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古着で作ったクマさん
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定年を迎えて自分の時間ができるようになった患者さんが、大好きな縫い物をするために自宅にアトリエを作った。
ミシンを持ち込んで、自分の時間があるときは、終日アトリエで何かを作っている。
今回は古着を解いてテディベアを作った、と言って持ってきてくれた。

何でも独学でモノにしてきたらしい。
店頭で見かけて気に入ったものを見本に一つ求めては、解体して作り方を学ぶのだそうだ。
家族の人たちに「背中や腰も丸くなってきたゾ!」と言われながら、それでも大好きな作り物をしているときが一番の幸せなのだと笑う。
パッチワークに傘福、ぬいぐるみに衣類などなど、テーマは事欠かない。
ぬいぐるみは沢山作ってお友達にあげているようだ。喜ばれるのが、また喜びとなる。

何かに打ち込める喜びがあることは、人が生きていく上でとても大事なことなのかもしれない。
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by m_chiro | 2009-02-27 17:29 | 雑記 | Trackback | Comments(4)
RSDをチョイ勉して思うこと
1943年にリビングストン(英)が発表した「痛みの悪循環説」は、その後も多くの支持を得てきた理論であるが、この悪循環説では理解できない難治性の痛みの存在が明らかになっている。
いわゆる「神経因性疼痛」に分類される痛みである。
先日記事にした「手術の明暗2態」に書いたBさんが診断されたのはRSD(Reflex Sympathetic Dystrophy)で、神経因性疼痛のひとつである。
RSDも、その診断となると単純に決められるものではなさそうである。
1992年以降は、「ギボンスのRSDスコア」が診断基準として採用されているようだ。

ここはRSDの押さえどころを確認しておこう。

RSDとは「反射性交感神経ジストロフィー」のことである。ジストロフィーと言うのであるから、「痛み」よりも「萎縮」に重点が置かれている。
では、なぜ萎縮(ジストロフィー)が起るのか? 
交感神経の異常緊張が持続することで、局所に虚血や栄養の欠乏状態が起るために局所の皮膚や爪、骨や筋肉に萎縮が起るとされている。

それならば交感神経を遮断すればいいだろう、と1986年にロバーツ(米)がRSDとされる患者さんに交感神経ブロックを行った。
ところが、結果は思惑通りにはいかず、効果がみられるケースと変化しないケース、そして悪化するケースが出た。
ここに至って、交感神経の異常興奮を論拠にしてきたRSDの概念は破綻してしまう。

つまり、交感神経の「依存性疼痛(SMP;sympathetically maintained pain)」と「非依存性疼痛(SIP;sympathetically independent pain)」が分けられ、更に交感神経ブロックで悪化する「ABC症候群(angry backfiring C-nociceptor syndrome)」という概念が生まれることになる。
ABC症候群とはC線維の侵害受容器が過敏になりバックファイアーを起こす症候群で、軸索反射や後根反射などの逆行性興奮が関与していると考えられている。神経の損傷や糖尿病性ニューロパシーなどの神経因性疼痛で、自発性の灼熱痛があり、痛みの部位に血管拡張と皮膚温の上昇など炎症性の所見がみられるものである。

そんなわけで、RSDとされたものは必ずしも交感神経の関与があるとは限らないことがわかってきた。
このRSDと同様の疾患に「カウザルギー」がある。
カウザルギーは、「四肢末梢の神経またはその大きな枝の部分損傷のあとで、交感神経機能障害による血管運動神経と発汗の異常を伴い、持続性の灼熱痛と組織の栄養障害が認められる疼痛障害」と定義されている。
RSDとカウザルギーとを分けているものは、きっかけとなった明らかな四肢抹消における「神経損傷」の有無である。

こうした背景があって、1994年に国際疼痛学会(IASP)はこれらをCRPS(Complex Regional Pain Syndrom;複合性局所疼痛症候群)と改めている。
そして、RSDは「CRPS タイプ1」に含まれ、カウザルギーは「CRPSタイプ2」に入れられた。ただし、痛みを伴わない萎縮のあるRSDの病態は、CRPSから除外される。

