触診による錯覚
構造主義の原理は視覚系である。
徒手療法を行う人は、ともするとこの視覚にだまされやすい。
触診を行う先に構造を捉えようとする人は、意識が骨構造に向かう。
そのために、触診者の指先と骨構造の間に介在する筋肉を無視しがちになる。

例えば、下の写真は坐骨結節を捉える指先であるが、坐骨結節が変化し歪んでいるのではない。

変化したのは触診者の指先に過ぎない。
ところが、骨構造に意識が向いてしまうと、「骨盤が歪んでいる」という結論を導き出してしまう。
視覚系がつくるイルージョンを真に受けてしまうのだ。

筋肉の緊張度や肥厚などが意識されていれば、筋・筋膜組織の問題に注意するに違いない。
ところが、構造主義の治療家は「骨が歪んでいる」と錯覚して疑わない。
そして、治療の対象も骨構造に向けられる。

触診錯覚は、大きな間違いを生み出しかねないのである。

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「徒手医学のリハビリテーション」11p
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by m_chiro | 2007-11-22 18:50 | 動態学 | Trackback | Comments(4)
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Commented by syaruruk at 2007-11-23 08:19
AKAも同じようなことですか?仙腸関節がずれているとか、腫れているとか、固まっているとか、言われますけれど。
Commented by syarurukさん at 2007-11-23 18:22 x
仙腸関節はそんなに大きな動きのある関節ではありません。また仙腸関節を直接動かしたり、固定したりする筋肉もありません。基本的には仙腸靭帯という強い組織が関与しています。でも、とても重要な関節だと思います。
もしもこの靭帯に過敏な組織ができると、仙腸部はもちろん鼡径部の痛みや下肢への痛みも起こることがあります。更に仙腸関節に固着が起こると、その動きを代償するために開放性の運動連鎖が起こります。それが骨盤間膜や尾骨筋、腰部や股関節、下肢、上肢やTMJなど全身性に機能連鎖が起こり、痛みの飛び火が起こることにもなりかねません(サテライトTPはこうした運動連鎖で飛ぶのかもね)。そうなると骨盤の歪みは関連する筋群の修飾を受けて歪みが強調されてみえます。しかしそれらの多くは、その他の筋群が代償した緊張などを作ったためだと思っています。もちろん、他の筋群の問題を代償して、仙腸関節にストレスが加わることも考えられます。
AKAはこうした問題を扱っているのではないでしょうか。いずれにしても、触診だけで骨盤の歪みを判断するのは、間違いを犯しやすいと思います。
Commented by keisyan at 2007-11-23 19:48
mchiroさま、はじめまして。
遅ればせながら、リンクさせて頂きました。
Commented by keisyan at 2007-11-23 23:16 x
keisyan,はじめまして。いつもkeisyanの大奮闘を読ませていただいておりました。
リンクいただき、とてもうれしく思います。みなさんの頑張りに大いに刺激されて、読む側から仲間入りさせていただきたいとブログを始めた次第ですが、何しろ勝手がよく分かりません。よろしくお願いいたします。
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