カテゴリ:症例( 137 )
痛む場所にリリース・ポイントがあるとは限らない
若いママさんが、右膝関節内側の痛みを訴えて治療にみえた。
しゃがむ動作で最大屈曲ができない。
思い当たることはないが、子供を抱っこして膝に負担がかかっているからだと思っているようだ。
膝関節の可動は制限されていない。

その痛む部位からの内圧伝導をみると、左胸郭の5-6肋骨のところで留まる。
そこを触診すると身体を捻じって痛がるジャンプ徴候のポイントがあった。
「何でこんなところが痛いの!」
「さあ~、何んでだろうね….」

その圧痛ポイントに、リリース方向のトルクを加えて緩むのを待った。
そのまま吸気について行くリコイルを行った。
今度は触圧しても大丈夫になる。
背臥位のまま右膝関節を最大屈曲位に誘導した。
「あ、いい感じ!」
立位からしゃがむ動作をさせる。
「大丈夫、できます!」

身体にはいろんな筋・筋膜のワナ(下図)がある。
c0113928_10275272.jpg

下の写真の男性は活動中のラセン線が明瞭に見て取れる。
一側の肋骨を対側の臀部に近づける姿勢制御がある。Yawである。
c0113928_10281932.jpg

内腹斜筋のワナから、ASISの転車台で下肢下方に走るエネルギーラインがある。
c0113928_10283491.jpg

(図はすべて「アナトミー・トレイン」より)


「解除キー」の存在は、必ずしもトリガーポイントのマニュアル通りではない。
だから機能的診察は重要なんだ。
内圧変動の停滞を探ると、そんなポイントも観えてくることがある。

「解除キー」の存在はおもしろいねぇ~。
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by m_chiro | 2013-03-14 10:42 | 症例 | Trackback | Comments(0)
頚性めまい
今朝、家内がベッドから出ようと半身を起こしたときに、「あぁ~、ダメだ! 目が回る!!」と叫んで、そのままベッドに寝込んでしまった。
見ると、眼をつむって頭を押さえこんでいる。

「眼をつむってても回ってる?」
「回ってる~!」

「眼を開けると、どう?」
「回ってる~!」

おそらく「頚性めまい」だろう。
医学的には「良性発作性頭位めまい(BPPV)」と言うのだろうか。

発作は長くは続かない。頭を動かさなければ、だぶん2分以内でおさまる。
おさまったところで、頭位を中間位にして眼球運動をみた。
頚性めまいでは、眼球運動による発作は起きにくいはずである。
全方向で筋力が抑制されている。クロストーク現象(信号の誤作動)だ。
脱抑制が起こるポイントを調べると、右足関節の背屈の動きで影響される。
右足関節の可動を調整し、それぞれの趾先から牽引と圧の伝導をみると第1趾と3趾で停滞している。
そのラインをリリースすると眼球運動も安定し、左水平位での抑制だけが残った。
左水平位での眼球運動の抑制反応は、視経路の停滞をリリースして解く。

頚部を触診すると、右項部に一側性の過緊張がある。
頭頸部を中間位に維持したまま、項部のリリースを行った。

これで頭部の回旋が可能になった。
起きても大丈夫になったが、「頭の中が揺れている感覚がちょっと残っている」。
それも次第に安定し、何とか無事に今日一日を働いてもらえた。
やれやれ、である。

めまい(vertigo)・めまい感(dizziness)は、「空間における身体の定位障害の意識」として広義に解釈されるようになった。
固有受容感覚の異常は、空間での身体の定位に重要な問題をきたしやすいのである。
だから、脳の中から飛び出た理解も含まれるようになったのだろう。

頸椎は、平衡感覚に関わる固有感覚の重要な源である。
だから、こうしたケースでは緊張性頚反射の障害と考えてよいだろうが、それが関節由来か筋性かの判断となると、よく分からない。

