「腰痛学校」に学ぼう!
先日、中年の婦人が治療にみえた。左腰下肢痛を訴えている。
1週間ほど前に、階段を踏み外して4段ほど滑り落ちたらしい。
打ち身による内出血で、臀部がどす黒くなっている。
それは打撲だから、内出血が消えるまではもう少し時間がかかるだろう。

それでも心配なことがあるようだ。
彼女は慢性的な腰痛を抱えている。
数年前に整形外科を受診したら、X-rayで「L5すべり症」と診断され、「このままでは車椅子になる!」と言われた。
不安になって彼女は、車で2時間ほどかけて大学病院の整形外科を受診した。
どうせ手術するなら大学病院でやろう、と決心したのだそうだ。
MRIで「脊髄に少し圧迫があるが、手術の適応範囲ではない」と言われた。

それでも年2回は経過観察のためにMRIを撮るために大学病院に出向いている。
今回、階段を滑り落ちたので心配している。
深部反射は正常に反応している。

腰痛の原因は複合的である。
近年では、心理・社会的側面が重視されるようになっている。
腰痛は腰が悪いのだと決め込んでいるが、そういう思いや考えこそが腰痛を治らなくしているのだよ、というわけである。

「そんなことないよ! 実際、腰が痛いんだよ!」と言うかもしれない。
が、腰が悪いという思いが、実は腰に注意を向けさせることで脳が興奮するのだ。
結果的に、脳の興奮を証明するように腰に痛みが出るのだ。

いや、そんなことはない。腰のヘルニアを手術したらよくなった!という人がいるではないか!
そう思うだろうが、結果はそのことの裏返しということもあり得るという話である。

悪いところを取り除いた、と言う思いが脳の興奮を静める。
結果的に、痛みのサイクルが遮断されたのかもしれないではないか。
これをプラシーボ効果ともいうが、プラシーボ効果は少なからずつきまとうのだ。
侮ってはならない。

手術で治癒したというのであれば、それはそれでよい。
手術も一つの手段だろうから。
が、痛みは心理的な要素が多分に関わっているということを忘れてはならない。

逆に「ノーシーボ」による悪化もある。
ここが悪いという思い込みで、痛みが増強されるのである。
だから医師や治療家などは、決して「脅し」を使ってはならない。
「このままでは車椅子になる!」。
この脅しは、彼女の腰痛の原因を「すべり症」に向かわせ、不安を増幅させて腰痛を慢性的なものにしている。
脅しても何も解決しない。。
それよりプラシーボを大いに利用すべきだろう。
プラシーボは、プラシーボ効果と分かっていても効果があることが知られている。
自分が何不自由なく動けていることをリアルにイメージすることが、脳への強力なメッセージにもなるのだ。

慢性腰痛の患者さんであった伊藤かよこさんは、自らの体験を通して痛みを勉強し、鍼灸師の資格も得て、今度は腰痛に悩まされている人たちに強力なメッセージを送っている。
今回、その体験を活かした本を出版した。
「腰痛学校」
必読である。なにより分かりやすい。
小説を読むように、痛みを知ることができる。
多くの人たちに読んでもらいたい本である。
痛みに悩まされている人達は、先ずは痛みを知ることから治療がはじまるのである。
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by m_chiro | 2016-12-30 09:51 | Books | Trackback | Comments(0)
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