カテゴリ:症例( 137 )
身体バランスと競技パフォーマンスの向上
中学2年生の水泳選手、地区大会を目前にして左膝が痛みだした。
無理に練習しているうちに少し腫れぎみになる。

大腿四頭筋のMMT低下、左膝鵞足部に痛みを訴えている。
左足関節の底屈運動でも同様に痛む。
膝窩筋部にジャンプ兆候の圧痛もある。
両膝とも反張膝傾向になっているが、水泳選手に特有のものだろう。

距腿関節のアライメントを調整する。
膝窩筋のTPにカウンター・ストレイン、そして膝蓋靭帯の横軸の緊張差を修正する。
鵞足部の筋膜をリリース。

再現性を確認するために運動されると、左膝の運動痛は気にならなくなっている。

更に姿勢運動制御系を診ると、前後軸(Roll)における左傾斜がある。
膝痛が原因になって起こったのか、それとも前後軸偏移が起こって膝痛を引き起こしたのか、よく分からないがL5-LS(L4-5間の筋の過緊張)をターゲットに調整した。
その調整は、L4-5間の筋線維に低振幅牽引アジャストを用いた(Aα神経線維に興奮性の入力)。
これで代償されていた頭位左傾斜もリリースされた。
MMTで筋バランスもよくなっている。

大会が終わって、結果の報告をいただいた。
初めての「優勝」だった。
学生が競技で良いパフォーマンをやってくれると、治療者としても嬉しい限りである。
励みにもなる。
また、更に上を目指して頑張ってほしい。
私もよりよい治療を目指したい!
そう思う。
[PR]
by m_chiro | 2015-07-14 17:10 | 症例 | Trackback | Comments(0)
典型的な「上後鋸筋TrP徴候」の症例
先日から50代男性(技術職・会社員)の治療を行っている。

10日ほど前、仕事中に左頚背部が苦しくなった。
我慢しながら仕事をしているうちに左上肢の方まで痛みが広がり、尺側から第4‐5指までジンジンと痺れるようになった。
その日の夜から、痛みで眠れなくなる。
背中をベッドにつけると痛みが増幅してくる。

これでは仕事もできない、会社に診断書も出さなければならない、と近くの総合クリニックの診察を受けた。

X-rayで、頸椎に年相応の狭小と骨棘がみつかった。
骨棘が神経を圧迫しているのが原因とされ、診断名は「頚椎症」だった。
メチコバール、リリカ、ブレドニゾロン、坐薬(50mg)を処方される。
これで1週間経っても軽減しなければ、整形外科へ転医し手術も選択肢に入る、と説明されたようである。

鎮痛薬が効いて、何とか眠れるようになった。
それでも時々目覚める。仕事を休んで家で静養しているが、時々、左肩から上肢にかけて差し込むような痛みが発作的に起こる。筋スパズムのようだ。
肘から下の尺側は、常に痛苦しさがあり、4~5指の痺れで感覚も鈍くなった。

頸椎可動域で、左圧縮性の動きや左回旋で末梢への痛みが増強する。
小指の伸筋<屈筋で+2。力が入らない。
深部反射に有意な左右差はない。

差し込むような痛みは、どんな状況でおこるのだろう?
「昨晩は食後に椅子に座ってTVを観ているときに急に起こった」

どうしたら軽減したのだろう?
「立ち上がって姿勢を変え、背中の苦しいところを押さえて上体を右に捻るように動かしていたら、次第に発作状の痛みはおさまってきた」

それって椅子寄りかかって、もたれるように座っていた時に痛み出したのでは?
どうも、そうらしい。

以上の状況から、上後鋸筋のトリガーポイント(TrP)を疑ってみた。
それで左肩甲骨を外転させるようにして、上後鋸筋の肋骨角方向に肩甲骨内側に押し込むように硬結部を押圧すると、左上肢~指先まで痛みと痺れが再現される。
上後鋸筋は、僧帽筋、菱形筋の下層深部にある。しかも肩甲骨内側上角の下に入るため、肩甲骨に遮られてトリガーポイントに直接触れにくい。
座位で左上肢を対側に固定して、左肩甲骨が外転するように保持した状態で押圧しなければTrPに触れにくいのだ。
c0113928_16524418.jpg

(『骨格筋の形と触診法』より)