ところが、椎骨脳底動脈の血流障害を含む障害では、こうした単純な症候だけに限らない。
なぜなら、椎骨動脈や脳底動脈は前庭核にだけ血液供給しているわけではないからである。
だから、「めまい」や「めまい感」が優先的症状であったとしても、付随して最終的には虚血による徴候が現れるはずである。
例えば、視覚障害、複視、落下発作、三叉神経感覚障害、構音障害や片麻痺などなど。
動脈による血液供給を受けている組織に、虚血によって引き起こされる徴候がみられるようになるというわけである。
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by m_chiro | 2012-12-01 00:38 | 症例 | Trackback | Comments(0)
内臓膜からの関連か③
内臓膜からの関連か③
症例3:6年間苦しんだ右肩の痛み


農家の老婦人。6年ほど前から右肩が挙がらなくなり、整形外科で治療を継続中。
「50肩」とされ、鎮痛薬、骨粗鬆症の薬の処方と物療を行って来た。
肩関節は動くようになったが、動作痛が肩周辺部にある。
最近は、就寝時も肘周辺まで痛む。

最近の血液検査ではリウマチ反応陽性とされ(炎症所見は不明)、リウマチの薬を処方されたが発疹が出て中止された。
内科も受診するようになって、不眠症、逆流性食道炎、動悸の治療薬を服用中。

右上肢を90度以上の屈曲および外転で肩関節周囲に痛みが起こる。
そのための可動制限はみられないが、自発痛もある。
5~6年もの長い間、鎮痛薬を処方されている患者さんである。

腰部は後弯し、骨盤は右側方にややシフトしている。
このシフトの原因は容易に推測できる。
おそらく畑仕事の体勢であろう。
左肘を左大腿部に乗せて体幹前傾姿勢を支え、右手を動かして農作業をする体勢である。
このとき骨盤は右側方にシフトする。
こんな姿勢での作業が、この老婦人の身体の歪みとなって現れていることをみて取れる。
本人も「そのとおりです。いつもそんな恰好で働いてます」。

内圧変動をみると、左下腹部で強い停滞がみられる。
その部位には索状の過緊張と圧痛がある。
その停滞部位から右腹直筋が付着する第5~7肋骨部が牽引されるように停滞軸が続いている。
この軸が、農作業での体勢の支軸になってきたのだろう。

眼球運動が左上方斜位と左水平運動で抑制バランスがみられる。
左上方斜位の眼球運動は、左足関節部位で長趾伸筋を圧縮させることで脱抑制が起こる。
長趾伸筋にリコイルを行い、左上方斜位方向の眼球運動の抑制バランスをリリースする。

左下腹部の固着した深部の停滞は、右5~7肋骨部との2ポイント間で、抑制がおこる回旋刺激を肋骨部に加えながらリリースした。
緩んできたところで、右上肢の組み合わせ運動を追加して更にリリースを促した。

終わって、右上肢の外転運動も屈曲運動も痛みなしに動かせるようになっている。
「6年間も苦しんできた右肩なのに・・・・・」、と老婦人。

筋・筋膜系における索状の停滞緊張がもたらした機能的連鎖は、侵害刺激の閾値を低下させる内部環境がつくられるのだろう。
内臓膜系における機能の問題が長い間放置されてきたために、改善点がみつからなかっただけである。
痛む部位は結果である。
必ずしも、そこに原因があるとは限らない。
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by m_chiro | 2012-11-21 23:42 | 症例 | Trackback | Comments(0)
内臓膜からの関連か ②
内臓膜からの関連か ②
症例2 「嘔吐と悪心」


40代の女性(就業)。3日前から悪心と吐き気があり、昨日は食後に嘔吐。
それ以来、水だけにして一日食事を絶った。
「いつもムカムカして気持ちが悪い。食べると吐きそうなので….」。
2~3日前には、熱も出たと言う。
風邪に伴う胃炎のようだ。

腹部の触察を行う。
肋骨下水平面に相当する胃の部位だろうか。緊張度が低下して凹みを感じる。
自律神経症状を呈しているケースでは、周辺組織の緊張低下をみることをよく経験する。
触診でも「ムカムカする」ようだ。

