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ミトコンドリアを知っておこう
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「ミトコンドリアのちから」(新潮文庫)は、とても分かりやすく面白く読めた。
著者は「パラサイト・イブ」などで著明な作家・瀬名秀明氏と、ミトコンドリアの研究者である太田成男教授による共著である。

難解なものが多いこの手の本では、作家が書いた本だけにとても読みやすい。
引き込まれて読んでいるうちに、ミトコンドリアを知ることになる。
話題のメタボや活性酸素、老化やエネルギー代謝など身近な問題を取り上げながら、それらにかかわるミトコンドリアの働きをわかりやすく教えてくれる。

ミトコンドリアは様々な病気や疾患と深い関係があるようだ。
エネルギーの生産工場でもあるわけだから、そのエネルギーが正常に作られなければ身体機能に影響するのは当然なのだろう。
その上、ミトコンドリアは酸素を扱う。
酸素は生命活動に不可欠だが、極めて危険な物質でもある。
この安全管理はミトコンドリアが受け持っているわけで、ミトコンの失調はたんぱく質やDNAのダメージと結びつきやすい。

生活習慣病やエイジング、アルツハイマーや脳の変性疾患、がん、遺伝子病など、ミトコンドリアを知ることで参考にすべき考え方が得られるだろう。
著者の瀬名秀明氏は、作家で薬学博士でもありサイエンスライターでもある。
難しい内容をポイントを外さずに分かりやすく伝えている。その達人と専門の研究者の書かれた本だけに、入門書としても最適である。
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by m_chiro | 2007-12-30 00:01 | Books | Trackback | Comments(2)
踵のトゲは、痛みの原因か!?
老婦人が腰痛で来院した。
見ると、跛行する。
聞き取りをしたら、右のふくらはぎと踵が一年前から痛み始めた、と言う。
整形外科でレントゲン写真を撮り、踵のトゲが原因だと言われ、手術を勧められている。手術は嫌だと言ったら、リハビリと称する電気治療を一年間続けてきた。
が、痛みと跛行はひどくなる一方で、その痛みをかばって歩いているうちに、腰が痛み出したらしい。
「踵の痛みはトゲを手術しないと治らないから、腰の痛みをなんとかしたい」。
跛行の上に、「長くは歩けない」と言っていた。

アキレス腱周辺や腓腹筋、足底腱など圧痛だらけである。
アキレス腱のところには、もう1本腱でもあるかのように索状の硬結がある。
それらをリリースすると、ずいぶん跛行が少なくなった。
在宅での腓腹筋ストレッチとアキレス腱周辺マッサージも、頑張ってくれた。
通常歩行になって、買い物なども普通にこなせるようになるまでには、一ヶ月ほどかかった。
あれほど「踵のトゲ」のせいだ、と言い張っていた婦人も「筋・筋膜痛」を認めざるを得なくなったようだ。痛みの原因となった「トゲ」とやらは、どこかへ行ったのだろうか!
どこかへ行ったのは「痛み」の方で、「トゲ」は骨の隆起物で残っている。
「トゲ」は痛みとは無関係なのだ。
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「Anatomy Trains」に踵の骨棘ができるまでが載っている。
踵骨(Heel bone)の骨膜(periosteum)が足底筋膜(plantar fascia)に引っぱられて、骨芽細胞(osteoblasts)がトゲを作り出すのである。はじめに「トゲ」があるのではなく、筋膜の緊張から問題が発生するのです。そして痛みの受容器は、トゲなどの骨にあるのではなく、引っぱられたり、必要以上に緊張した骨膜や筋・筋膜にあるのです。
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踵の筋膜は、図のようにアキレス腱や周辺の筋・筋膜に続いています。こうした組織に問題が発生しているのでしょう。

仮説(間歇性跛行)

まさに、加茂先生の仮説「筋肉性間歇性跛行」でした。
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by m_chiro | 2007-12-28 01:30 | 症例 | Trackback | Comments(2)
筋肉は身体中を連鎖して動く巨大な生き物
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特殊加工で人体模型をつくるプラストネーションの人体博覧が、日本の主要都市でも開催されたが、そのプラストネーションの人体写真から骨体と筋・筋膜体を描きだすと上の図のようになる。

その図が、「Anatomy Trains」に出ていた。
The Anatomy Trains: Myofascial Meridians for Manual and Movement Therapies
Thomas W. Myers / / Churchill Livingstone





