カテゴリ:痛み考( 140 )
急性腰痛は安静にすべきか! それとも運動療法を行うべきか?
“Bed rest: a potentially harmful treatment needing more careful evaluation."

この論文によれば、急性腰痛患者がベッドで安静にして寝ていることは有害だ、と結論づけている。
ただし、激痛で動けない場合はこの限りではない。
急性腰痛患者39例の安静臥床にしたRCT(ランダム化比較試験)で調査した結果である。

安静にして床に伏していても急性腰痛の改善が認められた研究はひとつも存在しないそうだである。
ということは、急性腰痛患者が安静に寝ているのは、有害で危険な行為という他ない。
効果のない有害な対応は止めるべきである。
「安静第一」は、激痛で動けないケースを除き迷信という他ないようだ。

また次の論文は、急性腰痛に対する運動療法は無効だとしている。
“A randomized trial of exercise therapy in patients with acute low back pain. Efficacy on sickness absence.”

急性腰痛患者363名を対象にした治療を3群に分けて、比較調査を行った結論である。
1つは標準的治療群、2つめは運動療法群、3つめはシャム(疑似治療)群に振り分けて、1年間追跡調査した。
RCT(ランダム化比較試験)によると、腰痛による欠勤率は運動療法群が最も高く、シャム群(疑似治療)が最も低かった。
この調査では、急性腰痛に対する運動療法には効果がない。
よって、ぎっくり腰などの急性腰痛に運動療法は効かない、ということになる。
世界各国の腰痛診療ガイドラインも急性腰痛に運動療法は勧めていないようだ。

では、急性腰痛になったらどうすればいいか。
もし激痛で動けないようであれば、最低限の安静が必要だろう。
動けるようであっても、運動や運動療法は効果がない。
要するに、安静にしないで日常的な動きをできるだけ行うことである。

急性腰痛による痛みで活動レベルは低下する。
が、これは機能や能力の障害ではない。
だから日常的な動き、歩行など低レベルの活動を取り入れて過ごすことは低リスクなのである。

したがって「安静臥位」は、激痛で動けない限り選択しない。
かといって、運動や運動療法のような過活動を強いることは悪化するだけである。
リスクが高い。
急性腰痛患者には日常的な軽度の活動こそが望ましい、ということになる。

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by m_chiro | 2015-06-02 17:00 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
変形性関節症(OA)には、ヒアルロン酸より羊水注入【米国疼痛医学会】
変形性膝関節症に、ヒアルロン酸を注入する処方が浸透している。

当院にも、ヒアルロン酸注入処方を受けているという患者さんが少なからずみえている。
その効果のほどを聞いてみると、よくなったと答える患者さんにはあまりおめにかからない。
ヒアルロン酸注入は1990年代に認可されていて、アメリカでは膝関節に限定して認可されているようだ。
もちろん日本でも、OAの一般的な処方としてヒアルロン酸注入処方は定着してきている。
が、その効果には疑問符がつく。

特に、65歳以上のOA患者への注入は臨床的な意義はなさそうである。
それでも一回の注入で7週間、複数回注入で12週間程度の有効期間とされているから、継続しなければ効果の判定も難しいものがあるのかもしれない。

そうした現状を踏まえて、最近ではヒアルロン酸に代わる安全で有効な治療となり得る研究が紹介された。
米国疼痛学会(AAPM)・年次総会からの報告である。

”Amniotic Fluid May be Safe and Effective Alternative to Hyaluronic Acid for Osteoarthritis Pain: Interim Results”

ヒアルロン酸注入に代わる方法というのは、「羊水」注入である。
米国ではヒアルロン酸注入は膝関節に使用する場合のみ認可されているが、「羊水」注入は「滑膜関節」全般に使用できるという広い応用性もある。
そのうえ「羊水」には、関節液と類似点が多く、腫脹や炎症を抑える性質もあるようだ。

研究は加工羊水製品(Amnio Clear LCT)の有効性を検討したもの。
調査対象は、グレードⅠ~Ⅲと診断されたOA患者170名である。
このグレード分類は、おそらくKellgren-Lawrenceの5段階分類によるものだろう。
つまり、以下の分類である。

 グレード0:正常
 グレードⅠ:疑わしいわずかな骨棘
 グレードⅡ:明確な骨棘、関節列隙の狭小化の可能性
 グレードⅢ:中程度の骨棘、関節列隙の狭小化が明確、硬化像中程度、
 グレードⅣ:著明な骨棘、関節列隙の狭小化が中程度、硬化像著明、
         関節輪郭の変形明確


