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「腰痛学校」に学ぼう!
先日、中年の婦人が治療にみえた。左腰下肢痛を訴えている。
1週間ほど前に、階段を踏み外して4段ほど滑り落ちたらしい。
打ち身による内出血で、臀部がどす黒くなっている。
それは打撲だから、内出血が消えるまではもう少し時間がかかるだろう。

それでも心配なことがあるようだ。
彼女は慢性的な腰痛を抱えている。
数年前に整形外科を受診したら、X-rayで「L5すべり症」と診断され、「このままでは車椅子になる!」と言われた。
不安になって彼女は、車で2時間ほどかけて大学病院の整形外科を受診した。
どうせ手術するなら大学病院でやろう、と決心したのだそうだ。
MRIで「脊髄に少し圧迫があるが、手術の適応範囲ではない」と言われた。

それでも年2回は経過観察のためにMRIを撮るために大学病院に出向いている。
今回、階段を滑り落ちたので心配している。
深部反射は正常に反応している。

腰痛の原因は複合的である。
近年では、心理・社会的側面が重視されるようになっている。
腰痛は腰が悪いのだと決め込んでいるが、そういう思いや考えこそが腰痛を治らなくしているのだよ、というわけである。

「そんなことないよ! 実際、腰が痛いんだよ!」と言うかもしれない。
が、腰が悪いという思いが、実は腰に注意を向けさせることで脳が興奮するのだ。
結果的に、脳の興奮を証明するように腰に痛みが出るのだ。

いや、そんなことはない。腰のヘルニアを手術したらよくなった!という人がいるではないか!
そう思うだろうが、結果はそのことの裏返しということもあり得るという話である。

悪いところを取り除いた、と言う思いが脳の興奮を静める。
結果的に、痛みのサイクルが遮断されたのかもしれないではないか。
これをプラシーボ効果ともいうが、プラシーボ効果は少なからずつきまとうのだ。
侮ってはならない。

手術で治癒したというのであれば、それはそれでよい。
手術も一つの手段だろうから。
が、痛みは心理的な要素が多分に関わっているということを忘れてはならない。

逆に「ノーシーボ」による悪化もある。
ここが悪いという思い込みで、痛みが増強されるのである。
だから医師や治療家などは、決して「脅し」を使ってはならない。
「このままでは車椅子になる!」。
この脅しは、彼女の腰痛の原因を「すべり症」に向かわせ、不安を増幅させて腰痛を慢性的なものにしている。
脅しても何も解決しない。。
それよりプラシーボを大いに利用すべきだろう。
プラシーボは、プラシーボ効果と分かっていても効果があることが知られている。
自分が何不自由なく動けていることをリアルにイメージすることが、脳への強力なメッセージにもなるのだ。

慢性腰痛の患者さんであった伊藤かよこさんは、自らの体験を通して痛みを勉強し、鍼灸師の資格も得て、今度は腰痛に悩まされている人たちに強力なメッセージを送っている。
今回、その体験を活かした本を出版した。
「腰痛学校」
必読である。なにより分かりやすい。
小説を読むように、痛みを知ることができる。
多くの人たちに読んでもらいたい本である。
痛みに悩まされている人達は、先ずは痛みを知ることから治療がはじまるのである。
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by m_chiro | 2016-12-30 09:51 | Books | Trackback | Comments(0)
「失われゆく我々の内なる細菌」
慶応大学先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)福田真嗣特任准教授が、文部科学省科学技術・学術政策研究所(東京)の「科学技術への顕著な貢献2015(ナイスステップな研究者)」を受賞した。

細菌が腸内で生み出す代謝物質が、人体にどんな影響を及ぼすかを解析している功績が認められたのである。
福田特任准教授は「人それぞれ違う腸内細菌のバランスをみることで、食習慣の改善につなげる適切なアドバイスができる。
病気のリスクを下げることになる」と研究成果を社会に還元したいと話していた。

ちょうど「失われゆく細菌 我々の内なる細菌」(マーティン・ブレイザー著)を読みかけていたのでタイムリーな話題だった。
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この本は、以前記事にした「ピロリ菌のメッセージを聴け!」で紹介した翻訳書である。

ピロリ菌の発見からその共生菌としての役割、ピロリ菌を駆除することで被るリスクを摘発した本かと思って読みはじめたのだが、なんと壮大なスケールの100兆個にも及ぶヒト常在菌の生態系に迫る力作である。
この分野のことを「マイクロバイオーム」というらしい。
著者はその研究の第一人者である。