解剖学で筋肉について色々学んできた。
だが、この図を見ていると、二本の骨を結ぶ固有の筋肉であるというイメージが全く別物に見えてくる。

まさに筋肉は人体最大の臓器で、その筋・筋膜は身体中にどこまでも連鎖して動くひとつの生き物のようだ。

ヒトは筋・筋膜なしでは動けないし、受容器はこれらの中にちりばめられている。
神経は、この筋・筋膜という臓器のために存在するのだろう。

治療家は、もっとこの巨大な臓器に着目する必要があるようだ。
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by m_chiro | 2007-12-25 23:29 | 雑記 | Trackback | Comments(3)
突然の背部痛に潜む魔物
長年にわたり日本医師会会長を務めた故・武見太郎氏は、名医と言われたらしい。
いろいろな伝説が残っている。
「実録日本医師会」(朝日新聞社刊)には、こんなエピソードが書かれている。
河野洋平代議士の父親であり、時の総理大臣候補であった故・河野一郎代議士が、昭和40年7月7日に自宅で倒れた。

「腰が痛い」と唸るので、近所の医師5~6人が駆けつけて診察した。
「ぎっくり腰による神経痛」。
これが一致した診断だった。
原因は疲れでしょう、ということで医師団は安定剤を注射して帰ったが、痛みは次第に悪化し、意識を失う状態にまでなったという。

そこで、呼び出されたのが武見太郎医師である。
駆けつけた武見先生は、お腹に手を当てるやいなや「大動脈瘤の破裂」と診断したのだそうだ。大動脈瘤が破れると背中や腰に激痛が起こるために、しばしば整形外科領域でも誤診が起こる、と言われている。
整形外科医と家族とで裁判沙汰になったケースもあるらしい。

大動脈瘤が破裂すると、腎臓に血液が流れ出して圧迫するため、腎実質が小さくなって小水も出なくなり、激しい腰痛が起こる。
ただの腰痛や背部痛と思っていると、とんでもない魔物に出くわすこともあるのだ。

こんなこともある。
整形外科で腰痛と診断され、湿布薬を貼っていたら、実は膵臓癌だったとか。
思い当たる原因もないのに、唐突と背部が痛み出した患者には注意が必要だ。裏に何かが隠されていることもあり得るのだ。

Medical Tribune誌 (VOL.38 NO.6)誌は、60歳以上の突然の背部痛患者には膵臓癌の検査をする必要性について報告している。
膵癌の特徴は急激な増殖と早期転移であるが、発見時にはかなり進行しているケースが多い。ハイデルベルク大学病院外科のFriedrich H. Schmitz-Winnenthal博士らは,より正確な診断を早期に下すことの重要性をあらためて指摘している。

特に60歳以上の患者で、突然の背痛を訴えるケースあるいは新たに糖尿病発症のいずれかが認められた場合には、膵癌を疑ってみるべきだというが、現時点では確実な腫瘍マーカーが存在しないというからやっかいである。

最も感度が高いとされるCA19-9(感度70%)マーカーは,胆汁うっ滞によっても上昇してしまう難点があって、膵癌の決定的な診断にはならないのだそうだ。
それでも画像診断法では、超音波検査がコストと利便性の両面で優れており、胆道閉塞の確認は十分に可能らしい。

徒手療法家の一般的な適応症状と言っても、その裏側にはどんな魔物が潜んでいるかも知れぬ。
武見先生のように触診ひとつで見分ける「診断力」は理想とすべきだが、疑わしきは専門医に紹介する判断力も大切なのだと肝に銘じておこう。
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by m_chiro | 2007-12-22 23:37 | 症例 | Trackback | Comments(2)
解離性大動脈瘤に出会う
医療事故の新聞報道がある。74歳の女性患者のCT画像に写った「大動脈解離」の所見を見落としたために死亡した、という内容であった。

この患者さん、救急車で病院に運び込まれたが、担当医はCT画像上にある心臓内部の亀裂を見落としたうえに、「たいした問題はない」として患者を帰宅させている。
帰宅させられたものの、患者さんは具合が悪い。それで翌日、再び受診する。
ところが、当直医は血液検査だけで済ましてしまった。結局、この患者さんは翌々日に死亡した。三日間における急展開である。

担当した2名の医師は、適切な処置を怠ったための業務上過失致死の疑いで書類送検されることになった。事情聴取に対して、この医師は「おかしいとは思ったが、専門医に報告するほどではないと判断した」と話したという。

