器質因とその影響を考える
所用で街に出た。そこで、4カ月ほど前にみえた患者さんにバッタリ出会った。
この患者さんは30代の独身女性である。
クリニックで受付事務として働いている。
彼女は1カ月前から腰痛になっていて反復する、というので治療にみえた。
車の乗り降り、起立座位、前屈位での右腰部の痛みを訴えていた。

クロストークがある。だからイレギュラーな身体反応がある。
混線は胸骨ラインから起こっているようだ。
胸骨ラインをリリースすると、腰部での身体の捻じれ現象が逆転した。
腰部の左側屈現象を左腓骨でリリース。
下腹部が気になり、触診してアレッと思った。
子宮筋腫の徴候か….。

婦人科の検診の有無を尋ねると、「ない」という。
「下腹部の膨らみですか?….」

本人も気づいていたらしい。
勤め先のお医者さんに相談したら、「大丈夫だ! 中年太りだよ!、中年になると下腹部に脂肪がたまるんだよ」と言われたとか。
だから中年太りだと思っていたようだ。
月経に不調はない。

いやぁ~、中年太りではないと思うよ。むしろ、あなたは細身のからだでしょう。
婦人科で診てもらうべきだよ。
たびたび思い当たる原因もないのに腰痛になるのも、もしかしたら影響されているのかもしれないでしょう。

どこかに局所的な病理の問題があっても、その影響は他にも及ぶ。
部分と全体の関わりはとても複合的だと思う。
あれから4カ月も経っていた。ふと、彼女どうしているかな….、と思うこともあった。

街で私を見かけたらしく、駆け寄ってきた。
「あれから腰痛は起きなくなって、よかったです!」と第一声。
それより婦人科に行ってみた?
「はい、子宮筋腫と言われました。手術するにも、薬で小さくしてからの手術になるそうです。たぶん年内には手術するかもしれません。」

全体論の治療からみると、医療は局所治療だ、と一口に決めつける。
が、器質因となっている局所を解決することで、全体的な不調や思わぬ症状も改善した症例によく遭遇することもある。
だから部分と全体という括りは、そんなに簡単なことではないのだろう。
逆に、局所に対するひとつのアプローチで全体が変わる、なんてこともまずない。
もしその場で変わったとしたら、一過性の身体反応に過ぎない、と見た方が無難である。
だから長続きしない。元に戻る。

それでも、反復刺激によって身体が施術者の望む状態に変化することはあり得る。
それは身体機能のプログラムにアクセスすることであり、徒手療法の治療はこうした身体反応を引き出して、身体再構築する教育を行うようなものだろう。
一過性反応の頻度が増えることで、からだも施術者の意図に添って好転する。
それが、どの部位で良く反応するか、という施術者の評価の指標にもなるわけだ。
「治療はむやみに行うべきではない」が、一局所のアプローチですべてが解決するというそんな安易な方法などもない。
手術で病理的原因を取り除いたとしても、術後に機能的問題が残ることもあるのだから....。

彼女の頻発する腰痛が子宮筋腫とどう関わっていたかは分からないが、器質因とその影響について思いを巡らしてみた。
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by m_chiro | 2015-11-19 12:28 | 症例 | Trackback | Comments(0)
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