常在菌は胎児の時は皆無なのに、出産過程とその直後に何兆個もの細菌に占拠されるようになるらしい。
そんな短い時間内に、ゼロから兆単位の細菌の世界が拡散するのだ。
産道を通らずに帝王切開で誕生する赤子は、この細菌叢の洗礼を受けないで世に出る。
これも大きなリスクのひとつだと知った。

19世紀の細菌学は、微生物を天敵のように駆除することに務めてきた。
抗生物質の発見は、大切な命を沢山救ってきたのだが、近年ではその弊害も強調されている。
ヒトの誕生から3年以内に形成される常在菌の世界は、身体の部位によって異なる細菌の棲み処として発展するという。

例えば、肘の湾曲部とつま先、口腔や大腸、もちろん皮膚にも異なる種類の常在菌がそれぞれに叢をなしているわけだ。
こうしたヒトの常在菌の生態系が、今、まるで崩れゆく地球環境の生態系に呼応するかのように課題を突き付けている。

驚いたことに、ヒトの70~90%はヒトに由来しない細胞なのだそうだ。
それは地球上の微生物の無作為集合体なのだという。
ヒトと共に進化してきた集合体として存在し、「第三の免疫」として機能していることも知った。

この長い歴史を共に生きてきた常在菌の生態系が崩れると、昨今話題の食物アレルギー、潰瘍性大腸炎、自閉症、肥満、喘息など疾患や健康問題と無縁ではいられないようだ。

福田准教授も、こうした研究の一端を担っているのだろう。
身近な研究施設から発信している研究報告だけに更に興味深く、この本から常在菌の働きを学んでいる。
是非、読んでおきたい本である。
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by m_chiro | 2015-12-22 23:07 | Books | Trackback | Comments(0)
「関節のメッセージを聴け!」を読んで、バラルの身体観・治療観に触れる
c0113928_1026716.jpg科学新聞社発刊のJ.P.・バラルD.O.の新刊本「関節のメッセージを聴け」を読んだ。

バラルの本が面白くないはずはないし、期待を裏切るはずもない。

今回の新刊本は一般人の読者を意識して書かれたようだが、治療家にこそ読んでほしいと思う。

バラルの治療観がとても分かりやすく語られていて、多くの示唆に富んだ内容になっている。
前作「体からのシグナル」に続く、姉妹編のような位置にある本だ。

オステオパシーの概念には、独自の用語や生命観・身体観があり、馴染のない者にとっては難解なところがあるかもしれない。

難しい専門書に向き合うとき、私は二段階の読書法をすることがある。
まずは平易に書かれた本に学ぶ。
そこで考え方や理論を概略理解した上で、専門書に取り組む。
あるいは専門書から逆に反芻しながら全体を理解するように読み込んでみる。

だから、専門教本が多いバラルの著作の中で、こうした平易に解説した本はとても有難い存在なのである。

この本では、関節を単に運動器の一部として捉えてはいない。
関節は心身の問題と深くかかわる存在だ、とバレルは説いている。
関節障害は心身問題を抜きにしては語れないし、それは双方向性に関わっているという。

そうかと言って、すべてを心理的要因と決めつけるのは、あまりにも安易すぎる。
その罠に嵌らないように、と戒めることも忘れていない。

あらゆる関節障害を実症例から解説し、そこに想定し得る関連性を多角的視点から論じている。
人の機能のプログラムに介入する要因には、身体内外の環境因子が深くかかわっている。
こうした視点や思いがけない関連性に学ぶことは、私たちの観察の幅を広げてくれることだろう。

また経験に基づいて、それらに効果的で具体的なアドバイスやエクササイズも紹介している。これも参考になる。

この本から、「治療は、やみくもに行うものではない」という一貫した治療家の姿勢を、読者は汲み取ることだろう。

治療家の素質とは、心身からのメッセージを謙虚に受け取り、それを熟慮する姿勢にあるのだという。
まさに、患者の心身に向かって「傾聴すること」から治療が始まるのだ。
そして、人間の謎に挑み続けようとする飽くなき探求心こそが、治療家の矜持を保つ志だと教えられた。

