脳の情報処理プログラムを書き換えるには
人は何のために生きるのかと問われれば、私は「成長するため」と答えます。
生きることと成長はイコールだと思うからです。 これは人に限らず植物も同様です。ただ成長するために生きています。 アスファルトの小さな隙間からでさえ、草は成長してきます。生き物は開放系(オープン・システム)に依存しています。 成長するためには二つのことが欠かせません。 ひとつは、「食物、空気、水」を体外から体内に取り込み、生化学的に処理して私たちのからだを再構築する「物質・エネルギー」の出入りです。 もうひとつ、重要なものが「情報」の流れです。 情報はヒトの五感を通して脳に入ります。五感というのは、眼、耳、鼻、舌、身体のことで、これらの情報は、脳で価値判断され、意味づけされて出力します。 出力は、すべて筋肉に作用します。 こうした出力作用に依存して、ヒトの脳は「学習」を行っています。これは生命活動の基本的なシステムです。 もしも身体の半分がやけどを負ったら死んでしまいます。それは皮膚からの情報が遮断されるために、身体機能を維持できなくなるからです。 では、脳は何のために「学習」をするのでしょうか? それは物事に遭遇したときに、どう対処するかについて、その「方法や答え(アルゴニズム)」を獲得するためです。つまり情報処理プログラムを創ることです。 多くの「答え:アルゴリズム」が作られて、解答集が厚くなれば厚いほど、いろいろな場面に遭遇しても対応がスムーズになります。この解答集も固定されたものではなく、その都度、より良い解答に書き換えられて記録されていきます。 例えば、自転車に乗りたいと思った子供の頃を思い出してみましょう。 自転車に乗りたい、というのは目的意識です。そのために何度も転びながら、足を擦りむきながらも練習します。つまり学習です。 筋肉の動きに出力されてバランス感覚が学習され、自転車の乗る方法を獲得するわけです。これはスポーツのトレーニングも同じです。一旦、獲得された情報は消えることはありません。脳のメモリーに刷り込まれるからです。 こうして、ヒトは自ら生きるための方法や物事に対処するための方法を獲得するわけです。一人ひとりがそれぞれの方法で獲得して行きます。そして、この方法を獲得するための方法は古い脳が担当しているのです。更に言えば、遺伝的に決められた戦略はもっと古い脳で行っているのでしょう。 脳に新しく入力された情報は、すでに獲得した神経回路を活性化するための、いわばトリガー(引き金)として使われ、これによって脳は出力を行う。そして出力を行うことで学習効果が生じ、アルゴリズムが書き変わるのである。すなわち、脳は学習によって「表引きテーブル」にあらかじめ答えを用意しており、入力された情報によって、その用意された答えの中から入力情報との関連度の高いものを選択し出力する。そして出力することで新たな学習効果を生じ、そのとき用いた答えを、必要とあれば修正するのである。(松本元著「愛は脳を活性化する」より) ここに神経の可塑性に対する治療戦略のヒントがあると考えました。 新たな入力情報と出力依存性の学習効果による脳のアルゴリズムの書き換えである。 徐放処理のプログラムを換えていくことになる。
by m_chiro
| 2008-03-14 00:35
| BASE論考
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