カテゴリ:痛み考( 143 )
「線維筋痛症から回復した患者さん」との出会い
先日、ある女性から突然の電話をいただいた。
「痛み学NOTE」も読んでいただいているらしい。
しかも線維筋痛症に苦しめられた患者さんのようだ。
「苦しめられた」と過去形に言うからには、今では回復している女性である。

その得難い経験を広く知ってもらおうと、ホームページを立ち上げ啓蒙活動を展開されている方だった。
(「線維筋痛症から回復した患者のホームページ」)

またブログを通して、線維筋痛症患者さんへの力強いメッセージを送られており、アドバイスや相談にも応じておられる様子も窺うことができた。

「エントロピー学会」の会員としても、学会での講演や論文も発表されている。
その小田博子さんの半生記には、線維筋痛症との闘病から治療歴、そして回復への道すじの簡略な履歴が書かれていた。

それによると2001年に線維筋痛症を発病し、6年間にわたり様々な治療を試みながらの闘病生活を送っている。
線維筋痛症のパフォーマンス・ステージ「9(寝たきり状態)」からの回復のきっかけとなったのが、「BOOT(大脳志向型咬合療法):顎関節症クリニック・山田歯科」だったようである。

そこから彼女は、回復の裏付けを求めながら多くの学びをしたようだ。
そしてポリモーダル受容器と環境問題との関わりから、脳の過敏状態がつくられる機序に思いを馳せておられた。

これらを読むと、体内と対外環境の問題やその関連性を含めて線維筋痛症を考察されておられることを知ることができるだろう。
末梢性感作と中枢性感作の枠組みから、ポリモーダル受容器の特質が絡んで過敏状態が重畳的に現れる様を、経験的な感覚として書かれているのである。

現在も、線維筋痛症に関する論考を執筆中とのことで、ポリモーダル受容器や熊沢先生の著書の情報を尋ねての電話だった。

論文を含め、活動の資料も送っていただいた。

小田さんの活動には、線維筋痛症患者に対するエールとメッセージが込められている。
回復のきっかけは、人それぞれなのかもしれない。
それでも線維筋痛症の病態を知ること、痛みを知ること、そこからがスタートだと呼びかけているようにも思えた。

小田さんの論考には、ヒトの「空間認知機能の狂い」が取り上げられていたことが印象的だった。
それは姿勢制御系の問題である。
そこには視覚情報、前庭系からの情報、関節などの固有受容器の情報やポリモーダル受容器による情報、そうした姿勢制御系における情報の「混乱とその固定化」とでも言えるのだろう。

そうなると外的要因(環境からの刺激因子)が情報系に一層の拍車をかける(過敏化する)。そうした神経系の混乱の枠組みを、いったん破壊し、神経系・情報系の再構築が必要になるのだろう。
小田さんの論考を読みながら、そんなことに思いが行きついたのである。

「痛み学NOTE」から、思いがけない交流がはじまりそうである。
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by m_chiro | 2017-09-25 16:27 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
熊沢孝朗先生:インタビュー記事
「2010年第12回学術大会・特別企画「熊沢孝朗教授インタビュー」

2012年の日本カイロプラクティック徒手医学会(第12回)は「痛みの学会」でした。
熊沢先生には基調講演等の召集など、多大なるご支援を頂きました。

その準備に際して、熊沢先生にインタビューさせていただいた記事があります。

その当時の科学新聞社・斎藤信二社長のはからいで実現しました。
この時、熊沢先生は療養中でしたが、快くインタビューに応じていただきました。
私には、とても得難い時間でした。

この記事を、私のホームページ上に残しておこうと思います。
痛みについての重要な知見に満ちています。
「痛み学」の日本の最高の権威者である熊沢先生の言葉は、今でもとても重く読むことができます。
是非、ご一読ください。
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by m_chiro | 2017-09-24 23:28 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
椎間板ヘルニアや坐骨神経痛で、炎症介在物質が作用しているわけではない
「椎間板ヘルニアと坐骨神経痛には炎症反応を引き起こすホスホリパーゼA2(PLA2)が関与していると考えられていたが、椎間板ヘルニアもしくは椎間板変性と正常な椎間板との間にPLA2値の差は認められなかった」