その部位からの内圧の伝導をみると、左下腿部で停滞している。
足の趾先から軽微な牽引をかけて、左下腿部での内圧伝導の停滞ポイントを探ると、第4趾から腓骨近位三分の一ほどのところで停滞していて、そこには圧痛がある。
リコイルを加えた。

もうひとつ。
3趾からは腓腹筋内側頭の脛骨上端後面のポイントで停滞し、その部位にはジャンプ徴候の圧痛がある。

ジャンプ徴候の圧痛部位は、リリースしながら腹部の凹部と同調させる。
しばらくして凹部に緊張感が出てきた。

骨盤と下部肋骨には、カウンターの捻じれ(Yaw)がある。
左水平眼球運動で抑制がある。
出来るだけ腹部への刺激を避けて、視経路から右外膝状体部の停滞をリリースしてYawを修正する。
状態の変化を聞くと、「今は、気持ち悪いのはなくなった」。

やはり風邪からきている胃炎のように思える。
悪心を抑えることができても、胃炎が解消されない限りぶり返しそうだ。
念のために、内科の先生に診てもらうよう指示した。

流行りのお腹に来る風邪のように思えるが、ノロウイルスも警戒しておくべきなのだろう。
業界の仲間である田中先生がブログで「ノロウイルス」について記事にしていたので、それも参考に利用させていただいた。
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by m_chiro | 2012-11-20 23:23 | 症例 | Trackback | Comments(0)
内臓膜からの関連か ①
内臓膜からの関連か ①
「肩甲間部が痛苦しい」


続けざまに内臓膜関連を思わせる患者さんが続いた。
治療で主に内臓膜へのリリースを行ったケースである。

不思議なことに、同じような問題の患者さんが続くことがよくある。
これって偶然なのだろうか。
それとも私の観点が予測的に作用するせいだろうか。
例えばTMJ問題を観ると、またぞろTMJ問題の患者さんが続く。
実は患者さんが続いているのではなく、私の観る視点が続いているのでは?、と訝ってしまう。
機能性の身体問題には、関連する入口が多々ある。
だからいつも、「一期一会」。
自分自身の観る視点を、常にリセットして臨むこと。
そう心がけてはいるのだが….。

症例1「肩甲間部が痛苦しい」

30代の女性(就業)。1週間ほど前から肩甲間部から肩にかけて痛苦しく、時に右菱形筋部に強い痛みが出ることがある。動きによる特異的な変化はない。

内圧変動を観ると胃底部の周辺の組織に緊張と圧痛がある。
お腹にくる風邪が流行っているらしいので、「風邪でもひいた?」と聞いてみた。

「風邪はひかなかったけど….。そう言えば、背中が苦しくなる前に胃が痛んだことがあって内視鏡検査を受けたけど、異常はなかった」そうだ。

その胃底部周辺の内圧の停滞が、どこで内圧の伝導が阻害されているかをみると、同側の横隔膜背側ドームの天井部周辺で止まる。
その部位に掌をすべり込ませてカウンターCW方向へのトークを加えると、胃底部の緊張が更に抑制される。

今度は、その位置で胃底部を水平面におけるCW方向と横断面におけるCW方向の組み合わせ方向可動を行うと、2点間での最も良い同調緩和が起きた。
「あ~、楽になってきた」。

「胃が痛んだ」ときの反射性の緊張が内臓膜周辺に起こって、その関連痛ではないかと推測した症例であった。
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by m_chiro | 2012-11-20 18:57 | 症例 | Trackback | Comments(0)
先生様、まさかのご乱心ですか! それとも常習的なんですか?
整形外科医院を受診されていた交通事故による「むち打ち症」の患者さんが、私のところに治療にみえました。

なんでも加害者が今年就職をしたという若い女性だったそうです。
彼女は、事故後に泣きながら何度も何度も「ごめんなさい、ごめんなさい」と誤ったとか。
被害者は中高年の女性でしたが、自分の娘ほどの加害者を気の毒に思い、「早く治すから心配しないで」と逆に励ましたほど、彼女は憔悴していたそうだ。