それぞれの特徴をまとめると次のようになる。
RSD(CRPS type1)
神経損傷を伴わない四肢の外傷後に生じる痛みで、早期診断には遷延する炎症所見がみられる。他覚的には浮腫が最も重要な徴候とされる。6週を過ぎると骨萎縮(脱カルシューム、骨粗鬆症)がはじまる。慢性期に入ると、関節拘縮と可動性低下、皮膚の萎縮、爪の屈曲変形、指尖の萎縮、患肢の全体的な廃用化が進む。
カウザルギー(CRPS type2)
神経損傷後に生じる痛みで、受傷直後からアロディニア・炊熱痛などの激しい痛みがあるが、浮腫は少ない。


いずれも難治性の疼痛であるが、タイプ1は萎縮性変化や関節の拘縮、可動域の制限が起り得るので厄介なのだろう。

しかしながら、2005年には国際疼痛学会(IASP)がこの区分も廃止している。神経損傷の有無によって症状や徴候に差がないことが分ってきたとされているようである。
その上で4項目の診断基準を提示した。
(米国麻酔科医学会ニュース;ASA Newsletter)。
1. Hyperalgesia and hyperesthesia;痛覚過敏と知覚過敏

2. Temperature asymmetry and color changes;皮膚温や色調の変化

3. Edema and sweating dysfunction; 浮腫および発汗の機能不全

4. Muscle dysfunction, movement disorders and trophic changes.筋機能不全、運動疾患、栄養変化

4項目のうち、診断基準を臨床と研究に分けている。
臨床的には、自覚症状としては3項目以上、他覚症状としては2項目以上を充たすことが条件で、研究的には1項目以上の自覚症状、2項目以上の他覚症状が診断基準の条件とされている。
(「痛みと鎮痛の基礎知識」;CRPS)

この頃は、CRPSに対する運動医療法が注目されている。自動運動や痛みに耐えうる範囲での他動運動が推奨されているのだが、消極的な自動運動は関節の拘縮をきたし、過度な他動運動は痛みの悪化をもたらす恐れがあり、兼ね合いがなかなか難しい。
そこで、運動による誘発痛を引き起こさずに関節運動を行う方法が模索されている。

私が模索しているのは、痛みによる姿勢運動のパターンを表現させて認知を促しながら、可動域や運動の範囲を広げて行く方法である。患者さんが日々自分の運動認知プログラムとして使えるものが望ましいが、個々の問題解決をマニュアル化するのがまた難問である。
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by m_chiro | 2009-02-25 13:05 | 痛み考 | Trackback | Comments(6)
整形外科領域は、これでいいのだろうか?
一昔前までは、整形外科経由でみえる腰下肢痛の患者さんは判で押したように「椎間板ヘルニア」と診断されていたように思う。ところが昨今では、中高年の腰下肢痛のほとんどが「脊柱管狭窄症」と診断されてくる。

前回記事にした「手術の明暗2態」のケースも診断名は「脊柱管狭窄症」だった。記事にも書いたように、専門医に紹介した四頭筋の萎縮と前傾骨筋麻痺のAさんのケースでは末梢性の絞扼障害を疑ったが、「脊柱管狭窄症」と診断されたようである。
腰下肢痛患者のBさんは「脊柱管狭窄症」と診断されて手術を受けたが、術後の経過が思わしくなく最終的にRSDと診断されている。
「脊柱管狭窄症」の診断名は、患者に説明する上でも、レセプト対応でも好都合の病名なのだろうか? 