坐骨神経痛、椎間板ヘルニアなどと診断されて、痛みに苦しめられている患者さん。
きっと、炎症反応が引き起こされて痛むのだろう、と思われがちである。
ところが研究では、椎間板ヘルニアにも、椎間板の変性にも炎症反応を引き起こすホスホリパーゼA2(PLA2)の値に、正常な椎間板との差が認められなかった。そんな研究である。

生体細胞膜のリン脂質が損壊すると、ホスホリパーゼA2という酵素によってアラキドン酸という炎症を仲介する物質に変わる。
そこにシクロオキシゲナーゼ(COX)と作用してプロスタグランジン(PG)という炎症物質が産生されることで、炎症性の痛みが発症するのだ。

痛みを発症させないためには、アラキドン酸という仲介者を叩かなければならない。
起始段階で抑えるにはステロイドなどの最強の鎮痛薬になるが、リスクも高い。
もうすこし下流で抑えようとするならば、アラキドン酸から炎症物質であるプロスタグランジンを産生させないことになる。
そこでCOXを叩くCOX阻害薬が用いられる。
これは通常の消炎鎮痛薬であるアスピリンやインドメタシンなどの、非ステロイド性鎮痛薬(NSAID’s)である。
COXは胃や腎臓などの保護作用を持つとされる。
それを叩くことになるので、リスクは胃にダメージを与える。
だから胃薬も処方されることになる。
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図を見るとよくわかるようにプロスタグランジンとブラジキニンはダッグを形成していて、相互に作用増強と生成促進で連携しているから厄介である。

ところで、この研究ではホスホリパーゼA2値に正常な椎間板との差がなかったというのである。
ということは、椎間板ヘルニアや坐骨神経痛は基本的に炎症性疾患ではないということになる。
では、なぜそんな痛みが起こるのか?
やはり、筋・筋膜由来の機械的刺激が興奮性に働くとみる方がスジが通るのである。
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by m_chiro | 2017-06-06 18:25 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
腰痛治療の「新ガイドライン」(米国内科学会)では、まずは薬物療法以外を推奨
Noninvasive Treatments for Acute, Subacute, and Chronic Low Back Pain: A Clinical Practice Guideline From the American College of Physicians.

米国内科学会(ACP)が先ごろ発行した新たなガイドラインによると、腰痛患者にはまず薬剤を用いない治療法を試すことを推奨している。
薬物療法であろうと、他のさまざまな療法であろうと、ほとんどの治療法は「効果が少ない」か「中程度の効果」であることがわかったからである。

特に神経根性腰痛については治療効果を示すエビデンスはほとんどなかったが、運動療法には有用性が認められた。

麻薬系鎮痛薬は最終手段とすべきであるが、アセトアミノフェンには効果が認められないため、今後は推奨しないという。オピオイドは依存症や過量投与のリスクがあり、有効性を示すエビデンスも少ないため、やむを得ない場合のみ使用し、数日にとどめるべきであるとしている。

ガイドラインでは、一般に12週間未満の腰痛の場合は、温熱シート、マッサージ、鍼治療、カイロプラクティックにより効果が得られる可能性があるとしている。

12週間以上続く場合でも、運動療法、鍼治療のほか、ヨガ、太極拳、マインドフルネスによるストレス軽減、ガイデッド・リラクゼーションなどの「心身」療法、認知行動療法が有効な場合があるという。
運動療法は最も一般的で有効性も期待されるということだろう。

 「Annals of Internal Medicine」に2月14日オンライン掲載された今回の勧告は、腰痛治療に関するさまざまな研究のレビューに基づくものであるが、薬物療法か否かを問わず、ほとんどの治療法は効果が「少ない」か「中程度」であることがわかった。

特に神経根性腰痛については治療効果を示すエビデンスはほとんどなかったが、運動療法には有用性が認められた。

付随論説を執筆した米ハーバード大学医学部准教授のSteven Atlas氏は、今回の勧告はプライマリケア医にとっては大きな変更であると指摘する

。医師が患者に紹介すべき鍼師を知らない場合もあり、費用の問題もある。
治療の決定は実用性の問題に大きく左右されると、Damle氏も認めている。
また、医師は複数の治療法を併用することも多く、もっと実際的な臨床試験が必要であるとAtlas氏は述べている。