この報道をみて、同じ疾患に遭遇して「クワバラ、くわばら」と感じた時のことを思い出した。
私の患者さんも、前述の患者さんとほぼ同じ76歳の老齢の女性であった。昨年4月に、この婦人は娘さんに付き添われて、私の治療室にやってきた。

肩甲間部、特に胸椎4・5レベルから胸部への痛みを訴えていた。状況を聞くと、「朝起きたら痛みだした」と言う。思い当たるような原因はない。内科に受診し、「筋肉痛か、肋間神経痛だろう」と診断され、鎮痛剤を処方されている。
それでも痛みの軽減が見られず、私の治療室にやってきた。

座位による体幹の動きでも軽減は診られない。軽減因子がないのである。仰臥位にすると痛みは憎悪し、背部を診察しようと腹臥位にしたら大変だった。顕著に痛みだして持続姿位をとれなかった。この憎悪因子は「解離性大動脈瘤」の所見でもある。
これはおかしいと直感したので、結局は循環器科で診てもらうように指示した。その時すでに午後6時を過ぎていた。

「病院はもう終わっているから、明日行ってみる」と言う患者さんを説得して、すぐに総合病院の救急治療室に向かわせた。夜になって、付き添ってきた娘さんが電話をくれた。聞くところによると、運よく循環器科の先生が当番医で「解離性大動脈瘤」と診断されたようだ。すぐに入院するように言う医師に向かって、この患者さん「何の準備もしていないから明日入院する」と言ったらしい。

医師は「今日は帰すわけにはいかない」とつっぱねて、ついには入院することで決着したようだ。
それからしばらくして、元気になった患者さんから丁重なお礼を言われた。

「おかげさまで命拾いしました」。
医師から事の重大さをトウトウと説明されたようだ。お礼を言われたものの「クワバラ、くわばら」であったが、私にしてみれば初めて解離性大動脈瘤が発症した患者に接したわけで、こんな機会はめったにないことだろう。もっとしっかりと随伴徴候を診ておくべきだった、と反省してしまった。

解離性大動脈瘤は95%以上が腎動脈の直下にあり、それが臍まで広がって腰部に放散したり、肩甲間部や胸部から両肩に放散したりするのが特徴的である。
破裂が切迫している時は、早朝に軽快徴候を示すそうだから、要注意である。

脈拍の消失や臥位での腹部の鼓動にも注目したい。触診では腹部の脈打つ塊を診ることもあるだろうし、一側上肢の血圧低下も特徴的な症状である。
ともかく痛みは重度であるから、あれこれと詮索している暇もなく、病院に向かわせてしまったが、元気になってくれたのが何よりの救いだった。
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by m_chiro | 2007-12-21 22:20 | 症例 | Trackback | Comments(0)
痛み学NOTE⑦ 神経が歪む病気としての痛み
「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです。

⑦ 神経が歪む病気としての痛み
受容器が侵害されなければ痛みが起こらないのか、と言えば、そんなことはない。
痛覚受容器の侵害と関係なく起こる痛みがあり、それが「神経因性疼痛」である。
神経系の可塑的変化によって起こる痛みで、難治性の、言わば「神経が歪んだ」状態とみるべきだろう。
生理的な痛みの機序では説明することができない痛みなのである。

例えば痛覚過敏であるが、本来は痛みを発生しないような軽い蝕刺激でも痛みを引き起こすアロデニアがある。
私も、十数年も前にアロデニアと診断された患者を診たことがある。
後にも先にもアロデニアの確定診断を受けた患者を診たのはその一例だけであるが、私にはお手上げだった。

とにかく1分と同じ姿勢を保てない。
ベッドに背中が触れただけでも、身体に触れただけでも痛がった。
座っていても、じっとしていられないようだった。
ありとあらゆる診療科目を回り、ドクターショッピングを続けざるを得ないといった気の毒な患者だったが、さりとて私にはどうすることもできなかった。
今ならば、何らかのアオバイスなり方法を試みることが出来るようにおもうのだが...。
でもこの患者が、痛みという病気の存在に関心を向けさせてくれたように思う。