加茂先生のブログ記事「根性痛を信じられますか?」に掲載されていた「脊柱管狭窄症の診断サポートツール」を見ても、こんな根拠のない検査で脊柱管狭窄症の診断をされるのかと驚かされる。

先日みえた60代男性の患者さんは首や肩と肘の痛みがあり、両手の手指背側に痺れもある。病院の整形外科を受診したら、MRIの画像所見で頚部の脊柱管狭窄症と診断された。
「手術しないと、今に大変なことになりますよ」の脅し文句(?)に驚いて、手術することに決めてきたと言う。

簡単なマニュアル検査をしてみると、深部反射も感覚も筋力にも何等問題がない。
橈側手根屈筋に圧痛点が数ケ所ある。頚部の可動域も正常である。痛み症状はあるが運動制限のある痛みではない。だから建設関係の仕事も難なくこなしているし、ゴルフも楽しんでいる。手術の緊急性すらない。手術はやめなさい、とアドバイスした。

そのことを受けて、その整形外科医はそれならばと脊椎専門外科医に紹介状を書いてくれたらしい。

それで早速、脊椎専門外科医の診察を受けることなった。
脊椎専門外科医はMRI画像を診て、「ほら、ここの神経が死んでいる」と言い、一通りのマニュアル検査をしては、しきりに首を傾げていたらしい。

私が行わなかった検査では「片脚飛び」を10回やらされたが、同じ地点で飛べなくて着地の足の位置が動いたようである。そのときだけは、「相当足に来ているな」と言われたようだ。でも結局は、緊急の手術の必要はないから1年後に再検査をすることに落ち着いた。

最初の時点で、先ずは神経学的なマニュアル検査を行い、必要性が認められたらMRI等の検査を行うというプロセスを踏めないものだろうか。

そうかと思うと、先日のTV番組(「たけしの知らないと怖い家庭の医学」)の腰痛特集では、県立医大の先生方が登場し、85%の腰痛は原因を特定できない「非特異的腰痛」としていた。これらにはストレスなど心因性の原因に注目が集まっていた。
だからどうだと言うのだろう。
犬や猫でも飼って癒されなさい、とでも言うのだろうか。
整形外科医は、腰痛に対して何をしてあげると言いたいのだろう。
残りの15%が特異的腰痛で、椎間板ヘルニアや脊柱間狭窄症など病理的所見が明確な腰痛なのだそうだ。画像での特異度が痛みにどう反映されていると言うのだろう。

これでいいのだろうか、とつくづく思う
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by m_chiro | 2009-02-23 19:06 | 痛み考 | Trackback(1) | Comments(4)
手術の明暗2態
Aさんは60代男性で、昨年8月頃から右下肢に力が入らないと訴えて、昨年10月末に来院した。卓球やゴルフを趣味とし、日常的によく運動している。
既に整形外科医院に通院しており、MRIで腰椎のズレがあることを指摘された。
牽引と注射を行ってきたが、一向に改善しないので整体治療など色々試した。
それでも変化がない。

右大腿部筋群の筋萎縮があり細くなっている。本人に確認させると、その違いに驚いていたから全く気づいていなかったのだろう。大腿四頭筋の筋力低下(grade 2)。つまさき歩行は可能だが、右の踵歩行(grade 0)不全。大腿四頭筋、前脛骨筋から足背にかけての触覚鈍麻。痛みは訴えない。
神経障害を想定し、専門医の診断を仰ぐように説明する。

その患者さんが先日みえた。
以前住んでいた横浜の病院の整形外科を受診し、12月中旬に手術を受けたそうだ。
ご本人も詳細なことは忘れてしまったようで正確なことは不明であるが、「脊柱管狭窄症の診断で、窓を開けて減圧する簡単な手術を行ったという説明だった」と話していた。
手術部位その他の詳細も不明であるが、手術の翌日には踵歩行が出来るようになり普通に歩けるようになった、と喜んでいた。
6日間で退院、通常の生活に復帰した。

初診の状態との違いを知りたいからと、検査と治療を依頼された。
手術から2ヶ月近く経過している。
徒手検査で、初診での問題点は解消されていた。
大腿部の筋萎縮はすぐには元には戻らないだろうが、またスポーツを再開して鍛えて行きたい、と話していた。
ともかく、よかった。

Aさんが術後の経過をみせに来院したその日に、前後して60代女性(Bさん)が初診でみえた。
一昨年の夏に、脊柱管狭窄症の診断で手術を受けている。
腰痛と、長時間歩くことで両下肢が痛苦しいくなる状態だったらしい。
脊柱管が狭くなり脊髄が圧迫されているのが原因とされて、迷うことなく手術を受けたのだそうだ。

