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情報が痛みを消す!?
昨年10月に、隣の県境にある保育園で講話を依頼させて出かけたことがあった。
その保育園が主催する、園児の親御さんや家族に向けたレクチャーでの企画だった。
テーマは「脳-身体―心の育て方」とした。
「脳-身体―心」を三位一体としてみる、という私の考え方に基づいて、腰痛・肩こり・関節痛などの「痛み」を話題にしながら、その育て方について話したのである。

講話の後の質疑では痛み問題に終始したが、とても活発で楽しい時間を過ごした。
その講演会場は保育園の講堂だったが、周囲には園児の絵がぐるり貼られていた。
講堂に足を踏み入れて、その絵を見た時にはとても驚いた。
どれもこれもが活き活きとして、力強い絵で感動ものだったのである。
さつまいも掘りの絵、泥んこ遊び、砂遊び、遠足、節分の鬼退治などなど、園児たちが自分の身体を使って、泥んこになりながら嬉々として遊んでいる様が見えるような絵ばかりだった。
受賞作もいくつかあったが、私にはどれもが甲乙付けがたい素晴らしい絵に見えた。

昨日のブログで紹介した斉藤公子氏のインタビュー記事「裸足の遊び 人生の土台」を読んで、その時に見た絵を思い出した。
そして、体を動かすことは脳の発育と無縁ではないのだ、と改めて思ったのである。
身体性をしっかりと築くことで脳が育つ、という斉藤公子氏の実践的な教訓に深く納得したのである。

私は、治療で患者さんの動きをみることを心がけている。問題の動きを認知させ、再作動させて動態認知を促すのである。人間が感じるものは、すべて脳における身体感知領域の活動パターンに基づいているのだろう。この感知領域が、今の身体の状況を精密にマッピングしている。
もしも、これらの領域に向かう信号が何がしかの変化を起こしているとしたら、そのマッピングは正確さを失う。
変化を起こす干渉をするものが何かは、人それぞれだろう。
もしも、干渉している信号系がリセットされなければ、「偽の身体マップ」が脳の身体感知領域に作られる可能性がある違いない。
変化している信号系をリセットして、本来の動態や動きを学習させる。これは私が心がけている方法でもある。認知行動療法や神経学者・アントニオ・ダマジオの「ソマティック・マーカー仮説」にヒントを得た。

昨年の保育園での講演の後、参加者の数人が治療を受けにこられた。
昨日は、やはり参加した婦人が来院した。1ヶ月前に足首を捻挫してから歩行で痛みが出る、と言う。
治療後には問題なく歩けるようになったその婦人が、帰り際に「私は30年来の腰痛なんです」と言った。
「何で最初に言わなかったの?」と聞くと、「今は良くなったんです」と答えた。
「どうして治したの?」と再度尋ねると、「何でか、よく分からないです。気がついたら痛まなくなっていました。保育園で先生の講演を聞いて、痛みの話を知って、何だ、そうだったんだと思ってから、何時からかはっきりわからないけど、気がついたら、アレッ腰が痛くない」と。
腰痛で10年前に退職したそうで、また働きに行こうかと思っている、と笑っていた。
「あなたが私の話をとても素直に受け入れてくれたからですよ。あり得ることなんですよ」。
本来の信号系に干渉して出来上がった「偽の身体感知マップ」を、情報がリセットした例だろう。
情報は侮れない。逆に言えば、偽の身体マップを作るような情報は駆逐されなければならないのだ。
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by m_chiro | 2008-02-26 19:38 | 痛み考 | Trackback | Comments(4)
日本の知力 「体動かす 脳が育つ」
読売新聞連載の「日本の知力」第2部第3回「体動かす 脳が育つ」は、身体性の喪失した時代にカンフル剤のような意義を持つ内容だった。
 