症状もマニュアル通りの現れ方をしている。
末梢神経障害か、TrPか、の鑑別はTrPの押圧で症状が再現されることだ。
末梢神経障害であれば、そんなわけにはいかないので、分かりやすい。

c0113928_16562612.jpg

「これって私の症状と全く同じですね。ということは首の神経じゃなくて、筋肉の問題なんですか? それでもしも手術などされたらたまらないなぁ~!」 

それでも、なぜ左上後鋸筋がターゲットにされたのだろう?
関連性を疑う要因がいくつかあげられた。
1.仕事で機械が故障し、修理するのに首を傾けて窮屈な姿勢で作業をした。
2.いろいろあって寝不足が続いた。
3.認知症の父親を家族で介護していて、状態が良くない日が続いてイライラしたり、声を荒げて注意したりした(そんな時は発作的な痛みに襲われた)。
4.以前、酷いムチ打ち症で入院したことがある。

問題が複合して絡み合い、発症したのだろう。
上後鋸筋が緊張する患者さんは少なくない。
でも症状の出方はそれぞれで、必ずしもマニュアル通りではないが、この患者さんは絵に描いたようにピッタリの病態だった。

上後鋸筋のTrPは、治療時の患者のポジションに留意しなければならない。
腰部の前弯を確保し、肩甲骨の外転位を保つことことがポイントである。
体幹を軽度伸展位に保って、両腕を治療ベッドから床に下垂させて肩甲骨を外転する姿位をとらせて行うようにしている。
そうしないと腹臥位が保てないことがあるからだ。
夜寝るときも腰部にバスタオルをロール状にして腰に巻いておくと、腰部を軽く伸展状態に保つことができる。眠りが妨げられる痛みがある、この病態の患者さんには試させるといいだろう。
ただし、あくまでも過度にならないように、腰痛を引き起こす恐れのない前弯状態にすることである。

在宅でテニスボールでのケアをする時も、腰部の前弯を確保し当該部位の肩甲骨を外転・外旋位に保って行うべきである。
その方が、効率よく在宅ケアができる。
くれぐれもやり過ぎないことも注意したほうがいい。

この患者さんも、朝まで熟睡できるようになり、尺側の違和感と指先の感覚鈍麻が残る程度になった。
手術に怯えていたが、そういう障害ではないことが分かっただけで心理的にも随分楽になったようだった。
上後鋸筋は吸気を補助する筋なので、イライラしながら大声出すのも要注意である。
本人もそのことに気づきはじめたようだった。

トリガーポイントが作られる背景には、どうも複合した罠がありそうだ。
[PR]
by m_chiro | 2015-06-24 17:10 | 症例 | Trackback | Comments(0)
運動部の高2男子、「頭痛とめまい感」の正体…
運動部の高2男子が来院した。
試合を4日後に控えて、頭痛とめまい感に悩まされるようになった。
コーチからは、身体の使い方のアンバランスを指摘されているという。
なんでも左半身がしっかり使えていないという指摘を受けたそうだ。

めまい感はちょっとした頭部の動きの変化で起こるようだ。
眼球運動では、左眼球の右下方の動きが抑制されている。
対光反射での神経学的な異常はないが、縮瞳はとろい。
頸部の左項部の筋群が横隔膜付着部周辺まで過緊張している。
身体の左外側には場の歪みも感じる。
神経系の混戦状態(クロストーク)があるようだ。
こうしたケースではイレギュラーな身体反応が起きやすくなる。
おそらく左眼球の右下方への抑制バラランスは擬態だろう(案の定、混戦をリリースすると左眼球の左下方の抑制に変わった)。

これらの情報から、この生徒の日常生活を推測してみた。
そして、治療を終えてから、こんな謎解きをしながら説明を試みてみた。
学生には、その方が腑に落ちやすいだろう。

「最近、教室の席替えでもあった?」
「はい…」

「君は黒板に向かって右端の机に代わったのかな?」
「え~と、そうです....」

「君の左横の机には、彼女でも来たの?」
「いいえ、男です」

「それじゃ、すごく仲の良い友達だな…?」
「はい、部活は違うんだけど、友達なんです」

「それで頭痛もするし、ふらつきも起こるんだよ。授業中でも仲良くしてるんだろう!」
「…..???」

「椅子ごと黒板の中央部に向きを変えて座るようにしたほうがいいよ。隣の友達とばかり仲良くしないで..(笑)」
「なんで?」と聞くので、その理由を説明してあげた。

「もう一つ、夜の8時以降は、試合が終わるまでスマホ禁止!、TVを見るのも止める…」
すると、同席していた母親が大声で笑いだした。

「何でおかしいの?」と私が聞くと、
「だって、この子、夜8時からは寝るまでスマホとTVから離れないもの…」と、お母さんが笑っている。

「試合が終わるまで、スマホは仏壇に預けておきなさい。すると、きっといい成績が出るよ!…..、 笑ってるけどホントだよ。冗談じゃないんだよ! 約束を守らなかったら、結果は期待できないなぁ~」