他にも帯状疱疹後神経痛、癌や糖尿病の患者、術後神経痛、幻肢痛などが神経因性疼痛とされる。
神経因性疼痛は、発症の詳しい仕組みも分かっていない。
消炎鎮痛薬(NASIDs)や医療用麻薬(オピオイド)も効かない。
今のところ効果的な治療法も見つかっていない。
痛覚受容器は関与していないとされているようだ。

なぜ神経が歪むのか。
よく分かっていないとは言え、強い痛みが「持続」すること、末梢あるいは中枢神経の「損傷」、そして「心理学的機序」が基盤になって、神経系に可塑的変化がもたらされたのだろう。
それでも、なぜ痛みが広範に伝搬していくのか。
例えば細胞レベルの問題とか、少し違った視点からみることも必要なのかもしれない。
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by m_chiro | 2007-12-20 22:18 | 痛み学NOTE | Trackback | Comments(4)
唐辛子、恐るべしか!
一冊の汚れた本が座右にある。
「解剖実習の手びき」(南山堂)で、寺田春水/藤田恒夫の共著である。
あちこちにメモ書きがあり、その上に油やシミもついていて、みすぼらしい姿になっている。
何しろ、10年間にわたって毎年、この本を教科書にして解剖実習を行ってきた。
場所は中国・大連医科大学の解剖教研室。4人のチームで、一体を90時間かけて行う人体系統解剖学の実習授業である。こうして10年もお世話になったのだから、汚れて当たり前だが大事な本でもある。

教科書の著者の一人である藤田恒夫先生は、岡山大学助教授を経て新潟大学の教授になった。感覚の受容とホルモンの分泌を一人二役でこなしている「パラニューロン」について提唱した人でもある。

当時、その藤田教授の著書「腸は考える」が岩波新書から刊行されていて読んだ。
ただ、教科書の著者という興味でしかなかったのだが...。もっと言えば、解剖では「腸」は単なるチューブとしてしか見えず、腸について大した興味があったわけでもなかった。

ところが、藤田先生の「腸を考える」には、消化器ホルモンの研究を行ってきた顕微解剖学・内分泌学の研究者の苦闘の様子が、まるでミステリー物でも読むような感覚で書かれていて魅了された。

腸は「第二の脳」とも言われている。そんな馬鹿な!と思うだろう。
だが、食物成分の認識、毒素の排出の指令などなど、「腸の超能力」の働きが生き生きと伝わってくる。そこから、まるで脳の原理をみるように「腸」の魅力的な働きを読み取ることができるのだ。

人体のミクロの世界では、60兆個の細胞がそれぞれ個性的な働きをして、ダイナミックに生命活動が行われていることが感じられてくる。まさに「人体は小宇宙」であるように。

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その藤田先生が、今度は「細胞紳士録」という本を同じ岩波新書から2004年に出した。
そこに、神経細胞とカプサイシン、サブスタンスPのことが書かれている。

「サブスタンスP」の存在は知られていたが、これが神経伝達物資であることを実験的に証明したのは日本の薬理学者らしい。
「サブスタンスP」は、痛みの神経伝達物質である。

そして、サブスタンスPを樹状突起の末梢から大量に放出させるのが「カプサイシン」である。
このことを実験したのが、パブリカ料理の本場・ハンガリーの研究者・ヤンチョウだそうだ。
彼は、生まれたばかりのネズミにカプサイシンを注射すると、全身の痛み感覚が生涯脱落してしまうことを発見したのだそうだ。触覚の神経は正常に保たれても、痛覚を伝える小型ニューロンが全滅していた、とされている。

トウガラシは恐るべしか!
でも、無痛症になるのはもっと困る。

慢性痛の治療薬

C線維の先端についているポリモーダル侵害受容器のバニロイド受容体から局所麻酔の誘導体を入れて、C線維だけをブロックしようとするものだ。
局所麻酔の誘導体は神経細胞の中に入って初めて局所麻酔としての働きをしめす。
バニロイド受容体は唐辛子エキスのカプサイシンの受容体で、痛覚神経のポリモーダル侵害受容器だけにある。

ここに、「神経系障害を伴わない疼痛遮断が可能に」という記事が紹介されていて、カプサイシンに代わる疼痛シグナル抑止効果の錠剤開発の見込みが書かれている。ポリモーダル受容器の図にもあるようにバニロイド受容体で遮断するというものである。

カプサイシン作用の「いいとこ取り」で、慢性痛を解決する夢の薬が開発されることを願うばかりだが...。
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by m_chiro | 2007-12-18 23:33 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
ワンダイエル扁桃リンパ輪と「細胞内感染」
ワンダイエル扁桃リンパ輪