でも、なかなか好転しないからと、私のところに紹介されてきました。
頚背部痛と腰臀部痛を訴えておりました。
下の図の「ケベック・タスクフォース分類」では「グレード2」でした。
可動域の減少と圧痛が含まれる損傷ということになります。
c0113928_8255156.jpg

ほどなくして快癒されましたので、「治癒」としました。

これで早く加害者にも安心してもらえると、その足で前医の整形外科医院を訪ねて「すっかり好くなったので、...」と書類の提出を申し出たそうです。
ところが、その先生はカルテをみて「なんだ、あんまり来ていないじゃないか!」と言い、「MRIを撮りなさい」と言ったとか。
「エッ! MRIですか?」。

「交通事故の保険でMRIを撮れるんだから、自分で費用を出すわけじゃないし、ちょうどいいだろう」と言って、病院に予約を入れてくれたのだそうです。親切です!?
MRIを撮ることに対する医学的根拠の説明はありません。
予約は1ヵ月先のことになりました。

ケベック・タスクフォースのむち打ち症(WAD)診断に関する文献調査からは、次の事実が判明しています。
1)患者の評価は詳細な病歴聴取と理学検査により十分可能である。
2) グレード1では画像検査や特別な検査は必要ない。
3)グレード2と3では頚椎のレントゲン撮影が必要である

(http://1.usa.gov/LammYr)

私のところにみえた時点で、この患者さんはグレード2でした。
必要な画像検査は、整形外科医院での初診時にレントゲン撮影が行われています。
要するに、それ以上の画像検査は必要ないとされているわけです。
しかも「よくなった」と言っている患者さんです。
「それまで私はどうしたらいいのでしょう?」と尋ねると、「その間は電気をかけに来なさい」ということになったそうです。

被害者の女性の頭の中は、早く保険の決着をつけてやりたい、その一心だったのでしょう。
たまらず、患者さんはその旨を保険会社にも連絡しました。
担当者はウ~ンと唸って、「しかたがないですから、そうしてください」。

被害者の女性、その足で今度は私のところへやってきました。
そして、その経緯を語りながら、「これっておかしくないんですか? 最初にMRIと言われるのは分かるんだけど、治ったと言っているのに…。逆じゃないんですか?」と訴える。
私に言わないで、その先生に言ってよ、という思いでした。

何か、MRIを撮らなければならいような徴候があったのでしょうか?
ないとすれば、ご乱心ですか?
それとも単なる引き伸ばしでしょうか?
あるいは年齢的にみても骨の変性があるだろうから、その後は骨粗鬆症の治療へと結びつける計算でも働いたのでしょうか? 
先生のクリニックでは、こうしたプロセスを踏むことは常習的なんでしょうか?

???.....なんとも腑に落ちない顛末でした。
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by m_chiro | 2012-10-04 08:36 | 症例 | Trackback | Comments(0)
むち打ち症患者、何でこうなるの!?
-視覚系-小脳系のシステムから姿勢制御の代償作用へアプローチ-

8月に入ってからみえた「むち打ち症」の患者さん。中年を過ぎた女性である。
今年の冬に追突事故で負傷した。事故直後から首が痛み、外科医院で診察を受けたがX-ray(-)で、湿布と投薬の治療を開始した。

それから間もなくして、また追突された。今度は、友人に勧められて接骨院で治療を受けることになった。同じように首の痛みだけだった。ドロップするカイロベッドで施術されたようだ。治療中から頭痛がおこったが、「あなたは大分薬を飲んでいるから反応が出るんだ」と言われたとか。

それでも治療の度に頭痛、腰痛と痛む場所が広がっていくので、MRIを撮ってもらうことにした。結果は異状なしだった。接骨院での治療を中止し、最初事故で受診した外科医院に転医した。
電気治療と投薬の処方を受けて7か月が経過した、という患者さんである。