その5日後に、試合の結果が地方版に出ていた。
なんと、彼は3位入賞だった。
しかも自己ベストの記録。初の入賞である。

いい結果が出て、よかった!
[PR]
by m_chiro | 2015-06-11 18:16 | 症例 | Trackback | Comments(0)
「左肩がズキズキ痛んで眠れなかった」:カプサイシンは辛味成分それとも痛み成分?
「昨晩、左肩がズキズキ痛んで眠れなかった」と言って、事務職の中年女性が治療にみえた。

慢性的な腰痛をかかえていて整形外科で治療中である。
左肩を上げられなくなったのは1年ほど前からで、これも腰痛と一緒に治療中だが好転しない。
でも夜眠れないほど肩がズキズキ痛んだのは、初めてのことだったようだ。
整形外科医院では、レントゲン所見で骨が減っているから「腰は治らない」、「肩は50肩」と言われている。

それで鎮痛剤の処方と腰の牽引、首から肩にかけて電気治療を、リハビリとして続けている。
このまま保存的に治療しなさい、ということらしい。

聴き取りをすると、いろんな問題が出てきた。
B型肝炎、肝血腫、腎嚢胞、高血圧、時に頭痛。
肝炎も血腫も嚢胞も安定しているので、1~2回/年のCTスキャンによる経過観察が行われている(今のところ治療の必要性はない)。

肩の痛みの発症状況を聴いてみる。
夜寝てからズキズキして目を覚まして、それからずっと痛みが続いているらしい。
安静位でも痛んでいるので、仕事を休んだ。

何か外傷を思わせることもなく、無理に使った覚えもない。
寝る前までは、いつもと変わらない仕事と生活だった。

「何だろうか?」と思いながら望診していると、左肩から肝臓、胆嚢、空腸周辺にかけて停滞軸が走っている。

それで、「夜は何を食べたの?」と聞いてみた。
「外食したから…」
「そこで何を食べたの?」
「韓国料理」

唐辛子成分が怪しい、かな?
韓国ドラマが大好きで、その女子会があったのだそうだ。
韓国料理を食べながら、韓国ドラマを語る会だという。

痛みは、機械的刺激や熱・化学物質による刺激が脳に伝わって認知される仕組みになっている。
それを末端の受容器が刺激として受け取るのだ。
機械的刺激で思い当たることがないのであれば、熱・化学刺激を押さえておくべきだろう。


それで唐辛子を持たせて筋の抑制反応をみることにした。
見事に抑制される。まるでバレー徴候陽性反応のように、筋力の維持ができくなる。
「ナニ、コレッ~!」

左肩から肝臓-胆嚢-空腸ラインの筋膜リリースをしながら、内臓機能の緊張を緩解させた。
治療しながら「カプサイシン」という痛み物質の話もした。
いわゆる炎症性疼痛の発症機序に関わる問題である。

さて、唐辛子の辛子成分とは、「辛味成分」なのだろうか?、それとも「痛み成分」なのだろうか?
c0113928_17482537.jpg

「辛味成分」となれば味覚の話である。ところが舌に辛味を感じる味蕾はないのだそうだ。
では、どのようにしてわれわれは「辛味」を感じるのだろう。
4つの基本味以外の辛味、渋味、金属味、アルカリ味、電気の味などは、臭覚、触覚、圧覚、痛覚、温度感覚などを刺激することによっておこる複合感覚とされているようだ。
そうなると「辛味」は味覚ではなく、「熱」と「痛み」の感覚に似たものらしい。
それが、唐辛子を食べたときに舌が痛く感じ、口が熱く感じる理由のようである。

辛子成分のカプサイシンの受容体は「TRPV1」である。
「TRP1」受容体の同定に関わったのが、生理学研究所の富永真琴教授である(「痛みと鎮痛の基礎知識・上」200頁、小山なつ著)。
TRPチャンネルの感受性を示した富永真琴教授の図によると、43度以上の温度とカプサイシンが痛み刺激となることを知ることができる。
c0113928_17492469.png


