「痛み学」NOTE 74. 脊柱管のマイナーソフト構造❷
「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです。 74. 脊柱管のマイナーソフト構造 ❷ 骨構造から膜構造リンクへ視点が変わった 近年、Dr.Holder,D.C.がサブラクセーションの概念に新たな解釈を持ち込んだ。 Dr.Holderは医師でもあり、カイロプラクターでもある。シュバイツアー賞や研究者賞など、数々の栄誉ある受賞履歴も持つ偉才の人でもある。 特に、脊椎サブラクセーションと脳報酬連鎖、報酬欠陥症候群、神経伝達物質との関わりを追究している研究者としての顔も持ち、カイロ大学で教壇にも立つ。 D.D.Palmerはサブラクセーションの概念を「神経のトーン」と表現した。 その「神経のトーン」について、Dr.Holderは周波数の変動・変調のことと解釈している。 そして、サブラクセーションを3種類(第1、第2、第3)に分けた。 プライマリーな(第1の)サブラクセーションは無症状で、第2、第3のサブラクセーションは第1サブラクセーションを補正し代償した結果だとした。 それこそが症状に関わるっているのだが、それらはあくまでも補正・代償性の結果である。したがって調整すべきは、あくまでもプライマリーなサブラクセーションである、と主張する。 そして、このプライマリーなサブラクセーションを、2つのカテゴリーにわけている。 それが「コードプレッシャー」と「コードテンション」である。 硬膜には、脊柱構造に直接的な付着を持つ部位がある。 その部位に力学的緊張が加わると、硬膜管に捻じれや歪みがつくられやすい。 そのことで脊髄に圧力や緊張がもたらされる、というものである。 椎骨の変位という考え方から、視点が硬膜管における力学に移行した. 実は、この視点は今に始まったことではない。 それは硬膜管の付着部に限らず、硬膜に付随する靭帯組織も硬膜管の脊柱管内における自由度を制限している、という徒手医学における生体力学の考えでもある。 硬膜管の付着は、後頭骨大孔で多数の付着があり、C2、C5、S2、S3、S4、尾骨に付着があるため、緊張が作られやすい部位でもある。 歯状靭帯も、軟膜と硬膜の支持靭帯である。 一側に20ケ所の付着があるとされ、硬膜管の中での脊髄の自由度を制限している。 更に、脊柱および硬膜管の自由度をコントロールしている重要な支持靭帯は「硬膜結合複合( Dupuis,1988)」あるいは「ホフマン靭帯(Rauschningら,1987)」と呼ばれている。 ホフマン靭帯はC7~L5までのレベルで存在するという報告(Spine,1976)があり、ほとんどの靱帯が単一の椎骨セグメントに限定さている。 なかには数個のセグメントを横断する靭帯もあるらしく、このことも献体解剖所見から観察報告されている(J Spinal Disord. 1990)。 ホフマン靭帯の初出は“Managing Low Back Pain”で、カイロプラクティック教育の副読本に使われてきた本である。 以後、徒手療法関連の成書にも引用されるようになった。 例えば、「基礎臨床解剖学 脊柱・脊髄・自律神経」(エンタプライス刊)や「カイロプラクティッツク テクニック総覧」(エンタプライス刊)などに引用されている。
by m_chiro
| 2016-09-08 16:39
| 痛み学NOTE
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