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大阪で出会った詩
26日(土)から、大阪に出かけました。
伊丹空港に着くと、外はジリジリと焼けるような暑さ。
空港からリムジンバスで「なんば」に向かう。
バスの座席にパンフが幾種か差し込まれていて、その中に「Limo.Press 38」というタイトルの大阪空港交通(OKK)通信が入っていました。

表紙2を開くと、福岡出身の版画家・矢野薫さんの「ciel(空)」という題名のカラーエッチングがあり、まるで子供が書いたような頼りなげな鳥が赤の線画で青地に描かれています。
その絵の上に、三宅伸治さんというミュージシャンの「平気」という詩が載っていました。
いつも不安げなあなたに、そして自分を見失いそうなあなたに、少しでも力を与えられるかな、と思って引用します。
読んでいると、自然にリズムが湧いてきそうな詩でした。
その上、「平気」が頭の中に蔓延りそうになります。

「平気」      三宅伸治
眠れない夜も 平気 平気 つらい朝も 平気 平気
何を思われても 平気 平気
いつも自分を信じていよう
青い空を思い出して 君がくれた言葉を想い出して
胸を張って歩く きっと平気 平気
年を重ねても 平気 平気 体は元気で 平気 平気
友達と笑って 平気 平気
いつも自分を信じていよう
星空を見上げれば 君といた夜を想い出して
眠りにつこう きっと平気 平気
眠れない夜も 平気 平気 つらい朝も 平気 平気
人生は悲喜こもごも 気分次第で 平気 平気
もう大丈夫 平気 平気
もう大丈夫 平気 平気
何があっても 平気 平気
いつも自分を信じていよう いつも自分を信じていよう

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by m_chiro | 2008-07-28 23:49 | 雑記 | Trackback | Comments(1)
梅干を作る
やっと晴れ間がでるようになったので、漬けておいた梅を天日に当てた。
梅もシソも地元産のものだ。写真の梅は「おばこ梅」。小ぶりの梅である。
患者さんが庭で採れた梅を持ってきてくれた。
いつもは「節田梅」という大粒の梅を使っている。
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塩はこだわって、この近海の海水から作ったものを使った。
梅干には塩が肝心らしい。
なにしろ、梅干は10年周期でパワーアップしていくのだそうだ。
塩とクエン酸が発酵して徐々に徐々に力が増していくのが10年周期なので、10年経つと梅の酸っぱさとか、塩からさという自己主張がなくなり、まろやかになる、と言う。
その時に問題になるのが、塩分濃度らしい。昔から梅干は30%濃度なのだそうで、それ以下だと百年も持たないのだそうだ。
試してみたいとは思うのだが、一年で食べつくしてしまう。
だから、そんなに永く置いておこうとする暇もない。
したがって、塩分濃度も18%くらいで十分だ。
梅干の味は、海水の「にがり」成分が隠しどころらしい。
だから自然塩が一番である。

多く作ろうと思っても、梅干を作るのは手間ひまがいる。
作ってみて、こんなに手間のかかるものなのか、とはじめて気がついた。
農林省の「日本農林規格」では「梅干とは、梅を塩漬けにして干したもの」と規定している。
だから、調味料で漬けたものは、「梅漬け」と区別して表示されている。
したがって、「天日干し」でなければ「梅干し」ではないのだ。
シソは着色に欠かせない。
シソにもこだわると、栽培した土壌によっても発色が違うらしい。
そこまでは手が回らない。

クレブス回路(クエン酸サイクル)の発見者でノーベル生理学賞を受賞したH.A.クレブス博士は、その学説の発見に梅干しがヒントとなったとか。
本当かどうかは別にして、クエン酸は老廃物を分離して排出する作用があるとかで、毎日継続して摂る事が大事らしい。
私の梅干し作りのバイブルは、「宿福の梅ばなし」である。
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乗松祥子さんという「梅おばさん」が書いた本だ。
乗松さんは茶懐石料理「辻留」銀座店に20年間勤務して梅仕事に目覚めたという方である。
書かれている通りに事を運ぶことはできないが、私も梅干作り6年目を迎えた。
年々、奥が深かまる。
ただ今、楽しみながら挑戦中!
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by m_chiro | 2008-07-25 23:11 | 雑記 | Trackback | Comments(5)
生き物と外界環境の関わり
「宇宙生物学」
http://www.m.chiba-u.ac.jp/class/bioinfor/sub3/061117_SMU_MarineInstitute.pdf