この患者さんも、カプサイシン受容体の閾値が低下して痛みを発症したのだろう。
しばらく唐辛子を控えることをアドバイスした。

その3日後、再び治療にみえた。
「肩が痛くなくなったよ! 今度は腰も治して~!」
「韓国料理と痛みと、どれか一つ止めるとなったら、どっち取る?」
「韓国料理~!」

ありゃ~、のど元過ぎて熱さ忘れるだなぁ~!
[PR]
by m_chiro | 2015-03-31 17:54 | 症例 | Trackback | Comments(4)
家内の左眼の不調
一年ほど前から、家内が左眼の不調を訴えだした。
左目がゴロゴロする感じがあり、いつも重苦しい痛みがとれず、左眼球が飛び出てるように感じるらしい。
左眼から左後頭顆部に痛みが走ることもあるようだ。
まばたきしても後頭部に引っ張られている感覚があるらしい。

あまりしつこく訴えるので治療をした。
眼球運動や網膜反射など神経学的な検査を行い、頭蓋リズムなどを調べながら、できる治療を試みてきた。
治療後は症状が半減する。が、翌日には戻ってしまう。

あまり大きな変化がないので、眼科で診てもらうことにした。
検査の結果は異状なし。
白内障が出始めているが、積極的な治療が必要な段階ではない。
要するに、医療が必要な対象ではない。
医学的には老化ということのようだ。

メガネが合わないせいだろうかと、レンズも調整して変えた。
それでも変化がない。

それでは何とか頑張って、私が治療するしかない。
こうして時々治療してはみたのだが、情けないことに直後に軽減がみられても大きな満足を与えることなく半年ほどが過ぎてしまった。

今年の1月のセミナーで○○先生の指導を受けた。
そのときの感覚を忘れないうちにと、帰宅後まもなく家内の治療も試みたのである。
有難いことに、家内は私にとって最も率直な評者である。
もちろん技術に関する専門的な評価ができるわけではないが、治療を受けた身体的変化や感覚的印象は率直に教えてくれる。
その意味でも、技術研鑽の良きパートナーでもあるのだ。

教わった基本的なことを忠実に応用してみた。
私は初心者でもあり、技術的な詳細を紹介できないのだが、特に「り○○○」を感覚的に意識した。それを眼窩や眼球でも試みた。

これまで行った方法では満足する変化が得られなかったのだから、まったく新たな視点で治療するほかない。
治療後、家内が興奮気味に「凄い!! 劇的に変わった」
「ほとんど気にならなくなったよ。何が違ったの?」

「10→1」の変化だという。「何が違ったのか」と問われても分からない。
翌日にはちょっと戻って「3」程度になったようだが、それでも劇的な変化である。
それからあまり間隔を開けずに5回ほど治療しただろうか。
今では、ほとんど気にならなくなった。
悪いときでも「2」程度に安定している。

最初の試みから1カ月を過ぎた。
状態は安定したままである。いったい何がどう作用したのだろう。
いまだに何が違うのか、と家内には聞かれる。
不思議だと思うのは、分からないからにすぎないのだ。
私自身としては、その推論をどうにか構築しておかないと気がすまない。
治療は奥が深い。今更ながら思う。
[PR]
by m_chiro | 2015-02-28 16:48 | 症例 | Trackback | Comments(0)
「50肩ですか…?」、遠隔部位から刺激で著効の症例
「50歳になったと思ったら、右肩が挙がらなくなった。これって50肩ですか?…」

以前から右肩から腕が重苦しくなって、50歳になった途端に挙がらなくなってきたようだ。
右の第2~3指に力が入らない感じで、右の顔面の感覚も鈍い感じがする。
眠りも浅くなって、汗がどっと出たりするようになった。
「更年期障害なんでしょうか?…」
こんな訴えで中年女性が治療にみえた。

可動域を見ると、外転90度、屈曲140度ほどで痛みがあり、運動が制限される。
関節の拘縮はみられないので、機能的な問題だろう。

隔膜系と心膜系をリリースして、頸部の右側屈とそれに伴う頚神経節周辺の緊張を解放した。

さて、立位で右肩の可動域を確認するとまだ痛みが残るようだ。
「やっぱり痛い! 挙げられない!」

その位置から傾聴すると、右の足背部にテンションがある。
右足背部をみると、どうも第4中足骨近位端周辺に続いているので圧痛を探してみた。
ジャンプ兆候のあるポイントがある。
そこを圧迫しておいて、右肩を動かさせてみた。