翻訳文も洗練されていて、訳書にありがちな読みにくさを感じることもなかった。
おかげで、バレルの治療哲学にすんなりと入り込むことができた。
これも読み手にとっては有難いことだった。
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by m_chiro | 2015-09-24 10:34 | Books | Trackback | Comments(0)
ピロリ菌のメッセージを聴け!
胃の中は塩酸よりも強酸状態である。
そんな環境の中で菌類は生息できない、と誰もが信じて疑わなかった。
ところがピロリ菌なるものが発見された。1979年のことである。
ピロリ菌を発見し、胃潰瘍や胃がんとの因果関係を証明したロビン・ワレン博士とビリー・マーシャル博士が、その功績によりノーベル賞を受賞したのだった。
ピロリ菌と胃がんとの因果関係の証明に貢献した、もう一人の功労者であるマーチン・ブレイザー博士が、最近本を出版したという。“Missing Microbes”(失われた細菌)という本である。
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翻訳本が間もなく刊行されるらしいが、それに先立ちニュースになっていた。

その話題の内容に驚いた。
ピロリ菌を除外すると、胃がんのリスクは減るが、逆に食道がんのリスクが高くなる、というのである。
今や、WHOも「ピロリ菌を第一級発がん微生物」としている(1944)のである。
もはや定説になっているピロリ菌を、病原菌ではなく共生菌としての働きを説いている。

ブレイザー博士自身が、ピロリ菌を除菌する手法確立のために自分自身を実験台にしたのだったが、その後は逆流性食道炎に悩ませることになった、という体験に基づいて警告を発しているのだという。

「ピロリ菌は病原菌ではなく共生菌(1) ピロリ菌を除菌すると食道がんに」

ピロリ菌が起こすマイルドな胃痛は、私達の免疫細胞に、胃の状態が芳しくないことを伝えるメッセージだったんです。免疫細胞は、ピロリ菌からのメッセージを受け取ることで、胃液の量を増やしたり、減らしたりして、塩酸よりも強い胃液が胃粘膜をやぶり胃壁を傷つけることを防止しているのです。

ピロリ菌が起こすマイルドな胃痛が起きた時に、私達がすべきことは、ストレスを解消し、暴飲暴食などの不摂生を止めることです。胃薬を飲んで痛みを無理矢理に抑えてしまうことではないんです。


その内容を、次のように図にまとめてみた。
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by m_chiro | 2015-06-19 18:30 | Books | Trackback | Comments(0)
職人気質には共感するところが多いなぁ~!
著者(ポール・アダム)の2作目「ヴァイオリン職人と天才音楽家の秘密」を先に読んだ(「寒い冬の夜は極上のミステリーでも読んで…..」)。

とても面白かったので、第1作目の「ヴァイオリン職人の探求と推理」を求め、これも一気に読み上げた。
この2作品は、久しぶりに夢中になったミステリー小説である。
c0113928_11431069.jpg2作目ではパガニーニとその愛用のヴァイオリン「大砲」が伏線になっていたが、第一作目ではストラディヴァリと幻のヴァイオリン「メシアの姉妹」が伏線になっている。

殺人事件の推理をしていくうちに、その2本の姉妹のヴァイオリンの秘密が明らかになるという展開である。

文中には著者の音楽や音楽家への敬意と愛情にあふれ、ヴァイオリンにからんでの歴史や楽器職人たちの生きざま、人生観が語られている。
私には読み応えのある小説だった。

物語の主人公・ジャンニは、還暦を過ぎた63歳のイタリアのヴァイオリン職人である。

親友の同業の職人が殺された。
殺されなければならない理由は、どこにも思い当たらなかった。
ところがこの友人、密かにストラディヴァリの幻のヴァイオリン「メシアの姉妹」を探していたことが判明する。
一千万ドル以上の価値ある名器らしい。
物語がストラディヴァリや名器の薀蓄、贋作、職人気質、ヴァイオリンの歴史的背景、著者の音楽への愛情、コレクターやディーラーたちの暗躍なども織り込んで推理が進んでいく。
音楽フアンには堪えられない極上のミステリーだ。

ヴァイオリンにかけた職人たちの気質や生きざまには、共感を覚えながら読んだ。
ストラディヴァリのヴァイオリンには、数億円から十数億円の価値がつくらしい。
ストラディヴァリは14歳の頃にニコロ・アマティの徒弟となった。
それから93歳までヴァイオリンを作り続けたとされるから、「ほぼ80年間におよぶ修行」である。