これは千葉大学大学院の医学研究院・生命情報科学の田村裕先生のもので、「宇宙環境」、「地球環境」、「社会環境」からの影響を研究しているようです。
何か不思議な世界を覗いた感じです。
ここにも前回記事にしたテルモの「健康と気候のアンケート調査」が引用されています。

面白いのは、「七五三の法則」に基づく「風邪引き指数」のこと。
「七」は、1日の平均気温が七度以下のとき。
「五」は、前日より気温が五度以下のとき。
「三」は、湿度が30%以下のとき。
風邪引きやすいあなた、「七五三の法則」を心しては!

貝原益軒の「養生訓」でも、身体の養生だけでなく、心の養生を説いています。
「三楽」を行い、「四欲」を抑え、その上で「季節の暑さ、寒さ、湿度などの変化に合わせた体調の管理」が肝要だということです。

自然と融和する生き方が大事なのでしょう。
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by m_chiro | 2008-07-25 02:04 | BASE論考 | Trackback | Comments(0)
痛みや体調不良は、気候と関係するのか。
ただ今、「日本カイロプラクティック徒手医学会誌」の編集が最終段階に入り、文字校正の真っ最中です。どうにか目途がついて、しばらくぶりでこのページを開きました。

今年、私の地域は空梅雨で雨が少なく、一週間ほど前に31度の最高気温となりました。併せての梅雨明け宣言でした。ところが、その翌日からひどい雷雨が続き、完全に梅雨の気配です。

そんな天気が続くと、古傷が痛み出した患者さんや慢性的な痛みを抱える方が、「神経痛だ!」と言っては治療にみえるようになります。

天気が体調とどう関係するのか? 
そんな調査が2004年に行われています。

健康と気候に関するアンケート調査
http://www.terumo.co.jp/press/2004/023.pdf


調査したのはテルモ株式会社で、立正大学、国土環境株式会社と共同調査のようです。
調査対象は全国の40~60代の一般生活者および慢性疾患患者の1168名でした。
その結果、多くの方が天候と体調に関係があると考えている(81%)ことや、そのような経験をしている人がいる(73%)ことわかりました。

では、どんな影響を経験しているのか? 
また、疾病をお持ちの方では影響を受けやすいのだろうか? 

圧倒的に多いのは循環器の関連症状、頭痛、リュウマチ、関節痛、腰痛、喘息、糖尿病などが続きます。いずれも自律神経との関連が想定される症状のようです。
こうした患者さんは、気候と体調の調査を重要視している(82%)ことから、あながち気のせいと決め付けるわけにも行かないようです。

もっとも、痛みの回路は2重システムになっていて、ひとつは毛帯路系という識別感覚システムです。明らかな警告系の痛み回路です。
もうひとつは毛帯外路系で、これは情動・自律反応伝達システムです。この伝達回路は多シナプス性で広範囲に接続されるので、痛みなども局在的ではなく漠然とした広範囲の痛みをつくるのでしょう。
自律神経系は痛みを修飾する神経でもありますから、気候がもたらす自律神経の変調は充分に考えられるところです。

気圧が下がる、気温が下がる、湿度が高い。これは自律神経の作用で痛みを修飾してしまうでしょう。気圧の検出は内耳の前庭器官が行いますので、外界の情報は中枢に送られて自律神経が作動し、内的世界が作られていくことになります。
高気圧は交感神経優位に、低気圧は副交感神経優位になり、いずれも痛みと関わることが知られています。

低気圧になると、ヒスタミンが増えることもわかりました。
ヒスタミンは低気圧などの外部環境に反応して増加し、血管の拡張したり、血管から周辺組織に浸出液を出したりします。すると、血圧が急低下することになりますから、交感神経も刺激されることになります。血圧の低下に合わせてバランスをとるわけです。