すると、
「あれっ! 挙がる! なんで??…」

図の赤○のあたり、経穴で言えば、「臨泣」というところだろうか。
c0113928_1642446.png

そこに皮膚考学研究所の刺さない鍼「ピソマ」を貼付しておいた。
遠隔刺激で顕著な改善を示した症例だった。
[PR]
by m_chiro | 2015-02-10 16:07 | 症例 | Trackback | Comments(0)
「自己ベストが出た!」
先日、高校一年生の男子が治療にみえた。
高校に入ってウエイトリフティング部に入部したそうだ。
もう1年近くになるわけだが、なかなか上達しない。
というか結果が伴わない。
心外なことに、周囲からは「真剣にやってるのか!」などと言われるらしい。
連れてみえた母親が話してくれた。

2日後に大会があるので、肩も痛いし、コンディションを上げておきたいのだそうだ。
望診すると、一見して身体内部に中心軸のブレがある。
肩の水平レベルの差もあって、頭部にも捻じれがある。

足方から調整入力を入れただけで、身体の輪郭がとてもクリアになった。
もうこれでOKなのだろうが、痛いといっていた肩と頭蓋の軸変化を確認する意味で診ておいた。
立たせて動きを確認するが、問題はなさそうだ。

基本的に、彼は筋骨格系における局所的な機能に、加療が必要な障害があるわけではないようだ。
身体の中心あるいは重心の置き場所が見失われているだけなのかもしれない。
そこで練習や本番前のアップの運動で取り組む簡単な方法を2つほど伝えておいた。
身体の中心・重心の在り様を体に覚えこませるために、本番前に修正を心掛ければ持てる能力を出せるようになるだろうと思ったからだ。

大会が終わって、母親が報告にみえた。
「自己ベストが出た!」
これまでの成績に15㎏も上乗せして、全国大会に向けての強化指定選手に入ったようだ。
もともと持っていた能力なのだろうが、身体置のちょっとした変化で統合する力や筋力を引き出すことができたのだろうと思えた症例だった。
[PR]
by m_chiro | 2015-01-30 13:32 | 症例 | Trackback | Comments(0)
「咳が治らない…..!?」
中背部が痛苦しい、という40代の主婦が治療にみえた。

治療歴を聴いてみると、9月初めころから咳が出るようになった。
「風邪だろうか?」と思って内科を受診している。
でも風邪の兆候は咳だけである。
「咳止め」を処方されて様子を見ることになった。

それでも咳が止まらない….。
そのうちに中背部が痛苦しくなってきたのだという。

咳で筋の緊張が起こったのだろうが、「その咳は何、なぜ?」である。

「ストレスになっていることでもあるの?」

「ある、ある….。アタマがイタイ!!…」
受験生の親だから、何かと心配なのだろう。

治療は肋骨、横隔膜、呼吸筋の緊張をリリースして、ストレス反応と副腎系の働きも調整してみた。
1週間後に再び治療にみえて、背中はだいぶ楽になったが、やはり咳が治まらない。
「治療した後はほとんど咳が出なかったのでラッキーと思っていたが、夕方になってぶり返した…。」

内科医も「風邪兆候が咳以外ないしなぁ~」と言いながら、咳どめで様子を見ることが続けられている。

「でも、このごろ鼻水も出るようになったから、アレルギーのときのような感じなんだけど…」

「アレルギーがあるの?」
「ブタクサで花粉症になったことがあって、そんな感じ….。」

ブタクサの花粉症患者は、バナナやキウイを食べると口の周りがかゆくなるらしいが、そんな兆候はないようだ。
それに、「春先だけに起こり、秋に起きたことはない」
「それじゃ、ブタクサのアレルギーではないんじゃないの?」

では、とアレルギー・チェックを行う。
アレルギー検査キットの出番である。
今年は、歯科医師・幸田秀樹先生の歯科材料の検査素材も分けてもらったので、全部で200種類ほどある。
c0113928_17245195.jpg


結果は、「pollen:花粉」に反応した。筋活動が抑制される。

「確かに花粉で反応するけど、最近、家や庭に花が咲いてる?」
「ええ、おばあさんが畑でダリアを沢山育てて、畑に咲かせてるのではもったいなくて、9月から家中のあちこちにダリアを飾ってます」。