同志社大学が行っている赤ちゃんの発達と運動の関係を調べる実験の紹介にはじまる。
ハイハイ前の赤ちゃんが電動自動車で身体の移動を体験すると、階段や段差のある場所を恐がるようになるそうだ。要は、主体的に身体を動かすことで、赤ちゃんは「床」や「空間」を自分のものとしていくという。

「自分でコントロールできるようになった世界が、すなわち自分の世界になる」とは、同大・内山伊知郎教授の結論である。

最近の認知発達学では、赤ちゃんは母国語の判別や他人の心情を察する能力を備えている、としている。
ヒトの聴覚が発達しはじめるのは、6ヶ月の胎児からだとされている。
羊水の中に浮かんだ状態では聴力も未発達なわけだが、水の音を頭蓋骨に振動させて伝わってくる音を聞き分けるらしい。
1ヘルツは1秒間に1回空気が振動するわけで、音速は1秒間340メートル。
それを身長で割ると、身体を共振させる周波数の音になる。
6ヶ月の胎児は30cmほどとされているので、役1,133ヘルツということになる。
日本語の周波数は世界的にも低い部類で1,250~1,500ヘルツ。
聴覚が発達し始める頃から、母国語の周波数に馴染んでいることになる。
まして母親の声は特に良く共振するだろうから、親和性も高くなるはずで、やはり母親は偉大なのだ。

東京女子医大の小西行郎教授は、発達障害の子に共通する特徴として、動作バランスの悪さをあげている。認知や言語の障害、コミュニケーション障害は動作バランスと繋がっているのではないかと仮説している。身体性が確立されることで、環境に働きかけ社会的能力も育つのだろう。

動くことは考えることの一部で、体こそが脳を作るのだ。
体がなければ外界を認識することもできず、体なしでは知性も育たない、と結んでいる。

保育実践家を名乗る斉藤公子氏が、インタビューに答えていた。
子供は大人が何かを教え込む存在ではない。体を使って遊ぶことで、初めて自分の意思が生まれる。これが全ての土台になるのだ、と強調していた。
身体性が失われ、ただ脳化していく状況に警鐘を鳴らしている。
そのインタビューの全文を紹介しておこう。

識者に効く「裸足の遊び 人生の土台」 斉藤公子(保育実践家)

「足の親指を鍛えるのが育児の原点」と話す斉藤公子さん。動きにくいオムツを外してパンツに代え、赤ちゃんを庭に出すと、まずハイハイで目指すのが水遊び場、次が泥遊び場と決まっている。裸足で、体中を使い指先を使い、全身に血がめぐる。おなかが減り、疲れ、よく食べ、よく眠る。これが本来の姿。

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by m_chiro | 2008-02-25 23:26 | 雑記 | Trackback | Comments(3)
脳が創る解答表(1)  
人間同士のいざこざは、後を絶たちません。話せば分かるのにと思っても、なかなかそんなに簡単には行かないのが世の中なのでしょう。

そう言えば、養老孟司先生もベストセラーになった「バカの壁」に、「話せばわかる」は大嘘、と書いていました。話しても分かり合えない。これは「情報」に対する姿勢の問題だ、と養老先生は言います。

さて、ここで「情報」というキーワードから、もう少し脳を知る必要がありそうです。一体、脳は何のために、何をしている器官なのでしょうか? 

1967年に「狼に育てられた子」という本が話題になりました。実際にあったとされる事件を子供の写真入りで紹介し、発達心理学に大きなインパクトを与えました。その子供は1912年に狼にさらわれ、8年後に人間に救出されたのですが、その後は人間に育てられます。
でも、二人は人間の思考や行動を獲得しないまま、保護されてから10年以内に亡くなりました。

この事件は、子供の発育環境の重要性が強調されております。でも、狼が子供をさらうなんてウソっぽい話ですね。きっと、森に捨てられた子供を狼が育てたのかもしれません。話の真偽はともかくとして、脳の発達と環境の問題については、重要な示唆が含まれているように思います。このような例は、いくつも報告されています。いずれも、人間としての必要な「情報」が極端に遮断されたケースです。

