臨床推論① 慢性的に繰り返す左臀部からの下肢痛
OS:60代の女性。痩身。ロコモティブ・シンドローム対策で、積極的にサークルや水泳教室などで運動を取り入れている。慢性的な痛み(一定した痛みではなく、波がある)。
運動後に痛み出し、最近は具合が悪い周期が続いている。

推論7項目
1.いつ:慢性数年前から徐々に悪化
2.どこが:左臀部から下肢外側への痛み
3.どのような状況で:運動など、動いた後から痛み出す
4.どの程度:歩行が辛い
5.症状の性状:重苦しい痛み
6.増悪因子:水泳教室の後(4時間くらい痛む)、寒さ
    緩解因子:時間の経過、暖かい日は比較的良好
7.随伴症状の有無:肩こり


身体所見:Yaw1(右後方後頭骨;停滞)、Yaw2(左後方寛骨;停滞)、Yaw3(左後方仙骨;停滞)。Roll(右側方傾斜の停滞)、Pitch(右屈曲位停滞)

タッチトーク&治療部位
①クロストーク(+)甲状腺・頸椎エネルギーバランスの抑制反応
②神経バランス;星状神経節、上頚神経節周辺組織周辺を刺激すると筋反射の抑制(+)
③硬膜管マイナーソフト構造;S4,尾骨-C5,蝶形後頭骨(ヒールテンション;左内側)
④筋・筋膜;左ファブレ(+)左大腿直筋、左大腿筋膜張筋、左梨状筋、左殿筋
⑤ベクトル;左肩甲骨-左寛骨(体幹左回旋制限顕著)

結果
痛みは消失したが、左股関節の外旋外転制限がある。
股関節の可動制限が発症原因の大きな要因と思われた。
運動前後のエクササイズを指導して、股関節周辺筋の柔軟性を回復させ、併せて関節可動性を増すための方法を指導する。
1週間後の2回目の治療時には、痛みがなく快適に過ごしていたが、水泳の後と体操教室でのバランスボールで軽い運後痛が起きた、と報告があった。

以後の治療計画と指導
主な治療ターゲットを左股関節の可動性回復。脊柱および脊柱管マイナーソフト構造のリリース。

推論 
寒さは侵害刺激ではないが、気圧や天候によって痛み症状が増悪するケースはよくみられる。
これは痛みの生理学でも説明がつかず、仮説はいろいろ提示されている。
以前、「痛み学NOTE」でも触れたが、「感作」がキーワードではないかと思う。
感作を分かりやすく表現すれば、アレルギー症状のようなものだろう。
感作がおこると(アレルギー症状のように過敏な神経反応が起こると)、今回の症例のように左股関節の可動制限を持つ部位ではもろに感作の影響を受ける(ターゲットにされる)のではいだろうか。
したがって、顕著なTrP(トリガーポイント)が存在しなくても、関連痛のような症状が慢性的に繰り返されるのかもしれない。
脊柱管のマイナーソフト構造にアプローチすることは、そうした感作の環境を変える援けになるように思う。
こうした問題に対処するのは容易なことではないかもしれない。
それでも徒手療法の果たせる役割がある、と思えた。

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by m_chiro | 2016-10-29 10:16 | 症例 | Trackback | Comments(0)
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