カテゴリ:わん・にゃん物語( 39 )
呆れた食い意地!
c0113928_2154526.jpg群馬県の伊香保で捨てられた幼犬が、保健所行きを免れて我が家に来てから9年になった。

確かな素性は分からないが、おそらくMix犬だろう。
それでも大部分は甲斐犬の血に違いない。風貌や虎毛の模様などからそう思う。
ふとみると、パーフェクトな甲斐犬のようにも見える。

散歩で犬に詳しい人と出会うと、「甲斐犬ですね」とよく声をかけられたりもする。
ある時などは、自動車の走行中に見かけたらしい人が、わざわざ車を止めて寄って来て声をかけてくれた。
一見するに甲斐犬なのだろうが、本当の血筋は分からない。
それでも、我が家の桐子は甲斐犬の外見的特徴だけでなく、賢さと忠実さも持ち合わせているように思う。
何しろ、甲斐犬は天然記念物指定の犬なのである。

そんな忠犬が一変した。
やんちゃ娘の「空」が来て、随分と感化されたようだ。
空は留守番をさせると、ごみ箱をひっくり返してゴミを散らかすのは朝飯前。
ティシュペーパーの箱を引き破っては、部屋中にティッシュを散乱させていたことも一度や二度ではない。あの頃の空のやんちゃぶりには、本当に閉口した。
その空が今ではとてもお利口なお姉さんになり、かつての「やんちゃぶり」はすっかり影をひそめてしまった。

一方、桐子が代わって持前の知恵を働かし、留守中に物色するようになった。
桐子の関心は、ほとんど食べ物だけである。無駄な荒らしは決してしない。
どこに何をしまってあるか、人のやることなすことジッと見ている。
大好物のパンを戸棚に入れて置こうものなら、留守中に戸棚をあけて失敬するのはお手のものである。
煮物の鍋も、背の届くところには置いておけない。
怒られても、怒られても、摂食行動にはブレーキが利かないようだ。
だから、うっかりできない。
この頃は、家人も防御に余念がない。

ところがである。この間は買い物に出かけて帰宅したら、ちょっと様子が変である。
帰宅すると待ちわびたように寄ってくるのに、空だけがお出迎え。
しかも何やらブツクサと訴えている。まるで桐子の所業をタレこんでいるように、まくしたてる。
桐子の姿はない。いやな予感である。

台所に入ると、缶詰の空き缶が転がっていた。
空き缶など、どこから引っ張り出してきたのだろう? と思いながら桐子を探したら、テーブルの下で恐縮している。

空き缶を取って見ると、なんと今夜の酒の肴にしようと用意していた「サバの味噌煮缶」である。テーブルの上に置いておいたものだが、俄かに事情が呑み込めない。
酒の肴が空になって床に転がっていたのだ。
空き缶に歯形がついているところをみると、缶を開けて完食したようである。
まさか、缶詰まで開けるとは思いもしなかった。呆れた所業だである。
それにしても見事に開けたものだ。缶詰を開ける犬など聞いたことがない。
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申し訳なさそうな顔で恐縮しているのは、ポーズだけかも???
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怒られたらしょうがない、とも見て取れる。
やれやれ、桐子の食い意地と執念には、ただただ呆れ果ててしまった。
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by m_chiro | 2009-10-19 21:26 | わん・にゃん物語 | Trackback | Comments(4)
空のある日の一日
毎日、毎日、雨ばかりで、大好きな散歩も十分に楽しめません。
だから、桐子も空も、いつも寝てばかりいます。


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くっついてたら、暑いんよ!

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お父さんの膝枕もいいけど、
でも、やっぱり、くっついていたら暑いんよ!


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お父さんの健康枕で寝てみたら、これがなかなかいい案配。
いい夢見れるんよ!


