慢性痛への対応を模索しなければならない
60歳になる事務員の女性。慢性的な痛みを抱えている。
頚から右肩にかけて(上僧帽筋)の痛みは8年越しである。
右膝は10年になる。
一昨年、内視鏡による半月板の治療を受けたが、今だに腫脹と痛みで正座はできない。
市内に11院ある整形外科医院と病院を全て回っているうちに10年経った、と言っていた。
体内の右側を貫くように強固なストレス軸が感じられる。
斜角筋、僧帽筋や肩甲骨内側に圧痛点が顕著である。

この患者さん、初診から一週間後の今日、2度目の治療にみえた。
初回の治療から2~3日は調子がよかったが、また同じになった、と言う。
少しでも快適な状態が作れれば、その先も見えやすい。

だが慢性痛の治療は、言わずとも大変である。そう易々と解決させてくれない。
ところが、治療者側の認識とは逆に、患者さんの方では大きな期待を抱いている。
このギャップを埋めて、痛みに取り組む共通の認識を持つことが先ず大切なのだろう。
そのためには慢性痛に対する情報を共有する必要があるが、さりとて難しいのだと失望させてもならない。痛みに向かうモチベーションは維持すべしである。

慢性痛の多くに関節可動域の制限がみられる。
痛みをかばって動かさなかった結果だろう。
では動かせば良いだろうと考えるが、事はそんなに簡単ではない。
可動域の制限された関節に過度の伸張刺激を加えると、痛みの悪化を招きやすい。
かといって消極的な自動運動は関節の拘縮を作りかねない。
つまり、積極的にADL(日常生活活動)を広げて実行することが難しいのである。

そこで、痛みを抑えて運動する方法が最善の策となる。
ひとつは、痛み部位をブロックして感覚を遮断し、関節の運動域を広げていく方法が選択される。ところが問題がある。こうした手法に精通した医師が圧倒的に少ないことだ。
加茂先生が主宰するMPS研究会の発展や医療チームの奮起を期待するばかりである。

もうひとつ、神経系の可塑性を変換する脳の運動学習を効率よく実現するためには、できるだけ感覚を遮断しない運動学習を可能にすることだろう。
そのためにも運動による誘発痛を引き起こさない関節運動の拡大や運動プログラムの開発を徒手療法家も模索しなければならないだろう。
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by m_chiro | 2008-04-12 00:37 | 痛み考 | Trackback | Comments(2)
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Commented at 2008-04-12 23:20
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by m_chiro at 2008-04-16 13:32
鍵コメ様、いろいろ有難うございます。
思考をそのまま文字にすることの難しさを感じながら書き流すだけですが、何かを考える契機にでもなるのであれば、うれしく思います。
勘違いも多々あると思いますが、またご指導下さい。
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