報告によると、羊水注入後のVASとWOMAC指標で評価しているのだが、結果は下図のような高いレベルでの平均改善率であった。
長期的な治癒効果、あるいは腫脹・炎症も多剤と比べて発症率が低かったことを報告している。更に、無作為化対照試験などの追加研究が予定されているという。

       VAS        WOMAC
30日後  68.10%    70.90%
90日後  74%       82%


変形性関節症(OA)には、ヒアルロン酸に代わって「加工羊水」の注入処方が使われる時代になるのかも…。
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by m_chiro | 2015-04-09 18:20 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
慢性腰痛への過剰診療、後戻りできるの? 
“Overtreating chronic back pain: time to back off?”(2009)より

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1996年~2005年までの間に、循環器系疾患(Circulatory Conditions)と
呼吸器系疾患(Respiratory Conditions)は、僅かながらも減少傾向にある。


ところが、筋骨格系疾患(Musculoskeletal Conditions)は右肩上がりに増加して行く一方である

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にもかかわらず、MRIは307%増(図1a)、オピオイド鎮痛剤は423%増(図1b)、硬膜外ステロイド注射は629%増(図1c)、椎間関節注射は231%増(図1c)、脊椎固定術220%増(図1d)と、積極的治療と画像診断は軒並み大幅に増加しているのだ。

要するに、こんな治療は慢性腰痛に対して利益がないことの証でもある。

費用対効果が低く、不利益な方法を選択する意味がどこにあるのだろう? 
いつまで続けたら気づくのだろう?

慢性腰痛は極めて一般的な苦るしみであり、有病率も拡大する一方である。
これまでの治療法や診断の無駄に、いつまでも付き合っているわけにはいかないのだ。

今こそ、痛みのメカニズムの基礎科学や慢性疾患モデルの理解に基づいて、慢性腰痛を適切に管理する道に歩みを進めるべきである。
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by m_chiro | 2015-03-29 23:02 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
「現象」と「潜象」の相関にかかわる仕組みがありそうだなぁ~
筋の拘縮や硬結がトリガーとなって、そこから遠く離れた部位に痛みが飛ばされる関連痛が起こる。

関連痛は、筋筋膜痛症候群(MPS)でよく知られている。

トリガーポイントに限らず、症状から遠隔の部位に原因を特定する考え方は少なくない。
それがトリガーポイントからのものであろうと、あるいはなかろうと、他覚的な兆候はほとんどないことがある。
だから遠隔の手法を用いる治療家には、それを探る技量が求められることになる。

痛み症状は「現象」に他ならないのだ。
急性の損傷でもない限り、痛み症状のある部位が原因とは限らないのである。

その現象が、トリガーポイントのように痛みの「現象」から遠く離れた部位に原因があるとき、そこを「潜象」の部位と呼んでおこう。

痛み症状に限らず身体の機能系には、「現象」と「潜象」の相関関係の存在を頻繁に体験するところである。
この相関する機能系は、どのような仕組みで成り立っているのだろう。

痛みは、刺激に対する受容器と脳を上下行する神経系の作用機序で発現する。
あるいは、その修飾作用による。
だから痛みの関連痛は、休止シナプスの活性あるいはポリモーダル受容器の相互間を繋ぐネットワークの存在から考えようと試みた。
ところが、そのような受容器を繋ぐ横の連絡網はない、と神経学者が断じていた。

それならば、受容器は筋筋膜連鎖における縦横な伸縮刺激によって活性するに違いない。
そう考えてもみたが、それでもどこかで腑に落ちない在りようを感じられもしたのである。

多くの徒手治療家やボディワーカーたちは、身体を様々な視点で捉えている。
そして、用いる刺激も多様である。

単なる皮膚タッチから、カイロプラクターの様に高速低振幅によるスラスト刺激まで幅広い。
筋・筋膜に対して直接可動させるタッチから、真逆の方向性で導く手法もある。
そうかと思うと、全く身体に触れずに痛みや身体機能を改善したりする。

言語を媒体にした精神心理の手法も、行動認知を使うプログラムも実施されている。

いったい、それらの背景にある共通する仕組みとは何だろう。
なにかしら、生き物の体や機能系をコントロールしている、もっと根源的な仕組みを思わずにいられないのだ。
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by m_chiro | 2015-03-13 14:03 | 痛み考 | Trackback | Comments(2)
「痛みを理解しよう-10分でわかる痛みの対処法 (Japanisch)」
「痛みを理解しよう-10分でわかる痛みの対処法 (Japanisch)」