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哺乳類の咽喉部にはワンダイエル扁桃リンパ輪と呼ばれる白血球造血巣があって、鼻や口から入ってくる病原菌を識別し、これを消化する白血球(マクロファージやインムノグロブリンA)が活性化する免疫機構がつくられています。
(西原克成著「赤ちゃんの生命の決まり」199頁)


我々の口や鼻は外界からの侵入ゲートになっています。
ヒト以外の哺乳類は、鼻で呼吸運動を、食物は口から取り込んでいます。
ところがヒトは(正確には一歳以後のヒト)、鼻呼吸も口呼吸もできる特異性を持っている、と西原先生は書いています。
つまり、他の哺乳動物は鼻でしか呼吸が出来ず、口でしか食べられない、という役割分担がキチンとできているのだそうです。

口で呼吸をし、口で食物を摂るということは、空気中の黴菌や花粉なども、また食物中の黴菌もフリーパスで肺に侵入することにななります。

でも、口からの侵入孔には口蓋扁桃と舌扁桃がバリアを作っているはずなのです。
ところが、口での呼吸が通常的に行われると、これらの扁桃は乾燥して活動を停止せざるを得ない状態に陥ってしまうのです。したがって、バリアであるはずの領域は、感染の発生源に様変わりしてしまいす。

それでも、鼻の咽頭や小咽頭、耳管扁桃などの扁桃域がある、と安心は出来ません。鼻呼吸は使われていないために「用不用の法則」に従って、その活動は著しく低下するか、活動停止状態になる、と西原先生は述べています。また耳管扁桃で感染を起こすと、耳鳴り、めまい、難聴の原因になると警告しています。

こうした感染経路で、常在菌やバクテリア類に感染するのが「細胞内感染」で、西原学説の眼目となる考え方でしょう。

「細胞内感染」なんて初めて聞きましたが、細胞のエネルギー産出システムから考えると面白い仮説です。3000倍位の顕微鏡で血液を観察すると、その状態を見ることができるそうです。

神経は脳と筋肉をリンクするシステムです。筋肉がなければ、神経なんてそんな大した意味を持ちません。そう考えると、筋肉のエネルギー・システムは押さえどころでしょうね。
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by m_chiro | 2007-12-15 00:18 | Trackback | Comments(2)
筋肉のエネルギー危機?
ヒトのエネルギー問題は「呼吸」を抜きには語れない。
呼吸には「外呼吸」と「内呼吸」がある。
ヒトは、酸素を吸って炭酸ガスを排泄する。これが肺で行う「外呼吸」だ。このとき取り込まれた「酸素」は、細胞内の小器官である「ミトコンドリア」がエネルギー代謝に使っている。すなわち「内呼吸」である。

ヒトは約60兆個の細胞で成り立っていると言われているから、ミトコンドリアの数はそれどころではない。ミトコンドリアは約18億年も前に大型の真核生物に寄生した、好気性の原核生物・バクテリアである。つまり「細胞内生命体」だ。
この「細胞内生命体」が、ヒトのエネルギー問題の鍵を握っている。

さて、その「内呼吸」は、3つの回路で成り立っている。
一つは「解糖系;嫌気的解糖系;エムデン・マイヤーホフ経路」である。
酸素を使わずにグリコーゲンを乳酸に変え、乳酸は再び肝臓でグリコーゲンになる。
これはほとんど全ての生物が行う原始的な代謝系で、糖を分解してピルビン酸とグルコースに異化する。

解糖系で分解されたピルビン酸を、完全に水と二酸化炭素に分解するサイクル(TCA回路;クエンサン回路;クレブス回路とも呼ぶ)が、2つめの回路である。このTCAサイクルが回ることで、高エネルギー物質ATP(アデノシン三リン酸)が作られる。ATPは、体温エネルギーを生み、筋肉運動エネルギーを供給し、エネルギー伝達の媒介をしたりして働く。エネルギーの通貨である。これが「電子伝達系」という3つめの回路である。

過剰な運動などによって、TCA回路で処理しきれないピルビン酸が生成されると、乳酸に変換されるため、結果的に血中乳酸濃度が上昇する。こうした筋繊維への乳酸の蓄積が運動後の筋肉痛の原因である、と長い間信じられてきた。
だが、近年になって筋繊維への微細な損傷が筋肉痛の主な原因である、という考え方が主流となってきた。
痛みは、筋線維の微細な損傷にあるらしい。
乳酸説はあえなく敗退してしまった。