ところが、手術が終わり麻酔も覚めきらないうちに激痛を感じて叫んだ。
でも、手術は成功したと告げられたが、術後から腰痛と下肢痛に悩まされることになった。
2ヶ月間入院したが、結局、腰痛と下肢痛を引きずったままである。
術前より症状は悪化した、とBさんは言う。

同じ脊柱管狭窄症と診断されたが、Aさんには痛みはなく筋萎縮と麻痺があり歩行不全があった。それを本人は「重だるい」と表現していた。
Bさんは痛みに苦しんだ。

麻痺と痛みという正反対の症状が、同じ病態とされることは大きな疑問とするところである。
Bさんは、術後にペインクリニックでも診察を受けた。
そこでは、「複合性局所疼痛症候群、RSD」と診断されている。
脊柱管狭窄症の症状とされた痛みと、その手術は一体何だったのだろう。
Bさんの両下肢の皮膚は確かに黒ずんで、色調に変化がみられる。
「手術前はこんなではなかったのに...」と、Bさんは手術したことを悔やんでいた。
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by m_chiro | 2009-02-17 17:24 | 痛み考 | Trackback | Comments(5)
「笑門来富久守護」
ポンジュースのポンさんが愛媛県松山市にある椿神社の「椿まつり」に出かけたといって、私のところにも縁起物のお飾りが届いた。
いい笑顔のお飾りです。早速、治療室に飾りました。
「笑門来富久守護」と書かれています。
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「椿まつり」の3日間には「貸銭(かしぜに)神事」とやらが行われるのだそうで、江戸時代からの散銭が変形したとされる特殊な宗教行事として賑わう祭りなのだそうだ。
「椿さん」として親しまれているこの神社のホームページ(http://www.tubaki.or.jp/)に、こんな解説が載っていました。

小額の守り金を借り、翌年の倍額(多いとの意)にしてお返しする行事です。借りる際に神社側より氏名・住所を尋ねられる事は無く、誰もが無条件に借りることが出来る神と人との信仰と信頼に基づいた特殊祭儀であり、本年も生活に励み、来年無事にお返しの参拝が出来る事を祈る祭儀です。


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貸銭は20円、翌年にはその倍返しの40円、また20円借りて翌年の倍返しの80円、また20円借りて翌年の倍返し160円...と続けて、毎年20円ずつ借りて行くと10年後のお返し分は10,240円となる。11年目からは最初の1年目に戻るから、10年を一区切りにしている。

「笑う門に福が来る」のは椿さんだったりして...。
こんな罰当たりなことを考えているから貧乏症が抜けない。

昔は賽銭を借りて商売の元金にし、頑張って繁盛させてお礼の倍返しの賽銭を返すということが行われていたのだろうか。
「貸銭(かしぜに)神事」は、信仰と信頼の結びつきを祭儀の変形としてとどめているのだろう。

さて笑いと言えば、「笑いと治癒力」を書いたジャーナリストのノーマン・カズンは、自らの膠原病を笑いによって克服した体験に基づいて「患者の責任」ということを説いた。
自分の身体には、ある程度の責任を自分自身が負わなければならない、ということだろう。

神頼みも完全な神様頼りではいけないということで、20円の「貸銭」も自分自身に責任を負わせるための誓いに違いない。
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by m_chiro | 2009-02-16 18:59 | 雑記 | Trackback | Comments(4)
指趾粘液嚢腫と痛みの混在
昨年の11月のことである。
腰痛で来院していた中高年の婦人が、腰の痛みも消えたので治療も最終日となった。

帰り間際に、「これは治りますか?」と言って、右母指に巻いたキズバンを剥がしながら聞いてきた。
見ると、母指の爪の付け根(経穴で言えば「少商」のところ)が膨らんでイボ状に膨らんでいる。とても痛むのだそうだ。
昨年の5月から皮膚科で診てもらっているが良くならず、別の皮膚科に転医した。
が、相変わらずの痛みと、膨らんでは消え、膨らんでは消える粘液嚢腫が続いている。

