変形性の膝の痛み、と言うけれど
80歳になろうかというお婆さん、昨年の11月末頃から右膝が痛み出した。
それまでは家庭菜園をやっていたという元気な人である。 整形外科を受診したら、レントゲンを撮り、骨粗鬆症で骨が減っているからと診断される。 痛み止めの注射と薬、湿布薬を処方される。 それでも悪化する一方で、とうとう膝の痛みで自転車にも乗れなくなった、と寂しそうに言う。3ヶ月も痛みを抱え込んできた。娘さんの運転で、遠方から来院した。 右膝は軽度の屈曲位で固着している。完全伸展も出来ず、90度までの屈曲もできない。歩行も膝を軽く曲げた状態で出来るだけ動かさないようにして歩く。 痛みは膝の外側裏側に起こり、腓骨頭まで続く。大腿二頭筋長頭筋腱部位と外側広筋部位である。圧痛点が数箇所ある。外側広筋には索状の硬結がある。脈診では肺と心の脈に変調があるようだ。 右膝関節にカウンター・ストレインを使って可動させる。索状の硬結には、ダイレクトにオーソパシック・ストレッチを行う。強い索状の硬結には、直接アプローチした方が早いように思う。再び動かすと、可動域が広がり腓骨頭周辺に圧痛が限局された。左前腕の肺経メリディアン・ラインから反応するポイントを探して圧迫しながら、膝の屈曲/伸展運動をやらせると、痛みは消失し可動域も130度位まで広がった。 歩行させて動態認知リセットを行う。しっかりリセットされるまで反復し、歩行運動を改善する。行進するような動きも可能になった。自転車にも乗れそうだ、とヒョイヒョイと歩いてみせる。 座れるようになるまでには、もう少し治療が必要だろう。 骨粗鬆症で変形があるから痛いのだと言われるが、形態よりも機能である。 痛みは電気的なエネルギー系、情報系の問題である。 お婆さんの変形した膝の痛みも、結構、回復するものです。
by m_chiro
| 2008-03-07 21:43
| 症例
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