現在、どんな職業であれ、誰がそんな誇りを持てる? 彼は仕事をおぼえ、来る日も来る日もそれに真剣に取り組んだ。四、五週間の休暇をとってドロミテへスキーに行ったり、トスカーナの海岸で日光浴をすることもなかった。週に六日働き、昼食には作業台の横でひと切れのパンとチーズを食べて、晩まで仕事をした。ヴァイオリン作りは彼の一生の仕事だっただけはない、人生そのものだったのだ。
 それにひきかえ、いまの若い弦楽器職人はどこかの大学でせいぜい三、四年のコースをとるだけだ。彼らは学位を、印象の押された一枚の紙きれを持って世の中へ出てきて、自分はヴァイオリン作りを知っているつもりでいる。それどころか、世間がそれを買ってくれると思っている。彼らは夢の世界に生きているのだ。


著者がジャンニに語らせた言葉である。
耳が痛いくらいだ。
本物の職人の生き方に思いを馳せると、そこには誇りを持って究極のヴァイオリン作りに精魂を傾け続けた職人の凛とした佇まいが浮かんでくる。
治療も日々修行だ、と思わずにいられない。

ストラディヴァリのヴァイオリンに、当初から法外な価値がついていたわけではない。
手作りの楽器も機械的に大量生産する時代に飲み込まれていく。
綺麗で安いヴァイオリンが手に入るようになると、手作りのヴァイオリンは富裕層の音楽家や価値を知る者だけが所有するようになる。
多くは大量生産の楽器が主流になり、手作りの楽器は中古ヴァイオリンとして叩き売りされたのだ。

時代が移り変わり、名器とされる手作りヴァイオリンに高値がついて、数億もするヴァイオリンとして取引されるようになる。
市場価格が高騰すると、コレクターやディーラーたちが暗躍する。
歴史のついた特別なものをほしがる人たちが、更に価値を高める。
贋作もずいぶんと造られた。

そこには単に楽器を買うのではなく、名前を買っているのだと著者は書く。

夢を、偉大なるものとのつながりを買っているんだよ。わたしはそれを聖杯症候群だと思っている。…….(略)….、有名人の記念品に馬鹿馬鹿しいほどの金を払う現代の人々のように。ほら、エルヴイス・プレスリーが一度だけコーラを飲んだというカップや、マリリン・モンローの子ども時代のテディベア、ジョン・レノンの足の親指から切った爪、そんなもんだよ。いったいそれで何をしようと言うんだ? それは人々が、彼らを有名にした魔法の片鱗がそこからすれ落ちることを願っているからだろう?


この物語の最終章で、ヴァイオリン職人の主人公・ジャンニが「メシアの姉妹」にたどりつく。
「メシアの姉妹」を手にして触れ、その造作に感嘆し、メシアの楽器を奏でたとき、魂がふるえるほどの戦慄が走ったのだった。

自分の作品との差は歴然としていた。
本物の価値は、本物を知る人だけが知るのだろう。
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by m_chiro | 2015-02-27 11:58 | Books | Trackback | Comments(0)
寒い冬の夜は極上のミステリーでも読んで…..。
c0113928_10481668.jpg先日、セミナーに出向いた旅先で「ヴァイオリン職人と天才音楽家の秘密」という推理小説を空港で見つけた。

この小説が、前の記事「パガニーニ 愛と狂気のバイオリニスト」の映画の内容や背景を補ってくれた。

パガニーニに関することが伏線になっている新作の推理小説だった。
とても面白くて一気に読んだ。

パガニーニの愛用のバイオリンは「大砲」という呼ばれた銘品。
その製作者グァルネリのことや、パガニーニの人物像も盛り込みながら、現代のバイオリン職人の見事な推理が展開していく極上のミステリーである。

この推理小説の方が、映画よりもずっと楽しめた。
小説の中で、とても心に響いた言葉を紹介しておきたい。

主人公のバイオリン職人に、パガニーニの「大砲」が持ち込まれ、修理を依頼された。

その「大砲」を手にし触れた時と、そして事件が解決したときにパガニーニの手書きの楽譜「セレナータ アパッショナータ」を手にした時、
そこにパガニーニの存在を「ぞわぞわするうづき」と共に感じた、と著者は書いていた。