「皮膚科の先生はなんて説明するの?」と聞いたら、「原因不明で、治り難い。再発を繰り返すから、あまり気になるようだったら切除しましょう。でも、またの再発するんだよね」と言われたらしい。
治療は、抗生物質と塗布剤を処方されているが、長くなっているので今は抗生物質は服用を止めている。

病名は覚えていないと言うが、「指趾粘液嚢腫」だろう。
右の母指、ちょうど正穴H1のところである。破れかけている。
嚢腫が出るときと、破れるときは、特に痛むらしい。
試に、陰陽交差で左の胃経の井穴を刺激すると、楽になるというので皮内針のバイオを貼らせてみた。
それから2日後には綺麗になって痛みもなくなった、と大喜びで見せにこられた。

ところが、それから1週間も経った頃にまた腫らんできた。
でも痛みは随分少なくなっている(VAS2~3/10)。以前に比べると、気にならない痛みだ、と言う。それも膨らむときだけの痛みに限定されている。
この嚢腫の粘液は、コラーゲンが皮膜を破って皮下に膨らんでくるとされている。
皮膚の線維芽細胞が機械的刺激によって性状が変化して、粘液をつくりはじめるということのようだ。粘液の膨らみと強い痛みがあるという違いはあるが、ガングリオンの表層版のようなものだろう。

そこで、機械的刺激で皮膜に裂孔が出来ていることを想定した。
対策として、腫瘤が吸収された頃を見計らって、第一関節をサージカルテープで固定し動きを制限してみたのである。
すると、嚢腫が再び膨らんでくることはなくなってきた。もうしばらくはテープで動きを制限させて、様子を見ることにした。
それから1ヶ月毎に経過を見せてくれる。今日もみえたが、綺麗になっていた。7ヶ月も痛みと噴火を繰り返した粘液嚢腫だった。

このケースでも、嚢腫という器質的な病変に痛みが混在していた病態を考えさせられた。
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by m_chiro | 2009-02-13 23:35 | 痛み考 | Trackback | Comments(2)
北帰行はじまる
毎年、最上川の河口にコハクチョウとオオハクチョウが飛来する。
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     コハクチョウとオオハクチョウ
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河口にスワンパークがあり、白鳥たちはここをねぐらにしている。
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庄内平野一帯には豊富な餌場がある。何しろ庄内米の落穂がたくさんある。

スワンパークではパンくずなどで餌付けも行われているが、おいしい庄内米の落穂が豊富なので白鳥たちは餌場に不自由はしない。
そのせいもあってか、ここ十数年は飛来数日本一を続けている。
ところが今年は、鳥インフルエンザを懸念して餌付けを禁止する条例が出された。
餌場が豊富なのだから餌付けなど不要と思うのだが、長年にわたり人様の都合で餌付けをし、また人様の都合で餌付けをやめることになった。

そんな人様の都合には一向におかまいなしに、今年も白鳥たちは田園めざしてお出かけの毎日だった。
日の出と共にスワンパークを飛び立ち、10数キロの範囲の庄内平野一帯の田園を餌場にする。そして日暮れと共にねぐらに戻る。
そんな毎日の繰り返しで、朝な夕な飛行隊列が鳴き声を頼りに飛び行く様を見かけるのである。
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今年は、2月初めの13年ぶりのドカ雪があったものの、例年にない暖冬ですでに雪も消え、田圃も土をのぞかせている。雪がないぶん、白鳥にとっても餌の採食がやりやすかった年だったろう。
今年は北海道でも雪の祭典の開催があやぶまれたり、流氷祭り目当ての観光客の出足にも影響する暖冬だったらしい。
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スワンパークの白鳥たちも、去年より15日早い北帰行がはじまった。
北へ帰る白鳥は、飛び立つとすぐに鳥海山の山頂に向かって高度を上げて山の彼方へ消えて行く。
雪国に春の到来を告げる風物詩である。
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by m_chiro | 2009-02-09 01:09 | 庄内の記 | Trackback | Comments(6)
「痛み学・NOTE」⑳ 異所性発火とは何か
「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです。