このときの血管内外での押し合いで、血管の内圧が高まると、血中には物質が溶け込みにくくなり、個々の細胞が膨張していきます。血中の肥満細胞からヒスタミンが出されることになります。痛み感覚は、一層交感神経を刺激してしまうのでしょう。

交感神経は筋肉や関節周辺の血管を収縮させ、酸欠による危機状態を作ります。その一方で脳の血流は増すので、偏頭痛の起こりやすい伏線ができあがります。こうして痛みの悪循環が作動します。

気圧の低下は、副交感神経優位ですから、からだのだるさがでますが、ヒスタミンも増えて交感神経への信号も活発になりますから、自律神経系はパニックになるのかもしれません。

私たちの内的世界は、外界からの情報によっても構築されます。だから、自然環境は侮れません。
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by m_chiro | 2008-07-25 01:45 | 痛み考 | Trackback | Comments(2)
「手指のしびれはMPS」の2態
先日、手指のしびれを訴える方が前後して2人みえた。

一人はAさん60代の女性である。農業に従事している。左指の1~4指がしびれる。指は写真のように変形がある。変形は両手、両足にも見られる。整形外科では、「変形があり骨も減っているからだ」とされてきた。
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もう一人のBさんは50代の男性である。2ヶ月くらい前から両手首から先が痺れるようになった。最初は朝の起床時だけだったが、最近では一日中痺れているようになった。整形外科でX-rayでの頚の老化と曲がりを指摘される。首の牽引をしてきたが、変化がないので止めた。

「しびれ」

加茂先生はしびれについて、2つの態様を述べています。
①知覚鈍麻~知覚脱失
これは神経麻痺を想像させます。不完全麻痺なら知覚鈍麻で、完全麻痺なら知覚脱失です。これは他覚的所見です。しかし筋筋膜性疼痛症候群でもたまにこのような表現をする患者さんもいます。
②知覚異常(ジンジン)
臨床で問題になる「しびれ」はほとんどがこれです。正座の足のしびれですね。これは静脈系が圧迫されて鬱血状態を想像させます。これは自覚症状です。

このように「しびれ」という言葉の中に他覚的所見と自覚症状が入り交じっているのです。このあたりがすっきりしないので、医師の誤解の一因になっているのかもしれません。


この2人の患者さんのしびれは、②の知覚異常で自覚症状です。
MPSの視点から責任筋を探しました。

Aさんは腕橈骨筋と橈側手根屈筋にいくつかのTPがあり、Bさんには両側で円回内筋に特に強いTPがありました。

Bさんは、数ヶ月前から冷蔵庫に入っての種分け運搬作業が続いていたそうです。TPのリリースをして、筋のストレッチにとても良く反応するので、在宅でのストレッチ運動を指導しました。

両名とも3回目の治療にみえたときには、しびれも消失していました。「しびれ」となると、多くの患者さんは脳梗塞にでもなって半身不随になる前兆か、と心配します。

でも、加茂先生の御指摘の通り、トリガーポイント・リリース法にとても良く反応しました。
つまり、神経麻痺も変形なども関係ないわけです。
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by m_chiro | 2008-07-19 00:28 | 症例 | Trackback | Comments(2)
山居倉庫を撮る
昨日は、地場物産を求めて、近くの山居倉庫にある物産館に行きました。

27~28年も前になるだろうか、NHK朝の連続ドラマ小説「おしん」の舞台になった米倉です。
内陸から奉公に出る「おしん」が、最上川を下って酒田に来ます。
おしんは、この米倉から船に荷積みする仕事もしました。
当時の荷積みをする荷役は女性も沢山いたようです。

倉の中には、60kgの米俵を背中に6俵も背負う当時の女性の写真があります。驚きです。私など、デモ用の米俵で一俵を肩に担ぐのに大変でした。昔の日本人の身体性には脱帽です。

山居倉庫は、明治26年、旧藩主酒井家によって建てられました。米の保管倉庫です。低温管理が行き届いた米蔵です。米の収容能力は1万3000t(22万俵)だそうです。
当時の酒田は、米の積出港として賑わったのですね。

西側の倉庫脇には欅並木があり、倉庫を直射日光と風から守りました。ここは倉庫の裏側ですが、欅並木と並列に並ぶ倉の裏側の景観はとても裏側とは思えない美しさがあります。全部で12棟の土蔵造りの倉庫が並んでいます。