「物体が元の持ち主の名残りをとどめていることを強く感じる」のだそうだ。
そして後に続けて、次のように書いている。

そうしたものは見ることも、聞くことも、においをかぐこともできない。
聴覚や視覚は文明化されすぎ、発達しすぎてしまった。
われわれは、いちばん根っこのレベルでは、見たり聞いたりにおいをかいだりする生き物ではない。
感じる生き物なのだ。


あまりにも面白しろかったので、シリーズの第一作目も買ってしまった。
第一作目はストラデイバリに関する話題が伏線である。

寒い冬の夜は、極上のミステリーでも読みながら、春を待つことにしよう!
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by m_chiro | 2015-02-13 11:00 | Books | Trackback | Comments(0)
「脳報酬連鎖反応」の学び
近年、Dr.ホルダーに学んでいる。

ホルダー博士は、カイロプラクティック・ドクターでもあり医師で、以下は主な経歴である。

Dr.Jay Holder,DC.MD.PhD.
アルベルトシュバイツァー賞受賞
ホルダー研究所/エキソダス中毒症更生施設 所長
アメリカン・カレッジ・オブ・アディクショノロジー共同責任者
依存症関連の研究論文学術誌に多数掲載


Dr.ホルダーは7月に来日して、東京、福岡、大阪の各地で講演、セミナーを行う。
今回の講演は、「一般社団法人・日本アディクションプロフェッショナル認定協会」が主催である。

Dr.ホルダーは「マイアミバイス」を立ち上げた人でもある。
TVや映画でも「マイアミバイス」はよく知られているが、ホルダーは麻薬の蔓延は取り締まることで撲滅できるものだと考えたらしい。
ところが、実態は「依存症」という病気だと気付いたという。
そこから依存症に対する治療と更生施設を開いた。

依存症は脳内回路にある「報酬系」を誤作動させて過剰な快楽を与えられた病気だと見做して、現在は治療と更生のために奮闘している。
今回の来日を機に、「IC&RC」(世界最大の依存症プロフェッショナルの認定組織)が、日本でのカウンセラー養成を目的とした趣旨と依存症の世界的実態を講演する。
残念ながら、私はすでに予定が入っており出席できそうにない。

6月はじめに佐渡に行った帰り、車内で読む本を探して2冊の新書本を買った。
その中の一冊が「脳内麻薬」(中野信子著、幻冬新書)である。

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さっそく読んだ。
著者は新進気鋭の脳科学者、その上、フランス原子力庁サクレー研究所・研究員として勤務した経歴を持つ美人の学者だ。

依存症は、薬物依存にとどまらない。
たばこ、ギャンブル、セックス、アルコール、オンラインゲームなどなど。
脳内報酬系の誤作動がもたらしている実態から、依存症のメカニズムまで分かりやすく語られている。
それにしても「依存症」がこれほどまでに世界的に蔓延し、重要課題になっているとは…。
本書を読んで再認識させられた。
依存症への罠は、どこにでもある。
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by m_chiro | 2014-06-18 19:10 | Books | Trackback | Comments(2)
「同期する世界」
佐渡からの帰路(6.2)は、新潟から特急電車に乗って酒田まで2時間ちょっとである。
退屈な時間なので、新潟駅構内の書店で読む本を探した。

すぐに目についたのが新書版の2冊。
ひとつは「同期する世界」(京大名誉教授・蔵本由紀著、2014.5.21刊)。
新刊本である。

佐渡でsansetu先生から技術指南をいただいた時に、私が関心を持っている「振動」との共通項に気がついた。
それで、「同期する世界」の本が目についたのかもしれない。

著者は物理学者で、しかも非線形科学の世界的権威のようだ。
数学を使わないで解説している本なので、門外漢には何よりもありがたい。
この本は自然の不思議現象を解説しているだけではなく、生命現象にかかわる同期現象についても1章を設けて説いている。
たとえば、心拍と血流の集団リズムにかかわる同期現象、体内時計や解糖反応、解糖する酵母細胞の集団同期、神経膜における振動と興奮現象、インスリン分泌のリズム、パーキンソン病にみる集団同期など。
解糖反応から遺伝子発現のリズムまでを取り上げて、そこにかかわる同期現象を解説していている。とても興味深い。
生命のリズムは本当に不思議な現象であるが、それらがとても興味深く書かれている。

簡単な同期現象の実験がYou-Tubeに投稿されていたので掲載しておいた。
「長さの違う振り子による同期」と「メトロローム同期」の2つの動画である。
あらためて見ると、とても美しいリズムである。
この不思議現象を楽しんでほしい!