こういったことが示唆するのは、ヒトが狼に育てられると、唸ったり生肉を食べたり、野生動物のように育つということです。なぜかと言えば、それはヒトの脳が、進化の過程を通して動物の脳である古い脳を既に持っているからです。

下の図は、脳の縦断面をイラストにしたもので、進化発生学的に脳の特色を示しています。これはP.D.マクリーンというアメリカの神経生理学者が描いた有名な図です。「三位一体脳」として知られるもので、脳を階層性という視点から捉えています。

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その階層構造は、最下層に反射脳として爬虫類脳、その上位に情動脳としての哺乳類脳、そして最上位に理性脳としての新哺乳類脳の三層構造になっているとするものですが、わかりやすく言えば三階建てのビルです。その三層構造の特色も、進化発生的に作られてきた階層性にあります。

爬虫類の脳、哺乳類の脳を階層的に重ねて、その上に人間の脳である大脳新皮質が形成されました。でも、犬や猫の哺乳動物にはヒトの新皮質はありません。ですから、人間に育てられたからといって、動物がヒトのように成長することはできないのです。ヒトは動物的になりえても、他の動物がヒトのようにはなれない、ということです。何十億年という長い年月をかけて獲得した遺伝子の違いです。


 
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by m_chiro | 2008-02-21 23:59 | BASE論考 | Trackback | Comments(0)
脳が創る解答表(2)
古い脳(辺縁系)が、第一次の価値判断を行っています。
わかりやすく単純化すると、「快」と「不快」の価値判断を大雑把に行うわけです。
犬や猫は、ほとんどこの判断系で生きていますね。

この最初の価値判断に対して、今度は人間の脳である新皮質が細かく理屈をつけて納得しようとします。第一次の価値判断は、ほとんど個々人の感覚的な判断です。

例えば、嫁と姑のいざこざを考えてみましょう。
最初に古い脳(辺縁系)が、感覚的に好き嫌いを判断します。
もしも、どちらかが「いやだ!」と最初の判断をすると、今度は新皮質がその判断に理由づけをして、その感覚を強固なものにしていきます。
こうなると、もううまくはいかなくなります。
「話しても分からない」のは、こうした脳の特性によるからです。

でも理性的な人は、新皮質で「嫌い」や「不快」の感情を打ち消す理由づけを行って、何とか仲良く生きようとすることもできるはずです。

もっと具体的に理解するために、下の女性の絵を見てください。
心理学で用いる有名な絵です。

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この女性は、「老婆」か「若い女性」か? 
あなたにはどちらに見えますか。
「老婆」と答えた人も、「若い女性」と答えた人も、古い脳で第一次の価値判断をしたことになります。
すると新皮質は、その根拠となる理由づけを行うのです。

同じ一枚の絵で、何で「老婆」と「若い女性」という対称的な結論が出るのか? 
それは個々人の感覚(第一次価値判断)の違いによります。

老婆と答えた人には、何で若い女性に見えるのか、おそらく理解できないでしょう。

同様に、若い女性と答えた人には、老婆に見えた人の感覚を理解することができません。
「話しても分からない」の最も単純な理由です。

でも、新皮質で理由づけができれば、老婆とも若い女性とも見ることができるはずです。
ヒトの脳内では、こうした情報の入出力によって答え(アルゴリズム)を獲得しながら生きているのです。

その人の脳内に、その人の「解答表」が創られ、ヒトは様々な場面に遭遇しながら、その都度よりよい答えを検索して対応するのです。
 
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by m_chiro | 2008-02-21 23:59 | BASE論考 | Trackback | Comments(6)
起き上がることが困難な頚背部痛
40歳・男性、一昨日の朝、クシャミをしたら頚にズキンとした痛みが起こる。
頚の全可動域で左肩甲骨上角周辺に痛みが起こるので、頚を動かさないように縮めて動いている。寝たら起き上がることが困難で、時間をかけてやっと起きるそうだ。度々、寝ちがいを起こす、と言う。