経過は良くなっているのか、悪くなったのか分からないと言う。
痛みは軽減してきたが、食欲はなく味もあまり感じない。下肢の冷えが起こり、眼もはっきりしないし、熟睡もできていない。とにかく体が疲れるようになり、脚に力がはいらないと訴える。
この猛暑に、タイツを履いて長ズボンに長袖を着用し、タオルケットを手放さないでいる。
当初の頸部痛が、自律神経症状に変化したような印象である。
筋力評価は、左下肢筋(腸腰筋、ハムストリング、殿筋など「3」である。数回反復させると、評価「2」としてもいいような状態である。右下肢では「4」。左右差が顕著である。筋のトーンも相対的に弱い。

このむち打ち症患者は、当初はおそらくケベック分類の「グレーⅠ」であったろうと思う。ケベック・タスクフォースの「むち打ち疾患(WAD)」の定義では、「加速-減速の機序による頸部へのエネルギー転移」とされている。
c0113928_8475118.jpg

この枠組みに入る症状には、「動きを促進するモビリゼーション、マニピュレーション、運動のような介入を鎮痛剤や非ステロイド系抗炎症剤と組み合わせて短期的に使う」ことを勧めている。
だからと言って、強い刺激による介入は、時に侵害刺激になって痛み症状をつくりかねない。
侵害刺激は、痛み症状よりも自律神経症状をもたらすこともあるのだ。
侵害刺激の応答は一様ではない、ということだろう。

このように刺激に敏感な患者さんには、マニピュレーションの治療計画はとらない方が賢明だろう。この患者さんのように、身体に傾斜や捻じれがあり左右差が顕著なケースでは、それが神経系の統合不全によって表現されたものと考えてみる。

まずは、神経学的代償作用を利用して姿勢制御系に働きかけてみたい。視線運動反射をチェックすると、ほとんど全方向で興奮/抑制バランスが起こる。視線運動性反射の遅延である。頭位と頸部の動きを組み合わせると、更に問題となる姿勢制御系の代償作用が明らかになる。

そもそも、重力場というヒトに共通する環境刺激の場で、関節や筋・腱、四肢の動きは求心性刺激として小脳を興奮させる。それから中脳、大脳・前頭葉へ送られ、最終的に小脳で誤差修正されて出力する。

中脳では線条体、淡蒼球の経路で興奮と抑制が行われ、感覚運動系を興奮させる。
視線運動反射に遅延があるということは、網膜での画像ブレの調整反射の遅れている証拠でもある。小脳系をはじめ感覚運動系の経路に出力バランスの不均衡が起こっているのであろう。

ここは視覚神経系と小脳の誤差修正機能を回復させることを狙いとする治療に専念することにした。視覚神経経路を想定して、そのルートに内圧変動による停滞を感じ取り、そのリリースを行った。

それだけで体幹や四肢の出力系が安定する。この方法で5回目の治療の段階で、食欲が出て下肢筋の左右差も評価「4」になった。味覚障害は残っているが、よく眠れているようだ。

末梢からの刺激に過敏に反応する患者さんには、ダイレクトに脳内の停滞した変動をリリーするだけで身体の姿勢制御系の不均衡も是正できる。
こうした方法を用いると、身体は、脳を介在した受容器と効果器の応答による仕組みであることが実感できる。
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by m_chiro | 2012-09-03 08:53 | 症例 | Trackback | Comments(0)
ご報告:メニエール症候群で治療中だそうです
S先生のご紹介で、患者さんが治療にみえました。

でも、私のところまで車で1時間はかかるそうです。それに患者さんはメニエール症候群で治療中です。
運転ができないので、ご主人が運転していらっしゃいました。

この患者さんは20年前にめまいに襲われ、それ以来悩まされているということでした。
MRI検査も含めて大抵の検査を受けたようですが原因は特定できず、「メニエール症候群」として治療を継続中ということでした。

発症は突然やってきました。
会社で事務仕事中にグルグルと回り出して起き上がることが出来ず、2日間ほどは寝ていなければならない状態だったとか。起きると吐き気がある。そんな酷いめまいが年に2回位起きるのだそうです。
ひどい発作的なめまいが治まっても、常に動揺感があるということでした。
それが20年も続いているようです。