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デザインと生産性はなかなか結びつきませんが、この倉庫はデザイン性、生産性ともに優れた建築であることを感じさせます。
それだからこそ、その歴史を現在にまで伝えて、尚且つ築百年以上経った今でも現役で活用されているのでしょう。
倉庫の一部は観光客向けに改造されました。酒田市観光物産館やミュージアム、地酒などの物産販売コーナーが開設されています。

JR東日本のコマーシャルでは、吉永小百合がここの欅並木を背景に撮影しています。
近年では、2006年にハリウッドの大作「シルク」がやはりこの山居倉庫で撮影されました。2007年に封切られたこの映画には、息子がエキストラで主人公のカバンを持つ役や通行人などで出ました。下はその「シルク」の撮影風景。
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というわけで、私もついでに撮ってきました。観光客が途切れるところを狙って撮ったのですが、かえって殺風景になった感じです。
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by m_chiro | 2008-07-15 01:14 | 庄内の記 | Trackback | Comments(9)
極楽の住人の生き方に学ぶ
今日は、ご近所のお爺さんが亡くなられたので葬儀に出席した。
90歳だった。天寿を全うしたと言える年齢である。
葬儀で聞いた話によると、昨年11月に、家の中で転倒し大腿骨を骨折したそうだ。
入院して固定手術を受けた。3ヶ月が経過してもまだ歩行が出来ずにいたが、退院させられた。
他の病院に移って加療しているうちに、今度は肺炎になって、結局それが死因になった。
二度目の病院でも、3ヶ月が過ぎるから、そろそろ転院先を考えておくように申し渡された後の死だったようである。
「家に帰りたい」と口癖のように言いながら、死を迎えたようだ。
それだけが心残りだったかもしれない。
家族の人にしてみれば、追い出されるように病院を変えられたことが悔しかったようだ。
さもありなん、と思う。

初7日法要のお膳についた栞の裏面に、「地獄と極楽の話」という法話が書かれていた。
こんな話である。

地獄は、現世で悪い行いをした人が死んだ後に行く所だとされている。
色々な苦しみが満ち溢れていると聞かされてきた。
ところが地獄の様子を見てきたという人の話によると、地獄にもすばらしいご馳走のお膳が並ぶときもあるのだそうだ。
地獄の住人たちはそのお膳について整然と並んでいるのだが、可愛そうなことに誰もそのご馳走を誰も食べることが出来ないのである。
実は持っている箸が1メートルもあり、ご馳走をつまんでも箸が長すぎて食べることが出来ないのだそうだ。

一方、極楽もご馳走のお膳や1メートルもある箸は地獄と全く同じ。
ところが極楽の住人は長い箸でつまんだご馳走を自分の口に入れず、向かい側の人の口に入れてお互い食べさせあって、ニコニコ食事していたそうである。
極楽の住人とは、まさに「智恵」を持っている人たちのことなのだ、と結ぶ。

もちろん作り話であるが、仏教で言う「智恵」とは、自分のことばかり考えずに相手の為になることをしようの精神である。
そうすれば、相手だけでなく自分にも振り返り、結局、皆が明るく楽しく生きること出来るようになる、と説いている。

「相手の為になることをする」。それがなかなか難しい。
でも、わたくし達日本人は宴会の席でも自分の杯には注がずに、必ず相手の杯についで極楽の住人と全く同じことをしている。
確かに、この日の法要のお膳の席を見渡しても、さしつさされつお酒を酌み交わしながら、関係者との旧交を新たにし合っていた。
これをもっと日常にも広げていきさえすればよいのだろう。

人の為になることをする。
患者さんの為になることをする
、という治療家としての原点を葬儀に参列して再認識させられた。
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by m_chiro | 2008-07-10 00:08 | 雑記 | Trackback | Comments(3)
経絡の遠隔療法
症例の記事を読んでいただいている方はお気づきだと思いますが、私は痛みに対して段階的なアプローチを行っています。