左肩甲骨の上角が下方に、後頭骨は右回旋している。左肩甲挙筋のトーンが低下しているようだ。左上僧帽筋は項部でのトーンも落ちている。左側臥位で手枕する体癖傾向があるのだろう。指摘をすると、いつもその姿勢でTVを観ている、と言う。いつもこの筋群にストレッチをかけているために弛んだ筋ができあがる。そのため、クシャミによる爆発的な内圧を防御できなかったのだろう。

身体内部にはS状の軸が感じられる。筋活動の遅延が顕著である。筋活動の遅延をリセットすると、身体内部のS字の軸が消えて、右の腹直筋外側から下部肋骨にかけての軸が強調された。

その中で最も良く反応する部位が肋骨下部にあり、そのポイントを押圧すると首の可動がスムーズに行えるようだ。このメリディアンは、おそらく肝経の線で、ポイントはLR14(期門)だろう。鍼灸師ならこのポイントにハリを打つのかもしれない。私は鍼灸師ではないが、こうした反応を利用しない手はない。

ましてや筋のトーンが低下した部位に症状があるケースでは、できるだけその部位を刺激しないように治療することにしている。そこで、頚の動きと痛みの改善をモニターしながら、右肋骨上のポイントに刺激を加えて左肩甲骨上角周辺と同調させた。

ベッドから起き上がらせると、すっと起きれた。
「アレッ、起きれた!」。
「良かったね。最近アルコールの量も多かったんじゃないの? 少し控えた方がいいと思うよ。お腹も張るし、ゲップも出るでしょう?」。
「分かりますか? 気をつけます」。

というわけで、肩を揉まないことと体癖傾向を注意した。この患者さんは発症から3日目を迎えており、この時期はうまく反応させると劇的に良くなることが多い。
痛みのある部位が、刺激するターゲットであると限らないのだ。
こうした変化をみると、つくづくとそう思う。
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by m_chiro | 2008-02-19 21:49 | 症例 | Trackback | Comments(4)
泡盛の容器を花瓶にして花を活けた
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患者さんの沖縄旅行土産。
泡盛が入っていました。
42度の泡盛をチビチビ楽しみました。

すっかり飲みあげた後のシーサーが所在なげ。
花瓶にして花を活けました。
なかなかです。
尻尾もりりしくなって、
シーサー君、満足げな顔になったね。
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by m_chiro | 2008-02-15 21:28 | 雑記 | Trackback | Comments(4)
膜系の連鎖
40代の男性Aさんと、30代の男性Bさんを前後して治療した。
二人とも同様の膜系の緊張の連鎖を持っていた。右の上肢から腹直筋にかけて流れるような緊張がみられる。でも症状は全く違う。

Aさんは胸が苦しくなり救急で診察を受けた。突然、発作のように胸が苦しくなって病院に駆け込むことや、救急車を手配して診察を受けることが数回あったそうだが、問題を指摘されたことはない、と言う。胸骨筋にTP、烏口突起の周辺にも圧痛点がある。右腹直筋には強い緊張と圧痛がある。13年前に椎間板ヘルニアの診断を受け、それ以来の腰痛もある。

Bさんは左の腰殿部痛で、歩行や特に動作のはじめが辛い。思い当たるようなきっかけは無い。Aさんと同様の膜系の緊張がある。左の腰背部の筋群のトーンが低下して弛んだ状態である。

