痛みの起爆スイッチが入る情動とは?
“The influence of semantic priming on event-related potentials to painful laser-heat stimuli in humans.”
レーザー光による熱刺激に対して、人間の痛みがイベントがらみで起爆剤となり、疼痛感覚が増強される影響について調べた論文。

「激しい」「突き刺ささる」「ヒリヒリする」等の言葉で頭を満たした場合、レーザー光による熱刺激に対する感受性が増大して疼痛感覚が増強される。
痛みに関連した言葉と疼痛刺激が組み合わさると起爆剤のスイッチが入り、そのために疼痛体験が雪だるま式に膨れ上がる。

らしい….。

そう言えば、こんな体験を思い出した。
20年以上も前のことである。
ある婦人が鎖骨下の上胸部が痛いと言って来院した。
よくよく聴いていると、「胸の中でガラスが粉々に砕けて、それがチクチクと突き刺すような痛みがある」と言うのだ。
2~3日前からのことらしかった。思い当たることもない。

「ガラスが砕けて突き刺さっているような痛み」、すごい表現をするものだなぁ~、と思った。

「皮膚は大丈夫なのだろうか」と聞いたら、「ブツブツができている」という。
みせてもらったら、確かに湿疹のような?

痛みの表現から、念のため「帯状疱疹」を確認してもらうことにした。
皮膚科へ直行。診察後、返事をもってみえた。
診断は「汗疹」
笑うしかなかった。

それでも「ガラスが砕けるような….」などと、痛みを表現する感情や形容詞には心して聞く必要があると感じたのである。

体性感覚関連、情緒関連、その他の感情や痛みを表現する形容詞は、ある種の刺激と組み合わさって痛みの起爆装置が働くのだろう。

そして、それは脳の記憶や認知機能を処理するニューラルネットワークに関わっている。
レーザー光の熱刺激にも反応するのだから、こうした意味のある情動系のトラブルには、ちょっした刺激でも痛みを増幅する介入になり得るのかもしれない。
つくづく痛みはややこしい、と思う。
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by m_chiro | 2016-11-24 11:42 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
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