「痛みへの理解:ブレインマンの選んだ快復への道すじ」


Facebookでシェアされていた動画「痛みを理解しよう」を紹介しておきます。

10分で分かりやすく痛みのことをアニメーションにしてまとめてあります。

痛みを恐れているだけでなく、誰でもが痛みのことを知っておくといいですね。

理解して、対処法を知っているだけで、こじれて慢性化することを防げることもあるはずです。

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by m_chiro | 2014-12-19 14:13 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
椎間板ヘルニアは、いつから痛みの中心的なドグマになったのか?
椎間板ヘルニアを痛みや根性痛の原因する解釈が定説となって、医療のみならず一般的にも常識的な認識になったのは何時頃からのことなのだろう。
そんな思いで過去の文献的記録を調べていると、20世紀初頭頃からのようだということが分かった。

椎間板ヘルニアを初めて文献的に記録したのは病理学者のウイルヒョーのようだ。
ウイルヒョウー(独)は著名な病理学者である。
なるほどと思うが、それはあくまでも「軟骨腫」としての病理所見の一例を自著の中で報告(1857)したものらしい。
だから症状と関連付けて報告されたものではない。

椎間板へルニアを症状と関連付けて提唱したのは、ボストンの内科医・ゴールドスゥエイト(Joel E. Goldthwait)とされている。
c0113928_2211238.jpgゴールドスゥエイトは、椎間板ヘルニアが腰痛や坐骨神経痛、そして下肢麻痺などを起こすと提唱した(1911)。
痛みと麻痺のどちらも発症するというのだが、その根拠は良く分からない。

ゴールドスゥエイトと言えば、カイロプラクターには馴染み深い。
ゴールドスゥエイト・テスト(Goldthwait’ Test)として知られる整形外科テスト法の開発者で、カイロプラクティックの検査法としても採用されることがあるからだ。
いわゆる硬膜外の障害であるか、硬膜内か、あるいは仙腸関節レベルか、椎間関節障害か、を鑑別する方法とされている。
SLRで下肢を挙上して行き、痛みが誘発される角度で鑑別する。
棘突起間に添えた指が、椎間関節の開く前か後かで障害部位を分けるとするものである。
私もよく使ったが、言われるほど確かなものとは思えない。
軟部組織が障害されていれば尚更である。

c0113928_2221924.jpgその後William Jason Mixterが、椎間板ヘルニアは変性した椎間板の突出であるとして19例の臨床病理所見を報告している。
そして髄節に応じた神経症状起こす、ということを確立したのである。






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こうして1937年ごろに硬膜外アプローチによって椎間板ヘルニアの髄核摘出手術が始まることになった。メイヨー・クリニックのJ Grafton Loveが初めとされる。
こうして椎間板ヘルニアの摘出手術は20世紀の初頭から普及していくことになる。





私の柔整学校時代、カイロプラクティック系統教育の学生時代は70年代後半~80年代であったが、椎間板ヘルニアは痛みの原因として定説だった。
この定説を反証する論文が出始めたのは1990年代に入ってからのことだったろう。
長い間、反証されることもなく椎間板ヘルニアは痛みとイコールにされてきたわけだ。

カイロプラクティックも、信念の基に治療が行われることが少なくない。
ともかく反証する精神が重要ではあるが、カイロプラクティックはそれ以前の段階で、まだまだ検証することが必要な領域でもある。
反証すべき概念すら確立がされていないということなのだ。
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by m_chiro | 2014-09-19 22:11 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
信仰を根拠に手術などされたらタマラン!
治療家の道に入ったころ、古本屋でアメリカの写真誌「LIFE」の「THE BODY」を見つけた。1965年の発刊だった。
その中に頭蓋外科治療のはじまりについて書かれていて、そこにこの写真が掲載されていた。この頭蓋骨は旧石器時代のもので、外科治療の手術痕があった。
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そんな一万年以上も前に、頭蓋骨に手術していたことに先ずは驚かされた。
しかもこうした手術痕のある頭蓋骨は世界中から発掘されていると書かれていた。
そのことにも驚かされたことを思い出す。
どんな患者さんが手術の対象になったのだろう?