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私って、結構美人なんやけど...、
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でも、歯並びは悪いんよ!
神様は二物を与えないってことなんよ。

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by m_chiro | 2009-07-29 23:36 | わん・にゃん物語 | Trackback | Comments(5)
空の近況:mikiさんのお母さんへ
久し振りに、「空(くう)」の一時預かりのmikiさんとお母さんに、電話でお話することがありました。
空の話題で楽しい話が出来ました。

Mikiさんは、 「ちばわん」 で、犬猫救済ボランティア活動をしながら、「一時預かり」で里親さんを探しています。
我が家の「空」は、そのmikiお姉さん宅から来ました。
空はとてもおてんば娘で、家人を散々困らせたようです。
その時の様子をmikiさんがブログに書いています。

03.1.20の「サークルごと...」という記事です。
悪ぶりが伺われそうな記事と空の顔写真、女の子なのに相当のやんちゃぶりです。
困らせた分だけ家人の思いも強いようで、mikiさんのお母さんは「空に会いたい」と、いつも言っているとか。

そのお母さん、私のブログに空が登場するのを楽しみにしているらしい。
でも、電話で言われました。
「むずかし系はチョット...」、他の記事は敬遠されているみたいです。
ここは御期待に応えて、空の近況を写真でお母さんのためにお届けします。

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冬場はストーブの前から離れないくせに、外に出ると雪の中を走り回ります。








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ドッグランのある公園には桜があり、花見に出かけたときに撮ったものです。









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日差しが眩しいけど、気持ちいいなぁ~。
東北の遅い春にドッグランで沢山の日光を浴びました。
空、大満足です。











c0113928_1930761.jpgでも、花より匂いが大事のようです。




















c0113928_19312267.jpg私が遅くまで用事をしていても、空は私が床に着くまでこうして側に付いています。
家内は既に寝ているというのに、婦人の鑑のような空です。
この頃は、お転婆ぶりがすっかり影をひそめて、一番のおりこうさんになりました。
歳をとったのかなぁ~?



mikiさんのお母さん、満足いただけだかなぁ~...。
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by m_chiro | 2009-06-25 19:39 | わん・にゃん物語 | Trackback | Comments(13)
第6回・わんわん大運動会
毎年恒例の「わんわん大運動会」が、最上川の河川敷で行われました。
愛犬家が集まって、犬と飼い主が一緒に遊ぶ運動会をやろうよ、と言う幹事さんの呼びかけで、6年前に第1回目がスタートしたときは、地元のTV局も取材に来て賑々しく始まった運動会でした。

種目は、「だるまさんが転んだ」、「早食い競争」、「しゃもじリレー」など障害物競走ばかりです。
早食い競争は飼い主がソーダの一気飲み、ワンコは餌の早食いがセットになっています。
犬が食べないときは飼い主が代わりに食べてもいい、というルールですが、さすがにそこまでやる飼い主さんは誰もおりません。
犬の運動会というよりは、飼い主が犬と一緒に遊ぶひとときです。
入賞者には景品も出ます。もちろん犬の食べ物ですが...。

第1回目のとき、ほとんどのワンちゃんたちが純血種でしたが、私の空(くう)と桐子だけがMix犬で、その上に捨て犬でした。
そのときはTV局の取材もいわくのある犬に興味をもったらしく、インタビューやら映像にも撮られ、あげく「特別賞」までいただいちゃいました。

その運動会が愛犬家たちの間に広まり、毎年参加するワンちゃんたちも増えて、今年は45匹が運動会に参加しました。犬のサイズ別に分けられて、飼い主さんとのタッグマッチが行われるわけです。
見物犬も外野席のテントで応援でした。
今年、私は用事があって、フルタイムの出場が出来なかったので、私の空と桐子は応援に回りました。
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               応援席の空と桐子です。

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障害物競走の参加犬と飼い主のペアマッチ
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by m_chiro | 2009-06-15 00:18 | わん・にゃん物語 | Trackback | Comments(4)
我が愛しの犬たち② 再び、「バル(1989~2001)」のこと
ハスキー犬は、漫画「動物のお医者さん」で一躍人気犬種になったが、その人気もアッという間に下火になった。ほとんどの人が、「バカ犬」と言って蔑んだが、私は一緒に暮らすごとにとっても好きになった。
ほんとに愛すべき性格の犬だった。