膜系の連鎖の中にある個々の筋は、筋膜によって連鎖し一定の方向に流れるように連なっている。筋膜は骨に付着する。あるいは、そのまま別の筋膜へと連鎖して一連の膜の道筋を作る。そう主張するThomas W. Myersは「Anatomy Trains」で、AさんBさんと同様の筋膜連鎖を下図で紹介していた。前腕の屈筋群から腹直筋までの繋がりは、頭を後方に反らすと舌骨下筋群は胸骨を介して腹直筋に連鎖する運動系でもある。
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Aさんは緊張した一連の筋・筋膜に圧痛を持っている。胸骨筋にはTPがある。胸骨筋のTPは心筋梗塞や狭心症による腸骨下の痛みとよく似ており、まるで心臓病のような振る舞いをする、とされている。体幹の動作による痛みの増強はみられないが、烏口突起周辺と腹直筋に強い圧痛があり、TPをモニターしながら圧痛部位と同調させてリリースした。

こうした患者さんへの筋・筋膜ストレッチの指導については、筋紡錘への圧縮と伸張刺激による筋反応を調べれば、ストレッチが必要な筋か否かを知ることができる。また、筋膜については、どの方向へストレッチすべきかを判定できる。やみくもに行うストレッチなら、しない方がいい。

Bさんは痛みの領域の筋群が弛緩している。私はこうしたハイポ・トーンの筋に直接アプローチすることはしない。
筋活動の遅延をリセットしてから動きを確認すると、立ち座りや歩行は改善している。だが、体幹の左回旋で左腰部~側腹部に痛みが起こる。緊張した膜系連鎖を辿ると、前腕部の二本のラインが際立っている。その中で反応するポイントを押さえて痛覚ポイントと同調させた。これが効果的で回旋動作も可能になった。

Bさんに「腕となんか関係あるんですか?」と問われたが、「どうもこの二本のラインと連動しているようだね」と答えるしかなかった。
するとBさんは驚いたように「ボクはバンドをやっていて、ベースを弾くんですよ。それってベースを弾くときの筋肉ですよ。腰の動きもそうだ」。
そうかもしれないね、と言うしかない。
やはり脳と筋・筋膜系を結ぶ情報系入出力のトラブルなのだろうが、私にはその確かな機序はよくわからない。
いつもその理由を求めている。
TPや圧痛点は、カイロプラクティックで言う「椎骨サブラクセーション」同様に、原因ではなく結果に過ぎないのではないかと思うのだが...。
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by m_chiro | 2008-02-14 23:18 | 症例 | Trackback | Comments(2)
存在すべきではない「軸」の感覚
からだは固いか、柔らかいか。
からだを固体としてみるか、液体としてみるか、気体としてみるか。
身体に対するさまざまな印象の表現がある。
そんなことを問うこと自体おかしなことかもしれないが、そんな感覚で見ていると、確かに人のからだは様々な表現をしていることに気がつく。
ベッドに仰臥位で静止状態のからだでも、その表現はさまざまである。

呼吸の出入りを眺めても、その流動する様子を見てとれる。
動揺しながら流れる動き、緊張した落ち着きのない流れ、蛇行する流れ、飛び跳ねる流れもあれば、逆流するような流れを見せることもある。
そのように見ると、からだは気体のようにも見える。

生き物でありながら、まるで物体のように生気を感じないからだもある。
そうなると、からだを固体とみてもおかしくない。
つきたての餅のように「柔らかさ」を見てとれるからだもある。

また支柱のような緊張を、まるで「軸」のように感じ取れることもよくある。
歪んだ緊張、上体から下方への流れが変わる緊張、途切れ途切れに出来上がった緊張など。本来はあるべきではない緊張が感じられる。
あるいは軸のように、または支柱のように、からだの支点のような支持帯を感じとれる。
ぶつかっては流れを変える流体としてのからだを見るようだ。
本来あってはならない「軸」で、視覚的に捉えることができないが、感覚的に感じる軸、これが問題なのである。
客観的・分析的に提示できない感覚、徒手治療のアートの部分の源泉がここにあるのだろうか。
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by m_chiro | 2008-02-14 00:05 | 雑記 | Trackback | Comments(4)
「痛み学」NOTE⑪ 警告系の起源は「うずまき反射」
「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです。