その時代は理解に苦しむような症状や、突然、豹変するような症状に出会うと宗教信仰を根拠に考えたようだ。
バビロニアの書物にも、こんな記述がある。
「神をもたない男が通りを歩いていると、頭痛は彼を衣類のように包み込んでしまう」

普通に生活していた者が、急に偏頭痛発作に襲われて人が変わったように苦しみだす。
あるいは、てんかん発作や憂鬱、精神錯乱、ヒステリーなどを起こすと、それは信仰心がないためだと診断されたのだろう。
信仰心のない者は、神から守ってもらえない。
だから、悪霊に取りつかれてしまう。

悪霊に取りつかれるから、人が変わったような症状や病態に見舞われるというわけだ。
でも、なぜ頭蓋骨に穴を開ける外科手術をするのだろう。
頭蓋に開けられた穴は、取ついた悪霊に出て行ってもらう抜け道らしい。
骨増殖の見られる手術痕もあるから、術後も生き続けたのだろう。
痕跡によっては、間もなく死んでしまったと思わせるものもある。

信仰心(信念)を根拠に一か八かの手術をされたら堪らない。

そんな時代に生まれなかったことを幸運に思うしかない。
が、よくよく考えると、現代でも信仰に基づいて手術されることは間々あると思えてくる。

科学は検証に検証を積み重ねて定説が生まれる。
医学も科学の領域ではあるが、「医学は科学ではない」(米山公啓著・ちくま新書572)という医学者もいる。
きっと、検証実験がほとんどガラス容器の中で行われた結果に基づいているからだろう。
基本的に生体実験はできない。そうなると、ガラス容器での結果から得られた定説だからと言って、そのまま臨床応用のための確かな根拠になり得ない。
それでも、そうした検証の結果はセントラルドグマになって、誰も疑うこともなく手術の対象にされるとしたら、それも問題だろう。
カール・ポパーは「科学は検証可能性ではなく、反証可能性にある」と言った。
「反証できないものは科学ではなく信念(信仰)である」と警告している。

椎間板ヘルニアが、痛みや根性痛の原因であるとする説は医療の定説になった。
「椎間板ヘルニア=痛み」が反証されることもなく信仰・信念なって、それが手術の根拠となったら、大昔の宗教的信仰を根拠に頭蓋骨の開頭術を笑えない。
それは医学的信仰」と言わざるを得ないのだ。
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by m_chiro | 2014-09-18 12:49 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
根性痛へのステロイド使用は、注射経路にも効果にも優越性はない!
痛みに対する局所麻酔薬とステロイド剤の比較調査からみええくること。

「腰椎椎間板ヘルニアに有効な局所麻酔薬」


腰痛や下肢痛を伴う痛みに、硬膜外注射を行って有効性を比較した調査の報告である。
注射の投与経路は椎間孔、椎弓間、仙骨部があるが、3つの投与経路に有意な差はないことが報告されている。

今回の調査は、ルイビル大学(米)で行われた無作為化二重盲検比較調査である。
対象は慢性腰痛と下肢痛のある患者120症例。
局所麻酔薬単独群(リドカイン)とステロイド併用群による比較である。
調査における投与経路は、椎間孔硬膜外注射による。
その結果を分かりやすくするためにグラフにしてみた。
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要するに、ステロイドを併用しても効果に優越性はないということだ。
むしろ、局麻単独群の方が成績もよい。
2年後の優位な成績も同じ結果である。
もしも炎症を考慮すべき病態であれば、ステロイド群の方がはるかに成績もよくなるはずだろう。
ステロイドは最強の消炎作用を持つとされ、局麻は神経の伝導を遮断することなくNaイオンチャンネルンを遮断する。
だから鎮痛経路を抑制する。

注射による投与経路に有意な差がないのであれば、トリガーポイント注射などの手法で末梢からの興奮を遮断する方がより安全で確実だということだろう。

加茂淳先生の新刊本
が出版された。
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一般向けに痛みの仕組みがやさしく解説されている。
しかも、セルフケアの方法まで紹介されていて、痛みの患者さんには有難い解説と指南本だろう。
ぜひ、多くの人に読んでもらい、痛みの理解につなげてほしいと思う。
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by m_chiro | 2014-09-04 09:04 | 痛み考 | Trackback | Comments(2)
痛みは、ホントに天候と関係ないのか?
疼痛疾患と気候は無関係

慢性関節リウマチの疼痛や機能障害と患者が住んでいる地域の気圧・気温・湿度を分析した結果、症状と気象条件との間に関連はなく、天候が関節痛に影響を与えたというエビデンスは存在しない。(redelmeierDA.et al,Proc Natl Acad Sci USA,1996)

慢性疼痛患者を対象に痛みと天候との関係を調査した結果、寒い地方の住人だからといって疼痛レベルも疼痛頻度も高いわけではなく、天候が疼痛に影響を与えるという思い込み。(Jamison RN.Et al,Pain,1995)
(「TMS Japan」からの情報)