現在も会社勤務で、ほとんどはパソコンでの業務を行っているとのことでした。
トラベルミンを処方されていています。薬効もあり、今では会社を休まなければならないような状態はほぼなくなったそうです。
が、動揺感は止むことなくつづいていて、それも調子に波があるというのが現状でした。
1ヵ月位前からの右肩関節伸展不全の訴え(痛みと可動制限)もありました。
慢性的な首から肩の凝り感も訴えておりました。

ベッドに仰臥位になってもらったところ、仰臥位でも動揺感が起こっていると言います。
その揺れが「感じなくなるような体位や動き」を尋ねました。
すると、「いつもは左を向く」と動揺感が治まるそうです。確かに治まるようです。
頚反射の問題がありそうです。耳石について説明を受けたり、運動を指導されたことはあるか聞いてみましたが、「耳石の問題はない」と言われたようです。

そこでもう一度、頭部を正中位にして、今度は目を閉じてもらいました。
すると、「あっ、止まりました」。
眼反射かもしれない。目を閉じたまま、眼球運動と「刺激/抑制バランス」をチェックしました。
結果は、左外直筋(+)、右外直筋(-)、CW(+)/CCW(+)でした。

大脳鎌と小脳テントのテンション、顔面頭蓋をリリースし、眼反射の異常なシグナルを調整しました。
これで開眼してもらうと動揺感が治まりました。

それでも、左の橈骨と右の脛骨に停滞軸を感じます。それもリリースして、立位での感覚を確認してもらうと、「止まっている」そうです。「歩いても揺れがない」と言ってましたので、眼反射の問題が鍵かもしれません。右肩の伸展不全も問題なく可動出来ました。

さて、この患者さんには、眼反射に対する治療の持続性や変化を確認しながら治進めることになりますが、併せて眼球運動のエクササイズを指導しておきました。
この運動は効果的だと思います(同様の症状の患者さんで経験しています)。

S先生、ご紹介ありがとうございました。ご報告としておきます。
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by m_chiro | 2012-07-29 11:50 | 症例 | Trackback | Comments(0)
それってホントの話ですか?
昨日みえた県外からの患者さんは、昨年末に負傷した男性である。
会議が終わって階段を降りているときに、左膝がガクッとなり踏み外しそうになったらしい。
足を踏むと激痛で、やっとの思いで帰宅したそうだ。
しばらく安静にしていたが、痛みも引かず腫れてきた。

こうしてはおれないと、近所にある総合病院の整形外科を受診。
X-rayで問題ないが、膝に水が溜まっているので抜きましょう、ということになった。
抜かれた水はドス黒い色をしていたそうだ。
医師からは、安静にしていないで膝の屈伸運動をするように指導された。
帰宅してから、指導に従って寝ながら膝の屈伸運動を行っていたが、痛みは益々ひどくなり歩けなくなった。
3日目に水を抜いたときは、鮮血混じりの水だった。

不安に思った患者さんは、県庁所在地の総合病院まで出向いて診てもらうことにした。
X-rayで、大腿骨下端にV字状の亀裂が見つかり「骨折」と診断された。
ギブスをされ、最初の病院で治療するようにと言われ、X-rayを持たされて、前医のところに戻ってきたのだそうである。

その前医は、「折れてたのか」と淡々としたものだったとか。
2か月後にギプスが外れ、リハビリをしてもらえると思っていたら「これで終わり」だと告げられた。
「リハビリはしてもらえないんですか」と聞くと、「勝手にやらないように」とストップをかけられた。結局、普通に生活するように勧められただけだった。
「何か注意することはありますか」と尋ねると、「ジャンプしたり、走ったりしないこと」と言われる。

