タッチ&トーク
中学生の水泳部選手が地区大会を控えて、コンデショニングにみえた。
両膝と腰に鈍痛あると言う。

治療に当たって重視していることのひとつに「傾聴」がある。
このブログの中でも再三紹介したことがあるJ.P.バラルD.O.の最初の訳本が刊行されたのは1990年のことだった。「内臓マニピュレーション」という本である。
この本を読んで、「傾聴」という概念に、とても関心を持った。
手を添えて体の状態を聴くというもので、ロリン・ベッカー「Listening(傾聴)」と呼んだ方法のようである。

触診すべき部位に手を置くと、受動的に置かれた手が内臓の形にピタリと合致し、内臓の活動に導かれるように評価できると解説されている。先入観を持たずに内臓の自動力に耳を傾ける評価法なのだろう。
徒手治療家は、何らかの手法で「傾聴」を使っている。
体の声を聴く、とでも言おうか。
鍼灸師の脈診なども「傾聴」と呼ぶべきものなのだろう。
その「傾聴」の在り様を追究しているうちに、体と対話する手法が身についてきた。

私自身は、それを体と会話するという意味で「ボディ・トーク」と呼んでいた。
ところが、最近ネット検索をしたら「ボディ・トーク」を商標とした協会があることを知った。1996年に創始されたInternational BodyTalk Association(IBA)という世界的な組織である。
創始者のDr. ジョン・ヴェルトハイムはカイロプラクターであり、鍼灸師でもある。
ホロニックな体が持つ「天生の知恵(インネイト-ウィズダム)」に、コミュニケーションの損なわれている箇所を尋ねる」方法で体を診ることに主眼を置いているようだ。
体のどこに尋ねるのか、と言うと「インネイト-ウィズダム:天生の知恵」らしい。その名称が、いかにもカイロプラクターらしい。
この方法もカイロプラクティックの亜流なのだろう。
そんなわけで、私が「傾聴」からヒントを得て使っている方法を「ボディ・トーク」と呼ぶのは止めることにした。
何しろ、IBAという組織も知らなかったし、そのような名称の手法が存在していたことも知らなかったわけだ。
これからは、仮に「タッチ&トーク」とでもしておこう。

さて、この「タッチ&トーク」を使って、この患者さんを傾聴すると、問題が3つ指摘された。
1つは筋・筋膜問題、2つめは神経系、3つめは内分泌系である。
更に焦点を絞っていくと、筋・筋膜問題はメディリアン(身体の経線系)とベクトルの問題を優先するようにと応答がある。
メリディアン(経絡経線meridian)は経絡にも似ている経路かもしれないが、アナトミー・トレインなどの概念である。
メディリアン問題の結論は、左下肢の優先で第5趾(経絡では膀胱系)で、それは肩甲下筋との相関に反応していた。
筋力テストで評価すると、長腓骨筋、前脛骨筋、外側腓骨筋、肩甲下筋への刺激で抑制される。
治療点を左第5趾からフロー状態の停滞部位に求めた。
そのポイントから、肩甲下筋へのフロー状態が導かれるようにスピン・タッチでリリースした。
その間、30秒ほどだったろうか。
筋力を再評価すると、しっかりとリリースされている。
刺激運動を行わせても、それらの筋力が抑制的に作用することはなくなっていた。

ベクトルについての詳細は、また別の機会に書くことにするが、肩甲下筋に絡んで上腕と下腿が連動した問題だから肘関節を安定させるようにという指摘だと受け取った。
この中学生は、自由形と平泳ぎの二種目の選手である。
きっと上肢の力に依存して、膝を使った下腿の連動とのバランスが悪かったのかもしれない。練習での注意点として、そんなアドバイスをしておいた。
膝への直接的な治療はしていない。
それでも、動きによる重苦しい症状が出なくなった。

神経系では、髄液の循環と髄膜、硬膜のテンションのリリースを行ったが、それも応答指示で行った。
左S3-C2-C6の硬膜付着テンションをリリース、内分泌系では視床下部を調整し、評価と再評価を確認して治療を終えた。

きっと、県大会への道を拓いてくれることだろう。
ひそかに応援することにしよう。
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by m_chiro | 2016-06-18 12:54 | 症例 | Trackback | Comments(0)
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