椎間板ヘルニアや坐骨神経痛で、炎症介在物質が作用しているわけではない
「椎間板ヘルニアと坐骨神経痛には炎症反応を引き起こすホスホリパーゼA2(PLA2)が関与していると考えられていたが、椎間板ヘルニアもしくは椎間板変性と正常な椎間板との間にPLA2値の差は認められなかった」

坐骨神経痛、椎間板ヘルニアなどと診断されて、痛みに苦しめられている患者さん。
きっと、炎症反応が引き起こされて痛むのだろう、と思われがちである。
ところが研究では、椎間板ヘルニアにも、椎間板の変性にも炎症反応を引き起こすホスホリパーゼA2(PLA2)の値に、正常な椎間板との差が認められなかった。そんな研究である。

生体細胞膜のリン脂質が損壊すると、ホスホリパーゼA2という酵素によってアラキドン酸という炎症を仲介する物質に変わる。
そこにシクロオキシゲナーゼ(COX)と作用してプロスタグランジン(PG)という炎症物質が産生されることで、炎症性の痛みが発症するのだ。

痛みを発症させないためには、アラキドン酸という仲介者を叩かなければならない。
起始段階で抑えるにはステロイドなどの最強の鎮痛薬になるが、リスクも高い。
もうすこし下流で抑えようとするならば、アラキドン酸から炎症物質であるプロスタグランジンを産生させないことになる。
そこでCOXを叩くCOX阻害薬が用いられる。
これは通常の消炎鎮痛薬であるアスピリンやインドメタシンなどの、非ステロイド性鎮痛薬(NSAID’s)である。
COXは胃や腎臓などの保護作用を持つとされる。
それを叩くことになるので、リスクは胃にダメージを与える。
だから胃薬も処方されることになる。
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図を見るとよくわかるようにプロスタグランジンとブラジキニンはダッグを形成していて、相互に作用増強と生成促進で連携しているから厄介である。

ところで、この研究ではホスホリパーゼA2値に正常な椎間板との差がなかったというのである。
ということは、椎間板ヘルニアや坐骨神経痛は基本的に炎症性疾患ではないということになる。
では、なぜそんな痛みが起こるのか?
やはり、筋・筋膜由来の機械的刺激が興奮性に働くとみる方がスジが通るのである。
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by m_chiro | 2017-06-06 18:25 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
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