先ずは、痛みの原始的な反射である身体的に表現された「うずまき反射」をリセットします。次に、重力場における頭部からの圧変動をリリースしますが、これらは身体機能をみる治療家として重要視しているところでもあります。
そして最後に、痛みとして表現されている部位に対応します。
このときの一つのの方法として、経絡ルート上に表現されている痛みには経絡の遠隔療法を用いることがあります。

経絡を使った遠絡療法には、流派というべきなのか、学派というべきなのか分かりませんが、いくつかのシステマチックな方法があるようです。

ひとつはsyarurukさんのブログでも紹介されていました「陰陽二元論」の記事にある方法です。これはおそらく、「対角線療法」と呼ばれる鍼灸師の川井健董先生が開示している方法でしょう。

2つめは、sansetu先生のブログの「陰陽交叉法参考文献」に紹介されている方法もあります。この方法は記事の文献にも紹介されていました鍼灸師・吉川正子先生が、「陰陽太極鍼法」(陰陽交叉法)として発表した方法のようです。
陰陽交叉とは、つまり以下の対応になります。


1.肺経(手太陰)―胃経(足陽明) 
2.大腸経(手陽明)―脾経(足太陰) 
3.心経(手少陰)-膀胱経(足太陽) 
4.腎経(足少陰)―小腸経(手太陽) 
5.心包経(手厥陰)-胆経(足少陽)
6.肝経(足厥陰)-三焦経(手少陽)


3つめは、ケイしゃんの「腰痛掲示板」で、どなたかが紹介していました医師・柯尚志先生の「遠絡医学」という方法もあります。

ハタと困ったことには、この3つの方法で選択対応すべき経絡が、それぞれ微妙に違っていることです。遠絡医学の方法では、対角や交叉だけでなく同側を用いたりで、必ずしも単純に陰陽の交叉を用いていないことです。その対応する経絡を理論通りに選択するには、東洋医学や鍼灸理論に通じている必要がありそうです。と言うことは、なかなか一般家庭療法として使うには難しい面があるということかもしれません。更には、選択すべき経絡もそれぞれの方法で違っているのです。

私もこれには随分と悩まされました。この違いをどう考えていいのか、どれが正しいのか、考えあぐねました。私は鍼灸師ではありません。ですから、経絡の事情もよく飲み込めていませんでした。何といい加減な方法なのか、とも思ってしまいました。

しかし、よくよく考えれば、鍼灸は永い間の経験則に基づいて構築されているわけです。
しかも、れぞれが結果を出している状況を考えれば、その原理を考えた方が早道だと思いました。

結論を言えば、ポリモーダル受容器に注目したことで吹っ切れました。近年、経絡やツボはポリモーダル受容器が集まっているところと符合するらしい、ということを知ったからです。
そこで、熊澤教授の研究から学んだポリモーダル受容器の特徴を、このブログの「痛み学]NOTE⑩にまとめて「ポリモーダル受容器の活動は変幻自在、神出鬼没する」という記事にしました。

特に注目したのは、ポリモーダル受容器は反復刺激に対する再現性が極めて悪いこと、という特徴でした。つまり、ポリモーダル受容器は刺激に関する情報を忠実に伝えるということはしないということです。ということは、刺激によって生じた組織の変化に強い修飾を受けて、その組織の現状を伝えるために働いている、ということになるのでしょう。この特徴は、生体内の環境をリアルタイムで伝える重要な情報網そのものではないのか、と思ったわけです。

そう考えると、私たちの身体にはポリモーダル受容器による情報のネットワークが存在していると考えてもいいのでしょう。痛みは、この情報網のどこかのルートでフリーズしているか、あるいはブロックされているのだろう、と考えました。したがって、どの方法論が正しい経絡の設定をしているのか、などと詮索する必要はないのでしょう。いずれも、一つの標準的な提示に過ぎないのではないかと思っています。

では実際、どのように経絡を選択しているのか。どのように解除ポイントを決めているのか。ということについては、極めてシンプルに対応しています。
私には経穴に対する知識もないので、経絡上の異常な信号の表現を触診する、あるいは感知することで、対応するポイントを決めているわけです。