慢性腰痛の患者は、治療に期待しすぎず、現実的に考えることも重要であるという。

 なお、今回のガイドラインでは非侵襲的治療のみを取り上げており、薬剤注入や外科手術などの侵襲的治療については触れていない。
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by m_chiro | 2017-03-04 08:48 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
鷹下肢痛への硬膜外ステロイド注射の有効性についての一研究
腰下肢痛への硬膜外ステロイド注射は、よく見ても短期間の効果しかなく、有効性を示す科学的根拠は見いだせない、とする研究。

腰痛と坐骨神経痛に対する硬膜外ステロイド注射に関するRCT(ランダム化比較試験)の系統的レビューを実施した結果、硬膜外ステロイド注射の有効性を示す科学的根拠は見出せなかった。
もし効果があるとしても短期間しか持続しない。

すでに硬膜外ブロック注射の保険適応を制限し始めている国や地方があります。
医療従事者が自分の腰痛患者に行なう治療に関して、完全な支配権を握っている時代は終焉に向かっています。
いつまでもエビデンスのない治療を続けているわけにはいきません。

Efficacy of epidural steroid injections for low-back pain and sciatica: a systematic review of randomized clinical trials.
腰痛および坐骨神経痛に対する硬膜外ステロイド注射の有効性:無作為化臨床試験の体系的レビュー

この研究の目的は、腰痛に対する硬膜外ステロイド注射の有効性を評価することであった。
公開された無作為化臨床試験のコンピュータ支援検索および試験方法の評価を用いてデータを得た。
硬膜外ステロイド注射を評価する12のランダム化臨床試験が確認された。
硬膜外ステロイド注射の有効性に関する4つのカテゴリー(研究集団、介入、効果測定、およびデータ提示および分析)および著者の結論を使用して、方法の質についてのスコアに基づいてデータを抽出した。

試験の方法スコアは17〜72ポイント(最大100ポイント)の範囲であった。
8回の試験では、メソッド点数が50点以上であった。
4つのベスト・スタディ(> 60ポイント)のうち、2人が肯定的結果を報告し、2人が否定的結果を報告した。
全体的に、6つの研究は、硬膜外ステロイド注射が基準治療よりも有効であり、6が基準治療よりも良くないことを報告した。
試験の方法論的品質と報告された結果との間には関係がないようであった。

結論として、ほとんどの研究の設計に欠陥がある。
最善の研究では、硬膜外ステロイド注射の矛盾した結果が示された。
硬膜外ステロイド注射の有効性はまだ確立されていない。
硬膜外ステロイド注射の利点は、もしあれば短期間しかないようである。
今後の研究努力は正当であるが、治験の方法にもっと注意を払うべきである。


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by m_chiro | 2017-01-20 10:41 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
痛みの起爆スイッチが入る情動とは?
“The influence of semantic priming on event-related potentials to painful laser-heat stimuli in humans.”
レーザー光による熱刺激に対して、人間の痛みがイベントがらみで起爆剤となり、疼痛感覚が増強される影響について調べた論文。

「激しい」「突き刺ささる」「ヒリヒリする」等の言葉で頭を満たした場合、レーザー光による熱刺激に対する感受性が増大して疼痛感覚が増強される。
痛みに関連した言葉と疼痛刺激が組み合わさると起爆剤のスイッチが入り、そのために疼痛体験が雪だるま式に膨れ上がる。

らしい….。

そう言えば、こんな体験を思い出した。
20年以上も前のことである。
ある婦人が鎖骨下の上胸部が痛いと言って来院した。
よくよく聴いていると、「胸の中でガラスが粉々に砕けて、それがチクチクと突き刺すような痛みがある」と言うのだ。
2~3日前からのことらしかった。思い当たることもない。

「ガラスが砕けて突き刺さっているような痛み」、すごい表現をするものだなぁ~、と思った。

「皮膚は大丈夫なのだろうか」と聞いたら、「ブツブツができている」という。
みせてもらったら、確かに湿疹のような?