⑳ 異所性発火(放電)とは何か

「バカげた根性疼痛」で、加茂先生が根性痛について分りやすく書かれている。
それを読むと、どうも異所性発火を知らないで根性痛の議論をしている専門家がいるらしい。驚きである。「神経が圧迫されて下肢痛が起こる」とする仮説の機序は、今のところ「異所性発火説」以外に合理的な機序は見当たらない。
その異所性発火とは何か? 加茂先生は次のよう述べています。
痛みの信号は神経線維の先端に付いているポリモーダル侵害受容器から発せられるのですが、この侵害受容器を介することなく神経線維の途中から痛み信号が発せられることを異所性発火といいます。

というわけで、復習をかねてまとめてみました。

神経の伝導信号は電気的な発火(活動電位)に依存している。
本態は膜電位の急速な変化によるもので、そのルートは受容器と脳を結んでいる。
上行性には感覚が伝えられ、下行性に運動がもたらされる。
その活動電位は膜のイオンチャンネルに依存した静止段階(-40~90mVの陰性膜電位:分極)からの脱分極(陽性方向への立ち上がり:活性化)と再分極(正常な陰性の静止膜電位の再獲得)の2つの段階がある。
             
侵害受容器に閾値を越えた刺激が加わると、その信号は脱分極と再分極を頻発しながら脳・中枢に向けて上行する。
これは正常な信号の発火伝導であるが、異所性発火はこの正規の生理学のルートを辿らない。受容器からの信号とは無関係に発火放電が起こる。

日本の大学で唯一「痛み学」の講座を開講する愛知医科大学「痛み学講座」が発信する用語集「言葉アラカルト」から、関連する用語を拾ってみよう。

異所性放電:感覚受容器の興奮を介せずに神経切断などで発生するスパイク放電。
発芽:損傷を受けた神経線維の切断は、修復機転として伸張する。発芽部の膜には正常時とは異なるイオンチャンネルや受容体が発現し、異所性興奮を示す。
ニューロパシー性疼痛:神経の損傷(炎症や切断など)後に生ずる痛み。慢性痛の一種で痛みの中枢経路に可塑的な変化をきたして生ずる痛み。


こうしてみると、異所性発火とは神経の切断や損傷などに伴うスパイク放電のことであることがわかる。神経の切断はともかくとして、微妙なのは「損傷」である。具体的にはどこまでの損傷を言うのだろうか。
フリー百科事典「Wikipedia」の医学項目では、損傷とは「傷がつくことである」として、「医学的における損傷は後天的に組織の生理的連絡が絶たれた状態のことを指す。創傷も含むことがある。損傷の種類には様々なものがある」、として骨折や出血を伴う傷、挫傷などをあげている。
要するに、神経の「傷」や「機能異常」に伴って起こる病的な電気生理学的現象が異所性発火である。病態としては神経因性疼痛にみられる現象である。

こうした難治性の神経の病が、日常的にみられる下肢の痛みとは信じがたい話なのである。
所謂「根性痛」とされる痛みには、神経圧迫による異所性発火説とは違った病態概念を持ち込まないと到底理解することができない。
では、根性疼痛を示す神経は正常でない神経、つまり障害された神経なのかということですが、末梢神経障害では麻痺が生じます。つまり感覚鈍痲、脱失、運動麻痺です。これはペインクリニックの領域ではありません。そんな神経に向かって局所麻酔をうつなんてことはないのです。
障害を受けた神経が、脊髄後角で触覚神経などと混線して難治性疼痛である神経因性疼痛、CRPSタイプⅡを呈することがあります。
これは手術をして治すというものではありません。根性疼痛といわれているものと明らかに別のものです。


この加茂先生の解説からも、「異所性発火」と所謂「根性痛」とされるものの違いをよく理解することが出来る。
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by m_chiro | 2009-02-02 17:49 | 痛み学NOTE | Trackback | Comments(2)



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