では、思い当たることもないのに、例えば線維筋痛症のように広範囲に痛むのはなぜ? 
身体中のあちこちで筋線維の微細な損傷が頻発する、と言うのだろうか?
仮に、百歩譲って微細損傷だとしても、なぜそんなに頻発するのだろう?
これは身体における最大の臓器である「筋肉」が、エネルギー危機の状態にあるのではないか? そして、このエネルギー危機の鍵を握るのは、ミトコンドリアにあるのではないのだろうか。そんなことを思う。

数年前のことになる。業界の教養講座を企画担当した私は、当時、手にした西原克成先生の著「重力が進化させた」に興味を持った。その頃から愛読していた三木成夫先生の解剖学的知見が随所に引用されていたからである。どうも西原先生は東大での三木先生の同門らしい。読み進めていくうちに、その大胆な仮説に引き付けられた。進化論の仮説や難病・免疫病の仮説には強引な印象が残ったが、それを差し引いても面白い。そんなわけで西原先生をお招きし、講義を受けた。
以来、西原学説は学びの対象でもある。「免疫・生命の渦」や「赤ちゃんの生命のきまり」などもお勧めである。
今後は、その西原学説も取り上げながら、痛みや免疫病のことを考えていきたい。
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by m_chiro | 2007-12-14 00:07 | Trackback | Comments(1)
目から鱗の「ニ軸動作」
京都大学の小田伸午教授のレクチャーを受けた。
テーマは、「常歩(なみあし)式・身体動作上達法」で、身体動作の基本となる「二軸動作」を学んだ。例えば、歩行での中心軸による「一直線歩行」と、二軸による「二直線歩行」が基本形となる。散歩が日課の私には、目から鱗の身体動作法だった。

常歩による二軸の走歩行とは、どんな動作か。端的にいえば、一直線走歩行でのロスを取り除いた走歩行ということだろう。
二軸理論による走歩行は、二直線走歩行が基本である。
一直線走歩行は、骨盤と肩を左右交互にねじりながら足をクロスに動かす。ところが、二直線走歩行は、骨盤の幅を保持したままそれぞれの足を直線的に運ぶ方法と言える。
 
基本的には、それぞれの足が二直線上を進むことによって、体幹が捻られず足がターンオーバーする。しかし、二直線上を進むだけでは合理的な走歩行にはらない。

重要なのは骨盤の動きで、一直線走歩行での脚と骨盤の動く方向を思い出してほしい。脚と同側の骨盤はほぼ同方向に動く。右足が前方に振り出され、左足が着地している間は骨盤の左側(左腰)が後方に動く。

ところが、二軸理論での走歩行では骨盤の動きが違ってくる。例えば、左足が着地し右足が振り出されるときには骨盤(左腰)も後方に動くが、接地期の途中から骨盤(左腰)が前方へ動く。着地足側の骨盤(腰)が途中から前方へ動く(あるいは前方へ動く力が加わる)。この骨盤の動きによって、着地した足が地面を離れた後のターンオーバーが可能になる。

それでも、この骨盤の動きも意識してできるものではない。骨盤の動きを気にしていたら歩くことはできない。
ということで、泥棒の抜き足差し足の歩きを真似ていると上手く行きそう。

歩き始めの頃は、この基本形である「二軸歩行」がみられる。

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「スポーツ選手なら知っておきたいからだのこと」(大修館書店)より

いつから、中心軸による捻じれの歩行がはじまったのだろう。
おそらく、小学校へ入学後、行進の練習が行われるようになると、この一軸歩行が強制されて出来上がったのかもしれない。

ある週刊誌に見開きの広告を見つけた。広告主は、偽装で話題になった「赤福」である。話題に上る前の広告だった。その広告の写真は、小学校の運動会での走行の様子が大きく掲載されていて、私の目を引いた。典型的な一軸走行と二軸走行が、まるで対照見本のように映し出されていた。


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こんなに典型的に違った身体動作が行われているんことを再認識。合理的な身体動作を身につけたいものです。

詳しくは、小田伸午先生のHP、「常足秘宝館」へ。
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by m_chiro | 2007-12-11 00:50 | 雑記 | Trackback | Comments(9)



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