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痛み学NOTE⑧ 慢性痛には2つのタイプがある
「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです。

⑧ 慢性痛には2つのタイプがある
急性痛と慢性痛という分け方がある。
どこがその分岐点かと言うと、一般的には痛みの発症からの期間で分けている。
米国政府研究班がまとめた「急性腰痛のガイドライン」ではマニピュレーションをBランクの効果と判定したが、そこでは6ヶ月をその境界にしていた。
ところが、2~3週間から数週間で治癒する急性疾患も多いわけで、必ずしも6ヶ月が目安になるとは限らない。
大体、急性痛と慢性痛を期間で分けることに意味があるのだろうか。確かな意味など何もないように思える。

急性の痛みは生体の防御・警告系とされ、身体を傷害や危害から護るために不可欠の生得的システムであるが、通常は一過性である。基礎疾患が治れば、痛みも消えるはずなのである。
問題なのは、組織の傷や炎症が治癒したにもかかわらず痛みが持続する慢性痛症で、これには二つのタイプがある。

ひとつは急性痛が単に長引いている慢性痛「タイプⅠ」と、もうひとつは神経に可塑的変化が起きた「タイプⅡ」の慢性痛症で、このタイプⅡこそが「神経因性疼痛」である。
この二つのタイプの発症メカニズムは全く違うが、明確にタイプ分けをするのも臨床的には難しい。
痛み学NOTE⑧ 慢性痛には2つのタイプがある _c0113928_1811555.gif

(愛知医科大学・熊澤孝朗教授の作図より)

純粋な「タイプⅡ」が高率で発生するとも考えられない。
印象としては、慢性痛には多くの「タイプⅠ」が含まれているように思える。
だとすれば、「侵害受容性疼痛」が多分に混在しているのではないだろうか。
では、なぜ除痛に失敗したのか、という疑問が残る。
おそらく、その痛みの病態が捉えきれていないか、侵害された受容器の見落としか何かがあるのだろう。
兎にも角にも、慢性的な痛みに悩まされるのは辛いことである。
ましてや神経が歪む神経因性疼痛の病気になったら、もっと不幸なことである。
痛みは、警告系の役目を終えたら消えなければならないのだ。
慢性痛症になる前に、出来るだけ早く痛みを取り除くこと。
これを痛み治療の大原則としなければならないのである。
by m_chiro | 2008-01-04 18:17 | 痛み学NOTE
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