咳が出始めたのも9月初めからで、確かに符合する。
ダリアの花粉が怪しそう。我が家も、今年はダリアを楽しんだ。
その実際のダリアに触れさせて筋活動をチェックすると、これが見事に抑制された。

ダリアの花粉に対する反応をリリースするために、「Neuro-Auriculotherapy:神経耳介療法」によるアレルギー治療を行った。
ポイントは3ポイントを用いた。

ひとつはアレルギーポイント(Allergy Point)に10Hz/30sec.のパルスを、自律神経のポイントにも同様のパルスを、そして副腎のポイントには5Hz/30sec.のパルスを入れた。
c0113928_17273249.jpg


その結果、「Pollen:花粉」の抑制反応が消失、実際のダリアに触れても筋活動は正常に働いた。

その10日後、今度は膝痛の患者さんを連れてみえた。
その後の咳の状態を聞いてみると、「咳が治った」そうだ。
大胆にも、「家のダリアも、畑のダリアもすべて処分した」らしい。

アレルギー治療が効いたのか、ダリアの花粉を遠ざけたから治ったのか判然とはしないが、苦しんだ咳から解放されたのであれば幸いなことだ。「神経耳介療法」も侮れないかも....。

私としては、おかげで新しい患者さんを紹介してもらった。
[PR]
by m_chiro | 2014-11-13 17:38 | 症例 | Trackback | Comments(0)
「頭が右回りに回っている」
「今朝起きるときに頭が右回りに回ってグラグラした」
「下を向いて頭を上げるときもグラグラする」


そう言って、看護師さんが治療にみえた。
歩いているときは、そんなに問題ない。
が、寝て起きるときとか、下向きから頭を起こすと、グラグラする。

●チェック結果
Pitch(X軸)で屈曲障害がある。
Yaw(Z軸)での右前方寛骨(RAIN)、右股関節-屈曲不全、右足関節-屈曲不全の代償作用がある。
眼球注視は、上方注視(右↓)、左外側注視(右内直筋↓)で抑制
クロスクロール・歩行パターン(左右で↓)

●治療ポイント
❶Pitch屈曲障害をリリース
❷L4-5間の右筋性フィクセーションを牽引スラスト
❸C1-LL(CCWリコイル)
❹後頭骨RL(CWリコイル)

●変化
これでX軸とZ軸代償(―)、歩行パターン(-)、眼球注視(-)。
起き上がり時のぐらつき、下向きから頭位を起こす時のぐらつきも起こらない。

施術後の会話から
「何か後頭骨-C1の間に負荷のかかることはしませんでしたか?」
「夜中に、うつ伏せで頬杖をついて斜めになってDVDをみてました」

「じゃ、寝不足もあったんだね」
「そうです」

「今日はしっかり眠りなさい...」
「そうします!」
[PR]
by m_chiro | 2014-09-09 23:26 | 症例 | Trackback | Comments(0)
「しびれ」の現象と病態❷
先日来、治療にみえている60代男性は、バリバリの農業人である。
老境にあるのに、体が頑健でまるで鋼のようだ。
身体に触れただけで、働いて出来上がった強さであることが窺がえる。
春の田植作業の後に管理の仕事などが続いて、身体の右半身の痛みとしびれを感じるようになったのだという。
そのうちによくなるだろう、と思っていたが一向によくならない。
奥さんに背中を押されて治療にみえたようだ。
「とにかく、いつもと違う。右半身の具合が悪い。よろしくお願いします」と丁重に挨拶された。
実直な人柄からも、一生懸命に働き続けた農業人の姿が窺がえるようだ。
具体的には、右肩からの上肢痛と右腰臀部から下肢にかけてのしびれを伴った痛みである。

しびれを訴える患者さんにも、必要な情報を聴き出してみた。
この患者さんからの聴き取りでは、疾患による病態をうかがわせる情報は見当たらない。
引っかかったのは、草刈作業による反復動作である。
草刈機を肩掛けに背中に担いで、斜面を移動しながら同じ方向への反復作業である。
その作業の2日目に、具合が悪くなってきて作業を中断している。

しびれや痛み症状の出方からしても筋筋膜由来であることが推測できる。
しばらく他の作業をしたが、一向に回復しなかった。
しびれ感は、右脚外側部にビリビリするような鈍い感覚があり、特に腓骨周辺から足背にかけて際立っている。
デルマトームにも一致しないし、神経系以外の疾患症候もない。