痛みの表現から、念のため「帯状疱疹」を確認してもらうことにした。
皮膚科へ直行。診察後、返事をもってみえた。
診断は「汗疹」
笑うしかなかった。

それでも「ガラスが砕けるような….」などと、痛みを表現する感情や形容詞には心して聞く必要があると感じたのである。

体性感覚関連、情緒関連、その他の感情や痛みを表現する形容詞は、ある種の刺激と組み合わさって痛みの起爆装置が働くのだろう。

そして、それは脳の記憶や認知機能を処理するニューラルネットワークに関わっている。
レーザー光の熱刺激にも反応するのだから、こうした意味のある情動系のトラブルには、ちょっした刺激でも痛みを増幅する介入になり得るのかもしれない。
つくづく痛みはややこしい、と思う。
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by m_chiro | 2016-11-24 11:42 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
腰痛の手術、結論を急ぐべきではない!
「腰痛の原因とは何ですか?」

腰痛患者さんには共通して思っている疑問かもしれません。

でも、腰痛の原因として特定できるものは、実はよくわかっていません。
腰痛の原因は「謎」というわけです。

ところが専門の医師の中では、椎間板が老化などで変性を起こしていることが原因、と考えている脊椎外科医は全体の23%だけだそうです。

その原因による患者さんに脊椎固定術、あるいは椎間板置換術を行うという脊椎外科医は僅かに1%だけ。

患者さんに脊椎固定術や椎間板置換術を行うと答えた脊椎外科医も、もし自分が患者だったら「手術ではなく保存療法を行うか、そのままにしておく」と、脊椎外科医の99%が答えている、というのです。
(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Hanley%20EN%202010%201293)
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by m_chiro | 2016-11-12 09:09 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
Pain Management Network(日本語版)
5月は原稿を2本依頼されて、原稿書きに追われてしまった。
やっと締め切りに間に合わせたと思っていたら、もう6月半ば。
残された雑務を片付けなければならなくなった。
思えば、ブログともご無沙汰である。また、ボツボツと書きはじめなきゃ!

オーストラリアのニュー サウスウェールズ州保健省が制作している”Pain Management Network”というサイトがあり、それを「日本語版」で読める。
特に「みんなのために」というページから、慢性痛を抱える患者さんへのアドバイスが書かれている。

原文を、そのまま日本語に翻訳したものだから、日本人には馴染めないことや習慣の違いなどを割り引いて読んでも参考になるだろう。
慢性痛患者の体験的なエピソードが、1~7まで紹介されている。
そのテーマは、次の内容である。

エピソード1「痛みの紹介」
エピソード2「医療チームの援助を得る」
エピソード3「痛みと身体活動」
エピソード4「痛み:ライフスタイルと食事」
エピソード5「痛みと薬の役割」
エピソード6「痛みと思考」
エピソード7「痛みと睡眠」

例えば、エピソード7の「痛みと睡眠」は、眠れない人、寝付けない人へのアドバイスが書かれている。痛みを抱える人には、睡眠障害を併せて抱えている人が少なくない。

寝不足は痛みを悪化させるし、逆に痛みは眠りの質も悪くするという悪循環に陥りやすいものだ。
かといって、睡眠薬の服用は、必ずしも問題の解決にはなりえない。
不眠症はうつ病や気鬱症状とも関わっている。
布団に入ってから、「今夜は眠れるだろうか、やっぱり眠れないだろうか」と考えるのも「眠りとの闘い」モードに入ってしまい、神経系は更に興奮状態になる。
お酒に逃げるのも考えものだし、コーヒーなど刺激作用のある飲食も就寝前には控えるべきだろう。
日中に定期的な運動などでエネルギーを消耗しておくのは、良い手かもしれない。

「夜によく眠れるようにするために、できることは何でもするべきです」と語る。
疲れを取ってエネルギーを補充し、翌日に備えるのは睡眠なのだから。

最近の研究で分かったこと、それは脳内のリンパ系が睡眠中に脳から老廃物を排出する働きをしてるというものだ。この作用は「グリンパティック系」と呼ばれている。

「脳は睡眠中に「ゴミ捨て」をしている…米グループが実証

脳のリンパ系である「グリンパティック系」は、睡眠中に活性化するのだ。
この記事も、参考になる。
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by m_chiro | 2016-06-13 18:45 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
CNNが取り上げたTMS理論
長谷川淳史先生TMS Japan代表)が、1999年に「セサモイド」誌に書いた私の記事「CNNが取り上げたTMS理論」をFacebookで紹介していた。

久しぶりに読み返すことができて懐かしかった。
確かにあの頃は、まだ痛みが脳の中にあるという考えは少数派のものだった。
長谷川先生のコメントにあるように、「感慨深いなぁ~」である。
ちょっと長いけど、対談インタビュー形式なので気軽に読めると思う。
ぜひご一読いただければ嬉しい!