骨折を見逃して運動を勧め、リハビリ期に入ったのにただ単に普通の生活を勧める。
それって、ホントの話ですか?
これは、その医師の個人的資質や考え方の問題としか思えないが、レッドフラッグが除外できたら普通の生活に戻すことは確かに重要な働きかけである。
ところが痛みや不調を抱える患者さんは、不安や痛みを恐れて普通に動かせなくなる。
だから「habit(癖、習慣的行為)」を「re(再度、新たに、更に)」するために「re-habilitation」が求められるのだろう。


この患者さんはギプスが外れて4か月が過ぎても、いまだに跛行する。
「ジャンプや走ること以前の問題なんだ」と憤慨している。

これではあぐらも出来ないはずだ。
主に膝の屈曲と伸展の双方向での可動域改善リリースを行い、歩行の運動認知法を試みた。
傷害そのものは治っているのだから、あとは可動域が改善すれば跛行せずに歩けるはずである。
それでも正常歩行ができないのであれば、歩行機能の誤った認知をリセットすればいい。
歩行させると、左膝に意識が集中し過ぎていて歩行運動機能がバラバラの感じである。
運動認知のプログラムをリセットさせると、3回目で「あれっ! あれっ! ちゃんと歩けるヨ!!」。劇的に歩行が変わった。
その様子を待合室から見ていた人たちからも拍手が起こっていた。
患者さんの不安を残したままで、ちょっとした働きかけをする労力を惜しむべきではないのになぁ~。
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by m_chiro | 2012-06-28 14:18 | 症例 | Trackback | Comments(0)
身体機能の組織化と眼球運動
身体機能の組織化と眼球運動
症例1:「身体の左半身が沈んでいく....」


昨日、治療にみえた20代の患者さんは、身長180㎝以上の筋骨隆々とした立派な体躯の青年だった。まるでアメフトかラグビーの選手のような体格である。仕事がデスクワークなので運動不足にならないようにと、ランニングやエクササイズなどで鍛えているそうだ。

一見するに健康そのものようなこの男性の訴えは、「身体の左半身が沈んでいくような感じで傾いていく」というものだった。
メデイカルチェックで異常は見当たらない。それで治療にみえた。

望診すると、捻じれた停滞軸が感じられる。
抑制バランスをチェックすると、見事なほど反射の遅延がみられ、顕著に左一側性に抑制バランスがある。
c0113928_1783851.jpgこうした身体機能を組織化することができないでいる症例では、眼球運動の機能の偏向がみられる。
眼球の運動軸が身体の筋運動に影響を与えているからだ。

この患者さんは左右の上直筋、左の外直筋と右の内直筋、左下斜筋による眼球の運動がスムーズではない。
反時計回り(CCW)の眼球運動では良好であるが、時計回り(CW)の運動では1時~3時方向での回転運動で眼球が動揺する。

出力系は脳から足部へと、筋運動のトーンを統合する組織化が行われる。
だから眼球運動の偏向による頭位は、治療上かなり重要なカギとなる。
眼球運動頭位反射(OCR)の異常というわけではなく、眼球運動の誤差修正が行われていないためではないかと考えている。

運動のコントロールは、神経レベルでは大脳基底核位が制御している。
しかし最終的な誤差は小脳が行う。小脳は前庭系と密接にアクセスし、誤差学習能力を発揮している。運動機能プログラムの誤差調整が十全でないのだろう。

左Tiltがあり、先ずはそれをリリースしてみたが上体の回旋軸の停滞が残る。
そこで眼球運動を調整するために、小脳テント、顔面頭蓋、後頭骨-Cのつくる菱形ライン(私はダイヤモンドヘッドと呼んでいるが)のテンションを調節した。
まだCWで2時方向の動きが飛ぶので、これは眼球運動の認知を行う手法でリリースした。これで停滞軸が消失した。

立たせて歩かせてみると、「全然違う」と言う。
身体の運動機能については眼球運動のチェックは欠かせない。頭位や眼球の軸運動の偏向は、左右の筋のトーンを変えて眼球運動を代償するからである。
だから感覚のミスマッチも起こるのだろう。
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by m_chiro | 2012-06-05 17:09 | 症例 | Trackback | Comments(0)



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