⑪警告系の起源は「うずまき反射」


誤って熱いやかんに手を触れたり、尖った金属に触れたりすると反射的に手を引っ込める。これは逃避反射と呼ばれるものだが、同時に痛みを感じることで身体に危害が加わったことを知る。このことからも痛みは警告系とされている。

実験的には、侵害受容器への入力により呼吸・循環系に大きな反射性修飾作用がある、との観察報告がある。刺激の強度に依存して、呼吸が促進したり抑制されたりする、というのである。

このことは、痛みが単に警告系のみならず、内因性オピオイドを介した液性の調整による防御抑制系であることも示している。だから炎症や免疫反応も起こる。痛み系には、他の感覚系とはやや違った様相があるようだ。

こうした液性の反応も重要な身体情報系の働きであるが、神経活動に由来する痛みの情報系で最も原始的な警告系は逃避反射なのだろう。

研究者は、椎骨動物の元祖である原索動物のナメクジウオが見せる「うずまき反射:coiling reflex」を、最も原始的な警告系としている。からだの一部に加えられた刺激から遠ざかるようにクルリとからだを巻き込む、いわゆる侵害逃避反射である。

痛みが警告系を離れて神経系が可塑的に変化し、痛みという実体だけを残すようになると、それは「病としての痛み」となる。では、なぜ痛みの神経系には可塑的な変化が起こりやすいのだろうか。

発生学的にみて、「うずまき反射」という原始的な起源を基にヒトの神経系の働きが構築されているのだとしたら、胡乱な現象だと片付けられないテーマである。神経系の中で、痛み系こそ原始的で未分化であり、未分化であるからこそ変化の自由度も高いということになる。つまり可塑性が高く、他の神経系とも連結しやすい。

前にアロデニアについて触れたが、触れただけで痛むということは通常ありえない。触覚神経は痛みを伝える神経ではないからである。

ところが、痛み系が触覚神経と連結する病態が出来上がったのがアロデニアである。また、痛み系が自律神経系と結びつくと、気圧や寒冷などの変化によっても、あるいは本来は痛みと関係がない身体状態によっても痛みが起こり得る。

そう考えると、印象的にではあるが「うずまき反射」といわれるヒトの警告系の起源を掘り下げることも、痛みの重要な解決策のひとつなのかもしれないと思えてくる。
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by m_chiro | 2008-02-12 23:23 | 痛み学NOTE | Trackback | Comments(0)
人の一生、長いか短いか!?
中村圭子の「ちょっと一言」
【38億ってmagic number?】


私の大好きな中村圭子先生のコラムである。
人の一生を120歳として、何秒生きることになるのか計算している。
本来、人間が持っている寿命は120歳までだそうだ。
ヒトはこれくらい生きられるとされているからで、根拠はわからない。
老いと戦いながら生きるのも大変な話だが、120歳まで元気で生きられれば、それも好しかな、とも思う。 
いずれにしても基本は「元気」と「健康」である。

120という数字はまだ身近だが、この一生分の数字を秒に換算すると膨大な数だ。
60×60は、60秒×60分で一時間。
×24で一日。
×365で一年。
×120年で、3,784,320,000。約8億である。
地球に生命が誕生してからの時間が約38億年だから、ほぼ同じ年数ということになる。

生命学者の中村圭子先生は、「私たちの一秒は、生命体が地球上で過ごした時間の一年に相当する」と話し、「早く早くと追い立てられながら暮らしている日々の中で、少し違ったものさしでの時間を考えてみるのもよいのではないでしょうか」、と結んでいる。

ヒトゲノムの塩基数も32億ほど、生命の過ごしてきた時間も38億年。
数字もこうして捉えなおすと、不思議な縁を感じる数字になる。果たして、私達の一生は、長いか短いか!?
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by m_chiro | 2008-02-08 00:44 | 雑記 | Trackback | Comments(5)



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