いつもブログでお世話になっているsyarurukさんの妹さんが、犬の訓練士をしていたという。syarurukさんの愛犬「ホナ」ちゃんは、実は、その妹さんが育てた「わんちゃん」なのだそうだ。
ホナちゃんは、もう老犬だがとても可愛い表情やしぐさである。癒し系なのだ。
ホナちゃんが、syarurukさんとこのわんちゃんになったのには訳がある。
妹さんが、自分の闘病生活を優先せざるを得なくなったのだ。
最近、「ぐちゃ」さんという名で「ホナいこか」というブログを開設した。
その「ぐちゃさん」が、ハシキー犬が大好きだ、とsyarurukさんから聞いて、うれしくなった。
ぐちゃさんのところへコメントしたら、ぐちゃさんが訓練士時代に撮ったハスキー犬との写真をブログに載せてくれた。
それを見て、またうれしくなった。
ぐちゃさん、ホントに逞しくカッコイイ!!
写真のハスキーはまだ若い犬だが、このハスキー犬もらしくて素敵だ!

写真を見ながら、バルとの生活がとても懐かしく思い出されて感激だった。
ハスキー犬は誇り高く、気はやさしくて力持ちで、雪景色がよく似合う。
雪が降ると散歩の速度が一段と早くなる。ウキウキして小走りになる。
同行する私は、滑って転ばないようにと必死だ。でも、そんなことはお構いなし。
早く野原の雪原に行って、雪の中を思い切り駆け回りたい。ただそれだけしか頭にない。
吹雪の日でも、野原へ引っ張られて行ったものだ。
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ホントに雪景色が似合う犬だった。
雪の雪原を悠然と見回してから、狙いを定めて一気に駆け出すのだ。
ひとしきり駆け回って、戻ってくる。
除雪作業では、スノーダンプを引っ張って手伝ってくれた。
優れた労働犬でもあった。
夏の暑い日には、少しでも涼しいところを探してはだらしなく寝転がっていた。
クーラーが入ると、その下でやはりだらしなく寝転がった。

そのバルが、7歳の頃に、初めて病気になった。
1997年に、この時のことを業界会報のコラムの原稿にした。
「二種類の専門家」とタイトルをつけたが、このときに迫られた選択は今でも私の重いテーマになっている。

「二種類の専門家」はこちら
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by m_chiro | 2009-04-06 23:27 | わん・にゃん物語 | Trackback(1) | Comments(6)
我が愛しの犬たち① 初代わんこ・「バル(1989~2001)」の思い出から
私が長年の腰痛で苦しんでいた頃に、友人の獣医師から「それは運動不足だ!」と断言されたことがあった。
運動も含めて自分の健康管理をしっかりしなければ他人の治療などできない、と叱責されたのである。
そして彼は、お節介にも「強制運動用」と称して、犬を連れてきた。
それがハスキー犬だった。まだ子犬だったが、それでも大きな犬だった。

私は、確かに犬を飼うことに憧れていて、それは学生時代に読んだ一冊の本の影響だった。
書名や著者などはすっかり忘れてしまったが、その本の中に男子の生涯で「豊かな人生を送るために欠かせないものが3つある」、といったようなことが書かれていた。

一つは「よき伴侶」を持つこと。2つめは、無人島で暮らすハメになった時でさえも、これだけは持って行きたいと思うような「座右の書」を必ず一冊は持つこと。3つめは「犬を飼う」こと。出来れば大型犬がいい、と説かれていた。

犬は、君がどんな逆境に立たされようとも、どんなに辛い時だろうとも、決して君を裏切らない。生涯の本当のよき友となるだろう。犬を友として暮らすことは、男子の人生における不可欠の要素のひとつなのだ。そんなことが書かれていた。
なるほどと思いながら、いつか犬を飼いたいと思ってはいたのだが、それがこんな形で実現したのだった。

こうして私の憧れの犬は、他人から半ば強制的に「強制運動用」にと連れてこられたのである。私がその犬に何がしかの思いを膨らませて選んだわけではない。「強制運動用」なので、確かに運動量は豊富な犬種ではある。
腰が痛い、痛い、と言いながら、次第に動くことを恐れていた私に、突如やってきた犬という鞭だった。
思えば、私が腰痛というアリ地獄から抜け出せたのは、散歩というこの強制運動のおかげが皆無とはいえないように思う。バルと過ごした13年ほどは、とても至福の時でもあった。
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              愛しのバルドー      