静かに経絡上に手掌から指先までをそっと添えると、ピンポイントで異和感を感じるところが現れます。その感じとは、例えば、冷たい感じ、あるいは凹んだ感じ、盛り上がる感じ、存在感の希薄なポイントなどなど。最も強く感じたポイントがどの経絡上にあるかによって、時には「対角療法」であったり、時には「陰陽交叉法」であったり、また時には「遠絡医学」の同側になったりで、経絡の選択はそれぞれの方法に固執していません。感知したポイントが、経穴に一致するのかどうかも気にはしていません。

ただし、必ず2ポイントを選択しています。最初のポイントはフリーズした情報経路の流れを回復させるポイントにします。次に最初のポイントからより末梢にポイントを探し、そこを「解除キー」として使いっています。
その他にも、刺激の方法や経絡の選択方法では私なりの選び方を持っていますが、鍼灸の先生方に荒唐無稽と揶揄されそうなので、これ以上は言及しません。

私は必ず症状部位と同調させていますが、最終的には症状のある部位を動かすように指示して、痛みの変化を確認させます。即座に消えることもよくあります。少なくとも6~7割の軽減をめざしますが、変化が乏しければポイントを別に探します。

解除がうまくいったら選択したポイント印を付けます(今では刺激ポイントの目印に金粒を貼ってあげます)。この目印は、在宅での刺激点として運動法と組み合わせて指導します。
痛みを軽減させて動かす。特に慢性痛に対応としては、ネガティブな神経の可塑性をポジティブな神経の可塑性に変える認知運動に導くことを狙っているわけです。
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by m_chiro | 2008-07-07 14:58 | 痛み考 | Trackback(1) | Comments(5)
友あり、遠方より来る
中国・大蓮市の友人・王生氏が訪日した。
九州、広島、京都、東京で所用を済ませ、そこから私のところまで脚を伸ばしてくれた。

王生氏は、福岡在住の学兄・馬場信年先生と私が大連医科大学での解剖実習授業を実施すべく奔走した時の日本側代理人で、交渉役兼通訳として随分とお世話になった方である。
出会いから15年が経過し、彼はこの間に三度の訪日を果たした。
訪日のたびに、酒田まで脚を伸ばしてくれる。
私共もつい近年まで、毎年のように10回ほどの解剖実習授業を引率した。彼の誠実な人柄と一途に前を向いて生きる姿勢に、付き合いも深まり、本当の朋友になった。

今回は、近くの海岸線にある温泉保養施設に宿を取ってひとときを過ごした。
この時期、この地区では岩牡蠣が旬で、多くの人が「牡蠣養生」をする。
中でも、鳥海山からの伏流水が噴出している海域の岩牡蠣は格別の味である。
「ブランド牡蠣」と称して、高値で食されている。

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写真はその岩牡蠣である。
これは10年物だそうで、大きさもジャンボサイズだ。
捕りたての岩牡蠣が運ばれてきて、その場で剥いてレモン汁をかけて生食する。
この地区では、7月いっぱいこの「牡蠣養生」の客で込み合うのである。

正岡子規が書生の頃、おそらく明治25年前後だろう、奥の細道を旅したことを「仰臥漫録」に書いているが、そこに次の一文がある。

奥羽行脚のとき鳥海山の横の方の何とかという処であった海岸の松原にある一軒家に泊まったことがある...中略...勿論一軒家といふても旅人宿の看板は掛けてあったので、きたない家ながら二階建てになって居る...中略...草鞋を解いて街道に臨んだ方の二階の一室を占めた。鳥海山は窓の外に当たってゐる...中略...膳が来た 驚いた 酢牡蠣がある 椀の蓋を取るとこれも牡蠣だ うまいうまい 非常にうまい 新しい牡蠣だ 実に思いがけない一軒家の御馳走であった 歓迎せられない旅にも這程の興味はある


私の家内は、正岡子規と同郷である。家内が次の俳句を詠んでいる。

  「出羽富士や 岩牡蠣喰らう 子規の居り」

遠来の友と共に過ごしながら食べた岩牡蠣は、また格別な味がした。
その遠来の友も、駅のホームで抱擁し、今日は東京への旅人となって帰って行った。
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by m_chiro | 2008-07-06 20:31 | 雑記 | Trackback | Comments(4)



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