守屋徹先生が紹介した『ラリー・キング・ライブ』は実に面白い。あの当時、「痛みは患部ではなく頭の中にある」という概念は、まったく受け入れられなかったけど、エビデンス(科学的根拠)が蓄積されて今ではずいぶん広がりを見せている。わたしの歩んできた道は間違っていなかったのだ。感慨深いなぁ。

ちなみに、渡辺謙さんやデーモン小暮閣下も『ラリー・キング・ライブ』に出演したことがある。また、映画『ジョンQ -最後の決断-』の中で、デンゼル・ワシントン演じるジョンQに『ラリー・キング・ライブ』から説得を試みたシーンが印象に残っている。(▼▼)


CNNが取り上げたTMS理論http://www.tms-japan.org/moriya02.html
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by m_chiro | 2016-03-07 12:16 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
SLRテストもX線写真も、椎間板ヘルニアの確認にはならない
腰痛・下肢痛の診断に用いられている簡便な徒手検査法がある。
下肢伸展挙上テスト(Straight Leg Raising Test)、略してSLRと呼ばれている。
カイロプラクティックの臨床でも定番の検査とされた。

「整形外科テスト法」(医道の日本社、2009、291頁)に、SLRの検査法とその診断基準が紹介されている。
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下肢を伸展させて挙上していくと、L5-S2レベルの坐骨神経の神経根が伸展されるとしている。
もしその部位に何らかの病変があると神経根にストレッチによる刺激が加わり、痛みを発症するというもの。
0度~35度では硬膜の動きがないので、坐骨神経への刺激は極少ない。
だから、もしもこの角度内で痛みが始まれば硬膜外病変として梨状筋や仙腸関節の病変を疑う。

神経根が動き出す前の(35度以内)で大腿後面に鈍痛があれば、それはハムストリング筋の過緊張ということになる。
椎間板病変は35度~70度の範囲内での痛みとされる。
これも神経根が伸長刺激で痛みを発症するという前提に立ってのものだが、その根拠も怪しい。
痛み刺激は受容器から送られるという原則に立てば、確固たる根拠も怪しい。
なぜ生理学的機序を逆行して末梢に痛みが起こるのか、という問題が拭えない。

100歩譲って、神経根は過敏な部位だとすれば、炎症性の問題が浮上する。
だとすれば、SLRなどで確認するまでもなく、35度以内の低角度でも痛むことだろう。
だから、動作痛に関係なく自発性の痛みが起こるはずだろう。

それを更に痛みを増強させるテストをしたところで、患者さんは心理的・肉体的苦痛を再現されるだけの話ではないのか。
要するに、SLRテストで椎間板ヘルニアの存在を確認できるわけではないのだ。

また、70度以上の角度で痛むのは、椎間関節の動きに伴うものだから椎間関節障害を疑う。
これとてハムストリング筋の硬い人や股関節などの可動性の問題でも挙上しにくい。
それ以上に無理に上げようとすれば、痛みを訴えるはずなのだが...。
SLRテストは、そんなスクリーニング・テストということになる。

腰下肢痛を訴える症状、特に若年成人の坐骨神経痛患者ではSLRの記録が要求されている。
おもしろいことに、脊柱管狭窄症の高齢者ではSLRに陽性兆候が見られないことが多いのだそうだ。


日本整形外科学会監修の「腰椎椎間板ヘルニア 診療ガイドライン」では、第3章 診断「Clinical Question 3 単純X線写真は腰椎椎間板ヘルニアの診断に必要か」の項目に、「単純X線写真で腰椎椎間板ヘルニアの描出は不可能である」と断定している。
推奨度もグレード3で、他疾患、例えば腫瘍、骨破壊性病変、外傷などを除外することの有用性が指摘されているだけである。

X線写真は、最近の腰痛診療のガイドラインでは、ほとんど推奨されていないということである。それなのに、なぜか何でもレントゲン!は廃れない。
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by m_chiro | 2016-02-07 12:12 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)



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