痛みや体調不良は、気候と関係するのか。
ただ今、「日本カイロプラクティック徒手医学会誌」の編集が最終段階に入り、文字校正の真っ最中です。どうにか目途がついて、しばらくぶりでこのページを開きました。

今年、私の地域は空梅雨で雨が少なく、一週間ほど前に31度の最高気温となりました。併せての梅雨明け宣言でした。ところが、その翌日からひどい雷雨が続き、完全に梅雨の気配です。

そんな天気が続くと、古傷が痛み出した患者さんや慢性的な痛みを抱える方が、「神経痛だ!」と言っては治療にみえるようになります。

天気が体調とどう関係するのか? 
そんな調査が2004年に行われています。

健康と気候に関するアンケート調査
http://www.terumo.co.jp/press/2004/023.pdf


調査したのはテルモ株式会社で、立正大学、国土環境株式会社と共同調査のようです。
調査対象は全国の40~60代の一般生活者および慢性疾患患者の1168名でした。
その結果、多くの方が天候と体調に関係があると考えている(81%)ことや、そのような経験をしている人がいる(73%)ことわかりました。

では、どんな影響を経験しているのか? 
また、疾病をお持ちの方では影響を受けやすいのだろうか? 

圧倒的に多いのは循環器の関連症状、頭痛、リュウマチ、関節痛、腰痛、喘息、糖尿病などが続きます。いずれも自律神経との関連が想定される症状のようです。
こうした患者さんは、気候と体調の調査を重要視している(82%)ことから、あながち気のせいと決め付けるわけにも行かないようです。

もっとも、痛みの回路は2重システムになっていて、ひとつは毛帯路系という識別感覚システムです。明らかな警告系の痛み回路です。
もうひとつは毛帯外路系で、これは情動・自律反応伝達システムです。この伝達回路は多シナプス性で広範囲に接続されるので、痛みなども局在的ではなく漠然とした広範囲の痛みをつくるのでしょう。
自律神経系は痛みを修飾する神経でもありますから、気候がもたらす自律神経の変調は充分に考えられるところです。

気圧が下がる、気温が下がる、湿度が高い。これは自律神経の作用で痛みを修飾してしまうでしょう。気圧の検出は内耳の前庭器官が行いますので、外界の情報は中枢に送られて自律神経が作動し、内的世界が作られていくことになります。
高気圧は交感神経優位に、低気圧は副交感神経優位になり、いずれも痛みと関わることが知られています。

低気圧になると、ヒスタミンが増えることもわかりました。
ヒスタミンは低気圧などの外部環境に反応して増加し、血管の拡張したり、血管から周辺組織に浸出液を出したりします。すると、血圧が急低下することになりますから、交感神経も刺激されることになります。血圧の低下に合わせてバランスをとるわけです。

このときの血管内外での押し合いで、血管の内圧が高まると、血中には物質が溶け込みにくくなり、個々の細胞が膨張していきます。血中の肥満細胞からヒスタミンが出されることになります。痛み感覚は、一層交感神経を刺激してしまうのでしょう。

交感神経は筋肉や関節周辺の血管を収縮させ、酸欠による危機状態を作ります。その一方で脳の血流は増すので、偏頭痛の起こりやすい伏線ができあがります。こうして痛みの悪循環が作動します。

気圧の低下は、副交感神経優位ですから、からだのだるさがでますが、ヒスタミンも増えて交感神経への信号も活発になりますから、自律神経系はパニックになるのかもしれません。

私たちの内的世界は、外界からの情報によっても構築されます。だから、自然環境は侮れません。
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by m_chiro | 2008-07-25 01:45 | 痛み考 | Trackback | Comments(2)
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Commented by syaruruk at 2008-07-25 10:30
>気圧の低下は、副交感神経優位ですから、からだのだるさがでますが、ヒスタミンも増えて交感神経への信号も活発になりますから、自律神経系はパニックになるのかもしれません。

これって、私の日常ですね。だるいのに自分で気力をふりしぼっているのと、ヒスタミンと痛みの刺激で、自律神経が、パニック。片頭痛やめまいを呼んじゃう。

雨が降っているときより、振る前の気圧がだんだん下がってくるときに不調を感じます。

Commented by m_chiro at 2008-07-25 23:23
syarurukさん、こんばんわ。
気候と体調の関係、「生気象学」というのだそうです。
猫や犬も気圧の変化の前には鼻を隠して寝たり、特徴的なしぐさをしますよね。
からだは色々な状況にアンテナをはって、内的世界を保っているのでしょうね。
それがぐらついているということは、やはり情報系のトラブルと思えてしまいます。
syarurukさんは、あまりにも忙しすぎ! 
心身のキャパシティを超えているのでは?
でも、応援しちゃいます。
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