踵のトゲは、痛みの原因か!?
老婦人が腰痛で来院した。
見ると、跛行する。 聞き取りをしたら、右のふくらはぎと踵が一年前から痛み始めた、と言う。 整形外科でレントゲン写真を撮り、踵のトゲが原因だと言われ、手術を勧められている。手術は嫌だと言ったら、リハビリと称する電気治療を一年間続けてきた。 が、痛みと跛行はひどくなる一方で、その痛みをかばって歩いているうちに、腰が痛み出したらしい。 「踵の痛みはトゲを手術しないと治らないから、腰の痛みをなんとかしたい」。 跛行の上に、「長くは歩けない」と言っていた。 アキレス腱周辺や腓腹筋、足底腱など圧痛だらけである。 アキレス腱のところには、もう1本腱でもあるかのように索状の硬結がある。 それらをリリースすると、ずいぶん跛行が少なくなった。 在宅での腓腹筋ストレッチとアキレス腱周辺マッサージも、頑張ってくれた。 通常歩行になって、買い物なども普通にこなせるようになるまでには、一ヶ月ほどかかった。 あれほど「踵のトゲ」のせいだ、と言い張っていた婦人も「筋・筋膜痛」を認めざるを得なくなったようだ。痛みの原因となった「トゲ」とやらは、どこかへ行ったのだろうか! どこかへ行ったのは「痛み」の方で、「トゲ」は骨の隆起物で残っている。 「トゲ」は痛みとは無関係なのだ。 「Anatomy Trains」に踵の骨棘ができるまでが載っている。 踵骨(Heel bone)の骨膜(periosteum)が足底筋膜(plantar fascia)に引っぱられて、骨芽細胞(osteoblasts)がトゲを作り出すのである。はじめに「トゲ」があるのではなく、筋膜の緊張から問題が発生するのです。そして痛みの受容器は、トゲなどの骨にあるのではなく、引っぱられたり、必要以上に緊張した骨膜や筋・筋膜にあるのです。 踵の筋膜は、図のようにアキレス腱や周辺の筋・筋膜に続いています。こうした組織に問題が発生しているのでしょう。 仮説(間歇性跛行) まさに、加茂先生の仮説「筋肉性間歇性跛行」でした。
by m_chiro
| 2007-12-28 01:30
| 症例
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