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by m_chiro | 2014-06-07 01:07 | Books | Trackback | Comments(0)
機能的問題は複合する①
「九州カイロプラクティック同友会」の忘年会(12.7~8)は、例年のごとく「景品くじ」がある。
今年も、私が一番の目玉を当てた。
科学新聞社が出品した新刊本「新マニピュレーションアプローチ[上肢]」[科学新聞社刊)である。

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この本は定価15,000円という高額の本なので、欲しいと思いながらも実際手に取って内容を見てから購入しようと考えていた本なのだ。

著者は2名のオステオパスによる共著で、そのひとりはジャンピエール・バラルD.O.、「TIME」(1997)で代替医療界のトップ100人の一人にとりあげた人である。もうひとりはアラン・クロワビエD.O.で、バラルD.O.の片腕と称される人である。

この共著者が序文に書いていた。オステオパシーの優れているところ、「それは常に痛みの原因を追究」するところだが、症状だけに捉われてはいない。

関節の治療には、関節周囲組織のあらゆる要素に対する治療を考慮するが、それだけでもない。
「内臓とのつながり」も重要で、その上に関節の遊びには「心理―感情―行動」が関わっている、と強調している。

関節周囲組織は関節包、滑液胞、軟骨、関節唇、靭帯、筋肉、脈管系、神経系、筋膜、皮膚と、これらすべてを個々に網羅して感情問題や内臓との関連など、多岐にわたる技法を紹介している。

要するに、身体機能障害に関わる原因は単独というより複合的である、ということだ。
慢性化すれば尚のこと複合した病態として現れる。

有難い教材を手に入れた。じっくり読みたい。
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by m_chiro | 2013-12-12 18:21 | Books | Trackback | Comments(0)
「ランドセル俳人の五・七・五」、待合室に置いた一冊の本
本屋さんの店頭で、目にとまった本、「ランドセル俳人の五・七・五」

c0113928_1851427.jpg著者は小学生の小林凛(俳号)君。とても小学生の句作とは思えぬ感性で綴られていて、とても感動した。

彼は1㎏足らずの超未熟児で、この世に生を受けた。
「保育器の中でサランラップを巻かれて全身に管を何本もつけた、今にも消え入りそうな小さな命」は、三日間が生死の分かれ目という過酷な時間を生き抜いて、小学生に成長したのだが…..。

楽しいはずだった小学校は、いじめ地獄だった。現在、12歳。

いじめは1年生の時から始まった。
そこで、家族が選択した処世は「不登校」。

不登校の日々に、句作を楽しみにして300句を超えた。
その俳句が朝日俳壇に何度も入選したことから、凛君のことも世に知られるようになる。
そして、凛君の情感豊かな俳句と絵とエッセイを一冊にした「ランドセル俳人の五・七・五」になった。

本の冒頭に「今日も張り切って不登校―そして凛の俳句は生まれた」と題する母親の手記があり、その文章からも凛君が受けた小学校の信じられないような実態も知った。
幼い子どもの尊厳が踏みにじられながらも怯まぬ不登校で、誰に教わったわけでもない俳句詠みに明け暮れた記録である。
凛君の感性や目線を通して、そのどれもが心に響いてくる。

「冬ざれや 小石を溝に 蹴飛ばして」
「今、僕は、俳句があるから、いじめと闘えてる」という一文が、読者には心強かった。

「いじめられ 行きたし行けぬ 春の雨」
この句は本の表紙にも副題のように添えられている。

凛君のお気に入りは、次の一句だそうだ。
「紅葉で 神が染めたる 天地かな」

次の句は、不肖わたくしのお気に入り。
「抜け殻や 声なき蝉の 贈りもの」
昆虫や自然を豊かな感性で詠んだ俳句の数々の中で、蝉の抜け殻に向けた純真な心を感じる句だった。

多くの人に読んでほしい。
素直な心、豊かな感性に触れることができる。
多くの人の目に触れてほしいと思い、待合室に置いた。

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by m_chiro | 2013-10-31 18:17 | Books | Trackback | Comments(0)



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