には、エネルギー源そのもののATPが不足することになるようだ。
そうなると、細胞内にはアデノシンという物質が蓄積される。
血管を拡張させようと、アデノシンが修飾作用として働くのだろう。

アデノシンは神経系に多く存在する物質でDNAやATPの材料となる神経の修飾性物質とされている。
どうも、このアデノシンが血管を拡張させようと働くようであるが、細胞外に遊離されて発痛物質としても作用する。

それでも、アデノシンなどが発痛の起因となる濃度に達していなければ、直接に痛覚線維を興奮させるわけではない。
少なくとも痛覚線維を過敏状態に置いているわけで、このような状況下では筋収縮に反応して痛覚線維が興奮するということになる。
したがって、「駆血帯疼痛試験」の結果にみるように運動に伴って痛みが起こるのである。

つづく
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by m_chiro | 2010-02-11 23:17 | 痛み学NOTE | Trackback | Comments(0)
「痛み学」NOTE30. 「訳あり筋」が痛むわけ①
「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです

30. 「訳あり筋」が痛むわけ①

「駆血帯疼痛試験」を用いた痛みの研究がある。
今は故人となられたが滋賀医科大学・横田敏勝名誉教授の同門で、芝野忠夫先生や小山なつ先生ら三著者による共同研究である(感覚に関する生理学的研究「駆血帯疼痛試験によるバレーボール練習効果判定の可能性についての検討」)。

この研究内容はともかくとして、「駆血帯疼痛試験」は血流が悪化した「訳あり筋」と「痛み」との関連を示唆するものとして興味深いものがある。

骨格筋に圧刺激や熱刺激を加えて痛みの閾値を測定すると、筋肉は皮膚などよりも鈍感だという結果になる。
それは筋肉の痛覚線維が筋線維そのものにあるではなく、筋線維を包む結合組織にあるからだ。が、もしも筋に血行障害が起こると、その筋は反復収縮によって容易に痛みが現れる。この現象を指標にしたのが「駆血帯疼痛試験」である。

下のグラフは、芝野忠夫先生と小山なつ先生が行った「駆血帯疼痛試験」の結果である。
例えば上腕の血流を20分間遮断しても、安静位を保っていれば痛くない。
ところが最大握力の半分の力で握力計を2秒間隔で握る運動を反復すると、1分以内に痛みが出て、3分以内に耐えがたい痛みが現れるという。
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3分以内で最大の痛みがでるわけだから、以外に早い反応である。

慢性的な動脈の狭窄がある疾患では、歩行などの反復的な動作で虚血筋に容易に痛みが起きやすいということになる。したがって、高齢者の閉塞性動脈硬化症やバージャー病などは、動きによって当然の如く間歇性跛行や下肢痛となる。
こうした病態でなくても、虚血などによる「訳あり筋」は容易に痛み症状を作り出すのだろう。

つづく
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by m_chiro | 2010-02-06 16:04 | 痛み学NOTE | Trackback(1) | Comments(2)
声楽家・砂川直子(ソプラノ)さん、シエナ大賞受賞の記事
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先日、「砂川直子さんの喜ばしい快挙!」で記事にした砂川直子さんが、「シエナ大賞」受賞後に初めて帰省した。

山形新聞では、砂川直子さんの快挙を「つかんだ夢への切符/酒田出身・砂川さん 声楽コンコルソ大賞/伊国立音楽院 留学へ」と題して、1月29日夕刊の記事として報じていた。

この記事によると、「イタリア声楽コンコルソ」は国際的に通用する音楽家を育成することをめざして創設された国内でも伝統あるコンクールのようである。
これまでも数々の有名なオペラ歌手を世に送り出しているそうだ。
そのコンクールの中でも「シエナ大賞」というのは、73年以降に生まれた若手の声楽家を対象にしている。今回の参加者の中では2番目の若さだったようだ。
まさに、あっぱれな快挙である。喜ばしい限りだ。
砂川直子フアンの私にとっても、2010年のスタートに幸先良い慶事だった。

記事には、「音程が正確で、強弱の幅も広く、役柄を良く表現していた」とする審査員評も紹介されていた。
砂川直子さんは、コンクールでマスカーニの歌劇「イリス」より、「私は悲しい夢を見た」を歌われたようだ。

砂川直子さんの歌を初めてコンサートで聴いたとき、私もその声量と豊かな表現力に魅了されてしまった。以来、彼女のフアンを自認している。
記事では、イタリア人の指導者から「女優として歌いなさい」と言われている、というエピソードも語っていた。
確かに、直子さんのステージにはまるでオペラの一場面を観ているような気分にさせられるのである。

声楽コンコルソ大賞の報償として、授業料免除の推薦入学によるイタリア国立音楽院への留学資格を得たわけだが、今はその準備のためのイタリア語習得などに忙しい日々を送っているようだ。
インタビューでも、次のように語っていた。

留学はプロの歌手としてオペラの舞台に立つための新たな一歩。イタリアの文化を学び、音楽の素晴らしさを多くの人に伝えられるようになりたい。


フアンとしては、ただただ応援するだけであるが、イタリア留学の前に是非またその歌声を聴かせてほしいものである。それを今年の楽しみの一つにしている。
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by m_chiro | 2010-02-03 20:01 | 庄内の記 | Trackback | Comments(2)



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