1995年の日記に、バルへの思いを次のように書いている。

その日記はこちら
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by m_chiro | 2009-04-03 21:22 | わん・にゃん物語 | Trackback | Comments(8)
愛犬、雪の原を駆ける
先週は大寒波の襲来で、この冬一番の寒さ。
道路はアイスバンで、地吹雪が吹き荒れました。
ツルツルの道路ですから、歩くにも技術が必要です。
車で15分位で来れる距離も、1時間以上もかかるほどノロノロ運転でした。

今年はじめての本格的な積雪で、私も今年はじめて駐車場の除雪作業に精を出しました。
除雪車も出動し道路の雪を家の前に置いて行くので、その処理がまた大変なんです。
山間部では、この寒波で屋根の雪下ろしをした人が、この一日で2人が屋根から落ちて亡くなるという事故がありました。

ここ2~3日ほどは寒波も弛み、もう道路の雪は消えてしまいましたが、田畑は真っ白です。

やっと晴れ間も出てきたので、愛犬(桐子と空)を連れて行って、雪の原を思い切り走らせました。
犬たちは雪が大好き。二匹で追いかけっこをしたり、じゃれあったりで活発です。

が、私は見てるだけ。

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空が先頭をきり、桐子が追いかけるパターンでいつも遊びます。

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深みにはまって、桐子はもがいていました。

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桐子はお姉さんで、よく空の面倒をみます。見かけと違って、とても心根の優しい犬なんです。

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ひと休みです。視線の向こうにはカラスがいました。
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by m_chiro | 2009-01-20 21:48 | わん・にゃん物語 | Trackback | Comments(4)
「千葉WANオリジナルカレンダー2009」が届いた
「千葉WAN」の2009年版オリジナルカレンダーが届いた。
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このカレンダーは、捨てられたり行き場を失った犬猫の緊急救助を行い、里親探しを進めているボランテアの会「千葉わん」が制作したものです。

1年の365日に、それぞれ里親を得て元気に暮らしている犬猫たちの姿や、現在里親募集中の子たちが載っています。カレンダーの売上金は、救助された動物たちの医療費や食餌の一部に使われます。
中に、次の一文を添えた手紙がが入っていました。

カレンダーを見る度に、千葉WANのようなボランテイア活動や、保護されて家族の温かさを知ることが出来たわんにゃんの尊い命について、また、今も助けを必要としている多くのかわいそうな仲間のことを思い出していただけたら幸です。

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我が家の愛犬「空;くう」は、この千葉WANからきた犬です。
千葉市の「セブンイレブン」をうろついていた2匹が捕獲され、「セブン1号」と「セブン2号」と命名されて緊急救助されました。
そのうちの2号をボランティアの一人mikiさんが、里親探しのために預かりました。彼女がセブン2号に「空;くう」と名づけて、里親探しの自身のブログに「うちの子日記」(http://mikitrm.exblog.jp/)に公開しました。
空は、2003年の2月8日に我が家に来ました。
というわけで、2月8日に下の写真が出ています。カレンダーには、「まだなの? 早く食べたいよ!! 2003年2月8日卒業 山形県酒田市」と添え書きがあります。
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mikiさんの熱意には本当に感心します。里親探しで預かりしたわんちゃんですが、病気があったり、老犬で里親に恵まれなかった子たちを自分の家族として引き取ってもいるのです。

我が家のもう一匹は、「桐子;きりこ」です。群馬県の伊香保で捕獲され保健所に連れて行かれるのをアパートの若夫婦が飼い主を探すからと引き取って、里親探しのサイトで募集した犬です。このブログのタイトル・ヘッドにある顔が桐子です。
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「外でなんかあったんかいな? どれどれ」

