友あり、遠方より来る
中国・大蓮市の友人・王生氏が訪日した。
九州、広島、京都、東京で所用を済ませ、そこから私のところまで脚を伸ばしてくれた。

王生氏は、福岡在住の学兄・馬場信年先生と私が大連医科大学での解剖実習授業を実施すべく奔走した時の日本側代理人で、交渉役兼通訳として随分とお世話になった方である。
出会いから15年が経過し、彼はこの間に三度の訪日を果たした。
訪日のたびに、酒田まで脚を伸ばしてくれる。
私共もつい近年まで、毎年のように10回ほどの解剖実習授業を引率した。彼の誠実な人柄と一途に前を向いて生きる姿勢に、付き合いも深まり、本当の朋友になった。

今回は、近くの海岸線にある温泉保養施設に宿を取ってひとときを過ごした。
この時期、この地区では岩牡蠣が旬で、多くの人が「牡蠣養生」をする。
中でも、鳥海山からの伏流水が噴出している海域の岩牡蠣は格別の味である。
「ブランド牡蠣」と称して、高値で食されている。

c0113928_20222220.jpg


写真はその岩牡蠣である。
これは10年物だそうで、大きさもジャンボサイズだ。
捕りたての岩牡蠣が運ばれてきて、その場で剥いてレモン汁をかけて生食する。
この地区では、7月いっぱいこの「牡蠣養生」の客で込み合うのである。

正岡子規が書生の頃、おそらく明治25年前後だろう、奥の細道を旅したことを「仰臥漫録」に書いているが、そこに次の一文がある。

奥羽行脚のとき鳥海山の横の方の何とかという処であった海岸の松原にある一軒家に泊まったことがある...中略...勿論一軒家といふても旅人宿の看板は掛けてあったので、きたない家ながら二階建てになって居る...中略...草鞋を解いて街道に臨んだ方の二階の一室を占めた。鳥海山は窓の外に当たってゐる...中略...膳が来た 驚いた 酢牡蠣がある 椀の蓋を取るとこれも牡蠣だ うまいうまい 非常にうまい 新しい牡蠣だ 実に思いがけない一軒家の御馳走であった 歓迎せられない旅にも這程の興味はある


私の家内は、正岡子規と同郷である。家内が次の俳句を詠んでいる。

  「出羽富士や 岩牡蠣喰らう 子規の居り」

遠来の友と共に過ごしながら食べた岩牡蠣は、また格別な味がした。
その遠来の友も、駅のホームで抱擁し、今日は東京への旅人となって帰って行った。
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by m_chiro | 2008-07-06 20:31 | 雑記 | Trackback | Comments(4)
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Commented by syaruruk at 2008-07-06 22:49
美味しそうな岩牡蠣ですね。
子規は、伊予の国の方ですから、瀬戸内の牡蠣を食べて育ったのでしょうか。とすると、季節は冬。夏の牡蠣には、少々驚きをもって、食せられたかもしれません。
思いもかけず、子規の年表を眺めてしまいました。
Commented at 2008-07-06 23:02
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by m_chiro at 2008-07-07 15:12
syarurukさん、こんにちは。
夏の生牡蠣、西日本では驚くでしょうね。
私の家内も伊予の国の人ですから、初めは驚いて、決して口にしませんでした。
今では、おいしい!と言って食べますが...。
夏場を元気に乗り切るためにも、牡蠣養生は年中行事になっています。
Commented by m_chiro at 2008-07-07 15:15
鍵コメ様、それは筋力テストですね。力比べをしていると、逆に疲れてしまいます。
そのうちまた。
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