サッカー少年の腰殿部痛(MPS)から観えたこと
4日前に、隣県の中学校からサッカー部の選手が腰殿部痛で来院した。
10日ほど前に、筋トレで腹筋運動の最中に右腰部にグッグッとした痛みが起こったのだそうだ。内科の医師から鍼治療と電気治療、注射を3回にわたって受ける。
快方に向かったので練習を再開したら、またぶり返したらしい。
一週間後には関東での強化試合に向けて遠征が組まれているらしく、焦っていた。
昨年5月には左腰部痛で整形外科のお世話になったようだ。X-Rayで問題がなく、身体が硬いからと言われて、運動メニューをもらっている。

特に、腰部の左側滑、右後方伸展(ケンプス・テスト)、前屈運動、で右腰殿部痛が増強される。左腸腰筋群の始動が遅延する。横隔膜にも過緊張があり、下腿は外転・外旋している。右下肢(立ち足)にしっかり体重を乗せて蹴る(静的キック)を多用するためと思われる。左足でのキックはとても精度が高い、と自信があるように言う。逆に言えば、右足でのキックでは精度が低いのだろう。

膜系のストレス軸は、左上肢から左肩へ、そこから右腰殿部、右下肢へと流れている。左足でのキック時における身体の傾斜を、右前腕部に力を入れてカバーしているせいだろう。
右中殿筋と腰方形筋に顕著な圧痛、TPがある。

筋活動の遅延をリセットし、TPと右前腕の反応点と同調させて治療した。
治療後は、ほぼ全域での可動が可能になったが、ケンプス・テストでの違和感がL5右外側に残る。

その2日後、2度目の治療にみえた。
痛みがなくなり、ランニングを始めていると言う。
腰部の可動も全域で問題ない。

サッカー選手のインサイドパスについては、問題が指摘されている。
彼のインサイドキックは左蹴り足にウエイトが置かれている。その上、身体の中心軸で体幹を後方にそらすようにして軸足をつくり、蹴り足だけを前に出すようなキック(静的安定キック)を行うために、どうしても腰は右にスライドして力点が出来る。そのため腰部にTPを作りやすいのだろう。
下の写真は「静的安定インナーキック」の例である(「スポーツ選手なら知っておきたいからだのこと」小田伸午著より)。

c0113928_17255891.jpg


この方法で左足キックを行うと、右の軸足に過剰な負荷が加わることがわかる。その上、アンバランスになり、スピードも落ちるだろう。

インサイドキックの方法を、動的安定キックに変えるべきだと思う。
それは蹴り足が軸足で、立ち脚は膝を抜いて反地力を利用し、蹴り足の骨盤を前に出していく方法である。次に写真が、その「動的安定キック」の例である(同上著より)。

c0113928_1729890.jpg


この方法は「動的安定インナーキック」で、左の写真がキックに入る前で、右の写真がキックの後になる。動きに静止がなく、蹴り足(この場合は右)が軸足になっている。体軸の捻じれもなく、蹴り足の骨盤を前に出している。左の立ち脚では、膝が弛んで反地力を利用している。

股関節の外旋/内旋エクササイズも指導した。
遠征前に、もう一度コンデショニングのための治療することになった。
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by m_chiro | 2008-03-17 12:26 | 症例 | Trackback | Comments(0)
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