ケラチノサイト細胞
第三の脳――皮膚から考える命、こころ、世界
傳田光洋 / / 朝日出版社
ISBN : 4255004013
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皮膚は考える (岩波科学ライブラリー 112)
傳田 光洋 / / 岩波書店
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「手当て」は昔から癒しの技法だった。皮膚上に接触して治癒に導く徒手療法の技法はたくさんある。ドロレス・クリーガーの「セラピューティック・タッチ」や「頭蓋療法;クレニオパシー」も皮膚上での軽い接触によるものだ。そこにどんな機序が働いてよくなるのだろう。

「痛いの痛いの飛んでけぇ~」は子供に良く効く。お医者さんが注射するときも刺す場所をしばらく圧迫してから刺すようだ。これは一時的に皮膚感覚を鈍くして、痛みを抑えるのだろう。一体、皮膚にはどんなからくりがあるというのだ。

 そんな秘かな疑問に答えを示してくれた気鋭の研究者が現れた。傳田光洋氏で、最近「皮膚は考える」と「第三の脳」の2冊を刊行している。著者が注目しているのは、皮膚の中でも表皮の中にある「ケラチノサイト細胞」である。ケラチノサイトこそ、実に多用なセンサーとして働いていると言う。

ポリモーダル受容器の受容分子は、異なる複数の刺激で作動し電気信号を発生させるが、そういった外部からの刺激は最初にケラチノサイトが認識し、それをC線維伝達していると述べている。確かに、C線維は表皮の裏までしか届いていない。

皮膚は脳と同じ外胚葉由来であり、著者が皮膚を「第三の脳」と呼ぶ根拠が示されている。例えば、表皮の最上層の角層が破壊されるとNGF(神経成長因子)が放出されて末梢神経が表皮内へ伸張すること。これは痛覚を考える上でも興味深い。

また、ケラチノサイトはL-ドーパミン、ドーパミン、ノルエピネフリン、エピネフリンの合成・分解機能を持つていること。ACTHやサブスタンスP、βエンドルフィンを合成していること。各種刺激の受容体であるTRPV1~4を持っていること。記憶と学習の装置であるNMDA受容体があること、などなど。へぇ~と思うようなことが、たくさん出てきて皮膚の再認識でした。

 それでも痛みに関して言えば、皮膚は痛点に過ぎないのではないか。日常生活で問題になる痛みは、内胚葉由来の組織、筋・筋膜や靭帯、血管などであろう。確かにポリモーダル受容器は、皮膚からの痛み信号を受け取るのだろう。だが、その刺激を痛みの電気信号に変えるか否かの「比較」を受容器は行っているのではないか、と思わずにいられない
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by m_chiro | 2007-11-10 22:14 | Books | Trackback | Comments(3)
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Commented by 滝川 at 2007-11-12 09:15 x
桐生治療センターの滝川です。
先日は大変お世話になりました。

とても有意義な時間を過ごせました。

いろいろメモしたことを少しずつですが、整理しながら自分のため、患者さんのためになるよう頑張りたいと思います。

これからもよろしくおねがいします。
Commented by 滝川 at 2007-11-12 09:18 x
続けてすいません。

メールアドレスを載せておきます

nd4r8v@bma.biglobe.ne.jp
Commented by syaruruk at 2007-11-12 10:34
はじめまして。加茂先生ファンのシャルルです。
「手当て」は、大好きというか、基本と思っています。私は、看護師ですが、「看」の字は手で、見るという意味だと教わりました。
こちらからは、リンクさせていただきました。勉強させてください。
よろしくおねがいします。
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