私の大好きなブログの一つである「座敷わらしのひとりごと」のsyarurukさんも、この頃は猫ちゃんの里親探しに奮闘中のようです。
Syarurukさんはご自身の病状や弱さをブログにさらけだしながら、それでも逞しく頑張っています。starurukさんのブログを読むと、なぜかホッとさせられます。凹んでいるときなど、分けもなく元気にさせられます。お人柄なのでしょうか。子猫たちの里親探しにも一生懸命です。

syarurukさんの子猫たちや、カレンダーのひとコマひとコマにある犬猫たちのくったくのない表情を見ながら、小さないのちを大切に思う気持ちを考えさせられました。
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by m_chiro | 2008-11-27 00:47 | わん・にゃん物語 | Trackback | Comments(7)
警告系では脳幹に注目したい
生体は内外の環境の変化や異常に対応して、生存してきた。
そのためには環境の異常に対して適切な反応を起こし、行動をとらなければならない。
この時々の異常や変化によってもたらされた情報を、脳は警告として受け取る。
そして、脳は変化に適切に対処するために指令を出す。
このシステムが生命保持に役立っている。

ところが、異常シグナルは身体的症状を伴って、不快や不安、恐怖などの情動反応に転換される。
すると脳は危機から回避するように指令を出す。
こうして生体の恒常性(ホメオスターシス)が維持されている。

脳の警告系は、生体維持における重要なシステムと言える。
この警告系の重要性は、医科学における共通の認識である。
それにしても警告系は、あまりにも複雑である。
その複雑さ故に、いまだ未解決ともされているのだ。

生体の警告系については、1985年と87年に「脳の生体警告系シンポジウム」が開催されている。
それによると、生体の警告系における今日的研究課題は、次の6項目に集約されている。

1.異常環境を感知する種々の生体センサー
2.生体センサーに作用する内在物質
3.警告信号の神経性および体液性の伝達機構
4.警告信号の脳における受容部位
5.脳での信号処理機構
6.脳による神経性および体液性調節系を介する回避機構

警告系の研究課題を展望すると、その中心的テーマは痛みである。
つまり警告系の神経路と制御メカニズム、そこにかかわる基礎的な内因性物質が研究対象である。
警告系のメカニズムでは、脳における受容部位とその信号処理機構に関する研究である。その受容部位についてはここに興味深い論文がある。
第一回・「脳の生体警告系シンポジウム(1985年10月)」で発表された山田仁三教授の論題「痛みの上行路」である。「まとめ」のところに、次の一文がある。

ヒトの触覚、視覚および聴覚などは、大脳皮質にそれぞれ一次中枢を持っているが、痛覚にはそれがない。したがって、痛みは触覚、視覚および聴覚のような純粋な知覚系に属するものではなく、種々の知覚現象を痛いと解釈することから始まるようにみえる。換言すれば、種々の情報を種々の領域で受ける大脳皮質が、いま個体に“のっぴきならない状態が生じている”と解釈することにある。このように考えると種々の条件で、すなわち年齢、性、民族、文明、知能、精神状態および薬物などによって、種々に修飾されている現実をよく理解できる。

この論文の中で、山田教授は脳幹領域に注目している。
脳幹領域には上行路が終止し、そこから間脳を経て対応するそれぞれの大脳皮質に投射される。こうした活動の変化は局在的なものではなく、比較解剖学的な脳の新旧にかかわらずに広範囲に及んでいることも指摘している。
また、脳幹領域では脊髄に向けて下行線維を出し、一種の「脳幹関門」を作っている、としている。脳幹関門には、上行性および下行性線維を出す網様体内に存在する多数の「閉鎖回路」が関与している。
ここで注目したいことは「閉鎖回路」と「脳幹関門」に関する言及である。
反射的に行われる純粋の警告系の信号の授受は古い脳で行われ、大脳皮質では学習を踏まえて痛みとして修飾され解釈されるのではないだろうか。

閉鎖回路でやり取りされる情報が、誤情報に基づくようになると、神経系のプログラムの信号に異変が起こり、その信号情報が辺縁系の情動的修飾を得て皮質に投射される。身体マップには誤情報のマップがつくられる。脳幹からの情報投射のフィルターが歪んでいないか、そこに注目して行きたいと思う。
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by m_chiro | 2008-03-06 00:00 | わん・にゃん物語 | Trackback | Comments(0)



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