天候の変化、例えば気圧、気温、寒冷、偏西風などなど、これらはすべて痛み刺激ではない。
だから、天候の変化が痛みを引き起こすという直接的な根拠はどこにもない。

当然、居住地区による痛みの症状の頻度にも関連する根拠はない。

以前も、このことを記事にしたことがあった。
「痛みや体調不良は、気候と関係するのか」
実際に臨床の現場では、天候の激変で痛みを訴える患者さんが多くなる。
テルマ(株)が、立正大学国土環境株式会社と共同で、そのことを調査した(2004)。
「健康と気候に関するアンケート調査」(調査対象は全国の40~60代の一般生活者および慢性疾患患者の1168名)

それによると、
81%が天候と体調に関係があると回答している。
ところが、実際に体験した割合は73%である。
思いと実体験の差は、単なる「思い込み」と片付けられない割合のようだが….。

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では、痛みと関係した実体験は、リウマチの85.9%がダントツに多く、次いで関節炎、神経痛、腰痛が53.1%、痛風が45.9%とベスト3を占めている。
後に、その他の体調不良が続いている。

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ところで、神経が切断されたり損傷されると「バスケット・フォーメーション」という現象や、C繊維にα2受容体の活性が増加することが知られている。
α2受容体とはアドレナリン受容体のことで、交感神経興奮作用に関わっている。

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図:「交感神経系と痛み系の間の可塑的な連結の模式図」(「痛みのケア」20pより)
この図に、熊沢孝朗先生が次のように解説している。
「交感神経系への刺激やノルアドレナリン動注によって、アドレナリンの受容体を介して皮膚ポリモーダル受容器の興奮が生じるという報告がある。」

要するに、Aβ神経などの大細胞を囲むように交感神経とコネクションができたり、C線維にα2受容体が作られる。
だから、交感神経の緊張が高まることで痛み系の神経が興奮することがあり得るのだ。
それに自律神経は痛みを修飾する神経でもある。
心理的な緊張が起こって、痛みが作られても不思議な話ではない。
神経障害性疼痛では、天気痛や気象痛もあり得るということだろう。

また自律神経の反応次第でも痛みが悪化することは想定できるから、天気によって痛みや体調に変化が起こるのはあり得ない話ではない。
天候によって体調不良を経験した人の症状を見ても、自律神経反応と思えるものばかりである。

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しかし、こうしたストレスによる自律神経反応は、「ストレス=悪」、「天候の変化=悪」とせず、視点を変えることが必要なようだ。

スタンフォード大学の健康心理学者・ケリー・マクゴニガルのストレスに対する提案を、先日記事にした。
『「ストレスが悪い」、この考え方を変えよう!』
「ストレスホルモンをコルチゾンから、オキシドシンへ」

だから天気痛や気象痛といえども、思い込みを捨てて参考にすべきことかもしれない。
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by m_chiro | 2014-06-23 18:46 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
筋骨格系疼痛の発症の共通因子とは?
「Pain」誌(2014.5月号)に掲載された論文をCareNet(2014.6.4)が公開した。
「筋骨格系疼痛の発症、男女で異なる職業関連因子」

その論文とは、フランスで1990年から5年間に渡って行われた筋骨格系疼痛(MSP)の疫学調査の結果である。

調査対象は12,591名(男性65%、女性35%)で、自記式質問票によって個人的因子や職業の関連性が調査されている。
筋骨格系の痛み(MSP)は、生物・心理・社会的因子が関わっているとされている。
それでも特定の局所痛と、多部位痛との関連は明らかでなく、それが今回の調査の目的のようだ。

以下は結果である
1.局所疼痛の発症率17%:多部位疼痛の発症率25.6%(1995年時点)
2.女性の予測因子:頻繁な反復的運動で首/肩の痛み、姿勢や振動で上肢痛/腰痛、道具を使う仕事で上肢痛
3.男性の予測因子:肉体労働と振動で首/肩の痛み、姿勢や肉体労働で下肢痛/腰痛、道具を使う仕事で上肢痛
4.肉体労働や振動は男女を問わず多部位疼痛と関連
5.心理的リスク因子:女性のみ、上肢痛および3~4か所の多部位疼痛


筋骨格系の痛み(MSP)には、多部位の痛みが多い傾向がある。
肉体労働、反復運動や姿勢など筋肉負荷が想定できるが、機能神経学的には姿勢運動制御系にかかわっているようだ。
興味深いのは「振動(vibrations)」の因子である。

運動や労働に伴う身体への振動が同相で干渉し合う(調和共鳴)ことで、強刺激が生まれるのだろうか。
逆に言えば、振動数によって物理化学的な性質を変化させる振動刺激は治療に応用できるということだろう。

「振動」のキーワードが、やけに目につくこの頃である。
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by m_chiro | 2014-06-09 16:05 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)



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