もし神経学的疾患が疑われたら、これも徒手療法の現場でも簡易確認できる。
筋緊張や微細な不随意運動はないか。
腱反射や振動覚、ロンバーグ(Romberg)テストなどは必須の検査だろう。
情動系もしっかりしている。

この患者さんの「しびれ」は、身体の機能的な問題に絞っていいだろう。
機能的な身体問題を考えるときに、重力場空間におけるヒトの空間認知能力は基本的に重要である。
いわゆる脳と身体における神経系の入出力によるシステムである。

この姿勢運動制御系を考えると、重要な3つの軸が想定されている。
c0113928_8411540.jpg

ひとつは垂直軸(Z軸:Yaw)であり、顔や体幹の左右の回旋あるいは上肢や下肢の動きに代償しながら関わっている。2つめは、前額-水平軸(X軸:Pitch)で前後屈に関わり、3つめは、矢状-水平軸(Y軸:Roll)で左右への傾斜に関わる。
この患者さんは、3つの軸の問題をすべて内包していた。
内包しながら右側から体側左への動きも固着している。

刺激の入出力に対する身体応答の反射を見ると、「右の小脳から右の基底核へ」の刺激ルートに、修正する反射応答がみられる。
同側刺激を意識しながら隔膜系では右→左(CCW)の刺激で横軸を調整する。
前脛骨筋のしびれる部位には張り付いたように膜の動きが感じられない。
そこをリリースしてはみたが、中々に頑強なので補足的に伸縮テープで補助しておいた。

2回目の治療に見えた時には、症状が限局されている。
右仙骨底部と梨状筋部の痛み、右全脛骨筋から足背のしびれ、である。
緊張性頚反射をみようと頭部の左右回旋をさせたら、左回旋で仙骨、臀部の痛みがなくなる、と言う。
頸部右回旋では痛みの再現が起こる。
右頸椎の回旋筋短縮によって回旋運動がスムーズに行かないのだろう。

観るとC1とC5の左回旋方向に抵抗がある。そこにアジャストすると、首を右に回旋させても右仙骨・臀部へ関連して出現していた痛みが消える。
関連痛には、こうした身体機能性がもたらす存在が潜象しているようだ。

そう考えると痛み系というのは、潜象機能系にも存在するのだろうと思える。
人の体を見ながら、潜象して機能系の存在を強く感じている。
トリガーポイントの存在、あるいはカイロ界の用語である椎骨サブラクセーションも、潜象する機能系からの反射で現れた現象系の存在なのだろう。
だからこそ直接的にトリガーポイントにアプローチしても鎮痛機序が働くのだ。要するに、どちらも鎮痛機序の入り口なのである。
潜象機能系は、潜象であるがゆえに取り組みが難しいのかもしれない。

この患者さん、地域で総出の草刈り作業にまた出向いた。
その間も治療を続けながら、今度は4日間連続で作業したが無事に役割を終えたようである。
症状は、前脛骨筋部のしびれがわずかに残っている程度になった。
それも筋肉負荷が過度になると出やすい。でも日常の生活に悩まされることはない。
右の前脛骨筋部の筋膜の可動に、まだ左右差が残っているし、足関節の底屈の可動も悪い。

これは現象系である。現象系には、在宅でできる方法を指導する。
患者さんの努力も必要である。
神経疾患による下肢の「痺れ」であれば、神経の走行に一致するはずであるし、その他の感覚にも異常があるかを診ることは必須である。
筋筋膜由来の長年のしびれ現象は、確かにしつこいが、筋筋膜の機能が回復するにつれて消えていくだろう。
[PR]
by m_chiro | 2014-07-30 07:17 | 症例 | Trackback | Comments(0)



守屋カイロプラクティック・オフィスのブログです
外部リンク
カテゴリ
以前の記事
お気に入りブログ
最新のコメント
最新のトラックバック
ほとんどがMPSなんだけ..
from 心療整形外科
月経が再開した
from 心療整形外科
TPは痛みの現場ですらな..
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
脊椎麻酔後頭痛について
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
起立性頭痛
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
「5%の中に本当の椎間板..
from 心療整形外科
髄液循環系と揺らしメモ
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
医師はユニコーン(架空の..
from 心療整形外科
末梢神経の周膜と上膜にも..
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
また勉強になりました。
from 漢のブログ
ライフログ
検索